絵じゃないかおじさん

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仮想はてな お高校生・ストーリィu  13/16

2015-02-24 07:43:39 | 仮想はてな物語 


copyright(c)ち ふ
絵じゃないかおじさんぐるーぷ
              平成の初めの頃。







 昔、生徒会が発行している会報に載っていたからである。
 電話番号は、初めて教えてもらった。
 会報には、新入生の名前と住所、
 出身中学などが載る事になっている。
 丘上という姓は、一人しか居なかったので、
 彼女に間違いはなかった。


 しばらく、その場につったって、彼女の幻を追っていた。
 心の中には、真紅の太陽が落ち込んできたようだった。

 そのため、
 明るくなって、
 熱くなって、
 ぼぉーっとなって。


 僕は、留守番電話を買って貰っている。
 マンションに、あまり居ないからである。
 電話代は、親父の銀行預金の口座からの、
 自動引落しになっている。


 僕の方からは、極力かけない。
 そのため、
 基本料金プラス1,000円以内で済んでいると思う。
 親父たちは、僕が病気になったり、
 何か緊急の用事が出来た時用に、設置してくれたのだ。


 こういう気遣いはありがたいのだけれど、
 重荷に感じる事もある。
 それに、電話に監視されているようで、
 月に何回も鳴りはしないのだが、
 始終、ビクビクしている。


 別に、悪いことはしていないのだから、
 こそこそする必要はないのだが、
 やはり、電話に親を感じている。


 その夜の9時半ごろであった。
 霧乃さんから、電話が掛かってきたのだ。
 僕は、てっきり両親からだろうと思って、
 ぶっきらぼうに答えたものだ。


 これからの電話には、気をつけるようにしなければならない。


「今日はごめんなさい。
 家に帰ったの8時すぎよ。
 秋の発表会の練習で大変なの。
 それで途中だったけれど、ごめんなさい」
「あの、どこも痛くない?」


「何のこと?」
「ぶつかったでしょ」


「あっ、そうだったわね。何ともないわよ」
「よかった。こんどの日曜どこかに行かない?」


「クラブの練習があるの。でも、3時には終わるわ。
 それからでもいい」


 校則では、1対1の男女交際を禁じている。
 しかし、よほど目立つ事をしない限り黙認されている。
 また悪友の中には、それをはやし立てて、
 からかいの対象にする者もいる。


 僕は、一人で住んでいるので、
 友達には、人一倍気を使っている。
 両親から、悪い友を持つなと注意されているからである。
 誰が良くって誰が悪いのか、よく分からない。


 田舎町から出てきた事もあって、
 みんなとは、一線を引いてつきあっている。
 だから、親友と呼べるような友もいない。
 親しくなって、僕のマンションが、
 みんなの溜り場になっても困るからである。


 学校に漏れたら困るし、
 そんな事をしているのが、
 親に見つかると、また伯母さんの家に、
 下宿させられるのは、目に見えているからでもある。



                             つづく




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