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足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

サロン・ド・ドビュッシー

2018年11月20日 | pocknのコンサート感想録2018
11月18日(日)本田聖嗣 Presents サロン・ド・ドビュッシー
東京コンサーツ・ラボ(早稲田)


【曲目】
1.アラベスク第1番
2.シランクス(詩劇 プシュケ第3幕より)
3.牧神の午後への前奏曲(ラヴェル編曲連弾版)
4.6つの古代墓碑銘(朗読つき)
5.前奏曲集第1巻~音と香りは夕暮れの大気に漂う、西風の見たもの、亜麻色の髪の乙女
6・交響的素描「海」(連弾版)
7.ヴァイオリンとピアノのためのソナタ
【アンコール】
♪ 月の光

【演奏】
Pf:本田聖嗣、藤原亜美(3,6,e)/Fl:瀬尾和紀(2,4,e)/Vn:伊藤亜美(7,e)/朗読:清水梢(2,4)

没後100年という大きな節目を迎えた今年は、ドビュッシーの珍しい曲の特集や大規模な作品の公演を楽しみにしていたが、僕がチェックしている中でそのような機会はないままだった。そんなとき、新聞でこのコンサートの記事が目に留まって「これだ!」と思った。朗読を交えた室内楽でオールドビュッシープログラム、新作発表でお世話になっている藤原亜美さんも出演され、会場はチャリ圏内という、願ったり叶ったりのコンサート!という気分で出かけた。

「サロン・ド・ドビュッシー」というタイトルに相応しく、ステージと客席(100席ぐらい)が近く、出演者のトークを交え、休憩時間には「フランスの原料で焼いたクッキー」が配られ、和やかな雰囲気。司会進行役の本田氏の話はスムーズでテンポが良く、笑いどころも押さえつつドビュッシーの魅力を伝え、上手いと思ったらインタ-ネットラジオottava等のプレゼンターも務める話のプロでもあるということで納得。ピアノが入る全ての曲で演奏も担当する活躍ぶり。

コンサートでは、「シランクス」と「6つの古代墓碑銘」で朗読が入ったのは興味深かった。清水さんによる、濃厚でなまめかしい内容を含んだ詩の朗読は、安定感のある瀬尾さんのフルートを誘惑するようにも聞こえ、音楽へのイマジネーションが一気に広がった。最も印象に残ったのはヴァイオリン・ソナタ。伊藤亜美さんのヴァイオリンは焦点がくっきりしていながら自由闊達、情熱と理性がほどよく交差し、本田さんのピアノとテンションの高いアンサンブルを聴かせた。

ピアノ連弾によるオーケストラ作品の演奏では、頻繁に腕が交差する藤原&本田デュオは息もぴったりに、管弦楽の緻密なテクスチュアをピアノで聴かせることに挑戦。プリモの藤原さんのピアノは、透明・明晰な美しい音色で淀みなく大きな弧を描き、ハープや高音域のオケパートが鮮やかに浮かび上がった。ただ、リスト編曲によるベートーヴェンの交響曲のピアノ版などは面白いと思うのと比べ、ドビュッシーの管弦楽曲をピアノで聴いて一番感じたのは、ドビュッシーはオーケストレーションに於いて、個々の楽器の音色の特色、楽器同士のブレンドや対比がいかにオケ固有の唯一無二の魅力を放つかということ。これより、朗読で出演しているソプラノ歌手の清水さんに歌曲を歌ってもらったりした方が、ドビュッシーの魅力がより多角的に浮き彫りになったのでは。

最後にottavaで行っているドビュッシーの人気投票中間発表があり、「牧神」が3位にされ、2位はアラベスクと聞くと、1位は… 想像通り「月の光」。この結果を当のドビュッシーは喜ぶだろうか。「アラベスク」や「月の光」といった聴きやすくて「ロマンチック」なドビュッシーのイメージから脱却させるような演奏会に沢山出会えると思っていたアニバーサリーイヤーはもうすぐ終わってしまう。

♪ブログ管理人の作曲♪
金子みすゞ作詞「さびしいとき」
金子みすゞ作詞「鯨法会」
以上2曲 MS:小泉詠子/Pf:田中梢(YouTube)
「森の詩」~ヴォカリーズ、チェロ、ピアノのためのトリオ~
MS:小泉詠子/Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美(YouTube)

拡散希望記事!やめよう!エスカレーターの片側空け

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