5月27日(木)下野 竜也 指揮 NHK交響楽団
《2010年5月Bプロ》 サントリーホール
【曲目】
1.ボッケリーニ(ベリオ編)/マドリードの夜の帰営ラッパ(ボッケリーニの4つのオリジナル版による)
2.ベートーヴェン/ピアノ協奏曲 第3番 ハ短調Op.37
【アンコール】シューマン/子供の情景~「眠っている子供」、「詩人は語る」
Pf:ダヴィッド・フレイ
3.バーバー/弦楽のためのアダージョ
4.ブリテン/シンフォニア・ダ・レクイエム
昨夜のパユの演奏会、実はN響の定期と重なっていることに気づかずにチケットを購入してしまったもの。なのでN響は今夜に振り替えた。今夜の演奏でよかったのは最初のボッケリーニと、ベートーヴェンのコンチェルトでソロを弾いたフレイがアンコールでやった「子供の情景」ぐらい… 気づかずにパユのチケットを買ってしまってよかった。
最初のボッケリーニは本当に良かった。最弱音の小太鼓の刻みで入る印象的な開始のシーン、カップのミュートで耳を引くトランペットの響き、ワクワクするクレッシェンドではN響ならではの充実したサウンドが鳴り響き、豊穣なクライマックスを築いた後、テンションを保ちつつまた最弱音へ戻って行く。終わりの方で聴こえたハーモニーと関係ない音の伸ばしなど、ベリオの気の利いた面白いアレンジも含めて大いに楽しめた。下野さんのノリノリの指揮もオケに良い風を送っていた。
そんな冴えた音を聴かせた下野/N響だが、次のベートーヴェンではなんだか普通の音になってしまった。ソロのフレイはすごい長身のイケメンにいちゃんで、どんな音を出すのか期待したが、これも普通。ひとつ挙げるとすれば第2楽章。霧がかかった深い森のなかをさまようような、瞑想的とも言える深い響きがした。アンコールで弾いた「子供の情景」でもヴェールに包まれた夢のなかの出来事のように響き、体格や風貌に似合わない、ナイーブでデリケートな演奏に感銘を受けた。でもオーケストラとの共演のあとのアンコールだけ感銘してもねぇ…
後半1曲目のバーバー、こういう曲は下野/N響ストリングスの熱い歌が心を揺さぶってくれるはず、と期待したが、表情にも乏しいし、熱い吐息も伝わってはこなかった。そしてプログラム最後に置かれたブリテンの「シンフォニア・ダ・レクイエム」、オケは充実したいい音を出していたし生気も感じたが、どうも訴えてくるものを感じない。この曲は初めて聴く曲だったが、プログラムに載っていた藤田茂氏の曲目解説の第3楽章「嵐が過ぎ去った後、雲間から小さな光が差し込んでくる。その光は、いつしか音楽を満たし、安らぎのなかに曲を閉じる…」という描写に期待が高まったが、そうした音楽を感じることは全くできなかった。
隣に座っていた男女が後半で席を交替して、太めのにいさん(おじさん?)が隣になった。このヒト、休憩時間にジョギングでもしてきたのか、ずっと顔や頭の汗をハンカチでぬぐっている。そして臭いつきの熱気がこっちまでプワ~ンと漂ってきたのには参った。嗅覚は人間の感性に与える影響が大きいらしいが、ブリテンで感動できなかったのはそのせいだろうか… でも途中からハンカチで鼻を押さえてたんだけどな。。
もう一つ小言を言わせてもらうと、今夜のプログラミングもよくわからない。なんかタイプの違う音楽が並びすぎてやしなかったか。強いて共通点を挙げるなら、編曲者のベリオも含めて全部Bで始まる作曲家の作品だったことぐらい。
下野さん、N響のみなさん、こんな感想しか書けなくてすみません…
《2010年5月Bプロ》 サントリーホール
【曲目】
1.ボッケリーニ(ベリオ編)/マドリードの夜の帰営ラッパ(ボッケリーニの4つのオリジナル版による)
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2.ベートーヴェン/ピアノ協奏曲 第3番 ハ短調Op.37
【アンコール】シューマン/子供の情景~「眠っている子供」、「詩人は語る」
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Pf:ダヴィッド・フレイ
3.バーバー/弦楽のためのアダージョ
4.ブリテン/シンフォニア・ダ・レクイエム
昨夜のパユの演奏会、実はN響の定期と重なっていることに気づかずにチケットを購入してしまったもの。なのでN響は今夜に振り替えた。今夜の演奏でよかったのは最初のボッケリーニと、ベートーヴェンのコンチェルトでソロを弾いたフレイがアンコールでやった「子供の情景」ぐらい… 気づかずにパユのチケットを買ってしまってよかった。
最初のボッケリーニは本当に良かった。最弱音の小太鼓の刻みで入る印象的な開始のシーン、カップのミュートで耳を引くトランペットの響き、ワクワクするクレッシェンドではN響ならではの充実したサウンドが鳴り響き、豊穣なクライマックスを築いた後、テンションを保ちつつまた最弱音へ戻って行く。終わりの方で聴こえたハーモニーと関係ない音の伸ばしなど、ベリオの気の利いた面白いアレンジも含めて大いに楽しめた。下野さんのノリノリの指揮もオケに良い風を送っていた。
そんな冴えた音を聴かせた下野/N響だが、次のベートーヴェンではなんだか普通の音になってしまった。ソロのフレイはすごい長身のイケメンにいちゃんで、どんな音を出すのか期待したが、これも普通。ひとつ挙げるとすれば第2楽章。霧がかかった深い森のなかをさまようような、瞑想的とも言える深い響きがした。アンコールで弾いた「子供の情景」でもヴェールに包まれた夢のなかの出来事のように響き、体格や風貌に似合わない、ナイーブでデリケートな演奏に感銘を受けた。でもオーケストラとの共演のあとのアンコールだけ感銘してもねぇ…
後半1曲目のバーバー、こういう曲は下野/N響ストリングスの熱い歌が心を揺さぶってくれるはず、と期待したが、表情にも乏しいし、熱い吐息も伝わってはこなかった。そしてプログラム最後に置かれたブリテンの「シンフォニア・ダ・レクイエム」、オケは充実したいい音を出していたし生気も感じたが、どうも訴えてくるものを感じない。この曲は初めて聴く曲だったが、プログラムに載っていた藤田茂氏の曲目解説の第3楽章「嵐が過ぎ去った後、雲間から小さな光が差し込んでくる。その光は、いつしか音楽を満たし、安らぎのなかに曲を閉じる…」という描写に期待が高まったが、そうした音楽を感じることは全くできなかった。
隣に座っていた男女が後半で席を交替して、太めのにいさん(おじさん?)が隣になった。このヒト、休憩時間にジョギングでもしてきたのか、ずっと顔や頭の汗をハンカチでぬぐっている。そして臭いつきの熱気がこっちまでプワ~ンと漂ってきたのには参った。嗅覚は人間の感性に与える影響が大きいらしいが、ブリテンで感動できなかったのはそのせいだろうか… でも途中からハンカチで鼻を押さえてたんだけどな。。
もう一つ小言を言わせてもらうと、今夜のプログラミングもよくわからない。なんかタイプの違う音楽が並びすぎてやしなかったか。強いて共通点を挙げるなら、編曲者のベリオも含めて全部Bで始まる作曲家の作品だったことぐらい。
下野さん、N響のみなさん、こんな感想しか書けなくてすみません…