7月22日(金)波多野睦美 歌曲の変容シリーズ 第15回 想いの届く日ふたたび 〜氷と熱の楽器 バンドネオンと共に〜
~王子ホール~
【演奏】歌:波多野睦美/バンドネオン:北村聡/コントラバス:田辺和弘
セットリスト
ラカジェ:アマポーラ
グアスタビーノ:薔薇と柳
ロジャース:私のお気に入り
メンデス:ククルクク・パロマ
モリコーネ:もし~ニューシネマパラダイス~
ガルデル:首の差で
ガルデル:想いの届く日
ラミレス/スエッ編曲:アルフォンシーナと海
ラミレス:夏のクリスマス
バルバラ:サンタマンの森
プーランク:愛の小径
♪ ♪ ♪
パーセル:ソリチュード
アーン:クロリスに
ビジョルド:エル・チョクロ
ピアソラ:もしもまだ
ロドリゲス:ラ・クンパルシータ
ピアソラ/エスティガリビア編曲:私はマリア
ピアソラ:オブリビオン
《アンコール》
バルバラ:サンタマンの森
ラカジェ:アマポーラ
これまで主にバロックオペラで何度も魅了された波多野睦美の歌をリサイタルで聴ける、というつもりで出かけた今夜のコンサートは、2人の素敵な共演者とともに「リサイタル」という言葉が似合わない、ポップス系のライブを楽しむような気分にさせてくれた。
出演者の衣装、ステージでのふるまい、MCでの話題や語り口などがどれもカジュアルで自然、そして何と云っても波多野さんのヴォーカルが、そよ風がふわっと吹いてきたように自然で心地いい。クラシックのオペラ歌手というイメージからは完全に解き放たれ、その場で歌が生まれてきたように自由でノリノリで、口ずさんだり、囁いたり、温かく包み込んだり… 矢野顕子とか小野リサの歌が持つ脱力感みたいなものが波多野さんには具わっていて、軽~く歌っているようでいて、それが妙に心に沁みて、心の奥底をくすぐってくる。
そのソフトな声の美しさや、優しく細やかな歌いまわしには、耳を澄ませてそっと聴き入りたくなり、自分でも口ずさみたくなる親しみがある。地声も交えて歌う波多野さんの歌はポップスシンガーと相通じるものがあるが、一つ異なるのは歌をマイクに通さないこと。マイクに通さないと、どうしてもオペラチックな発声になってしまうものだが、そうならないところが凄い。この王子ホールという理想的な空間があってのことではあるのだろうが。
そんな波多野さんの歌は、時代やジャンルを越えて自由に飛び回る。フォルクローレもシャンソンも、ミュージカルも映画音楽も、そしてクラシックも。クラシックだからと云ってかしこまることはなく、パーセルの歌なんて、都会の夜の街角から流れてきそう。このパーセルの「ソリチュード」の同じユニットによる演奏をYouTubeで観れると教えてくれた。⇒こちらこれは、巧みなアレンジと、あたかもジャズの即興のセッションのように聴かせるバンドネオンの北村さんと、コントラバスの田辺さんの技があってのこと。
南米系の民族楽器というイメージだったバンドネオン(実は発祥はドイツだそうだが)が全曲で登場して、どんなジャンルにもフィットしてしまうことを知った。この楽器1台から、弦楽器や管楽器、声、打楽器の音まで聞こえてくる。北村さんのパフォーマンスは本当に雄弁で味があり、カッコ良くて、単音で奏でるメロディーにもこんなに色と香りがあることを知らされた。
ステージ後半から登場した田辺さんのコントラバス、まずピッチカートの哀愁ある爪弾きと揺さぶりに心が震えた。弦は全てガット弦を使用しているとのこと。どこかひなびた香りはガット弦から醸し出されているわけか。弓で奏でるアルコも、そんなピッチカート同様にバーボンのような大人の香りが漂って、アンサンブルに刺激と潤いと味わいを与えて痺れさせてくれた。そんな2人だけの演奏もステキだった。お馴染みの「ラ・クンパルシータ」が、ジャズのように自由なアレンジで次々と変奏していく様子にも惹かれた。
アンコールを求める拍手がポップスのライブのように手拍子が揃いそうになりながら、結局バラバラになってしまったけれど、アンコールの最後で、前半にバンドネオンと演奏した「アマポーラ」をベースも加わったバージョンで聴けて幸せ気分。歌っていいな、仲間っていいなとつくづく感じるステキなライブだった。また聴きに来たい。
ベンジャミン・ブリテンの世界(MS:波多野睦美) ~2022.4.1 東京文化会館~
レ・ボレアードによるオペラ公演(MS:波多野睦美) ~2021.12.10 北とぴあ・さくらホール~
「ポッペアの戴冠」(MS:波多野睦美) ~2017.11.23 東京オペラシティ~
その感染対策、本気???
