9月26日(木)パーヴォ・ヤルヴィ 指揮 NHK交響楽団
《2019年9月Bプロ》 サントリーホール
【曲目】
1.トゥール/ルーツを求めて~シベリウスをたたえて~(1990)
2.ニールセン/フルート協奏曲
【アンコール】
ヴァレーズ/比重21.5
Fl:エマニュエル・パユ
3.シベリウス/交響曲第6番ニ短調 Op.104
4.シベリウス/交響曲第7番ハ長調 Op.105
ヨーロッパから帰国した翌日にコンサートなんて、激しい睡魔との闘いになるに決まっているのでわざわざ入れたりはしないが、定期演奏会では仕方ない。けれど今夜のN響定期は、後頭部がジンジンする寝不足の症状を感じつつも音は一音も落とさずに聴けた、と思う。それほどパーヴォ/N響は目の覚める冴えた演奏を届けてくれた。パユの功績も大。
最初のトゥールの曲は鮮やかな音色に彩られ、正に冴えた音楽。どんな風に展開していくのかワクワクしていたら、消え入るようなティンパニの連打で早々と曲じまいの様相。これで終わり?と思っていたら本当に終わってしまった。大規模な音楽の導入部だけを聴かされた気分。でも1曲眠くならずに聴けたことで次も大丈夫かなと思えた。
次はパユが登場。これは素晴らし過ぎた。フルートという楽器がオケと競演してこれほどまでに存在感を聴かせられるのはパユを置いてはいないのではないだろうか。逞しく強靭な音と表現から、たった一本の絹の糸がキラキラと光るような繊細な音まで、オケをも凌ぐほどのダイナミックレンジを縦横無尽に雄弁に駆け巡る。聴き手は心を掴まれ、まるごと引き込まれてしまう。
楽器を操るというより、パユがフルートそのもの、或いはフルートがパユそのものと云えるほど楽器と肉体と精神が一体化している。ニールセンの音楽は目まぐるしく表情を変え、テンションもコロコロ換わってスリリング。パユの持ち味が120%発揮される逸品。オケもクリアで機敏で冴えに冴えた演奏。パユとデュオを奏でる管楽器プレイヤーの腕前もお見事だった。アンコールのヴァレーズもフルート一本でこんなダイナミックな表現ができるなんて、ただただ驚嘆。
後半はシベリウスのシンフォニーが2曲という珍しいプログラミング。パーヴォ/N響の冴えは益々純度を極め、浄化へと向かった。6番の冒頭の弦楽合奏は、氷河で作られた湖がたたえるどこまでも透明な水のよう。それが動き出すと光と波が織り成す息づくシーンとなる。波間から勢いよく魚が跳ね上がり、波の飛沫と共に陽光にキラキラ輝いているよう。そうした透明で眩い情景は曲が進むに連れて高みへと昇って行き神々しい光を放ち、大地を照らした。
6番の最後の音が静かに消えるや、アタッカのように7番が始まった。2曲が続けて演奏されることは事前に知らされていたが、コンセプトについてはプログラムノートにも書かれていない。パーヴォのコメントを是非載せて欲しかったが、パーヴォは7番全体を大きな最終楽章として、2つの作品をひとつのシンフォニーとして表現していると感じた。今夜の演奏からはこの7番が、大きなシンフォニーの終楽章に相応しい壮大さ、風格、包容力を具えていると感じた。終わりが近づくにつれて「もっといつまでも続いてほしい」という名残惜しさ、惜別の念を覚える懐の深い響きがホールを静かに満たして、大シンフォニーの幕が閉じられた。
♪ブログ管理人の作曲♪
金子みすゞ作詞「積もった雪」
MS:小泉詠子/Pf:田中梢
金子みすゞ作詞「私と小鳥と鈴と」
S:薗田真木子/Pf:梅田朋子
「子守歌」~チェロとピアノのための~
Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美
合唱曲「野ばら」
中村雅夫指揮 ベーレンコール
金子みすゞ作詞「さびしいとき」
金子みすゞ作詞「鯨法会」
以上2曲 MS:小泉詠子/Pf:田中梢
「森の詩」~ヴォカリーズ、チェロ、ピアノのためのトリオ~
MS:小泉詠子/Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美
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《2019年9月Bプロ》 サントリーホール
