サンタ・カタリーナ付近の巡礼道から望むテレノ山(2,188m)
Mt. Teleno (2,188m) viewed from Santiago way at Santa Catalina
風物編-3 カスティージャ・イ・レオン州(続)
今回は、2010年の巡礼の旅の第2回目です。第8日目にレオン県の県都、レオンを出発し、第13日目に県境の峠の村、オ・セブレイロに到着するまで、約160kmを歩きました。この旅路より印象に残る風物を切り取って御紹介します。
第8日(5月4日) レオンからサン・マルティン・デル・カミーノへ
この日は、とても寒い朝でした。レオン中心街の温度指示計では4度でした。
1時間半ほど歩いてラ・ビルゲン・デル・カミーノ村に達した所で、巡礼道が二手に分かれていました。特に考えることもなく左側の道に進むと、一直線の殺風景な道が続いていました。ただでさえ寒い上に風が吹き荒れていたため、身震いしながら、ただひたすら先へ先へと急ぎました。
12時頃にビラダゴス・デル・パラモでアルベルゲを見つけたときは、嬉しさで一杯でした。温かな食堂で、至福の昼食を楽しみました。
その後、この日の目的地、サン・マルティン・デル・カミーノに向かう途中で、この巡礼道では珍しい水田風景を見かけました。
荒々しく野生的な水田風景 View of wild-looking rice field
第9日(5月5日) サン・マルティン・デル・カミーノからムリアス・デ・レチバルトへ
この日のコースは、見どころの多いルートでした。先ず、サン・マルティンから約1時間半ほど歩くと、隣村のオスピタル・デ・オルビゴの入口に架かるオルビゴ橋に差し掛かりました。この橋は、13世紀建造の20連の石橋で、巡礼道の中で最も長い橋です。写真は、オルビゴ川を渡りきって、河畔から村の中心街を眺めた光景です。
河畔から村に向かって伸びるオルビゴ橋 Puente de Orbigo stretching from the riverside toward the village center
この村から出て暫らく歩くと、右側の遠方に白雪を頂いたカンタブリア山脈が現れました。その後、サンティバーニェス・デ・バルデイグレシアスを過ぎると、白樺林を背景にした美しい水辺の風景が出現しました。
サンティバーニェス・デ・バルデイグレシアスの村はずれにある水辺の風景
View of marsh after passing Santibanez de Valdeiglesias
この水辺を通り過ぎて坂道を下って行くと、メセタの荒野の向こうに再びカンタブリア山脈が見えるようになりました。その様な巡礼道を10kmほど歩くと、アストルガに到着しました。アストルガはローマ時代の遺跡が残る歴史の古い町です。
ローマ時代の遺跡 Ruins of Roman age at Astorga
他にも、中世に建てられたアストルガ大聖堂やタウン・ホール、そして近代に入ってガウディの設計で建てれた司教館など、名所が豊富にあります。
タウンホールの向かいで遅い昼食で済ませた後、この日はムリアス・デ・レチバルトまで歩きました。
第10日(5月6日) ムリアス・デ・レチバルトからエル・アセーボへ
ムリアス・デ・レチバルトを朝7時45分に出発すると、巡礼路の傍らに茂った野草には霜が降りていました。1時間も歩かないうちに、左手には山頂が雪に輝くテレノ山が展望できました。
エルガンソを経由しラバナル・デル・カミーノ辺りからは、勾配が厳しい登り坂となりました。周辺には色々な草花が咲いていました。フォンセバドンに近づく頃は、ガレ場のような道となりました。
フォンセバドン手前のガレ場の坂道 Scree slope toward Foncebadon
フォンセバドンを過ぎて更に1時間ほど登って行くと、十字架のタワーが聳えるクルース・デ・フェーロ(鉄の十字架)(標高1531m)に到着しました。
鉄の十字架 Cruz de ferro(Iron ncrosss) situated on plateau of Monte Irago
