今回は、プレヤーレン(※)の思想についてはいったんお休みし、今までとはちょっと異なったテーマについて紹介することにしよう。
※「プレヤーレン」とは、この宇宙の裏側にある別の宇宙のエラ星からやってきた地球外生物であり、プレアデス星人のことではない。外見は人間とそっくりで、精神性もテクノロジーも高度に発達している。コンタクティ、ビリー・マイヤーは毎週のように交信している。
意識は本当に進化するのか?
これまで紹介してきたプレヤーレンのコンタクト記録では、「意識の進化」が大きなテーマになっている。
これはプレヤーレンだけではなく、マヤカレンダーの有力な解釈のひとつであるスウェーデンの生物学者、カール・ヨハン・コルマン博士が提唱した「コルマンインデックス」もそうだ。
この思想は大変に興味深いものの、私は意識が本当に進化するようなことがあるのかどうか、疑念を持っていたのも事実だ。もしかしたら、同様の疑問を持った方もいたのではないだろうか?
私がこのような疑念をもった理由は、意識の進化を証明する事実がほとんど提示されていなかったからだ。ましてや、人間の意識が集合的に、それこそ一斉に進化するなどということがあり得るのかどうか、確信が持てなかったからだ。
それが最近になって、人間の意識が集合的に一斉に変化する可能性があることを示す事実を発見した。
脳内物質DMTをテーマにした大ヒット本
その根拠となる事実を提示したのは、精神科医でニューメキシコ医科大学精神医学部教授のリック・ストラスマン博士が著した『DMT:The Spirit Molecule(精神の分子)』(日本語未訳)という本である。数年前まで、アメリカとヨーロッパで話題になっている。
この本は、決して新しい本ではない。初版は2001年だ。だが、じわりじわりと版を重ね、特に2012年以降、改めて注目されて大ヒットした。
その内容は、ストラスマン博士が行った「DMT」という脳内物質の人体実験に関する記録と報告である。
ちなみに「DMT」とは、「ジメチルトリプタミン」という自然界に存在する幻覚剤のこと。熱帯地域や温帯地域の植物、ほ乳類、ある種のヒキガエルなどにあり、自然界ではどこにでも存在する物質だ。
また、化学合成することも可能だ。実は有名な幻覚剤のアヤワスカに含まれているのが、この物質である。さらに、人間にも脳内物質として存在しており、赤血球にも存在が確認されている。
DMTによる神秘体験に共通する傾向
ストラスマン教授によれば、1995年までに合計60人以上の被験者に対し、400回以上にわたって「DMT」を静脈注射で投与したところ、ほとんどの被験者が神秘体験をした。
なお、実験は米国食品医薬品局の許可を得て行われた。
その神秘体験は、おおよそ次のようなものであった。
まず、「DMT」が投与されるとすぐに、万華鏡を覗いたときに現れるようなサイケデリックな形象が、多数目の前に現れる。
この形象に魅入っていると、急に浮遊感を経験し、体外離脱したような状態になる。すると、目の前にトンネルのようなものがあるのを発見する。その中に吸い込まれて行き、反対側の世界に出る。
すると、そこには見たこともないさまざまな生き物がいるのが分かる。ある者は天使のように見え、またある者は人間と全く変わらない外見を持つ存在だ。中には、機械のようなものを操作している存在もいる。
それらの存在とは話すことができる。彼らに「何をやっているのか?」と聞くと、「ここで君たちが体験しているあらゆる“現実”が作られる。我々の存在に気づいてくれてうれしい」と言われる。
この場所は“現実を生成する場所”なので、時間の感覚はまったくない。無限の未来と無限の過去が同時に生成されているのを感じるという。
これが比較的一般的な体験だが、それ以外に被験者の半数近くが「地球外生物に遭遇した」と主張している。また、死者や天使、さらには神のような存在が語りかけてきたと証言する被験者も多い。
これだけ聞くと、これはLSDのような幻覚剤のもたらす効果と同じなので、この実験は「DMT」という新しい幻覚剤の効果を確認する実験に過ぎないようにも思われる。
しかし、ここで重要なことは、これが合成された薬物ではなく、人間の脳内に自然に存在している脳内物質であるという点だ。ストラスマン教授によると、「DMT」は神経伝達物質の一種として生産されるとしている。
松果体から産出される神秘の物質
このような物質が脳の内部に神経伝達物質としてあらかじめ存在しているということは、「DMT」が脳内で何らかの積極的な役割を果たしているからではないかと考えられている。
ストラスマン教授は、おそらく「DMT」の分泌は、宗教的な神秘体験や臨死体験と関連しているのではないかとしている。
特に「DMT」が産出されている場所が「松果体」であることは非常に興味深い。
周知のように、松果体とは、脳の中心部にある内分泌器官である。体内時計を調整する器官として知られているが、それ以外にどのような機能があるのかよく分かっていない。
