11月14日(土)芸大「学長と語ろう」コンサート
~第6回奏楽堂トーク&コンサート~
東京藝術大学奏楽堂
■トーク
テーマ:自然の不思議
宮田亮平 (東京藝術大学学長)
ゲスト
中村征夫(水中写真家)
■コンサート
【曲目】
1.ワーグナー/楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲(木村吉宏編曲)
2.ベルリオーズ/幻想交響曲Op.14~第4、5楽章(C.ヤンセン編曲)
【アンコール】
1.リムスキー=コルサコフ/トロンボーン協奏曲~第1楽章
2.バーンスタイン/ウェストサイドストーリーより
【演 奏】
稲川榮一指揮 東京藝術大学音楽学部管打楽器専攻学生
TB:田中裕香(アンコール1)
去年、NHKの「爆笑問題のニッポンの教養」という番組に芸大学長の宮田亮平さんが登場、その気さくで面白いキャラクターと芸術家らしい自由で斬新な気概に奥さんも僕もすっかり惚れた。そんな宮田さんが登場する「学長と語ろうこんさ~と」のチラシを見つけて是非行ってみたくなり、応募したら当選したので夫婦で出かけた。
プログラムを見たらこの「学長と語ろうこんさ~と」は年2回のペースで行われていて、ゲストに大賀典雄や永六輔、向井千秋などなどいろんな分野の有名人が登場していて今回は第6回とのこと。全然知らなかったぞ。
さて、このイベントの前半がその学長とゲストのトーク。今回のゲストは水中写真家の中村征夫さん。ステージのスクリーンには中村さんの撮影した作品が投影され雰囲気を盛り上げ、お二人が登場。
写真家の中村征夫さんのことは知らなかったが水中写真家の第一人者とのこと。40年以上世界の海に潜って様々な名作を世に出している中村さんの話は本当に興味深い。
宮田さんとも共通するイルカの話題で始まり、ヘドロで死の海といわれ、写真家が潜るなんて考えなかった東京湾に潜りつづけ、様々な生命に出逢った話、93年に奥尻島で撮影していたときにちょうどあの大津波に遭遇し、九死に一生を得たときの壮絶な体験談、クジラやイカの感動的な話… 自然の美しさだけでなく、すさまじさや厳しさを語るその話は、魚や動物達が営む命のドラマや、自然の恐ろしさをわが身で体験し、自分の目でしっかりと見て心に焼き付けた人でしかできないもので、しかもそれを一枚の静止画である写真で表現する目と心とセンスを身につけている人の話にはとても惹きつけられた。
宮田亮平さんは持ち前の人懐っこさと、美しいもの・感動を与えるものへの素直で鋭い感性、故郷の佐渡で育まれた体験をバックグラウンドにした語りで中村さんの心の底にあるものを次々と引き出し、話を興に乗せていくことで益々臨場感溢れる話が聞けた。とても有意義な時間を過ごすことができた。中村さんの作品をもっと見てみたい。
♪♪♪
後半は芸大生によるブラスオーケストラのコンサート。2つともオーケストラ曲の編曲もので、原曲は豪快でダイナミックなイメージのある曲だが、「マイスタージンガー」では、ブラスの演奏で良く耳にするパンチの効いたアプローチとは一味違う、柔らかで輝かしい響きを聴かせてくれた。軟らかな光が放たれ、歌が流麗に流れ、ハンス・ザックスのプライドみたいなものが伝わってきた。
「幻想交響曲」もとても上手かったが、ブラスだと響きの深さや音色が似通った感じになるので、そこをディナミークやアーティキュレーション、アクセントなどで思いっきりコントラストをつけた方が面白くなると思うのだが、どうも表現が一本調子であまり面白くなかった。
アンコールでやったリムスキー=コルサコフのトロンボーン協奏曲はソロの田中裕香さんが素晴らしかった。語り口や息遣いが実に自然で、フレーズのひとつひとつがとても雄弁に訴えてくる。大らかで温かいトロンボーンの響きも美しく、トロンボーンの魅力を堪能させてくれた。アンコールでこんな素晴らしい演奏をするということはどこかで全曲やる予定があるのだろうか?是非田中さんのソロでこの曲を全曲聴いてみたいと思った。
アンコール2曲目のウェストサイドストーリーはブラスならではの楽しくエキサイティングな演奏、やっぱりブラスはこういう曲が合ってるな。終演後、前半のお二人がステージに再登場、宮田学長が「ブラボー」と叫んでいた!