【曲目】
1.トゥール/ルーツを求めて~シベリウスをたたえて~(1990)
2.ニールセン/フルート協奏曲
【アンコール】
ヴァレーズ/比重21.5
Fl:エマニュエル・パユ
3.シベリウス/交響曲第6番ニ短調 Op.104
4.シベリウス/交響曲第7番ハ長調 Op.105
ヨーロッパから帰国した翌日にコンサートなんて、激しい睡魔との闘いになるに決まっているのでわざわざ入れたりはしないが、定期演奏会では仕方ない。けれど今夜のN響定期は、後頭部がジンジンする寝不足の症状を感じつつも音は一音も落とさずに聴けた、と思う。それほどパーヴォ/N響は目の覚める冴えた演奏を届けてくれた。パユの功績も大。
最初のトゥールの曲は鮮やかな音色に彩られ、正に冴えた音楽。どんな風に展開していくのかワクワクしていたら、消え入るようなティンパニの連打で早々と曲じまいの様相。これで終わり?と思っていたら本当に終わってしまった。大規模な音楽の導入部だけを聴かされた気分。でも1曲眠くならずに聴けたことで次も大丈夫かなと思えた。
次はパユが登場。これは素晴らし過ぎた。フルートという楽器がオケと競演してこれほどまでに存在感を聴かせられるのはパユを置いてはいないのではないだろうか。逞しく強靭な音と表現から、たった一本の絹の糸がキラキラと光るような繊細な音まで、オケをも凌ぐほどのダイナミックレンジを縦横無尽に雄弁に駆け巡る。聴き手は心を掴まれ、まるごと引き込まれてしまう。
楽器を操るというより、パユがフルートそのもの、或いはフルートがパユそのものと云えるほど楽器と肉体と精神が一体化している。ニールセンの音楽は目まぐるしく表情を変え、テンションもコロコロ換わってスリリング。パユの持ち味が120%発揮される逸品。オケもクリアで機敏で冴えに冴えた演奏。パユとデュオを奏でる管楽器プレイヤーの腕前もお見事だった。アンコールのヴァレーズもフルート一本でこんなダイナミックな表現ができるなんて、ただただ驚嘆。
後半はシベリウスのシンフォニーが2曲という珍しいプログラミング。パーヴォ/N響の冴えは益々純度を極め、浄化へと向かった。6番の冒頭の弦楽合奏は、氷河で作られた湖がたたえるどこまでも透明な水のよう。それが動き出すと光と波が織り成す息づくシーンとなる。波間から勢いよく魚が跳ね上がり、波の飛沫と共に陽光にキラキラ輝いているよう。そうした透明で眩い情景は曲が進むに連れて高みへと昇って行き神々しい光を放ち、大地を照らした。
6番の最後の音が静かに消えるや、アタッカのように7番が始まった。2曲が続けて演奏されることは事前に知らされていたが、コンセプトについてはプログラムノートにも書かれていない。パーヴォのコメントを是非載せて欲しかったが、パーヴォは7番全体を大きな最終楽章として、2つの作品をひとつのシンフォニーとして表現していると感じた。今夜の演奏からはこの7番が、大きなシンフォニーの終楽章に相応しい壮大さ、風格、包容力を具えていると感じた。終わりが近づくにつれて「もっといつまでも続いてほしい」という名残惜しさ、惜別の念を覚える懐の深い響きがホールを静かに満たして、大シンフォニーの幕が閉じられた。
♪ブログ管理人の作曲♪
金子みすゞ作詞「積もった雪」
MS:小泉詠子/Pf:田中梢
金子みすゞ作詞「私と小鳥と鈴と」
S:薗田真木子/Pf:梅田朋子
「子守歌」~チェロとピアノのための~
Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美
合唱曲「野ばら」
中村雅夫指揮 ベーレンコール
金子みすゞ作詞「さびしいとき」
金子みすゞ作詞「鯨法会」
以上2曲 MS:小泉詠子/Pf:田中梢
「森の詩」~ヴォカリーズ、チェロ、ピアノのためのトリオ~
MS:小泉詠子/Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美
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