9月11日(月)クリスティアン・ティーレマン指揮 ドレスデン国立歌劇場管弦楽団
~ムジークフェライン・シーズンオープニングコンサート 2023/2024~
ウィーン楽友協会大ホール
【曲目】
1.ヒンデミット/白鳥を焼く男
(アンコール)
♪ ヒンデミット/無伴奏ヴィオラ・ソナタ Op.25-1 ~第4楽章
Vla:アントワン・タメスティ
2.R.シュトラウス/アルプス交響曲 Op.64
(アンコール)
♪ R.シュトラウス/歌劇「カプリッチョ」 Op. 85 ~間奏曲「月光の音楽」
ウィーン滞在中にムジークフェライン・ザール(正しくはムジーク・フェアアインス・ザール"Musikvereinssaal")で、ティーレマン指揮ドレスデン・シュターツカペレによるアルプス交響曲をやる演奏会があると知った。ティーレマンは以前聴いたとき自分の好みには合わないと感じ、その後は聴いていないのだが、とにかく人気は高いし、アルプス交響曲がドレスデン・シュターツカペレによって初演されたと知り、これは聴かないと後悔すると思いチケットを購入した。
演奏会を通じて魅了されたのはオーケストラと会場の響き。ムジークフェラインの響きは豊かで柔らかく、僕が座った最上階のGalerie席にも無理なく音が届き、音に包み込まれる。オーケストラの音色は一種独特の古めかしさがあり、楽器同士が優しくブレンドされて極上の響きを作り出す。聴衆がちょっと体を動かすと椅子がギシギシ云うのが気になるが、これも含めてこのホールの音なのかな。
そんな響きの中での前半のプログラムは、タメスティをソロに迎えてのヒンデミット。タメスティのヴィオラはねっとりとまとわりつくような濃厚なアプローチ。生き物のように熱い吐息を吐き、うごめき、聴き手の心のなかへ入り込んで来る。オケは弦楽器がチェロとコントラバスのみの小編成で、ティーレマン/ドレスデン・シュターツカペレは、タメスティのヴィオラと一緒に呼吸し、なまめかしくヴィオラに絡み、溶け合う。両者はアイスダンスのペアのように一体となり、濃厚な色香を湛えた踊りを音で見せてくれた。
アンコールでのヒンデミットの無伴奏は「果敢な攻め」といった言葉では形容し尽くせないほどタダならぬ演奏。2つの声部が野太い1本の線となって、何かに取りつかれたように突き進むテンションに圧倒された。
後半はアルペンシンフォニー。ティーレマンは緻密に丁寧に音を一つ一つ積み上げ、大河のような大きくてゆったりとした深い流れを作り出した。音楽には熱い血が通うが、激することなく命をとうとうと繋げて行くイメージ。このためか、夜明けのシーンでは目が眩むような輝かしい音響のスペクタクルを聴かせるというより、必然として来るべきものが来たというイメージ。激しい嵐の場面も、そんなものに打ち負かされることなく逞しく立ち向かう頼もしさを感じた。どんな場面でも音たちは羽目を外して暴れることがなく、確信を持って永遠の営みを続けて行くような大きな流れを感じた。ただ、大自然には人間が太刀打ち出来ないような予期せぬことが起こるし、見たこともないような感動のシーンがあると思うのだが・・・。
この演奏を聴いて、7月に聴いたアラン・ギルバートと都響のアルプス交響曲を思い出した。こちらは本当に全身全霊で立ち向かってくるリアルでエキサイティングな演奏で、感激度でいえばこちらの方が高かったことを白状しよう。ティーレマンは以前聴いたときも落ち着き払った、まるで泰西名画のような印象を受けたのだが、今夜もその印象は変わらなかった。大変優れた演奏だとは思うが・・・
ホールは最高潮の興奮に包まれ、美しいアンコールも終わってオケが捌けたあとも延々と一般参賀が続き、大喝采と歓声はいつまでも止まなかった。
※当日の演奏会を配信中 下にリンクあり
【当日の演奏会ネット配信中!】
前半(白鳥を焼く男+アンコール)
後半(アルプス交響曲)
A.ギルバート指揮 東京都交響楽団:アルプス交響曲他/2023.7.19 東京文化会館
ヴィオラスペース2018(Vla:タメスティ)/2018.6.1 石橋メモリアルホール
ヴィオラスペース2017(Vla:タメスティ)/2017.5.30 石橋メモリアルホール
ティーレマン指揮ドレスデン国立歌劇場管弦楽団/2012.10.22 NHKホール
