2010年巡礼の初日、ブルゴスを出発後の巡礼道
Pilgrim road after departure from Burgos on 1st day, 2010
第3話 受難の巡礼者との出会い
今回の話は、2010年巡礼の初日の出来事です。
2009年は、フランス人仲間と一緒に3人で巡礼の旅をしました。翌年の巡礼では、カスティージャ・イ・レオン州の州都 ブルゴス(Burgos)を起点とし、ここから聖地サンチャゴ・デ・コンポステーラ(Santiago de Compostela)までの行程、約500kmの大半は一人旅でした。
2010年4月26日にブルゴスのホテルを朝7に出発し、ブルゴス大聖堂の付近に来ると、あちこちに巡礼者の姿を見かけました。8時頃になると、ブルゴスの街並みが消え、田園風景に変わりました。10時頃、ラベ・デ・ラス・カルサ-ダス(Rabe de las Calzadas)の村に到着したので、カフェテリアで休憩することにしました。その折に、私と同年配のフランス人と出会いました。
同年代のフランス人と出会ったラベ・デ・ラス・カルサ-ダスのカフェテリア
彼も偶然に今日が巡礼の初日、さらに当日の目的地も私と同じオンターナス(Hontanas)と言うことだったので、お互いに道連れがいると心強いので一緒に歩こうとことになりました。彼はパリから夜行列車でやって来て、今朝ブルゴスに到着し、そのまま巡礼を始めたそうです。英語が流暢だったので、いろいろと会話が弾みました。今は約70歳であるとか、定年前は米国企業のGEに勤めていたとか、孫が米国に住んでいるので時々訪米するとか、等々・・・・。
しかし、1時間ほど歩いたとき、彼は突然に靴擦れで痛みを感じると言い出しました。ブルゴスを出発して5時間足らずの地点です。このフランス人はトレッキング・シューズを履いていましたが、今日がこのシューズの着用初日というのでビックリしました。実は、以前に使っていた古いシューズとメーカーもタイプも全く同じなので、大丈夫と確信していたようです。しばらくすると、痛みに耐えかねてサンダルに履き替えましたが、オンターナスまで歩くのは無理なので、近くの村のオルニージョス・デル・カミーノ(Hornillos del Camino)で宿を探すことになりました。
気の合う良き仲間に恵まれてよかったと思ったのでが、私はオンターナスを目指すこととし、名残を惜しみつつこの巡礼仲間に別れを告げました。
一人旅に戻ると、再び同じ年頃の巡礼者に出会いました。彼は、はるばるアメリカからやって来て、フランスのサン・ジャン・ピア・ドゥ・ポー(Saint Jean Pied de Port) から2週間ほど歩き続けている人でした。高齢にも拘わらず今でも働いていると言うので、“定年は何歳くらいですか?”と尋ねると、“定年はありません。”と言う答えが返って来ました。実は、彼は牧師さんでした。
この牧師さんと歩きながら話をしていたら、途中で彼は突然足にけいれんを起して、路傍に座り込んでしまいました。すると、仲間らしい巡礼者が現れて、この人の介護をしてくれました。その牧師さんも、結局オルニージョス・デル・カミーノでこの日のカミーノを打ち切ることになりました。
殆ど人影のない寂しい巡礼道
巡礼初日早々、歩行に問題が生じた二人の巡礼者を目の前に見て、人里離れた寂しいカミーノを徒歩で長期にわたり歩き続ける途中に潜む、厳しい試練を思い知りました。
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