奄美大島と加計呂麻島の間、大島海峡は波が穏やかな事、
また、地形が複雑でサンゴの豊富な事で知られる。
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この日は大島海峡のボートシュノーケルの一日ツアーを申し込み、
船でしか行けないスポットへたくさん連れて行ってもらって泳いだ。
こちらは江仁屋離島。
遠くを通る台風の影響か結構うねりがあるようだったが
干潮時に砂地になるところに上陸してみたり、
1日に2時間ほど青の洞窟になる場所があり、中で泳がせてもらう。
サンゴの種類や数は、慶良間を超えていた。
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ビーチで遊ぶと、シーグラスが無数に落ちていて
とてもきれいでたくさん拾う。
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アダンも元気だ。
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ツアーでは途中、武名集落の大きなガジュマルに寄る。
この島ではガジュマルにはケンムンという妖怪が住んでいる。
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ぼくは断じて葉っぱである、と断じて動かないバッタ。
信じることは強いことである。
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名残惜しいが加計呂麻島を離れる日、
最後どこで泳ごうかずっと考えていた。
そして、やっぱり実久(さねく)に行こうと決めた。
島の人も大好きな実久ブルー。それを見ないで帰れるか、という気持ちと、
もう、そのブルーを見に行くだけでもいいんじゃないか、
サンゴがどれほど多いとかどのビーチの方がどれくらいどうとか
そんなことはもう良くて、
島の人が特別だというそのブルーを見たい。
やっと心や体が島時間に慣れたような気がした。
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おばちゃんが片道30分かけて来てくれて、
このビーチで別れた。
お元気で、と言って
ちょっと泣きそうな自分にびっくりした。
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フェリーかけろまは無事テスト運航を終え、
帰りはフェリーに乗れることになった。
発着所でフェリーを待つ。
ケンムンになった二人。
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最終日、飛行機を待つ時間にひと泳ぎして
あやまる岬に寄ってみた。
結構近くに喜界島が見える。
しかし、奄美群島の奥深さよ。豊かさよ。
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帰ってしばらく、仕事中も
おばちゃんの「急ぐことも何もないから」の言葉が脳裏をよぎる。
ダメなんだけど。急がないと終わらないんだけど、でも何回もよぎる。
いろいろおばちゃんとのやりとりが続いている。
島バナナを送ってもらった。
緑だったバナナをつるしてとうとうシュガースポットが出てきた。
その美味しいことと言ったら、地味あふれるとはこういうことかという味がした。
お返しに、特産の梨をお送りした。
電話では、鹿児島大学の学生が泊まりに来て一緒に食べたのよ
ということだった。
おばちゃんの一日が
今日も穏やかで、今年も良き豊年祭を迎えられるよう。
そうして集落の仲良しのおばちゃんとあの三浦音頭を踊って歌って
夕方になると三浦の海でぷかぷか浮かんで、
豊かな人生が続きますようにと祈っています。