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足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

北八ヶ岳・白駒池とニュウ ~「野わけ」からのワンデーハイク~

2008年09月14日 | 山&ハイキング
2008年8月3日(日)

山梨県から長野県にかけて南北に長く伸びる八ヶ岳連峰は、最高峰の赤岳をはじめ険しい岩稜の峰々が連なる南八ヶ岳に対し、北八ヶ岳には苔蒸した深い森が広がっていて、あちこちに静かな池が点在している。神秘的とも言えるこの北八ヶ岳の魅力的な世界は、もう30年近くも前、僕がまだ「子供」として行った家族旅行のときに知った。このとき歩いた北横岳や「森林浴」という言葉通り、全身でマイナスイオンを吸収できるような白駒池のあたりに広がる鬱蒼とした原生林や、岩と苔が庭園のように織り成す光景にすっかり魅せられた。

この時の家族旅行で父がガイドブックを調べて「明日はニュウに行こう」と言っていたのだが、その翌日は雨模様で結局「ニュウ」には行けなかった。この一風変わった名前が妙にずっと記憶に残っていて、ガイドを見れば「一級の眺望が得られる」と書いてあり、いつか行ってみたいとずっと思っていた。そのニュウに30年近くたって、自分が連れて行く立場の家族旅行で初めて行ってきた。

夏の休暇を過ごす清里の貸別荘「野わけ」から国道141号を北上、松原湖入口へ入り、そのまま麦草峠までどんどん上って行く。毎年のように来ているが、何度来ても「いったいどこまで上って行くの?」と思うほどに上り坂が続く。そして到着した白駒池の駐車場。ここが今日の目的地ニュウへ登る出発点だ。

駐車場からまずは白駒池への遊歩道を歩く。ここからすでに北八ヶ岳の原生林の中。15分も歩けば鏡のような静かな水面の神秘的な白駒池に出る。今日の目的地はこの池を遠く見下ろすニュウなので池は横目で眺めながらニュウへの分岐点まで池を周遊する道を歩く。すれ違う登山者も結構多い。


白駒池を半周近くしたのでは?という頃、ようやくニュウへの登り口が分かれていた。ここから道は緩やかに登っていく。

池から森の中まで続いていた木道が途切れ、登山道らしくなる。これをしばらく行くと間もなく樹林帯がパッと開けて白駒湿原に出た。深い鬱蒼とした森のなかに現れた白駒湿原は暗から明へと転回するだけになお更明るく感じる。ワタスゲが風になびいて涼しげ。この柱のような花はなんだろう?



白駒湿原を過ぎると道は再び森の中へ。小鳥のさえずりを聞きながら歩を進めると道は少々急になってくる。


このあたりは地面一面が分厚い苔に覆われている。幹や根っ子、岩などと苔が織り成す自然の庭園に樹間から光が差し込み、苔が明るく浮かび上がって見える。近づいて見るとそこにはまた小さな森があるようにも見える。


苔の間の穴から妖精でも出てきそうな神秘的な森の風景が続く。
この写真は拡大してご覧になれます。



そんな風に思いながら歩いていたら、この岩が不思議な顔に見えてきた…


白駒池からニュウまでの道にはいくつか分岐があり標識が出ているが、これは「にう」となっている。ほかに「ニュウ」や「にゅう」の表記もある。漢字がないので発音をどう表記するかの違いだろう。

「にゅう」というのは刈り取り後の稲を積み上げた稲藁のことでそこから来た名前のようだが、「頂上がおっぱいの乳首に似てるからニュウだ」と子供たちには説明しておいた。



やがて道は広い樹林帯の急勾配の斜面となり、これが結構続いた。上を見上げても頂上らしいところはなかなか見えてこない。急な斜面を30分ほど登ると道は緩やかになり、ようやくこれを登りきったあたりが明るい。そして稜線に出た。

樹林帯が途切れ、明るい展望が開けていた。砂地に岩がゴロゴロしていて高山の雰囲気。正面には北八ヶ岳の峰々が出迎えてくれた。左手の方に岩屑が積み上げられたニュウの頂上があった。頂上まであとわずか。



積み重なる大きな岩の塊をよじ登ってニュウの頂上(2352m)に到着!風がピューピュー吹いている。スタートから約2時間、去年の蓼科山に比べればずっと楽だったが、時間は結構かかった。



頂上からの眺めは360度の大展望。その手前へ目をやれば北八ヶ岳の原生林が蒼々と埋め尽くし、その中にさっき湖畔を歩いた白駒池がぽっかりと佇んでいる。足元の直下を覗き見すれば断崖絶壁!ふらついたりしたら危ない。。。


白駒池の右奥には去年登った蓼科山の頂上部分が見えた。
この写真は拡大してご覧になれます。


おいおい、そこは危ないぞ!あんまり端っこへ行くなよ。。。!


お昼はカップラーメンとおにぎり。食後にはコーヒーを淹れてポッキーを食べた。


そして子供たちとお絵描きタイム。
pocknは手前にニュウの巨岩を入れて、山岳風景になる天狗岳方面を描いた。


いつものことながら山頂でかなりの長居。奥さんがいつもタイムキーパーとなる。でないと、途中で日が暮れる危険あり。


下りるときは更に慎重に!

下山路は往時と同じ道を降りた。帰り際、白駒池の畔へ下りてお茶を飲み、お菓子をいただきながら夕方も近い太陽が照らす池をゆっくりと眺めた。この辺りは霧がよく出て霧に霞む池の風景もいいが、すっきり晴れた日の明るい池の風景もいい。



北八ヶ岳の原生林の懐深くに身を委ね、ニュウでは大展望を満喫し、ちょっとだがアルペンムードの岩登りもでき、静かな池の畔でこうして疲れを癒せるこのコースはワンデーハイクにはおあつらえ向きのファミリーコースだ。

朝登るときは白駒池周辺はハイカー達で結構賑わっていたが、夕方ともなれば人は殆ど見かけない。そういえばニュウの方まで来ていた人も少なかった。いつも思うのだが、ガイドに載っているようなスポットだけは賑わっているが、そこから数分も離れると殆ど人には会わないことが多い。大勢の人たちは観光スポット一点だけを見たらすぐ帰ってしまうのだろうか。何とももったいないが、その分僕たちは静かなハイキングが楽しめるからいいか…


清里の貸別荘「野わけ」ライフ2008

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清里の貸別荘「野わけ」ライフ2007

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