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ドニゼッティ《アンナ・ボレーナ》の世界

2022年07月30日 | pocknのコンサート感想録2022
7月23日(土)ドニゼッティ《アンナ・ボレーナ》の世界
Studio Waves 西麻布

【曲目】
♪ ドニゼッティ/歌劇「アンナ・ボレーナ」より、アンナ・ボレーナの歌唱部分

【出演】
S:齋藤ひろこ/Pf:田中梢/お話し:井内美香

永年に渡ってボローニャを拠点に演奏活動を続けているソプラノ歌手の齋藤ひろこ(斎藤裕子)さんが一時帰国し、根津美術館やブルーノート東京に近い麻布の閑静な住宅街にあるお洒落なスタジオでレクチャーコンサートを開催した。コロナによる何度ものロックダウンを経てようやくほぼ平穏を取り戻した今まで約3年間、ご自身が愛して止まないという「アンナ・ボレーナ」をひたすら探究し、稽古を重ねてきたお披露目という形で行われたコンサートは、イタリアオペラを専門とする井内美香さんの解説で作品を丁寧に紐解きながら進められた。

アンナの歌唱部分をピックアップして次々と歌われたひろこさんの歌は、作品への、そして悲劇の主人公のアンナへの熱い思いと共感がこもり、濃厚で気迫に満ち、熱く訴えてきた。とりわけ、切迫したリアルな感情が悲壮感を伝えた。田中さんのピアノは、持ち前の包容力とドラマチックな表現力で、血の通った熱い音楽を聴かせた。音色が多彩で、想像力を掻き立てられるのも田中さんならでは。質問コーナーで、オーケストラスコアを細かく確認しながらピアノパートの準備をしたとうかがい、それがこの表現を生んでいたことを納得した。

今夜集まって来た聴衆は皆さんオペラ通のようで、井内さんの解説への反応や食いつきがとても良く、ドニゼッティにはあまり明るくない僕たちはそのノリに付いていけないことも… けれど、演奏のあとにたっぷり設けられたひろこさんへの質問タイムでは、ひろこさんがどうやって音楽の道へ進み、ボローニャに住むことになったかという悪戦苦闘の物語や、現在のボローニャでの暮らしや街の様子などのお話しに聴き入った。3年前に夫婦でボローニャを初めて訪問した際、すごく助けてもらってお世話になったひろこさんのお話しには興味が尽きなかった。

進行役の井内さん、ご自身の豊富な知識と経験をもとに、ひろこさんの話に合いの手を入れるのはいいんだけれど、そのまま話し続けてひろこさんの話が立ち消えになってしまうことがよくあったのはちょっと残念だった… 次の機会には「アンナ・ボレーナ」を、更に大規模な形で披露したいということで、期待が膨らんだ。

きらめきのカンパネラ ~田中梢 ピアノリサイタル~ 2019.8.31 王子ホール
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