10月9日(月)ごほうびクラシック 葵トリオ
[Pf:秋元孝介/Vn:小川響子/Vc:伊東裕]
~ごほうびクラシック 第7回~
第一生命ホール
【曲目】
♪ エルガー/愛の挨拶(ピアノ三重奏版)
♪ マスネ/タイスの瞑想曲
♪ サン=サーンス/白鳥
♪ ショパン/華麗なる円舞曲 Op.34-1
♪ ラフマニノフ/「悲しみの三重奏曲」第1番ト短調
♪ メンデルスゾーン/ピアノ三重奏曲第1番ニ短調 Op.49
【アンコール】
♪ ドビュッシー/ピアノ三重奏曲ト長調~第2楽章
休日の午後に第一生命ホールで行われるコンサートシリーズ「ごほうびクラシック」で葵トリオを聴いた。ソロの演奏があったり、途中のMCだけでなく終演後にアフタートークが設けられたりして、和やかな雰囲気のなかでメンバーの横顔に接する機会ともなった。
オープニングはトリオの演奏で「愛の挨拶」。最初にメロディーを受け持った伊東さんのなんとも柔らかで温かなチェロの調べ、そこから3人によって紡ぎ出された演奏は夢見心地の幸福感で満たされた。この調和は葵トリオの大きな持ち味のひとつだ。メンバーそれぞれによって演奏された有名なショートピースでは、心をくすぐる歌心や音楽への熱いパッションを垣間見ることが出来た。
3人によるラフマニノフとメンデルスゾーンのトリオでは、常設のトリオならではの緊密で極上のアンサンブルが繰り広げられた。3つのパートがお互いの引力で引き寄せ合い、ぴったりとくっつき合っているイメージ。その間に潤滑油とか空気の層が入っているように動きに余裕があって滑らかで、優美なダンスを見ているよう。
単一楽章のラフマニノフのトリオは、最弱音の開始から熱く緊迫した展開を経てまた最弱音に収まるまで、安定した大きな流れのドラマが展開し、メンデルスゾーンのトリオでも、熱を帯び、香り高く生き生きとした演奏が全体を貫き、高い完成度で溢れる抒情性を余すところなく表現した。どちらの曲も作品の持ち味が十分に生かされたお手本のような演奏で何の不満もないのだが、それぞれが個性をむき出しにして火花を散らすようなワイルドさも加わると、演奏が更にエキサイティングになるのではとも思った。
終演後、3人は丸テーブルを囲んだアフタートークで、事前に聴衆から寄せられた質問に答える形で話に花が咲いた。「3人の方向性が異なることはないか」という質問に、最初は曲に対するそれぞれのイメージは当然異なるが、それをぶつけ合うことで新たな視点が生まれ、それを3人で演奏に反映させて行くと答えたことや、ひとつの演奏会のために80時間ぐらい準備を重ねるということ、演奏会までまだ月日があるときに一度合わせを行い、そこから温めて行くという話など、常設トリオならではの方法で切磋琢磨することで、このような演奏が生まれることを知ることが出来た。また、服装の話になったとき、この世代で「チョッキ」という言葉がまだ生きていることを知り、そこにも親近感が湧いた。
葵トリオ ピアノ三重奏の世界 2022.6.8 ブルーローズ
紀尾井レジデント・シリーズ I 葵トリオ 2022.3.16 紀尾井ホール
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キラめく俊英たちⅢ 葵トリオ 2021.6.19 ブルーローズ
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オープニングはトリオの演奏で「愛の挨拶」。最初にメロディーを受け持った伊東さんのなんとも柔らかで温かなチェロの調べ、そこから3人によって紡ぎ出された演奏は夢見心地の幸福感で満たされた。この調和は葵トリオの大きな持ち味のひとつだ。メンバーそれぞれによって演奏された有名なショートピースでは、心をくすぐる歌心や音楽への熱いパッションを垣間見ることが出来た。
3人によるラフマニノフとメンデルスゾーンのトリオでは、常設のトリオならではの緊密で極上のアンサンブルが繰り広げられた。3つのパートがお互いの引力で引き寄せ合い、ぴったりとくっつき合っているイメージ。その間に潤滑油とか空気の層が入っているように動きに余裕があって滑らかで、優美なダンスを見ているよう。
単一楽章のラフマニノフのトリオは、最弱音の開始から熱く緊迫した展開を経てまた最弱音に収まるまで、安定した大きな流れのドラマが展開し、メンデルスゾーンのトリオでも、熱を帯び、香り高く生き生きとした演奏が全体を貫き、高い完成度で溢れる抒情性を余すところなく表現した。どちらの曲も作品の持ち味が十分に生かされたお手本のような演奏で何の不満もないのだが、それぞれが個性をむき出しにして火花を散らすようなワイルドさも加わると、演奏が更にエキサイティングになるのではとも思った。
終演後、3人は丸テーブルを囲んだアフタートークで、事前に聴衆から寄せられた質問に答える形で話に花が咲いた。「3人の方向性が異なることはないか」という質問に、最初は曲に対するそれぞれのイメージは当然異なるが、それをぶつけ合うことで新たな視点が生まれ、それを3人で演奏に反映させて行くと答えたことや、ひとつの演奏会のために80時間ぐらい準備を重ねるということ、演奏会までまだ月日があるときに一度合わせを行い、そこから温めて行くという話など、常設トリオならではの方法で切磋琢磨することで、このような演奏が生まれることを知ることが出来た。また、服装の話になったとき、この世代で「チョッキ」という言葉がまだ生きていることを知り、そこにも親近感が湧いた。
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