聖ペトリ教会の塔から見た聖マリア教会
9月11日(水)ORGELPUNKT 12(30分オルガンコンサート)
リューベック聖マリア教会(St.Marien zu Lübeck)
【曲目】
1. シーファーデッカー/わが魂は主を讃え祀る
2. バッハ/トッカータとフーガ ニ短調 BWV565
3. ウンガーによる即興演奏
4.カルク=エラート/全ての民は神に感謝せん
Org:ヨハネス・ウンガー
演奏に使われた大オルガン(Kemper-Orgel)
オルガン好きにとってドイツのリューベックと云えば、北ドイツオルガン楽派を代表するブクステフーデが浮かぶ。そしてこのブクステフーデのオルガンを聴こうと、遠路徒歩でリューベックまで出向いたバッハの話も有名だ。そのブクステフーデとバッハが出会ったであろう場所が、ブクステフーデがオルガニストを務めていたのがこの聖マリア教会。
ここで毎週水曜日の正午に無料のオルガンミニコンサートが行われることを知り、リューベックの滞在日と重なったので聴きに行った。当時の教会もオルガンも第2次大戦の空襲で焼け落ちてしまったが、修復された教会の再建されたオルガンを聴けるのは感慨深い。
演奏の時間が近づくと見学での入場はストップ。着席して待っていたら、事務局の女性の簡単な挨拶に続いて演奏が始まった。この教会には小型オルガンを含めて3台のオルガンがあるが、演奏で使われたのは1968年製造のケンパーオルガンで、北ドイツ最大の大きさを誇る。オルガンを弾くのは、2009年からここの専属オルガニストを務めているヨハネス・ウンガー氏(演奏者もプログラムもわからぬまま聴き始めたが)。
ブクステフーデ風のコラールプレリュード(実はシーファーデッカーというブクステフーデより後世代のドイツの作曲家の作品だった。シーファーデッカーはこの聖マリア教会でブクステフーデにオルガンを学んだという)が始まると、深くて暖かな響きが聖堂の中を満たし、音色が壁に柔らかく吸い込まれていくよう。とても癒される感覚。
次に超有名なトッカータとフーガが始まった。最初のトリルはゆっくり奏でられ、即興的な装飾も加わって印象的。こちらも全体的に落ち着いた演奏。音を慈しむように紡いで行く。終盤の盛り上がる場面は深いところから音が涌き出てくるようだった。
バッハの最後の響きが消えかけた頃、その響きが次の曲へと繋がった。神秘的で神々しい現代的な音楽。その響きに身を任せて聴き入った。終演後にオルガニストに曲名を聞きに行ったら、自身の即興演奏だったとのこと。単なるインプロビゼーションというより、全体を俯瞰して提示する統一感があった。
最後は讃歌風の華やかな音楽。どっしりとした安定感のある演奏だった。バッハが聴き、弾いたであろうオルガンを聴くことは最早できないが、修復された教会に備えられたオルガンは当時の響きを引き継ぎ、オルガニストもこの教会とオルガンが歩んだ歴史を大切にして演奏を続けていることを感じるミニコンサートだった。
終演後、空襲で落ちて破壊されたままの鐘を見た。深くえぐられた床もそのままで、痛々しい姿が蝋燭に照らし出されていた。この鐘は、音楽史に深く刻まれた記念すべき教会とオルガンのその後の運命を物語る証人でもある。
♪ブログ管理人の作曲♪
金子みすゞ作詞「積もった雪」
MS:小泉詠子/Pf:田中梢
金子みすゞ作詞「私と小鳥と鈴と」
S:薗田真木子/Pf:梅田朋子
「子守歌」~チェロとピアノのための~
Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美
合唱曲「野ばら」
中村雅夫指揮 ベーレンコール
金子みすゞ作詞「さびしいとき」
金子みすゞ作詞「鯨法会」
以上2曲 MS:小泉詠子/Pf:田中梢
「森の詩」~ヴォカリーズ、チェロ、ピアノのためのトリオ~
MS:小泉詠子/Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美
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