高く心を悟りて俗に帰るべし
土芳の三冊子より引く。続けて
つねに風雅の誠を責め悟りて、今なす所俳諧にかへるべし
とある。
後半部分の「俗に帰る」とは軽みの事とも読み取れる。日常卑近の
情景に題材を求めよ、と言っているように私には思われる。芭蕉の
晩年は軽みの推進に尽きるのだから。識者の言うように、軽みは
芭蕉の専売特許ではなく、漢詩や和歌でも唱えられてきたもので、
端的に言えば理屈や故事来歴を避け、マンネリ化せず新しい作品を
作り出すための指針だった。何かにつけ、大衆化すればマンネリに
陥るのが常。安易に落ちるのも人の常。写真もまた同じ。
桜花の散り敷く池ではカメが甲羅干し。ここの所晴れると暑い日が多い。