9月19日(水)アンドレ・プレヴィン指揮 NHK交響楽団
《9月Bプロ》 サントリーホール
【曲目】
1.武満 徹/セレモニアル -An Autumn Ode(1992)
笙:宮田まゆみみ
2.コープランド/バレエ組曲「アパラチアの春」

3.ラフマニノフ/交響曲第2番ホ短調Op.27


プレヴィン指揮のN響定期3つ目となるBプログラムはサントリーホールのリニューアルオープンを飾るにふさわしい極めつけの名演となった。
武満のセレモニアルの静謐な笙の調べに続いて登場するオーケストラのなんと優美な佇まい。ほのかで雅やかな光に包まれ、静かな舞いを舞っているよう。武満の音楽に欠かせない磨きぬかれた弱音が、N響の名手とプレヴィンの指揮で最高の効果を現す。宮田まゆみはこの音楽では最早欠かせない存在。
続くコープランドは、武満の「ファミリー・トゥリー」を思い起こさせる音で始まった。最初のセカンドヴァイオリンとヴィオラの深―いユニゾンの音からいきなり心を揺する。管楽器のプレイヤーの細やかなニュアンスと歌に、プレヴィンならではの柔らかな弦が加わり、本来もしかするともっと世俗的なはずのこの音楽に得も言われぬ格調の高さを与える。映画に例えるなら、カラーよりも多彩で深い色合いを出した美しいモノクロの画面を見ているような、憧れとノスタルジックに満ちた演奏に酔った。
こうなるとラフマニノフへの期待は益々高まり、その期待の更に更に先を行くような名演奏が実現した。
もともと響きのきれいなN響サウンドが、更に魔法をかけられたような音に仕上げられる。磨きぬかれた黄金のような、光と艶と柔らかさと高貴さに溢れた響きの中に我を忘れる。
第1楽章は大空を舞うオオハクチョウの柔らかさと力強さを兼ね備えたしなやかな翼の羽ばたきのような、雄大で優雅な歌の織り成すタペストリー。こうした息の長い緩やかな歌は、その陰で細かく小さな音の動きをするパートがピタリと揃って的確にその役目を演じることでその本当の持ち味を発揮できることを知る。
2楽章のスケルツォの軽快な場面とゆったりした場面との鮮やかな対比。軽快なスケルツォであってもやはりプレヴィン・マジックの優雅さを失わない。
そして第3楽章・・・・ もう冒頭のヴァイオリンのメロディーから打ちのめされる。安っぽく甘っちょろいお涙ではない、本物の甘美さというのはこういうものだよ、と言っているがごとくの、極上の甘美の世界に浸る。クライマックスへの盛り上がりは、力づくで煽り立てるようなことを全くしないのに、徐々に徐々に高みへと連れて行かれ、天上へと導かれ、目はうるうる、心臓はバクバク… もう言葉はない。横川さんのクラ、ブラボー!
全曲の集大成であるフィナーレの充実し切った輝かしい演奏には身も心も陶酔し、そして果てた。
あのモーツァルトに続きやってくれたプレヴィン/N響の超名演。聴いていていま一つ乗り切れなかった先週のCプロでは、自分の感性の欠落のせいで大切なものを聴き逃してしまったような気さえしてきた。
こんな短い期間に立て続けに超名演を聴かせてくれたプレヴィンとN響に感謝あるのみ。ウィーンのムジークフェラインでもベルリンのフィルハーモニーでもここまでの名演は滅多にない!「これが最後の客演」なんて声を耳にするが、プレヴィンには何としてもまたN響を振りに来てもらいたい。心を込めて「ヴィヴァ、プレヴィン!!」
《9月Bプロ》 サントリーホール
【曲目】
1.武満 徹/セレモニアル -An Autumn Ode(1992)

笙:宮田まゆみみ
2.コープランド/バレエ組曲「アパラチアの春」


3.ラフマニノフ/交響曲第2番ホ短調Op.27



プレヴィン指揮のN響定期3つ目となるBプログラムはサントリーホールのリニューアルオープンを飾るにふさわしい極めつけの名演となった。
武満のセレモニアルの静謐な笙の調べに続いて登場するオーケストラのなんと優美な佇まい。ほのかで雅やかな光に包まれ、静かな舞いを舞っているよう。武満の音楽に欠かせない磨きぬかれた弱音が、N響の名手とプレヴィンの指揮で最高の効果を現す。宮田まゆみはこの音楽では最早欠かせない存在。
続くコープランドは、武満の「ファミリー・トゥリー」を思い起こさせる音で始まった。最初のセカンドヴァイオリンとヴィオラの深―いユニゾンの音からいきなり心を揺する。管楽器のプレイヤーの細やかなニュアンスと歌に、プレヴィンならではの柔らかな弦が加わり、本来もしかするともっと世俗的なはずのこの音楽に得も言われぬ格調の高さを与える。映画に例えるなら、カラーよりも多彩で深い色合いを出した美しいモノクロの画面を見ているような、憧れとノスタルジックに満ちた演奏に酔った。
こうなるとラフマニノフへの期待は益々高まり、その期待の更に更に先を行くような名演奏が実現した。
もともと響きのきれいなN響サウンドが、更に魔法をかけられたような音に仕上げられる。磨きぬかれた黄金のような、光と艶と柔らかさと高貴さに溢れた響きの中に我を忘れる。
第1楽章は大空を舞うオオハクチョウの柔らかさと力強さを兼ね備えたしなやかな翼の羽ばたきのような、雄大で優雅な歌の織り成すタペストリー。こうした息の長い緩やかな歌は、その陰で細かく小さな音の動きをするパートがピタリと揃って的確にその役目を演じることでその本当の持ち味を発揮できることを知る。
2楽章のスケルツォの軽快な場面とゆったりした場面との鮮やかな対比。軽快なスケルツォであってもやはりプレヴィン・マジックの優雅さを失わない。
そして第3楽章・・・・ もう冒頭のヴァイオリンのメロディーから打ちのめされる。安っぽく甘っちょろいお涙ではない、本物の甘美さというのはこういうものだよ、と言っているがごとくの、極上の甘美の世界に浸る。クライマックスへの盛り上がりは、力づくで煽り立てるようなことを全くしないのに、徐々に徐々に高みへと連れて行かれ、天上へと導かれ、目はうるうる、心臓はバクバク… もう言葉はない。横川さんのクラ、ブラボー!
全曲の集大成であるフィナーレの充実し切った輝かしい演奏には身も心も陶酔し、そして果てた。
あのモーツァルトに続きやってくれたプレヴィン/N響の超名演。聴いていていま一つ乗り切れなかった先週のCプロでは、自分の感性の欠落のせいで大切なものを聴き逃してしまったような気さえしてきた。
こんな短い期間に立て続けに超名演を聴かせてくれたプレヴィンとN響に感謝あるのみ。ウィーンのムジークフェラインでもベルリンのフィルハーモニーでもここまでの名演は滅多にない!「これが最後の客演」なんて声を耳にするが、プレヴィンには何としてもまたN響を振りに来てもらいたい。心を込めて「ヴィヴァ、プレヴィン!!」
やはりプレヴィンは、ラフマニノフの2番と一体化しちゃってますね。何度涙を流したことでしょうか。
N響は、プレヴィンを名誉指揮者にして、日本永住を懇願してもらいたいもんですね。ホンマに。
モーツァルトの名演で、しばらく前から壊れて見れなくなってしまったBSチューナーを廃棄して、DVDレコーダーを買ってしまいましたよ。もちろん録画&DATへの録音のために。もちろんもちろん昨夜の演奏会も絶対に録りますよー!