植物のふしぎ

植物をはじめ、生物のふしぎな生態をレポートします。
🌷ガーデニング・家庭菜園・草花と自然🌷

おすすめの夏の花・メランポジューム

2024年08月18日 | ガーデニング

夏の花壇を彩る植物は多種多様、今日はそのうちの一つ、メランポジュームを紹介したいと思います。

メランポジューム(キク科メランポジウム属)メキシコ〜中央アメリカ原産の一年草です。花径は2〜3cmで黄色い花が次から次へと咲き続けて6月下旬から11月上旬頃まで長期間楽しめます(長野県)。さらに私が気に入っているのは花がら摘みをしなくても全然汚くならないという点。夏の定番ジニアは花柄つみしないと存在感のある花柄が残ってしまって見栄えを損なうのに比べて優秀です。さらに暑さにも強くて盛夏も休まず咲きます。サンビタリアは同じような花を咲かせますけれど、高温多湿に弱くてメランポジュームの方が全然扱いが楽です。

そして特別手をかけなくても自然にこんもりとした草姿になるのも素敵です。

上の写真でちょっと見える紫の花はアゲラタム。メランポジュームとアゲラタムは花色が補色の関係で相性がいいんです。

花が終わる時の様子は、というと・・・

上記写真の右下の花のように、中央にある筒状花はまとまってぽろっと落ち、周りの舌状花も順次自然に落ちていってきれいに片付きますよ。舌状花の根元にはタネが一周並ぶのですが、これも熟せば自然に落ちていきます。庭植えであれば翌年も自然に発芽します。雑草と間違って抜かないようにこぼれ種で増えることは覚えておきましょう。特徴的な葉の黄緑色は他の雑草にはないので区別つけやすいです。そしてメランポジュームの種は・・・

こんな感じ、バームクーヘンを切ったような形をしています。大体1mm x 2mm x 3mmの大きさです。

苗床にばら撒きしてポリポットやセルトレイに鉢上げして花壇に植えるといいです。キク科で好光性種子のため覆土は薄めに。私は、今年4月29日に種まきして花壇に6月21日に定植しました。たくさん蒔いたので庭中が黄色の花でいっぱい!!

増やすのに挿し芽を試したことがあるのですが、茎が傷みやすく溶けるようになってうまくいきませんでした。種で増やした方が簡単です。種は売っているのを見たことないです。1年目は花苗を購入するのがいいと思います。

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ミニトマトに被害!トマトサビダニとハダニ

2024年08月17日 | 家庭菜園

今年はミニトマトを2品種作りました。ぷるるんミニとシュガープラムです。それぞれ、脇芽挿しで増やしてプランターにも植えつけたのですが・・・

親かぶは元気なのですが、挿し芽から育てた方は上の写真のように茎が茶褐色に変色し下の方から枯れ上がってきてしまいました。さらに肝心の実はというと・・

が〜〜ん。果実表面は鮫肌状で亀裂もあったりで全く食べられそうにありません。上の写真はぷるるんミニ。一方、シュガープラムの方は、茎葉の症状は同程度で実つきは悪かったもののトマトの収穫はできました。

茎を拡大するとこんな感じで異常が一目瞭然。

株の上の方では、茶褐色の部分が正常な緑をどんどん浸食して上に広がっていて成長点に迫ってきていました。これは大変!!

早速、顕微鏡で観察してみると・・・

うげっ。気持ち悪い・・ブログ開設初期から立て続けにこんな投稿ばっかでごめんなさい。農産物の病害虫を扱うとねぇ・・・そのうち綺麗なお花の写真も載せていきたいので待っていてください。

この症状の主犯はトマトサビダニ。体長は0.18mmくらいのくさび形で黄褐色しています。前方に2対4本の足があります。一般的にダニは8本足ですが、この種は4本なんですね。白〜薄黄の丸いものはダニの卵。トマトの茎が緑から茶褐色に変わる境界付近に莫大な数のダニが生息していました。相応に卵もたくさんです。一方、完全に褐色に変わってしまった下方の茎では、ここに比べてダニは少数でした。もう一枚写真を・・・

