12月10日(月)向山佳絵子と仲間たち ~2×2=2+2~
JTアートホール室内楽シリーズ
JTアートホール
【曲目】
1. シュポア/複弦楽四重奏曲 第1番 ニ短調 Op.65
2.グリエール/ヴァイオリンとチェロのための八つの二重奏曲Op.39~第4番カンツォネッタ、第7番スケルツォ(漆原、藤森)
3. ヒンデミット/ヴィオラとチェロの二重奏曲(豊嶋、向山)
4.バルトーク/44の二重奏曲~第35番「ルテニアのコロメイカ舞曲」、第21番「新年の歌」、第43番「ピッチカート」、第36番「バグパイプ」(川田、矢部)
5.ヘンデル/J.ハルボルセン編曲/パッサカリア(篠崎、川本)
6. エネスコ/弦楽八重奏曲 ハ長調 Op.7
【演奏】
Vn:漆原啓子、川田知子、篠崎史紀、矢部達哉/Vla:川本嘉子、豊嶋泰嗣/Vc:藤森亮一、向山佳絵子
向山さんがプランナーを担当した今月のJTアートシリーズの室内楽シリーズには、ネームバリューも実力も兼ね備え、今一番油の乗った弦の演奏家8人が集まった。しかも「今はなきカザルスホール」の定期演奏会に通った現在休止中の「ハレー・ストリング・クァルテット」のメンバーがフル出場とあっては、取りにくいチケットを何としても取らねば!と頑張って、聴いてきた。
第1曲目でステージにまず姿を現したのがハレーの4人のメンバー!ちょっと感動… ハレーのメンバーがこの複弦楽四重奏曲の第2グループを担当して益々感動。「2つのクァルテットの合奏」というコンセプトで書かれたシュポアの音楽、8人による音の充実度が素晴らしかった。自然な息遣い、柔軟で落着いたアンサンブル、豊かなハーモニー、音がよく練られていてつややか。左右のカルテットによる掛け合いや呼応などの場面では、それぞれの「カルテット」の個性が伝わってきたのもおもしろかった。ちょっとメンデルスゾーンを思わせるような音楽の生気溢れる充実した音楽に酔った。
続いては今夜の8人のメンバーが2人ずつ登場して、4人の作曲家による二重奏曲が演奏された。このプログラミングも素晴らしいが、演奏がまたよかった。くっきりと音が立つ漆原さんのヴァイオリンと果敢な藤森さんによる抒情味たっぷりのグリエールの作品、豊嶋さんと向山さんの切れ味と深みのあるヒンデミット、バルトークの多彩な表情を聴かせてくれた川田さんと矢部さん、そしてマロさんと川本さんのヘンデルは、パッサカリアの主題のたっぷりとした息の長い川本さんの歌で始まり、モダンな編曲による後半ではマロさんの粘りのあるヴァイオリンが熱くスリリングに盛り上げた。
4つの二重奏の作品を続けて聴いて、旋律楽器2つによる音楽がこれほど充実した響きで重みのあるものだということを思い知ったのは演奏によるところも大だ。
そして締めくくりのエネスコ。これはハレーが2000年、カザルスホールでの最後のステージでやった曲だ。もうあれから7年以上たつのか… 調べてみたら他の4人ともその時と同じメンバー。
第1楽章のエレガントで潤いのある響きから魅せられた。第2楽章は熱気みなぎるポリフォニーの世界。音がビンビン鳴り、倍音が共鳴し、旋律の太い線がもっと大きな編成の弦楽合奏を思わせるすごい臨場感を伝える。第3楽章の深い響きの海に続き、フィナーレではアンサンブルがカルテットのようにがっちりと組み、緊張と弛緩を繰り返しながら徐々に、確実に熱く盛り上がって行き、感動的な終幕を迎えた。
「今のヴァイオリン、美しい!」とか「このヴィオラ熱い!」とか「ここのチェロの歌は何て心憎い!」とか、8人それぞれの個性があちこちで光り、しかもアンサンブルとしても充実した響きを聴かせてくれ、ソロとアンサンブルの両面から迫って来てどんどんと演奏にのめり込んで行くのを感じた。これはすごい!
