ヘクソカズラの2回目です。(1回めは「ヘクソカズラとガガイモ」)
花の中に細かい毛がたくさん生えていたのでその理由を知りたくて少し細かく調べました。
まずは花の中を見るために花冠を縦に切って開いてみました・・
すると花の奥の方まで毛がたくさん生えているのが分かりました。雄しべは5本で、細長い雌しべは2本ありました。その根元の方を顕微鏡で観察すると1本に合着しているのが分かりました。蜜が溜まっているのは雄しべ雌しべの根元であるため、2本の細長い雌しべを独立させておくと蜜を吸いに来た虫に傷つけられてしまうかもしれません。それを防ぐため合着させ まとまりよく丈夫にしていると推測できます。
細長い雌しべを顕微鏡で見てみると・・
透明の粒のように見える乳頭状突起がたくさん並んでおり、白く見える花粉が多数付着しているのが観察できました。乳頭状突起は合着部分近くまで続いており、花粉のキャッチは、雌しべの先端付近だけではなくてもっと幅広い領域で行われていることが窺えました。
次に花の中にある毛を顕微鏡で見てみると・・
先端が球になった細かな毛がたくさん生えていました。毛の先端は透明性があっていかにも粘液が出ていそうですが、そうではありません。ガラス面にこの毛を擦り付けても汚れないので液状のものは何も分泌していないと見られます。もし粘液が出る毛であれば毛同士がくっついているはず。
次に、花冠の外側がビロード状に見えるのでこちらの構造にも関心がありましたので顕微鏡で観察してみると・・
透明な粒々がぎっしりと覆っていました。
それを横から観察すると・・
美しい!このように透明な粒々が数珠繋ぎになった毛が隙間なく並んでいるために白く見えることが分かりました。
なぜ花冠の中に毛が多いのかについてなのですが正確なところは??ただ構造から推測を膨らませるのは自由なので簡単に述べると・・
植物側から見てポリネーターとして花粉を運んで欲しいのは飛翔し運動能力のあるミツバチの類ということでしょう。アリでは移動距離が短く花粉拡散としては不十分なためシャットアウトしたいわけです。その方策の一つとして花冠内部に毛を密生させてアリに嫌がらせをしていると推測しました。先端が球状なのは、そうすることでまとわり、絡みつきやすくなるから。より力の強いミツバチは毛を物ともせずに花冠内部に侵入できるので、この毛がポリネーターの選別に一役買っていると予想。証拠を示すなら、毛を抜いたヘクソカズラと正常のものを並べてどんな虫が入り込むかを観察するといいかもしれません。私はそんなに根気の要りそうなことはやりませんけれども・・。
花冠外側の透明で美しい毛の存在意義はなんなのでしょうか。虫に食べられにくくしているとか、遠くからでも虫にアピールしているとかですか?全然分かりません。ちなみにヘクソカズラは、花も傷がつけば臭いです。
ガガイモについても花の構造を観察しました。こちらは複雑で一筋縄では行かなかったのですがその分面白い構造をしていました。後日報告しますのでお待ちください。
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