赤矢印がトマトサビダニ。この写真の三匹はいずれも右方向を向いています。黄色矢印はトマトの腺毛で先端に粘液がついています。腺毛はダニの増殖に抵抗するそうです。でもダニは腺毛を駆逐しながら増殖していくそうで、トマトが栄養不足などで元気ないとこの害虫に負けてしまうようですね。この鉢の1.5mほど離れたところに親株を地植えしてますが、そちらには今のところサビダニの症状は出ていません。

トマトサビダニに比べると数は少ないですがハダニも住んでおり、白矢印はその脱皮がらです。ハダニの写真も撮ったよ・・

こちらはサビダニに比べるとちょっとかわいい・・かな?サビダニに比べ体は大きい。両肩に赤い点があるのがチャームポイント。足が6本しかなかったのでハダニの幼虫でしょうか。細い糸状のものは、ダニが出した糸です。こいつらも栽培後期に大発生で葉っぱが糸だらけになることもあります。


そして・・またしても動画作ってしまいました。サビダニの足がゴニョゴニョ動くのが気持ち悪すぎて悪夢を見そう・・ダニが出した糸をまるでギターを弾くみたいにしていたのでBGMはそれらしい明るいのにしておきました。それでも、どうにも気持ち悪さは緩和できない・・・

トマトサビダニとハダニ


ハダニやチャノホコリダニに比べて動きはゆっくりめ。とは言っても動画を見てもわかるように4本足を駆使して着実に移動しています。世代繰り返しながら領地拡大!何もしなかったらこの鉢植えのミニトマトは確実に枯れてしまいますね。

・・ということで農薬のモベントフロアブルを散布。この農薬は100ml 2200円くらい。ちょっと特殊なので家庭菜園で使っている人は少ないかも。脂質の生合成を阻害するという作用機序のため虫の成長段階に有効であり成虫には効果が出にくく即効性は期待できないという。でも、浸透移行性と長い残効があるし、ダニだけでなくアブラムシやアザミウマもやっつけてくれます。それなのに天敵のヒメハナカメムシには影響が少ないという優れた特徴が。なので、ミニトマトのほか、ヒメハナカメムシが住んでいたナスやきゅうりにもまとめて散布してやりました。これでダニ被害はおさまるといいんですけれど。

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梨の木に発生!ナシグンバイ

2024年08月14日 | 家庭菜園

庭に勝手に生えてくる木はすぐ抜くのが吉とのこと。でも、植物好きの私は、鉢に移してしばらく育ててみることにしているのですよ。そのうちの一つに梨の木・・・種が鳥に運ばれて来たのか、はたまた、自宅で食べた梨の種が巡り巡って庭の片隅で芽生えたのか定かではありません。

その木の葉が白くかすれているのに8月に入ってから気づきまして・・・早速調査開始!

葉裏を見ると・・

何やら飛行機みたいなうごめく虫がたくさんいた! 拡大して撮ってみると・・・

ナシグンバイでした。写真の黒いつぶつぶは、こいつらのフンです。タール状で きちゃな~い(>_<)

でも虫本体をよく見てみると、小さな帽子(前突起)をかぶっていたり羽のような肩飾り(翼突起)をつけていたり、ファッションがオシャレというか奇妙というか。なのでもう少し観察続行!横のアングルから見ると・・・

小さな帽子の後ろに立派な垂直尾翼のようなもの(中央隆起)が観察できました。ファッションはやはり動画のほうが分かりやすいのでグンバイムシをモデルにファッションショー開催!!葉の上のランウェイを歩いてもらいましょう。短い動画なのでぜひご覧ください。

ナシグンバイ


それ以外の住人

モモスズメの幼虫

ナシグンバイ被害で真っ白な葉っぱもバリバリ喰ってました。栄養なさそうな葉っぱだけどね。

イラガ

こいつに手の甲を刺されてしまいました。気づかずに触っちまったい。痛いよ〜(T . T)。すぐに流水で洗い流すといいらしいです。そうすればすぐに痛みは引きます。でも数日間腫れは続きました。