今夜とりわけ嬉しかったのはやっぱりハレーのメンバーの演奏が聴けたこと。「因縁の」エネスコの再演に立ち合い、「ハレー再結成」を期待してしまうのは早計だろうか…
JTアートホール
【曲目】
1. シュポア/複弦楽四重奏曲 第1番 ニ短調 Op.65
2.グリエール/ヴァイオリンとチェロのための八つの二重奏曲Op.39~第4番カンツォネッタ、第7番スケルツォ(漆原、藤森)
3. ヒンデミット/ヴィオラとチェロの二重奏曲(豊嶋、向山)
4.バルトーク/44の二重奏曲~第35番「ルテニアのコロメイカ舞曲」、第21番「新年の歌」、第43番「ピッチカート」、第36番「バグパイプ」(川田、矢部)
5.ヘンデル/J.ハルボルセン編曲/パッサカリア(篠崎、川本)
6. エネスコ/弦楽八重奏曲 ハ長調 Op.7
【演奏】
Vn:漆原啓子、川田知子、篠崎史紀、矢部達哉/Vla:川本嘉子、豊嶋泰嗣/Vc:藤森亮一、向山佳絵子
向山さんがプランナーを担当した今月のJTアートシリーズの室内楽シリーズには、ネームバリューも実力も兼ね備え、今一番油の乗った弦の演奏家8人が集まった。しかも「今はなきカザルスホール」の定期演奏会に通った現在休止中の「ハレー・ストリング・クァルテット」のメンバーがフル出場とあっては、取りにくいチケットを何としても取らねば!と頑張って、聴いてきた。
第1曲目でステージにまず姿を現したのがハレーの4人のメンバー!ちょっと感動… ハレーのメンバーがこの複弦楽四重奏曲の第2グループを担当して益々感動。「2つのクァルテットの合奏」というコンセプトで書かれたシュポアの音楽、8人による音の充実度が素晴らしかった。自然な息遣い、柔軟で落着いたアンサンブル、豊かなハーモニー、音がよく練られていてつややか。左右のカルテットによる掛け合いや呼応などの場面では、それぞれの「カルテット」の個性が伝わってきたのもおもしろかった。ちょっとメンデルスゾーンを思わせるような音楽の生気溢れる充実した音楽に酔った。
続いては今夜の8人のメンバーが2人ずつ登場して、4人の作曲家による二重奏曲が演奏された。このプログラミングも素晴らしいが、演奏がまたよかった。くっきりと音が立つ漆原さんのヴァイオリンと果敢な藤森さんによる抒情味たっぷりのグリエールの作品、豊嶋さんと向山さんの切れ味と深みのあるヒンデミット、バルトークの多彩な表情を聴かせてくれた川田さんと矢部さん、そしてマロさんと川本さんのヘンデルは、パッサカリアの主題のたっぷりとした息の長い川本さんの歌で始まり、モダンな編曲による後半ではマロさんの粘りのあるヴァイオリンが熱くスリリングに盛り上げた。
4つの二重奏の作品を続けて聴いて、旋律楽器2つによる音楽がこれほど充実した響きで重みのあるものだということを思い知ったのは演奏によるところも大だ。
そして締めくくりのエネスコ。これはハレーが2000年、カザルスホールでの最後のステージでやった曲だ。もうあれから7年以上たつのか… 調べてみたら他の4人ともその時と同じメンバー。
第1楽章のエレガントで潤いのある響きから魅せられた。第2楽章は熱気みなぎるポリフォニーの世界。音がビンビン鳴り、倍音が共鳴し、旋律の太い線がもっと大きな編成の弦楽合奏を思わせるすごい臨場感を伝える。第3楽章の深い響きの海に続き、フィナーレではアンサンブルがカルテットのようにがっちりと組み、緊張と弛緩を繰り返しながら徐々に、確実に熱く盛り上がって行き、感動的な終幕を迎えた。
「今のヴァイオリン、美しい!」とか「このヴィオラ熱い!」とか「ここのチェロの歌は何て心憎い!」とか、8人それぞれの個性があちこちで光り、しかもアンサンブルとしても充実した響きを聴かせてくれ、ソロとアンサンブルの両面から迫って来てどんどんと演奏にのめり込んで行くのを感じた。これはすごい!
今夜とりわけ嬉しかったのはやっぱりハレーのメンバーの演奏が聴けたこと。「因縁の」エネスコの再演に立ち合い、「ハレー再結成」を期待してしまうのは早計だろうか…
ハレー再結成!!熱望致します。