松果体を、脳内における盲腸のような不要な器官ではないかとする研究者もいる。
その一方で、昔から松果体には精神に対する重要な機能があると考えられていた。
近代哲学の父であるデカルトは、この世界には物質と精神という根本的に異なる二つの実体があるとする「二元論」を主張していたが、その両者が松果体を通じて相互作用すると考えられていた。つまり、魂と身体が交流する場所である。
現代でも松果体は、ヨーガにおける6番目のチャクラ、または7番目のチャクラと結び付けられ、松果体を通してこれらのチャクラが開くと、テレパシーが使えるようになるとも考えられている。
さらにプレヤーレンは、「松果体には、目には見えない精神の微細粒子を認識する機能がある」としている。
プレヤーレンは、人間の感情、思考、思いなどの精神活動は、すべて微細粒子のエネルギー波であると考える。これには、特定の周波数が存在する。
現代科学はまだこの微細粒子を発見できていないため、人間の精神活動の物理的な側面は理解されていない。最先端科学がやっとこれを計測し始めたのが、現状なのだという。
そして、この微細粒子を外部へと発信し、なおかつ精神的な微細粒子を受信する器官が松果体だというのだ。
意識は外部情報をブロックする
もちろん、このような説は科学的に実証されているわけではない。だが、このような可能性が間接的に存在することを示す事実がある。それは、「意識の機能」に関するものだ。
人間の脳には、外的世界から膨大な情報が流れ込んでいる。意識にとって、これらの情報が全て意味あるものとは限らない。
むしろ全ての情報が意識に到達してしまうと、意識の認識能力を越えてしまい、時間と空間があり、論理的に首尾一貫した3次元的な世界像を壊してしまう恐れがある。
そのため、このような状態から意識を保護する必要から、外的世界の多くの情報は、意識に到達しないように脳が勝手にブロックしている。ブロックされた情報は、意識にとっては存在しない。
そのため、ブロックされた情報が、外的世界の有り様をたとえ伝えていたとしても、その情報が伝える世界は、意識にとってはやはり認識できないので、存在しない。
この事実は、18世紀の偉大な哲学者であり、ドイツ観念論を創始したカントの「物それ自体」という考え方が、事実であったことを示している。
カントは、意識が認識している世界は、実は客観的に存在するものをそのまま表現しているわけではなく、意識が作り出した主観的な世界に過ぎないことを立証した。
人間が認識している世界は、意識の構成物であるということだ。
では、意識が介入する以前の本来の世界、つまりは「物それ自体」を認識することは、人間にはできるのだろうか? この問いに対してカントは、「それは絶対に不可能だ」とした。
世界は意識が構成したものなので、意識が構成する以前の世界は、意識が認識することなどできないからだ。
この考え方は、外的世界からの情報の多くが意識に入らないようにブロックされているので、意識は本来の世界を認識できないとする現代の考え方と、ほぼ同じである。
意識は「物それ自体」、つまり世界の本当の有り様を体験することは不可能なのだ。
DMTは本当の世界を出現させる
では、ストラスマン教授をはじめ、この実験を支持している科学者はどのように考えているのだろうか?
ストラスマン教授は、「DMT」がさまざまなスピリチュアルな能力の場所とされている松果体で産出されているという事実は、ある重要なことを示しているはずだと言う。
「DMT」は脳に内在している外的世界の情報をブロックする機能を緩和させ、本来の世界の情報が意識に自由に流れ込むようにようにする物資ではないかというのだ。
この説に従うと、「DMT」の接種によって体験される神秘体験のほうが、実際の世界の有り様を伝えており、むしろ我々が認識している今の世界のほうが、意識が構成したフィクションであるということになる。
そして「DMT」が神経伝達物質として脳に内在しているということは、人間が本来の世界の有り様を体験するスイッチが、すでに脳に備わっているということではないだろうか?
このように、ストラスマン教授らは推論した。
***
以上、「DMT」の驚くべき可能性がお分かりいただけただろうか? この続きは、次回お伝えしよう。
※この記事は、DMTの摂取を推奨するものではありません。
高島康司の進化への扉/第13回 増え続ける神秘体験と意識を進化させる脳内物質《後編》
2019年8月26日
前回は、意識の進化に関与する神経伝達物質「DMT」にスポットを当てた。今回は、さらに踏み込んでみたい。
太陽フレアと松果体とDMTの関係性
もし、人間の松果体が一斉に刺激され、「DMT」の分泌が多くの人間で同時に起こるようなことがあれば、人間の意識が集合的に変化してもおかしくない。
もちろんこれが、「進化」と呼べるかどうかは分からない。だが、人間の意識が一斉に変化するのだから、「意識進化」に近い状態が出現するだろう。果たしてそのようなことは可能なのだろうか?
