4月27日(木)パーヴォ・ヤルヴィ 指揮 NHK交響楽団
《2023年4月Bプロ》 サントリーホール
【曲目】
1.シベリウス/交響曲 第4番イ短調 Op.63
2.ラフマニノフ/パガニーニの主題による狂詩曲 Op.43
【アンコール】
♪ ラヴェル/左手のためのピアノ協奏曲~カデンツァ
Pf:マリー・アンジュ・グッチ
3.チャイコフスキー/幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」Op.32
一昨年の6月以来となるパーヴォ指揮N響の演奏会は、全体が高いテンションで、ただならぬ空気に支配されていた。冒頭にいきなり置かれたシベリウスの第4シンフォニーは終始緊迫感に包まれ、ただならぬものを感じた。どの楽章も意味深に閉じられるこの曲は掴みどころがはっきりしないところはあるが、研ぎ澄まされて深く射しこんでくる音には熱がこもり、大切なメッセージを一心に伝えようとする厳粛さを感じた。
次はアンジェ・グッチをソリストに迎えたラフマニノフ。オケに拍手を送りながら和やかに登場したマリーさんは、ひとたびピアノの前に座り音を発した途端、その磨かれた密度の高い響きが耳を捉えた。一音一音が、空間のなかで拡散されることなく輝き、ピーンと聴き手の心に共振する。これが会場の空気をただならぬ特別なものに変える。
取り立ててダイナミックに響くわけでもないし、大きな感情表現で聴き手を揺さぶることもせずむしろ端正なのだけれど、終始大編成のオケを相手に主役としての存在感を発揮し、音楽の芯を捉え、内なるメッセージを熱く伝えた。これと相対するオケも颯爽とした演奏で緊迫したドラマが展開した。グッチは、N響と共演する大家級ではない外来ソリストとしては抜きんでた存在だ。
最後はチャイコフスキー。これぞ「ただならぬ」の真骨頂!圧倒的な熱量、濃厚な密度、天井知らずのアグレッシブさで、聴き手を音楽の怒涛に呑み込み、どこまでも運んで行った。エネルギーを持続させ、高みへと邁進するドライブ感はパーヴォならではの手腕。N響はこれに敏感に反応し、ガッチリ噛み合った熱いアンサンブルでこれでもかと畳みかけて来た。
「怒り」を表現した激しい部分だけでなく、官能的なシーンでもパーヴォ/N響は熱い思いを心の底から歌い上げる。クラリネット(松本さん?)の詩情は絶品だし、神田さんの清澄なフルートは、この曲にある少ない清らかなシーンとして光り、吉村さんの味わい深いオーボエなど、木管やホルンの妙技も聴きものだった。
この曲は、同じ幻想曲の「ロミオとジュリエット」よりずっと知名度や演奏頻度は低く、僕も以前聴いたことをすっかり忘れていたが、充実したすごい音楽だ。不倫をめぐる怒りを扱ったいわく付きの音楽だが、そうした背景抜きに純音楽としても楽しめる。最後は、更に極限まで上り詰めた劇的な幕切れとなった。パーヴォとN響の底力を見せつけた雄弁で充実の爆演、この組み合わせで「悲愴」が聴きたいと思った。パーヴォは次の客演予定が発表されていないが、是非N響との共演を続けて欲しい。
N響公演の感想タイトルリスト(2017~)
♪ブログ管理人の作曲のYouTubeチャンネル♪
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【曲目】
1.シベリウス/交響曲 第4番イ短調 Op.63
2.ラフマニノフ/パガニーニの主題による狂詩曲 Op.43
【アンコール】
♪ ラヴェル/左手のためのピアノ協奏曲~カデンツァ
Pf:マリー・アンジュ・グッチ
3.チャイコフスキー/幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」Op.32
一昨年の6月以来となるパーヴォ指揮N響の演奏会は、全体が高いテンションで、ただならぬ空気に支配されていた。冒頭にいきなり置かれたシベリウスの第4シンフォニーは終始緊迫感に包まれ、ただならぬものを感じた。どの楽章も意味深に閉じられるこの曲は掴みどころがはっきりしないところはあるが、研ぎ澄まされて深く射しこんでくる音には熱がこもり、大切なメッセージを一心に伝えようとする厳粛さを感じた。
次はアンジェ・グッチをソリストに迎えたラフマニノフ。オケに拍手を送りながら和やかに登場したマリーさんは、ひとたびピアノの前に座り音を発した途端、その磨かれた密度の高い響きが耳を捉えた。一音一音が、空間のなかで拡散されることなく輝き、ピーンと聴き手の心に共振する。これが会場の空気をただならぬ特別なものに変える。
取り立ててダイナミックに響くわけでもないし、大きな感情表現で聴き手を揺さぶることもせずむしろ端正なのだけれど、終始大編成のオケを相手に主役としての存在感を発揮し、音楽の芯を捉え、内なるメッセージを熱く伝えた。これと相対するオケも颯爽とした演奏で緊迫したドラマが展開した。グッチは、N響と共演する大家級ではない外来ソリストとしては抜きんでた存在だ。
最後はチャイコフスキー。これぞ「ただならぬ」の真骨頂!圧倒的な熱量、濃厚な密度、天井知らずのアグレッシブさで、聴き手を音楽の怒涛に呑み込み、どこまでも運んで行った。エネルギーを持続させ、高みへと邁進するドライブ感はパーヴォならではの手腕。N響はこれに敏感に反応し、ガッチリ噛み合った熱いアンサンブルでこれでもかと畳みかけて来た。
「怒り」を表現した激しい部分だけでなく、官能的なシーンでもパーヴォ/N響は熱い思いを心の底から歌い上げる。クラリネット(松本さん?)の詩情は絶品だし、神田さんの清澄なフルートは、この曲にある少ない清らかなシーンとして光り、吉村さんの味わい深いオーボエなど、木管やホルンの妙技も聴きものだった。
この曲は、同じ幻想曲の「ロミオとジュリエット」よりずっと知名度や演奏頻度は低く、僕も以前聴いたことをすっかり忘れていたが、充実したすごい音楽だ。不倫をめぐる怒りを扱ったいわく付きの音楽だが、そうした背景抜きに純音楽としても楽しめる。最後は、更に極限まで上り詰めた劇的な幕切れとなった。パーヴォとN響の底力を見せつけた雄弁で充実の爆演、この組み合わせで「悲愴」が聴きたいと思った。パーヴォは次の客演予定が発表されていないが、是非N響との共演を続けて欲しい。
N響公演の感想タイトルリスト(2017~)
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最新アップロード:「かなりや」(詩:西條八十)
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復活されたのでしょうか?
下記Youtubeで、「名曲探偵アマデウス」という番組が公開されているのですが、パガニーニの主題による狂詩曲がテーマとして扱われていました。
映像を見ると、まろさんがコンマスで演奏されていました。シャルル・デュトワさん指揮のサントリーホールでの演奏なので、私も昔聴いていたはずですが、思い出せません。
https://www.youtube.com/watch?v=OP3zFvQb_rs
その演奏会の自分の感想を読み返してみたら、テクノさんがとても感動していたと書いてありました!チャイ5のほうだけど。
https://blog.goo.ne.jp/pocknsan/e/c1bf84d665f2c84c58cfbeb179b2569e