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ガルデル:想いの届く日
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バルバラ:サンタマンの森
プーランク:愛の小径
♪ ♪ ♪
パーセル:ソリチュード
アーン:クロリスに
ビジョルド:エル・チョクロ
ピアソラ:もしもまだ
ロドリゲス:ラ・クンパルシータ
ピアソラ/エスティガリビア編曲:私はマリア
ピアソラ:オブリビオン
《アンコール》
バルバラ:サンタマンの森
ラカジェ:アマポーラ
これまで主にバロックオペラで何度も魅了された波多野睦美の歌をリサイタルで聴ける、というつもりで出かけた今夜のコンサートは、2人の素敵な共演者とともに「リサイタル」という言葉が似合わない、ポップス系のライブを楽しむような気分にさせてくれた。
出演者の衣装、ステージでのふるまい、MCでの話題や語り口などがどれもカジュアルで自然、そして何と云っても波多野さんのヴォーカルが、そよ風がふわっと吹いてきたように自然で心地いい。クラシックのオペラ歌手というイメージからは完全に解き放たれ、その場で歌が生まれてきたように自由でノリノリで、口ずさんだり、囁いたり、温かく包み込んだり… 矢野顕子とか小野リサの歌が持つ脱力感みたいなものが波多野さんには具わっていて、軽~く歌っているようでいて、それが妙に心に沁みて、心の奥底をくすぐってくる。
そのソフトな声の美しさや、優しく細やかな歌いまわしには、耳を澄ませてそっと聴き入りたくなり、自分でも口ずさみたくなる親しみがある。地声も交えて歌う波多野さんの歌はポップスシンガーと相通じるものがあるが、一つ異なるのは歌をマイクに通さないこと。マイクに通さないと、どうしてもオペラチックな発声になってしまうものだが、そうならないところが凄い。この王子ホールという理想的な空間があってのことではあるのだろうが。
そんな波多野さんの歌は、時代やジャンルを越えて自由に飛び回る。フォルクローレもシャンソンも、ミュージカルも映画音楽も、そしてクラシックも。クラシックだからと云ってかしこまることはなく、パーセルの歌なんて、都会の夜の街角から流れてきそう。このパーセルの「ソリチュード」の同じユニットによる演奏をYouTubeで観れると教えてくれた。⇒こちらこれは、巧みなアレンジと、あたかもジャズの即興のセッションのように聴かせるバンドネオンの北村さんと、コントラバスの田辺さんの技があってのこと。
南米系の民族楽器というイメージだったバンドネオン(実は発祥はドイツだそうだが)が全曲で登場して、どんなジャンルにもフィットしてしまうことを知った。この楽器1台から、弦楽器や管楽器、声、打楽器の音まで聞こえてくる。北村さんのパフォーマンスは本当に雄弁で味があり、カッコ良くて、単音で奏でるメロディーにもこんなに色と香りがあることを知らされた。
ステージ後半から登場した田辺さんのコントラバス、まずピッチカートの哀愁ある爪弾きと揺さぶりに心が震えた。弦は全てガット弦を使用しているとのこと。どこかひなびた香りはガット弦から醸し出されているわけか。弓で奏でるアルコも、そんなピッチカート同様にバーボンのような大人の香りが漂って、アンサンブルに刺激と潤いと味わいを与えて痺れさせてくれた。そんな2人だけの演奏もステキだった。お馴染みの「ラ・クンパルシータ」が、ジャズのように自由なアレンジで次々と変奏していく様子にも惹かれた。
アンコールを求める拍手がポップスのライブのように手拍子が揃いそうになりながら、結局バラバラになってしまったけれど、アンコールの最後で、前半にバンドネオンと演奏した「アマポーラ」をベースも加わったバージョンで聴けて幸せ気分。歌っていいな、仲間っていいなとつくづく感じるステキなライブだった。また聴きに来たい。
ベンジャミン・ブリテンの世界(MS:波多野睦美) ~2022.4.1 東京文化会館~
レ・ボレアードによるオペラ公演(MS:波多野睦美) ~2021.12.10 北とぴあ・さくらホール~
「ポッペアの戴冠」(MS:波多野睦美) ~2017.11.23 東京オペラシティ~
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