このようにこの梨の木、様々な虫にやられて満身創痍。かわいそう。


この梨の木は、これまで一度も花を咲かせたことないのですよ。大きくしないように強目に選定しているのも悪いのでしょうけれど。去年まで毎年赤星病に罹っていたのが、今年はなぜか発生なし。その代わりにナシグンバイにやられました。梨は実をつけるのに複数の品種が必要というし、また、出自不明で実が採れたとしても不味いんでしょっ?。せっかくなので赤星病の取材終わったらサヨナラしたいと思います。

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ナスの害虫・チャノホコリダニ

2024年08月13日 | 家庭菜園

家庭菜園でナスを栽培していると、下の写真のようにヘタが白っぽく汚れてきたり、実の先端部分が茶色に変色したりすることがあります。

 

見た目が悪くても自宅で食べる分には問題ない・・とは言ってみたものの どうせならピカピカのナスを収穫したいですよね。この症状は何が原因なのでしょうか、対策はないものでしょうか。


この症状は、チャノホコリダニという体長約0.2mmの微小な生物が引き起こしているらしいのです。あまりにも小さく色も薄いため肉眼ではほとんど見えません。肉眼でそれとわかる0.5mm前後のハダニに比べてもだいぶ小さいのですね。ダニの背景が黒っぽい平坦面で適切な光が当たっていれば、やっと「何かが動いているな〜??」程度です。8倍くらいのルーペならしっかり見ることができるので菜園をやられている方は是非ルーペを用意しておきましょう。まあそれを使っても写真を撮るには小さすぎるので顕微鏡を用いて主犯を写してやりました。

うげっ!!こんなのがうじゃうじゃいたんだぁ。収穫後のナスは平気でそのままキッチンに置いていたけれど・・・嫌になるねぇ。

白い粒々が集まった丸いものはチャノホコリダニの卵です。成虫の体長に比してかなり大きいんですね。

別の角度からもう一枚・・・

ホコリダニの特徴である第4脚(写真の下方の一番後ろの足)には細い毛のようなものが伸びており、それを引きずるように歩きます。雌雄で第4脚のたくましさに差があるそうで、この写真のダニはそれがほっそりしているのでメスでしょうね。

それから卵の写真をもう一枚・・・

これは美しい!卵にある白い粒々は小さな突起で表面にきれいに並んでいます。この特徴はチャノホコリダニ特有。近縁で区別の難しいスジブトホコリダニの卵にはこの粒々は無いらしいのでダニの同定に役立ちます。


静止した写真だけではわかりにくい部分もあるので動画も作ってみました。初めてYouTubeにアップしたのですよ。短い動画なのでよろしかったらぜひ見てください。

チャノホコリダニ

雄が静止幼虫を運搬して新天地を開拓するというおもしろい生態があります。それに加え、約2週間で卵から成虫になるとか、一匹のメスは生涯で50個の卵を産むとか言われているから あっという間に被害が拡大するのも分かります。


主犯は分かりました。でもなぜ実の先端だけが変色するのでしょうか。

 

まず、ナスが成長するとき外果皮が伸長する部分はどこかを見ていきます。右の写真のように、ナスの先端に花がらが付くことと、へたの下に夜間の成長を示す白い部分があるということから、伸長は、子房の基部から花弁が接する間で起きています。次にダニ被害について。開花中から莫大な数のダニにより吸汁されるため子房表面は全面傷だらけ。しかし、その後ナスは急激に大きくなり正常な表皮が作られ続けます。それにダニの増殖スピードが追いつけないので、変色してしまうのは花弁がついていた先端付近に限られるということになるのでしょう。

一方、がくについては伸長スピードがそれほどでもないためダニ被害は免れないと推測。さらにがくには星状毛が多数あり、ツルツルよりも毛があるほうが住み心地が良くダニが増えやすいということも一因のようです。


