5月21日(木)フロレスタン・トリオ
~Vn:アンソニー・マーウッド/Vc:リチャード・レスター/Pf:スーザン・トムズ~
ベルリン・コンツェルトハウス小ホール
【曲目】
1.ハイドン/ピアノ三重奏曲第29番変ホ長調Hob XV:29
2. フォーレ/ピアノ三重奏曲ニ短調 Op.120
3. アイヴス/ピアノ三重奏曲
4. ハイドン/ピアノ三重奏曲第41番変ホ短調Hob XV:31
【アンコール】
ハイドン/ピアノ三重奏曲第25番ト長調「ハンガリー風」Hob.XV~第3楽章
コンツェルトハウスはベルリンで最も美しい広場と言われているジャンダルム広場にある
フロレスタン・トリオ、と言われてもどこのどんなトリオか知らなかったが、ハイドンをやるというので行ってみることにした。フォーレとアイヴスをハイドンで挟むというプログラミングも面白いし、ハイドンへの意欲が伝わってくる。ちなみにこのトリオは1995年にイギリスで結成されたトリオとのこと。日本に来日したこともあるらしい。
で、この演奏会は大正解!最初のハイドンは活き活きと、そしてきっちりとした両端楽章に、第2楽章のしっとりした叙情溢れる演奏もいい。このトリオの誠意が伝わってきて上々の開始。
続くフォーレでは、レスターのチェロの朗々とくっきりとした歌が心を掴み、マーウッドの瑞々しいヴァイオリンが活き活きと入る。このトリオ、とても能動的で動きのあるマーウッドのヴァイオリンがイニシアティヴをとり、それをチェロのレスターが熱い包容力でがっちりと受け止める。トムズのやはり活き活きした息遣いのなかに知性を感じるピアノが巧みにアンサンブルを束ねる。フォーレの終止や休符のない連綿と続く息の長い歌を、3人はそれぞれの持ち味を活かしながら常に新たなエネルギーを吸収しつつ繋いで素晴らしいクライマックスを築いた。
そして休憩後のアイブスが圧巻!深刻な表情を刻みつつ萌え出るようなエネルギーを秘めた第1楽章に続く第2楽章がこの曲の、もしかすると今夜の演奏会の白眉。へたすれば混乱の馬鹿騒ぎで終わってしまうかも知れないこの楽章のノリノリの部分、シリアスな部分、熱い爆発など様々な要素を3人は明確に弾き分け、熱く、しかし名役者のように自分が熱くなり過ぎる分を聴き手を熱くさせ、興奮へと導いていった。その腕前とアンサンブルとしての集中力はすごい。
この第2楽章が終わると客席から感嘆の笑いと共に拍手が沸き起こった。3人は「してやったり」という表情でニンマリ!続く3楽章も訴え掛けてくる充実した演奏で、それまでの興奮を徐々にクールダウンしつつ、しかし高いテンションを保って全曲を閉じた。素晴らしい!
プログラム最後に再び置かれたハイドンがまたよかった。シュトルム・ウント・ドラングのスタイルの精神性の高い音楽を丁寧に、深く、くっきりした輪郭を描きながら1音ごとに心に訴えてくる。まさにプログラムの最後にふさわしい音楽を、最後に置くにふさわしい演奏で閉めた。アンコールはスリリングに爆発! このトリオ、ボザール解散後新しいトリオの星になるのでは?また日本に来たら是非また聴きたい。
演奏会のあった小ホールは落ち着いた豊かな響きがして内装も美しい
~Vn:アンソニー・マーウッド/Vc:リチャード・レスター/Pf:スーザン・トムズ~
ベルリン・コンツェルトハウス小ホール
【曲目】
1.ハイドン/ピアノ三重奏曲第29番変ホ長調Hob XV:29
2. フォーレ/ピアノ三重奏曲ニ短調 Op.120
3. アイヴス/ピアノ三重奏曲
4. ハイドン/ピアノ三重奏曲第41番変ホ短調Hob XV:31
【アンコール】
ハイドン/ピアノ三重奏曲第25番ト長調「ハンガリー風」Hob.XV~第3楽章
コンツェルトハウスはベルリンで最も美しい広場と言われているジャンダルム広場にある
フロレスタン・トリオ、と言われてもどこのどんなトリオか知らなかったが、ハイドンをやるというので行ってみることにした。フォーレとアイヴスをハイドンで挟むというプログラミングも面白いし、ハイドンへの意欲が伝わってくる。ちなみにこのトリオは1995年にイギリスで結成されたトリオとのこと。日本に来日したこともあるらしい。
で、この演奏会は大正解!最初のハイドンは活き活きと、そしてきっちりとした両端楽章に、第2楽章のしっとりした叙情溢れる演奏もいい。このトリオの誠意が伝わってきて上々の開始。
続くフォーレでは、レスターのチェロの朗々とくっきりとした歌が心を掴み、マーウッドの瑞々しいヴァイオリンが活き活きと入る。このトリオ、とても能動的で動きのあるマーウッドのヴァイオリンがイニシアティヴをとり、それをチェロのレスターが熱い包容力でがっちりと受け止める。トムズのやはり活き活きした息遣いのなかに知性を感じるピアノが巧みにアンサンブルを束ねる。フォーレの終止や休符のない連綿と続く息の長い歌を、3人はそれぞれの持ち味を活かしながら常に新たなエネルギーを吸収しつつ繋いで素晴らしいクライマックスを築いた。
そして休憩後のアイブスが圧巻!深刻な表情を刻みつつ萌え出るようなエネルギーを秘めた第1楽章に続く第2楽章がこの曲の、もしかすると今夜の演奏会の白眉。へたすれば混乱の馬鹿騒ぎで終わってしまうかも知れないこの楽章のノリノリの部分、シリアスな部分、熱い爆発など様々な要素を3人は明確に弾き分け、熱く、しかし名役者のように自分が熱くなり過ぎる分を聴き手を熱くさせ、興奮へと導いていった。その腕前とアンサンブルとしての集中力はすごい。
この第2楽章が終わると客席から感嘆の笑いと共に拍手が沸き起こった。3人は「してやったり」という表情でニンマリ!続く3楽章も訴え掛けてくる充実した演奏で、それまでの興奮を徐々にクールダウンしつつ、しかし高いテンションを保って全曲を閉じた。素晴らしい!
プログラム最後に再び置かれたハイドンがまたよかった。シュトルム・ウント・ドラングのスタイルの精神性の高い音楽を丁寧に、深く、くっきりした輪郭を描きながら1音ごとに心に訴えてくる。まさにプログラムの最後にふさわしい音楽を、最後に置くにふさわしい演奏で閉めた。アンコールはスリリングに爆発! このトリオ、ボザール解散後新しいトリオの星になるのでは?また日本に来たら是非また聴きたい。
演奏会のあった小ホールは落ち着いた豊かな響きがして内装も美しい