絵じゃないかおじさん

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(傘;傘;)←かさかさ、しわしわ、よれよれまーくです。

仮想はてな・ストーリィ 赤目の大山椒魚(055)  3/3

2014-11-19 07:54:20 | 仮想はてな物語 

copyright (c)ち ふ
絵じゃないかおじさんぐるーぷ
<ドン作雑文集より>




4人は、川原の向う岸にいた。
岸から、10mぐらい離れた木の周りを囲んでいる。
岸には携帯用コンロにかけられた鍋が
白い蒸気を吹き上げていた。

川幅は1~2m、浅瀬である。
大男が3人と中ぐらいの男が1人、2人1組になって
交互に杉の木の黒く膨らんだ所を叩いている。

私は、プルアルとプルスチをそっと取り出した。

{頼んだゾ!}



渾身の力を込めて、
彼らを杉の木に向かって投げつけるや否や、
「こらーっ! 
 お前ら何をしているんだー。
 人呼んでくるからなー」と、
 叫ぶやいなや、一目散で逃げ去った。


足がもつれてうまく走れない。
サヤカに飛び乗り急発進する。
ハンドルが宙に浮いた。

心臓が早鐘を打っている。
もう逃げるのみ。
彼らの仕返しが恐いので後を振り返りながら走ったが、
車は追いかけては来なかった。
きっと反対方向に去ったのだろう。



{オッさん、うまくいったようよ}
{そうかい、よかった}

{彼、お礼言ってるわよ}
{気をつけろよ、と伝えておいて}


私が逃げた後の様子をサヤカに聞いてもらった。
4人組はとにかくびっくりしたらしい。
まさか人が来るなど思ってもいなかったようだ。

鍋を川原の中に蹴飛ばし湯を捨て、
コンロやシートを抱えて、彼を放ったらかしにして、
飛ぶように逃げ去ったという。

その後、プルスチとプルアルに、
縛りつけていたロープを切り取ってもらった。


頭や背中が痛むし、
腹も内出血をおこしているが、
生命に別状はなさそうだと言う。


よかった!



彼に会って、
見舞いの言葉の一言もかけて帰りたかったが、
どこでどう4人組に出会うかもしれないので、
そのまま帰ることにした。

彼に、アカメオサンの名前を進呈した。


165号へ出てからも、
後から黒いワゴン車が来るのではと
気が気でなかった。
別に悪いことはしてないのだが
食い物の恨みは恐ろしい。

どんなイチャモンつけて、
襲いかかられるか分かったものではないからだ。



それにしても、
いくら食物に食い飽きたからといって、
ゲテ物ばかり追い求める姿勢には
承服しかねるのだが・・・



 食すべき食物あふれ あふれ来て 
   有りはがたきが そはそに過ぎぬ

                          ち ふ

                                                             
                       おわり



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