ナスの上には、このダニの他に見知らぬ住人も住んでいました。それが下の写真・・・

ダニ被害でコルク化したナスの表皮上を歩く黄色い虫。これも別種なダニか?と心配になりましたが、足が6本で昆虫でした。ヒメハナカメムシ類の幼虫で、こちらはアザミウマやアブラムシ、昆虫の卵を食べるという益虫です。形から4齢幼虫でしょうか。大きさはダニよりもだいぶ大きく体長1.5mm弱であり肉眼でも歩いているのがすぐにわかりました。この虫の捕食シーンを撮りたかったのですけれど根気が続かずに断念。ハダニやホコリダニも食べるという報告もあったので今後の活躍に期待しちゃいますよー!。このような住人もいるので安易に農薬使うのは考えものですね。

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鼻高で横顔素敵なナスがとれちゃいました!

2024年08月11日 | 家庭菜園

じゃじゃ〜ん。イケメンなナスです!どうぞよろしく。これはかなりの汗だくだぁ。暑い日だったので霧吹きで汗の演出作戦(^^;;・・・。

鼻の穴はあるかなぁ?・・・もちろん無いですね。白矢印については下記で解説。


これは舌出し果と呼ばれるもので栽培現場ではよく見られる奇形果の一つです。このナスは「あのみのり」という品種で元々奇形果ができにくいということなんですけれど。。

なぜこんな実ができるのでしょうか。以下に説明していきたいと思います。

この実を縦切りにしたところ、「鼻」の付け根から上部の部分に種子(白矢印)が見られました。「鼻」には正常部分とは別に種子や胎座などの構造が付随することから、単に表皮部分が盛り上がってできたのではなくて、正常とは別の実がくっついているらしいことがわかりました。

さらに理解を深めるために花の構造から・・自分で絵を描いたよ。

ナス科は子房上位の花です。これは子房が花被基部よりも柱頭方向にあるという意味。花粉は虫に運ばれる他、下向きに咲くのでこぼれ落ちた花粉が自家受粉し実が成長していきます。正常に発育すれば絵のように子房の中に種子が整然と収まるはずです。しかし、3枚前の「鼻の穴チェック」の写真に印した白矢印のように、本来一つである花柱痕のほかに「鼻」の先端にも小さいながら花柱痕が見られました。なので、花の時期から一つの子房に花柱が2本あるなどの異常がみられたはずです。

そして正常果の輪切りの構造について

ナスは、果心を中心に複数の心皮が合着して実を形作る中軸胎座で、この写真の実ではおそらく8個の心皮が集まっています。舌出し果では何らかの原因でそれらの集まりから心皮の一つが外れてしまったと考えられます。

心皮の数について、5角形の実で有名なオクラでは5と一定です。一方、ナス科の栽培品種ではそれが曖昧な部分もあって分化時に心皮を作り過ぎるとこのような現象が起きてしまうということ。そのため、元々舌出し果を多く生じる品種もあるようです。

品種以外に舌出し果を生じる原因とは何でしょうか。栽培ナビ系の本には、多肥、多灌水と低温で生じる とあります。花芽が栄養過剰になると分化段階で心皮が多数生じ、また低温であるとそれを正常に納める生理にも影響し過剰な心皮が弾き出されてしまうと考えられます。多灌水というのは肥料を急激に吸収させるために必要な条件ということです。

今回の場合、これらの条件はどうだったのかというと・・・

接木苗を購入したのが4月25日、鉢上げを26日、定食が5月12日。第1果を小さめで収穫したのが6月16日。問題の舌出し果は第3〜4果(記録逃し)で6月22日に収穫しました。おそらくですが、花芽分化の時期は鉢上げ後のゴールデンウィーク頃かと・・

(参考:日本種苗協会の資料:「播種後 30 日前後、本葉 3 枚展開時に花芽分化し、本葉 7 ~ 9 枚で第 1 花をつけ、播種後約 60 ~ 65 日で第 1 花が開花する」サカタのタネの資料:「開花後15~20日前後で収穫できます」)

気象庁データで5月2日の長野は、最低温度が7.4℃でした。鉢上げに使用した培養土は肥料はたっぷりで水の量も十分。舌出し果ができやすい条件が揃ったということなのでしょう。

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