8月27日(木)小林英之(Org)
~東京芸術劇場ナイトタイム・パイプオルガンコンサート Vol.33~
東京芸術劇場
【曲目】
~オール・バッハ・プログラム~
1.ファンタジア ハ短調 BWV562/1
2.コラール「おお愛する魂よ、汝を飾れ」 BWV654
3.トリオ・ソナタ 第1番 変ホ長調 BWV525
4.ノイマイスター・コラール集~ コラール「主イエス・キリスト、汝こよなき宝」 BWV1114
5.コラール「主なる神、我らを守りたまわずば」によるファンタジア BWV1128
6.トッカータ、アダージョとフーガ ハ長調 BWV564
【アンコール】
♪ G.メルケル/コラール「おお、愛する魂よ、汝を飾れ」
バロックオルガン
東京芸術劇場には立派な大オルガンが備わっている。しかもバロックオルガン(&ルネサンスオルガン)とモダンオルガンの2台があり、背中合わせに備えられたオルガンが回転して入れ替わる様子は壮観だ。ここのオルガンをじっくり聴くのは、ブログに感想を載せるようになる前のワープロ時代も飛び越えた手書きの時代だから四半世紀以上ぶり。コロナでコンサートロスになってしまったリベンジで、例年は殆ど演奏会に行かない8月も積極的に行くことで出会えたコンサートは、リベンジと関係なく素晴らしかった。
オールバッハプロということで、今夜使用するオルガンはバロックオルガン。楽器に色照明が当たり、会場内は照明が落ち、ホールはいつもと違ってチャペルの雰囲気。そして始まった「ファンタジア」の響きに圧倒された。この大オルガンの能力を最大限に発揮する音栓が選ばれたのだろう、地響きするほどの大音響がホール全体の空気を震わせた。音響だけでなく、この劇場付オルガニストも務める小林英之の演奏は実直で揺るぎない安定感がある。
大音響で聴き手を圧倒したあとは、穏やかなコラール作品が多く選ばれ、そこでは敬虔な思いに満ちた叙情豊かな世界を味わった。曲によってコラール旋律に使われる音色を変え、たっぷりと、或いはしみじみと、またくっきりと「歌」を聴かせ、それを取り巻く対旋律の柔らかなハーモニーも美しい。小林は終始誠実で安定した演奏と的確なレジストレーションでそれぞれの作品の持ち味を聴かせて行く。
プログラムの中心に据えられたトリオ・ソナタについて小林自身がプログラムノートで、演奏は無理な姿勢が続いて体力も要ると書いていたことから、演奏の様子に注目できたのも面白かった。両手両足の複雑な動きに加えて体のバランスを保つことも大変だということだが、聴こえてくる音楽は整然と淀みなく、各声部の自然で楽し気なやり取りを聴くことができた。最後の「トッカータ、アダージョとフーガ」のトッカータからは、誠実さを脱ぎ捨てた躍動感や遊び心が感じられ、ウキウキした気分で音の行方を追いかけた。アダージョで豊かな叙情を聴かせたあとのフーガは、バッハのフーガにしては緻密な構成が甘くてあっけなく終わってしまう観があるが今夜もそんな感じ。人を食ったような終わり方はバッハのユーモアなのかも知れない。
予定されていたプログラムが終わり、拍手が途切れそうになったときに「アンコール」という文字が投影されたのは微笑ましかったが、ここでオルガンが大転回してモダンオルガンが登場。メルケルのコラールでモダンオルガンの柔らかな音色も楽しめたのは嬉しかった。
とても充実した演奏会。これを1000円で聴けるのは超お得だ。ここのオルガンは普段は本領を発揮する機会が少ないなか、このような演奏会を定期的に、しかもこの値段で(ランチタイムコンサートは500円)やってくれるのは素晴らしい。これからはこのシリーズに注目していきたい。
ぐるりと回転して現れたモダンオルガン
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1.ファンタジア ハ短調 BWV562/1
2.コラール「おお愛する魂よ、汝を飾れ」 BWV654
3.トリオ・ソナタ 第1番 変ホ長調 BWV525
4.ノイマイスター・コラール集~ コラール「主イエス・キリスト、汝こよなき宝」 BWV1114
5.コラール「主なる神、我らを守りたまわずば」によるファンタジア BWV1128
6.トッカータ、アダージョとフーガ ハ長調 BWV564
【アンコール】
♪ G.メルケル/コラール「おお、愛する魂よ、汝を飾れ」
バロックオルガン
東京芸術劇場には立派な大オルガンが備わっている。しかもバロックオルガン(&ルネサンスオルガン)とモダンオルガンの2台があり、背中合わせに備えられたオルガンが回転して入れ替わる様子は壮観だ。ここのオルガンをじっくり聴くのは、ブログに感想を載せるようになる前のワープロ時代も飛び越えた手書きの時代だから四半世紀以上ぶり。コロナでコンサートロスになってしまったリベンジで、例年は殆ど演奏会に行かない8月も積極的に行くことで出会えたコンサートは、リベンジと関係なく素晴らしかった。
オールバッハプロということで、今夜使用するオルガンはバロックオルガン。楽器に色照明が当たり、会場内は照明が落ち、ホールはいつもと違ってチャペルの雰囲気。そして始まった「ファンタジア」の響きに圧倒された。この大オルガンの能力を最大限に発揮する音栓が選ばれたのだろう、地響きするほどの大音響がホール全体の空気を震わせた。音響だけでなく、この劇場付オルガニストも務める小林英之の演奏は実直で揺るぎない安定感がある。
大音響で聴き手を圧倒したあとは、穏やかなコラール作品が多く選ばれ、そこでは敬虔な思いに満ちた叙情豊かな世界を味わった。曲によってコラール旋律に使われる音色を変え、たっぷりと、或いはしみじみと、またくっきりと「歌」を聴かせ、それを取り巻く対旋律の柔らかなハーモニーも美しい。小林は終始誠実で安定した演奏と的確なレジストレーションでそれぞれの作品の持ち味を聴かせて行く。
プログラムの中心に据えられたトリオ・ソナタについて小林自身がプログラムノートで、演奏は無理な姿勢が続いて体力も要ると書いていたことから、演奏の様子に注目できたのも面白かった。両手両足の複雑な動きに加えて体のバランスを保つことも大変だということだが、聴こえてくる音楽は整然と淀みなく、各声部の自然で楽し気なやり取りを聴くことができた。最後の「トッカータ、アダージョとフーガ」のトッカータからは、誠実さを脱ぎ捨てた躍動感や遊び心が感じられ、ウキウキした気分で音の行方を追いかけた。アダージョで豊かな叙情を聴かせたあとのフーガは、バッハのフーガにしては緻密な構成が甘くてあっけなく終わってしまう観があるが今夜もそんな感じ。人を食ったような終わり方はバッハのユーモアなのかも知れない。
予定されていたプログラムが終わり、拍手が途切れそうになったときに「アンコール」という文字が投影されたのは微笑ましかったが、ここでオルガンが大転回してモダンオルガンが登場。メルケルのコラールでモダンオルガンの柔らかな音色も楽しめたのは嬉しかった。
とても充実した演奏会。これを1000円で聴けるのは超お得だ。ここのオルガンは普段は本領を発揮する機会が少ないなか、このような演奏会を定期的に、しかもこの値段で(ランチタイムコンサートは500円)やってくれるのは素晴らしい。これからはこのシリーズに注目していきたい。
ぐるりと回転して現れたモダンオルガン
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