ヨーロッパに住んでいる人たちは、サンチャゴ巡礼のことは誰でも知っており、その情報を入手するのも簡単です。しかし、日本では、この言葉を知っている人はごく僅かです。この巡礼路に関する情報も限られております。私も、事前調査に苦労しました。この記事で、参考となった書籍や観賞した映画をご紹介します。
1.書籍
1)サンティアゴ巡礼へ行こう!―歩いて楽しむスペイン | |
中谷 光月子著 | |
彩流社 |
数年前のある日、書店でたまたまこの書籍を手にして、異次元の遠い世界の物語を読んでいる様な感覚を覚えました。しかし、この著書は紛れもない体験記ですので、中世の巡礼者が歩いたこの巡礼道を自分もいつかは歩いてみたいと言う夢を抱くようになりました。そして、ついに2009年から2010年にかけてその夢を実現しました。
この著書は巡礼路を詳しく記述しているのでガイドブックとしても実用価値が高く、スペイン巡礼の計画を立てるに当り、非常に参考になりました。
2) Camino De Santiago: Way of St. James from the Pyrennes to Santiago - (Rother Walking Guide) | |
Cordula Rabe著 | |
Bergverlag Rudolf Rother |
この書籍は、サンチャゴ巡礼のガイドブック(英語版)です。コンパクトなポケット・サイズ(11.6 x 16 cm)ですので、巡礼中の携行用としてとても重宝です。ドイツ語版、フランス語版もあります。残念ながら、日本語版はありません。
各地の巡礼宿(アルベルゲ、英語ではHostels)、各行程の詳しい説明、ルートマップ、ルートの距離と高度差のダイアグラム、通過する町や村の解説など、巡礼者にとって必要な情報が網羅されていますので、現地で出会った殆どの巡礼者がこのガイドブックを持参していました。
3) 世界遺産 サンティアゴ巡礼路の歩き方 | |
南川三治郎 | |
世界文化社 |
フランスとスペイン両国に渡る巡礼路の現地を取材して、由緒ある教会や自然の風景などを撮影した美しい写真が豊富に掲載されています。その写真に添えて、簡潔な解説が記さています。また、現地を旅した巡礼者やアルベルゲでオスピタレロとして働いた日本人の体験談も紹介されています。
ところで、私がスペイン巡礼に出かける前に、NHKのカルチャー・スクールで開かれた南川三治郎氏のレクチャーとスライドを観賞して、巡礼地の魅力に心が打たれました。
4) 星の旅人 スペイン「奥の細道」 (角川文庫) | |
黛 まどか | |
角川書店(角川グループパブリッシング) |
この著作は、俳人が研ぎ澄まされた感性で、巡礼の体験記を綴ったものです。第1話で、いきなりサン・ジャン・ピエ・ド・ポーの巡礼事務所でクレデンシャルを入手するのに苦労したことが語られています。しかし、私の場合は、既にフランスのモワサックで発行されたクレデンシャルを所持していましたので、巡礼事務所では丁重に対応してくれました。
5) 星の巡礼 (角川文庫) | |
パウロ・コエーリョ | |
角川書店 |
サンチャゴ・デ・コンポステーラの”コンポステーラ”の意味は、一説として「星降る里」とか「星降る野原」などと言われています。したがって、”星の巡礼”は、「サンチャゴ巡礼」を意味します。この著者はブラジルの小説家ですが、彼のこの著書により、サンチャゴ巡礼を目指す志願者を増加させる起爆剤となったと言われています。
内容としては、宗教的秘密結社の資格取得を目指す志願者が、巡礼路の各地で様々な試練を与えられ、そのために奮闘する物語が語られています。精神的な考察には参考となりますが、ガイドブックとしての実用的な情報は稀薄です。
2.映画のDVD
1) 星の旅人たち [DVD] | |
原題:the way | |
アルバトロス(販売元) |
アメリカ人の若者が、はるばるとフランスのサン・ジャン・ピエ・ド・ポールにやって来て、サンチャゴを目指す巡礼に出かけます。しかし、初日早々悪天候のためピレネー山中で遭難し、遺体で発見されます。悲報に接した父親が、サン・ジャン・ピエ・ド・ポールまで飛んできて、息子の死を悼むと共に、なぜ巡礼を志したか疑問を抱きます。その疑問を探るために、自ら巡礼の旅を開始し、国籍・職業・年齢・性別を超えた触れ合いを経験し、人生の意味をを再発見する物語です。
2) サン・ジャックへの道 [DVD] | |
原題:Saint-Jacques... La Mecque | |
ハピネット(販売元) |
不仲の3兄弟に対して、亡き母の遺産相続の条件として遺言が残されていました。その条件を守るため、ル・ピュイからサン・ジャン・ピエ・ド・ポーまでのフランスのサンチャゴ巡礼路を、3兄弟が一緒に歩くことになりました。道中、ガイドの他ni
得体の知れぬ少年や女性などが数人合流します。同行者たちと旅の苦楽を共にし心の触れ合いを深めるにつれて、3兄弟の敵対心も次第に融和し、結局スペインの聖地、サンティアゴ(サン・ジャック)まで、トータルで1500kmもの巡礼路を皆が揃って歩くことになった物語です。
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