絵じゃないかおじさん

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あ@仮想はてな物語(逸話) 新益京の駄犬コロ(1/3)

2019-02-04 09:54:01 | 仮想はてな物語 

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 * 新益京の駄犬コロ(025)


 コロは、数年前にわが家に住みついた白い雑種の牡犬である。
 誰かが生後数か月の時、わが家の近くに捨てていったのだろう。
 そのまま黙って縁の下に住みついてしまったのだ。
 子供達も飼ってと譲らなかったので、そのまま住まわせている。
 最近では、子供達もコロを相手にしなくなり、
 Oさんも散歩に連れていかない。


 一日中寝そべっている。
 そんなヤツを見ていると、無性に腹が立ってくる。
 定年後の己れの姿を見ているようで吐き気を催してくる。
 去勢手術を施しているので、食うことだけが楽しみみたいだ。


 そうだ、駄犬コロに喝を入れてやろう!

 最初は5kmほど離れた山の辺の道に、
 コロをサヤカに乗せて置いてきた。
 私は、わざと自宅から遠い方へ走った。
 ヤツは必死に追い掛けてきたが、所詮犬の足のこと、
 バイクに適うものではない。


 そのうち撒いてやった。
 それでもヤツはその日のうちに帰ってきた。
 ワンワンと吠えてOさんに告げ口しているようだ。
 彼女は何も知らない。
 ヤツが私を恨めしげに見上げるが、そ知らぬ振りをしてやる。


つづく



あ@仮想はてな物語   新益京の駄犬コロ(2/3)



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 「コロ、何処に行っていたの?」
 ワォン、ワォンと私の方を顔指しながら鳴くが、
 オレは知らんぷり。
 次は10kmほど離れた吉野の山の中に置いてきた。
 Oさんはコロが二日も帰って来ないので心配している。


 「鎖外したの、あなたなの?」

 私は、曖昧な返事をする。

 「何処へ行ったのかしら」

 私は、内心ビクビクしている。
 駄犬でも居れば少しは役に立つ。
 猫を追っ払うことぐらいは出来るのだ。
 最近のように家庭から出す塵の量が多くなると、
 つい家の外に出す。


 それを猫が荒らす。
 コロの仕事は、そういう猫や弱そうな犬を追い払うことだ。


 3日目の夕方、薄汚れた姿で少しやつれて帰ってきた。
 今度の鳴き方は前より凄い。
 私に対して大分怒っているみたいだ。
 子供達も普段はそこに居るのかとも言わないのだが、
 3日も見てないとなると、少しは気になるらしい。
 撫でてやったりしている。

 良かったな、コロ!
{支離滅裂な、この態度!}

 2度あることは3度ある、のである。
 コロのヤツも、うすうす覚悟しているだろう。
 今度は丹波の山奥に連れてゆくことにした。
 私が近づくと、Oさんに報せようとしているのか、
 大きい声で恐がるように鳴く。
 しかし、今は買物に行っていない。

 季節は夏の盛りを少しばかり過ぎた頃だ。
 真冬までには帰って来られるだろう。
 コロのヤツは小屋のなかに潜りこんでしまった。
 私が、引っ張り出そうとすると軽く咬みついてくる。
 それでも無理矢理引っ張り出した。
 鎖は自然に切れたように細工しておいた。


 {暇な悪知恵オッさん!}


 暴れるので手足を括ってダンボール箱に入れた。
 ギャンギャン殺されるように鳴くので猿ぐつわを咬ました。

 一路丹波路へ。



つづく



あ@仮想はてな物語   新益京の駄犬コロ(3/3)



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 そんなに重くはないのだが、
 暴れ藻掻くのでハンドルが少し取られる。
 しかし、そのうち諦めたのか疲れたのか解らないが静かになった。
 途中で手足を解き猿ぐつわも外してやったがもう鳴かなかった。


 丹波路は秋に近かった。
 稲穂が垂れ下り気味であった。
 コロを人気のない山路で下ろしてやる。
 コロはホッとしたのか何度も身震いをしながらおシッコしている。
 ずっと我慢していたのか長い長いおシッコだった。
 少し可哀相になった。
 私の方に近づこうともしない私は、数100gの焼肉を置いて
 サヤカで走り去った。
 コロのヤツは附いて来ようとはしなかった。


 しばらく後ろを何度も振り返りながら走ったが、
 肉に食らいついて、
 その場から離れようとはしなかった。


 あれから3ヵ月もたつのに、コロはまだ帰ってこない。
 どこをウロついているのだろうか?
 野犬になるような悪い犬ではないはずだ。
 あちらこちらで餌を貰いながら何とかそのうち帰ってくるだろう。


   わが駄犬 寝そべるだけの 日日(にちにち)に
     喝のショックを 1(わん)プレゼント


(コロのうた:この姿 明日のアンタの 写し絵よ
          腹立てる前に よく見ときなはれ)
                                   ち ふ


                          
  この項おわり





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