回復

2011-05-30 11:08:58 | インポート

台風のおかげで家にこもっていたから、久しぶりに“相棒”のDVDを何本か見直した。ちょうど旧作は一本100円で一週間借りられるセール中だったのだ。しかも、雨のおかげであまり店も混んでいなかったから、もう一度見直したいと思っていた作品もすぐに借りられた。

その中のシーズン7の11はどうも気になっていて、今回も同じ作品を三回も四回も繰り返し見てしまった。気になるのはドラマの終盤で右京さんが福助くんのお父さんと電話でやり取りをする場面。

脚本の作者はこのせりふのために長い物語を構成したような気がした。演ずる俳優さんたちの演技もいいが、脚本がまたいい。見ていたこちらは作品を分析しながら、このところまったく書けなくなって休業状態の自分の新作予定のことを思い出した。

相棒の脚本の作者の方が、自分の言いたいひとつのモチーフを持って土台を作り、長時間ドラマの物語に仕立てていった過程を朧気ながら想像し、こんなに大変なものではないけれど、自分の仕事も同じように中心にすえるテーマからまずやり直しだなあと考えさせられたのだった。

三月十一日以来、何かを書くエネルギーを生み出す、心の中の泉が土砂にうずもれてしまったような状態だったのが、これを見て、ドラマの面白さと同時に、物を作り出すということにやっと心が向き直ってきたようだ。それもこれも、まずは相棒が面白い作品だったからこそだろう。