~第6回奏楽堂トーク&コンサート~
東京藝術大学奏楽堂
■トーク
テーマ:自然の不思議
宮田亮平 (東京藝術大学学長)
ゲスト
中村征夫(水中写真家)
■コンサート
【曲目】
1.ワーグナー/楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲(木村吉宏編曲)
2.ベルリオーズ/幻想交響曲Op.14~第4、5楽章(C.ヤンセン編曲)
【アンコール】
1.リムスキー=コルサコフ/トロンボーン協奏曲~第1楽章
2.バーンスタイン/ウェストサイドストーリーより
【演 奏】
稲川榮一指揮 東京藝術大学音楽学部管打楽器専攻学生
TB:田中裕香(アンコール1)
去年、NHKの「爆笑問題のニッポンの教養」という番組に芸大学長の宮田亮平さんが登場、その気さくで面白いキャラクターと芸術家らしい自由で斬新な気概に奥さんも僕もすっかり惚れた。そんな宮田さんが登場する「学長と語ろうこんさ~と」のチラシを見つけて是非行ってみたくなり、応募したら当選したので夫婦で出かけた。
プログラムを見たらこの「学長と語ろうこんさ~と」は年2回のペースで行われていて、ゲストに大賀典雄や永六輔、向井千秋などなどいろんな分野の有名人が登場していて今回は第6回とのこと。全然知らなかったぞ。
さて、このイベントの前半がその学長とゲストのトーク。今回のゲストは水中写真家の中村征夫さん。ステージのスクリーンには中村さんの撮影した作品が投影され雰囲気を盛り上げ、お二人が登場。
ステージ両サイドには宮田さんのトレードマークであるイルカをモチーフにした大きな鍛金の作品が置かれていた。このうち1つはこの対談のために制作した最新作とのこと。きっとこれも”Springen”(シュプリンゲン:ドイツ語で「跳ねる」という意味)と名付けられたのではないかな… 宮田さんは自分の作品を中村さんに紹介するとき「よく触るなとか写真を撮るなといいますが、僕の作品はどんどん触ってもらっていいんですよ!」と言っていた。なので休憩時間にその作品を触ったり、携帯で写真を撮っていたらホールの人に「写真はご遠慮ください」と言われてしまったので、この写真はホールにあった最新作ではなく、夏に佐渡に行った時にフェリーの中にあった「飛躍」という作品。 |
写真家の中村征夫さんのことは知らなかったが水中写真家の第一人者とのこと。40年以上世界の海に潜って様々な名作を世に出している中村さんの話は本当に興味深い。
宮田さんとも共通するイルカの話題で始まり、ヘドロで死の海といわれ、写真家が潜るなんて考えなかった東京湾に潜りつづけ、様々な生命に出逢った話、93年に奥尻島で撮影していたときにちょうどあの大津波に遭遇し、九死に一生を得たときの壮絶な体験談、クジラやイカの感動的な話… 自然の美しさだけでなく、すさまじさや厳しさを語るその話は、魚や動物達が営む命のドラマや、自然の恐ろしさをわが身で体験し、自分の目でしっかりと見て心に焼き付けた人でしかできないもので、しかもそれを一枚の静止画である写真で表現する目と心とセンスを身につけている人の話にはとても惹きつけられた。
宮田亮平さんは持ち前の人懐っこさと、美しいもの・感動を与えるものへの素直で鋭い感性、故郷の佐渡で育まれた体験をバックグラウンドにした語りで中村さんの心の底にあるものを次々と引き出し、話を興に乗せていくことで益々臨場感溢れる話が聞けた。とても有意義な時間を過ごすことができた。中村さんの作品をもっと見てみたい。
後半は芸大生によるブラスオーケストラのコンサート。2つともオーケストラ曲の編曲もので、原曲は豪快でダイナミックなイメージのある曲だが、「マイスタージンガー」では、ブラスの演奏で良く耳にするパンチの効いたアプローチとは一味違う、柔らかで輝かしい響きを聴かせてくれた。軟らかな光が放たれ、歌が流麗に流れ、ハンス・ザックスのプライドみたいなものが伝わってきた。
「幻想交響曲」もとても上手かったが、ブラスだと響きの深さや音色が似通った感じになるので、そこをディナミークやアーティキュレーション、アクセントなどで思いっきりコントラストをつけた方が面白くなると思うのだが、どうも表現が一本調子であまり面白くなかった。
アンコールでやったリムスキー=コルサコフのトロンボーン協奏曲はソロの田中裕香さんが素晴らしかった。語り口や息遣いが実に自然で、フレーズのひとつひとつがとても雄弁に訴えてくる。大らかで温かいトロンボーンの響きも美しく、トロンボーンの魅力を堪能させてくれた。アンコールでこんな素晴らしい演奏をするということはどこかで全曲やる予定があるのだろうか?是非田中さんのソロでこの曲を全曲聴いてみたいと思った。
アンコール2曲目のウェストサイドストーリーはブラスならではの楽しくエキサイティングな演奏、やっぱりブラスはこういう曲が合ってるな。終演後、前半のお二人がステージに再登場、宮田学長が「ブラボー」と叫んでいた!