(順次更新予定)ウィーン&ベルリン音楽の旅(2023)
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1.ヒンデミット/白鳥を焼く男
(アンコール)
♪ ヒンデミット/無伴奏ヴィオラ・ソナタ Op.25-1 ~第4楽章
Vla:アントワン・タメスティ
2.R.シュトラウス/アルプス交響曲 Op.64
(アンコール)
♪ R.シュトラウス/歌劇「カプリッチョ」 Op. 85 ~間奏曲「月光の音楽」
ウィーン滞在中にムジークフェライン・ザール(正しくはムジーク・フェアアインス・ザール"Musikvereinssaal")で、ティーレマン指揮ドレスデン・シュターツカペレによるアルプス交響曲をやる演奏会があると知った。ティーレマンは以前聴いたとき自分の好みには合わないと感じ、その後は聴いていないのだが、とにかく人気は高いし、アルプス交響曲がドレスデン・シュターツカペレによって初演されたと知り、これは聴かないと後悔すると思いチケットを購入した。
演奏会を通じて魅了されたのはオーケストラと会場の響き。ムジークフェラインの響きは豊かで柔らかく、僕が座った最上階のGalerie席にも無理なく音が届き、音に包み込まれる。オーケストラの音色は一種独特の古めかしさがあり、楽器同士が優しくブレンドされて極上の響きを作り出す。聴衆がちょっと体を動かすと椅子がギシギシ云うのが気になるが、これも含めてこのホールの音なのかな。
そんな響きの中での前半のプログラムは、タメスティをソロに迎えてのヒンデミット。タメスティのヴィオラはねっとりとまとわりつくような濃厚なアプローチ。生き物のように熱い吐息を吐き、うごめき、聴き手の心のなかへ入り込んで来る。オケは弦楽器がチェロとコントラバスのみの小編成で、ティーレマン/ドレスデン・シュターツカペレは、タメスティのヴィオラと一緒に呼吸し、なまめかしくヴィオラに絡み、溶け合う。両者はアイスダンスのペアのように一体となり、濃厚な色香を湛えた踊りを音で見せてくれた。
アンコールでのヒンデミットの無伴奏は「果敢な攻め」といった言葉では形容し尽くせないほどタダならぬ演奏。2つの声部が野太い1本の線となって、何かに取りつかれたように突き進むテンションに圧倒された。
後半はアルペンシンフォニー。ティーレマンは緻密に丁寧に音を一つ一つ積み上げ、大河のような大きくてゆったりとした深い流れを作り出した。音楽には熱い血が通うが、激することなく命をとうとうと繋げて行くイメージ。このためか、夜明けのシーンでは目が眩むような輝かしい音響のスペクタクルを聴かせるというより、必然として来るべきものが来たというイメージ。激しい嵐の場面も、そんなものに打ち負かされることなく逞しく立ち向かう頼もしさを感じた。どんな場面でも音たちは羽目を外して暴れることがなく、確信を持って永遠の営みを続けて行くような大きな流れを感じた。ただ、大自然には人間が太刀打ち出来ないような予期せぬことが起こるし、見たこともないような感動のシーンがあると思うのだが・・・。
この演奏を聴いて、7月に聴いたアラン・ギルバートと都響のアルプス交響曲を思い出した。こちらは本当に全身全霊で立ち向かってくるリアルでエキサイティングな演奏で、感激度でいえばこちらの方が高かったことを白状しよう。ティーレマンは以前聴いたときも落ち着き払った、まるで泰西名画のような印象を受けたのだが、今夜もその印象は変わらなかった。大変優れた演奏だとは思うが・・・
ホールは最高潮の興奮に包まれ、美しいアンコールも終わってオケが捌けたあとも延々と一般参賀が続き、大喝采と歓声はいつまでも止まなかった。
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前半(白鳥を焼く男+アンコール)
後半(アルプス交響曲)
A.ギルバート指揮 東京都交響楽団:アルプス交響曲他/2023.7.19 東京文化会館
ヴィオラスペース2018(Vla:タメスティ)/2018.6.1 石橋メモリアルホール
ヴィオラスペース2017(Vla:タメスティ)/2017.5.30 石橋メモリアルホール
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