6月10日(土)準・メルクル指揮 NHK交響楽団
《6月Cプロ》 NHKホール
【曲目】
1.シューマン/交響曲第4番ニ短調Op.120(1841年第1稿)
2.クララ・シューマン/ピアノ協奏曲イ短調Op.7
Pf:伊藤恵
3. シューマン/交響曲第1番変ロ長調Op.38「春」
メルクルの指揮でシューマンが聴けるということで、自由席の当日券でCプロを聴いた。久々に聴くメルクル/N響だったが非常に繊細で端正な演奏が素晴らしかった。
中でも後半の1番は出色の出来。メルクルがN響と共演すると、N響の繊細なアンサンブルが更に美しく研ぎ澄まされ、自然に音が伸び、3階席の上部まで無理なく届いてくる。音程がピタリと揃うだけでなく、各々の音色や音が向かう方向の焦点が合っているといった感じ。こうした揃った音たちが奏でるハーモニーはよく調和して本当に美しい。弦の美しさはもちろん、終楽章の木管の柔らかなハーモニーなんかも忘れ難い。
メルクル/N響はこうした美しい音とハーモニーを十分に生かして、瑞々しく魅力たっぷりの演奏を繰り広げた。メルクルは大げさなことは一切やらず、音楽が自然に向かうべき方向へ導いて行く。ほどよく引き締まったスリムな演奏は、要所要所でキラリと光り、まさに「春」の嬉しい気分を伴って活き活きと進んで行く。木管、金管の巧さがこの秀演に花を添え、名演を作り上げた。
最初にやった第1稿の第4シンフォニーは普段聞き慣れた音楽とは大分違っておもしろかった。最終稿の方が明らかにいいな、と思うところもあったが、シンプルで柔らかく素描的なタッチが生きている部分などが新鮮だった。
クララ・シューマンのコンチェルトは恵さんの夢見るようなピアノが良かった。滑らかでふくよかで、オケとよく溶け合う優しい音色が印象に残った。シューマンのコンチェルトと比べてしまうと通俗的な感じはしたが、チェロとピアノの愛のデュオなど、乙女チックなところなどなかなか魅力もあった。来週のB定期も楽しみだ。
【開演前の室内楽】
ショスタコーヴィチ/弦楽四重奏曲第7番嬰へ短調Op.108
Vn:齋藤真知亜、大宮臨太郎/Vla:坂口弦太郎/Vc:藤森亮一
これを聴けるのはB定期以外の楽しみ。今月はショスタコーヴィチ生誕100年記念ということでカルテットをやってくれた。柔らかく落ち着きのあるハーモニーや、終楽章の緊張感に溢れるフーガなど、聴き所がたくさんあった。アンサンブルとしてもとてもまとまっていて、常設のカルテットを聴いているようだった。
《6月Cプロ》 NHKホール
【曲目】
1.シューマン/交響曲第4番ニ短調Op.120(1841年第1稿)
2.クララ・シューマン/ピアノ協奏曲イ短調Op.7
Pf:伊藤恵
3. シューマン/交響曲第1番変ロ長調Op.38「春」
メルクルの指揮でシューマンが聴けるということで、自由席の当日券でCプロを聴いた。久々に聴くメルクル/N響だったが非常に繊細で端正な演奏が素晴らしかった。
中でも後半の1番は出色の出来。メルクルがN響と共演すると、N響の繊細なアンサンブルが更に美しく研ぎ澄まされ、自然に音が伸び、3階席の上部まで無理なく届いてくる。音程がピタリと揃うだけでなく、各々の音色や音が向かう方向の焦点が合っているといった感じ。こうした揃った音たちが奏でるハーモニーはよく調和して本当に美しい。弦の美しさはもちろん、終楽章の木管の柔らかなハーモニーなんかも忘れ難い。
メルクル/N響はこうした美しい音とハーモニーを十分に生かして、瑞々しく魅力たっぷりの演奏を繰り広げた。メルクルは大げさなことは一切やらず、音楽が自然に向かうべき方向へ導いて行く。ほどよく引き締まったスリムな演奏は、要所要所でキラリと光り、まさに「春」の嬉しい気分を伴って活き活きと進んで行く。木管、金管の巧さがこの秀演に花を添え、名演を作り上げた。
最初にやった第1稿の第4シンフォニーは普段聞き慣れた音楽とは大分違っておもしろかった。最終稿の方が明らかにいいな、と思うところもあったが、シンプルで柔らかく素描的なタッチが生きている部分などが新鮮だった。
クララ・シューマンのコンチェルトは恵さんの夢見るようなピアノが良かった。滑らかでふくよかで、オケとよく溶け合う優しい音色が印象に残った。シューマンのコンチェルトと比べてしまうと通俗的な感じはしたが、チェロとピアノの愛のデュオなど、乙女チックなところなどなかなか魅力もあった。来週のB定期も楽しみだ。
【開演前の室内楽】
ショスタコーヴィチ/弦楽四重奏曲第7番嬰へ短調Op.108
Vn:齋藤真知亜、大宮臨太郎/Vla:坂口弦太郎/Vc:藤森亮一
これを聴けるのはB定期以外の楽しみ。今月はショスタコーヴィチ生誕100年記念ということでカルテットをやってくれた。柔らかく落ち着きのあるハーモニーや、終楽章の緊張感に溢れるフーガなど、聴き所がたくさんあった。アンサンブルとしてもとてもまとまっていて、常設のカルテットを聴いているようだった。
「開演前の室内楽」も聴きました。すごく息があっていて、落ち着きのある演奏だったと思いました。できれば、閉じたところで聴きたかったと思いました。このメンバーで「マチアス・ムジクム・クァルテット」として、以前フィリアホールでの公演もあったと思います。
本公演のシューマン:交響曲第1番は清々しく、とても良かったと思いました。メルクルさんは、N響の良さを本当に上手に引き出されると思います。