ここからマンハリンを経由し、坂道を下ってエル・アセーボに着いた時は、17時頃になっていた。1日の歩行時間は11時間を越え、歩いた距離は40km、サンチャゴ巡礼の旅で最長記録でした。
第11日(5月7日) エル・アセーボからポンフェラーダへ
エル・アセーボの朝も寒かったのですが、アルベルゲでは鋳物製の懐かしいストーブが焚かれていました。
アルベルゲの鋳物製ストーブ Cast-iron stove at Albergue
アルベルゲを出ると、白、黄、紫などの花をつけた野草が左側の広い草原を覆っていました。約1時間が過ぎてリエゴ・デ・アンブロース辺りまで来ると、激しい雨が降り出しました。その後急坂の狭い山道を下ってモリーナセカに着くと、そこからポンフェラーダまではほぼ平坦な道が続きます。
12時少々前には、この日の目的地、ポンフェラーダに到着しました。この町は、かってのテンプル騎士団の居城だったポンフェラーダ城が残っています。
ポンフェラーダ城 Ponferrada castle
第12日(5月8日) ポンフェラーダからペレッヘへ
ポンフェラーダを8時に出発したときは小雨が降っていましたが、暫らくすると雨は上がりました。
フエンテス・ヌエバスからカカベーロスへと続く一帯は、見渡す限りブドウ畑が広がっていました。
カカベーロスに向かう途中のブドウ畑 Vineyard on the way to Cacabelos
カカベーロスの村には、伝統的な建築様式が漂うLa Moncloa de San Lazaroという名称のレストランがありました。門をくぐると、この地域の特産物を売っているお土産店があり、地ワインをサービスで振舞ってくれました。
カカベーロスのお土産店 Souvenir Shop at Cacabelos
この村を離れると、再びブドウ畑が続いていました。アップダウンのない巡礼道を歩き続けて14時半頃にビジャフランカ・デル・ビエルソに到着しました。因みに、ビジャフランカと言うのは“フランス人の町”という意味ですが、この村の名称は、11世紀にこの村にフランス人が住みついたことに因んでいるようです。
この村の中心部にはには、1515年に建造されたビジャフランカ・デル・ビエルソ城が残されています。
ビジャフランカ・デル・ビエルソ城 Villafranca del Bierzo Castle
この村に泊る巡礼者が多いのですが、私は隣村のペレヘまで歩きました。
第13日(5月9日) ペレッヘからオ・セブレイロへ
ペレッヘからオ・セブレイロまでは、約800mの高低差がありますので、この日の行程は強行軍です。それにも拘わらず、生憎雨の天気でした。
ベガ・デ・バルカルセまでの道は平坦でしたが、そこから先はどんどん傾斜がきつい上り坂となりました。坂道を登る途中のラス・エレリーアスの斜面では、牛が草を食んでいました。
ラス・エレリーアスに向かう途中の斜面で草を食む牛たち Cows grazing on the slope on the way to Las Herrerias
坂道を登り続け、ラ・ファバで昼食休憩をしました。それからも、オ・セブレイロを目指して、雨で泥んこになった道を登って行きました。
オ・セブレイロへ向かう泥んこの登り坂 Muddy rising road toward Foncebadon
16時前に、峠の村、オ・セブレイロに到着しました。この村の標高は1330mの高地にある、人口50人の寒村です。この地域には、ケルト時代から続く伝統的な“パジョッサ”(palloza)と呼ばれる丸い茅葺屋根の民家が残っています。
パジョッサが残るオ・セブレイロの村の風景 Villager's house attatched with palloza at O Cebreiro
この村は、行政的にはガリシア州、ルーゴ県に属していますが、カスティージャ・イ・レオン州、レオン県の県境から1kmしか離れていない、県境の村です。
次回は、サンチャゴ巡礼総集編(風物-4)としてガリシア州の風物をレポートします。
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