*** Plaisir de voyager ***

非日常的な旅で遭遇する色々な体験のお話です。Various enconters in unusual travels.

サンチャゴ巡礼中の色々な出会い(その4) Encounters during my Pilgrimage to Santiago (4)

2013-04-29 | スペイン巡礼 Pilgrimage in Spain
聖地、サンチャゴの手前のモンテ・ド・ゴソーに向かうユーカリ林の山道
Pilgrim way of eucaliptus trees to Monte de Gozo,just before Santiago
 


第4話 深い”絆”を築いた巡礼仲間

  今回は、2010年春のスペイン巡礼で、不思議なめぐり合わせが縁で深い絆が生まれた人々との思い出を披露します。

  最初の話は、第1日目にオンターナス(Hontanas)のアルベルゲにて同宿となったオランダ人青年、次に第5日目にメセタの高原で出会った元ビジネスマンのスイス人コンビ、最後は第8日目の寒い日に、寂れたアルベルゲで隣のベッドに巡り合わせた、ポーランド女性二人組との出会いです。

1)オランダ人青年との出会い
  その青年と出会ったのは、第1日目に泊まったオンターナスのアルベルゲです。親子ほど年齢の違う若いオランダ人でした。その後の巡礼中に、ある時は一緒に歩き、ある時は同じアルベルゲに泊まったりしながら、次第に親交を深めました。


オランダ青年と出会ったオンターナスの巡礼宿

  最も心に残る思い出の一つは、第3日目の出来事です。その日、私はカリオーン・デ・ロス・コンデス(Carrion de los Condes)の中心部にあるサンタ・マリア教会が運営するアルベルゲに投宿しました。すると、偶然にもこのオランダ人も同宿だったのです。


カリオーンの中心部にあるサンタ・マリア教会

  その日の夕食は、彼と相談して近くのスーパーで食材を買い込み、自炊することとしました。でも実際には、この若いオランダ人が調理の一切を引き受けてくれました。出来上がった料理はレストラン並みの出来栄えでしたが、特にスープの味わいは抜群でした。彼に感謝の念を覚えながら、家族の団欒の様なひと時を楽しみました。

  ところでこの青年の身の上ですが、奥さんと最近離婚したらしく、その不幸を癒すためにこの巡礼を思い立ったのだろうと私は推測しました。

2)元ビジネスマン・スイス人コンビとの出会い
  巡礼の第5日目の朝、宿を出て3時間ほど歩くと、カルサーダ・デ・コト(Calzada del Coto)と言う小さな村で、巡礼路が二股に分かれていました。ここで一人、どちらに進もうかと思案していたところ、同年配の二人の巡礼者がやって来ました。その二人は、チュリッヒ近郊に住むスイス人でした。3月初めにジュネーブを出発し、既に2か月も歩き続けている言う強者です。一人はハインツと言い元スイス航空の技術マネジャー、もう一人ダニーでと言う名前で、著名な銀行に勤めていた元バンカーでした。

  彼らはローマ時代の古道“トライヤーナに道”に行くと言うので、仲間に入れてもらうことにしました。この道は今では廃道同然の状態で、一歩足を踏み入れると、まさに“これぞメセタの原野”、荒漠たる風景が広がっていました。


メセタを貫くローマ時代の古道“トライヤーナの道”

  その日は、彼らと一緒にエル・ブルゴ・ラネーロ(El Burgo Ranero)の村営アルベルゲに泊まりました。


ハインツとダニー(アルベルゲの前で)

  村外れには、夕日の美しい光景が眺められる沼がありました。3人でここ出かけ、カエルの大合唱を聞きながら、大自然の澄み渡る空気に身を委ね、心が洗われる様な清涼感を感じました。

  翌日、我々は別々に出発しました。しかし、第14日目にサモス(Samos)で再会しました。その村には、西欧で最も古い修道院のひとつとされるサモス修道院があります。ハインツらに誘われて、この修道院で行われた夕方のミサに参加しました。ミサに出席するのは初体験だったので緊張しましたが、今でも鮮烈な印象が心に残っています。

  その後の巡礼は、毎日四六時中行動を共にする仲となりました。道中、雨の日が多く、一人ぼっちでは心細い旅ですが、“No road is long with good company!”(旅は道連れ、世は情け)を実感する旅となりました。


雨水が流れ落ちる坂道を登ってポルトマリーンに向かう巡礼仲間のハインツ

  サモスから聖地サンチャゴ・デ・コンポステラ(Santiago de Compotela)までは約130kmの旅路ですが、ハインツとダニーには、温かい心遣いを受け、大変お世話になりました。


3)ポーランド人女性コンビとの出会い
  2010年巡礼の第8日目は、吹きすさぶ北風が身に染みるとても寒い日でした、生憎、寂れた巡礼路に迷い込み、予定していなかったサン・マルティン・デル・カミーノ(San Martin del Camino)で、投宿することになりました。この二人のポーランド人女性と出会ったのは、そのアルベルゲでした。一人はエヴァ、もう一人はマリという名で、二人とも英語が達者でした。住まいはドイツ国境に近いクラクフ付近とのこと。

  第13日目、オ・セブレーロ(O Cebreiro)でも、公営アルベルゲで同宿となりました。外のレストランニ出かけて夕食を共にしながら、旅行談義で盛り上がりました。エヴァもマリも旅行経験が豊富で、中国、台湾、インドにも出かけたことはあるが、日本に行ったことはないとのことでした。

  翌朝出発前にエヴァ達にお茶に誘われましたが、何とウーロン茶を入れてくれたので、不思議な気持ちになりました。


オ・セブレーロを出発する間に、お茶の時間を楽しむエヴァとマリ

  この二人は健脚で歩き出すとペースが速く、5分から10分もすると彼女たちの姿は遥か向こうに消えてしまいます。でも、1日に歩く距離はほぼ同じだったので、泊まる宿がしばしば同じとなり、会う度に再会を喜んでハグをし合う様になりました。

  聖地サンチャゴでも大聖堂前の広場で再会しました。その翌日に、フィニステーラ(Finisterre)まで日帰りで一緒に出かけました。バスを降りてから岬の先端にある灯台まで約3km歩きますが、彼女たちはペースを私に合わせてゆっくりと歩いてくれました。


フィニステーラの灯台に到着(後ろ姿は、エヴァとマリ)

  フィニステーラからサンチャゴに戻り、旧市街を散策した後、最後のハグをして別れを告げました。


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