ところで、2010年頃から「DMT」に注目した何人かの科学者が、実に興味深い仮説を提唱している。主要な人々を紹介しよう。
●物理学者で地球磁場の研究で知られるディーター・ブローワー博士
●生物学者のルパート・シェルドレイク博士
●地球磁場と脳との関係を研究している脳神経学者のマイケル・パーシンジャー博士
●素粒子物理学のマイケル・コーニッグ博士
●天体物理学のイロブランド・ヴォン・ルドウィガー博士、エリザベス・ラウチャー博士、ジュリアナ・コンフォート博士
●民族薬理学のデニス・マッケナ博士
こうした科学者によると、“松果体と太陽フレアによる地球磁場の変動は連動しているのではないか”という。
周知のように、太陽黒点からは、ときおり巨大な太陽フレアが放出される。
これが起こると、「CME(コロナ質量放出)」と呼ばれる大きなプラズマの塊が放出される。これには荷電粒子が大量に含まれている。
これが地球を直撃すると、荷電粒子の影響で人工衛星や発電所、そしてIT機器などが停止することはよく知られている。
さらに、荷電粒子は地球磁場に反応して大気の流れを変化させるので、異常気象の原因にもなると考えられている。また、何らかの因果関係で、地震が誘発されると考える研究者も多い。
また、人間にも頭部から発する小さな地場のシールドが存在することが分かっている。CMEとともにやってくる荷電粒子は、人間の地場にも影響しているとみられている。
CMEが直撃した時期には、ウツ病の患者数、自殺者、事故が激増していることから、荷電粒子は人間の精神活動にも大きな影響を与えるとされる。
そして、これらの科学者が注目するのは、荷電粒子の大きさが一定の規模を上回ると松果体に影響し、その結果、「DMT」が一斉に放出される可能性が十分にあるということだ。
もし、このようなことが本当に起こったなら、それこそ「意識進化」と呼ぶような、人間の意識が集合的に変化することになっても不自然ではない。
「DMT」の作用で人間の五感が根本的に変化し、これまで存在を確認できなかった世界が、いきなり目の前に姿を現わすのだから。
DMTによる意識変化がテーマ『ソーラー・レボリューシイョン』
このような説を提唱する科学者が数多く出演し、この説を分かりやすく解説したドキュメンタリー映画『ソーラー・レボリューション(Solar Revolution)』が公開され、数年前にブームになった。
製作したのは、地球磁場の研究で著名なディーター・ブローワー博士本人である。「DMT」の実験を行った『DMT:精神の分子』の著者、リック・ストラスマン教授も出演している。
ところで、『ソーラー・レボリューション』では、巨大な太陽フレアが地球を直撃し、これによる「DMT」の分泌で、集合的な意識の変化が起こった。
そのおおよその時期を、太陽が新たに活性化する宇宙的なサイクルの解明に基づいて予告したカレンダーこそ、実は「マヤカレンダー」だったのではないかという。
このドキュメンタリーでは、プレヤーレンの教えにも、コルマンインデックスにも、まったく触れられていない。おそらく製作者は、それらの存在すら知らない可能性がある。それなのに、ほぼ共通した結論に到達したのは実に興味深い。
ただ、このようなことが将来起こるにしても、それがいつであるかは特定できないとしている。
神秘体験の日々を追う映画『覚醒する(Wake up)』
ところで、具体的な統計などがあるわけではないので、はっきりしたことは言えないが、全米で300万人の聴視者がいるラジオ番組『コースト・ツー・コーストAM』を聞くと、とても多くの聴視者から神秘体験が寄せられていて、それが毎年増えているのを感じる。
数年前から注目されているアメリカのドキュメンタリー映画『覚醒する(Wake Up)』も、そうした神秘体験の増加を示すものだ。
もし、「DMT」の存在と機能を提唱する科学者の説が事実だとするなら、こう言えるのかも知れない。
人間は電磁波や電波、紫外線などにいつも囲まれながらも、それらは目に見えないゆえ、それらの存在が分からない。
それと同じように、人間はあらゆる精神活動から発せられる微細粒子の海の中で生きているーー。
もしかしたら、その海の中には、死者の霊や我々が知らない見えざる存在の発する微細粒子も含まれているのかもしれない。人間はそれらの実在を感じ取ることができないので、存在しないものと思って生活しているだけだ。
「DMT」が大量に分泌されると、こうした世界を実際に経験できる可能性があるのかもしれない。
この見えざる世界が突然と見えるようになった体験を現わした映画が『覚醒する(Wake Up)』だ。
これは、ニューヨークのブルックリンに住んでいるジョナス・エルロッドの体験をそのまま取材したドキュメンタリーである。
ジョナスは37歳の映画プロデューサーで、特に変わったところのない人物だ。生活もいたってまともで、宗教やスピリチュアルなことにはほとんど興味がなかった。
ところが、ある朝起きると、今まで見たこともないさまざまな生き物が目の前に現れたのだ。先祖の霊や天使のような存在もいれば、明らかに邪悪な悪霊のような存在もいた。
そうした存在は、家の中や街頭などいたるところにいて、彼らと話そうと思えばいつでも直接会話できた。それらは、現実の人間と見まがうほどリアルで、時としてどちらが現実なのか分からなくなるほどだった。
ジョナスにとって、この体験は驚きではあったが、基本的には悩みの種であった。誰にも理解できないと勝手に決め込み、自分は頭がおかしくなったのではないかと思い、悩む日々が続いていた。
そのような中、自分の仕事の同僚であり、親友でもある映画監督のスティーブ・ハッテンスキーに悩みを打ち明け、相談することにした。すると、スティーブは関心を持ち、ドキュメンタリーの題材にしたらどうかと提案したのだ。
意識変容の末に行き着いた淡々とした日常生活
このドキュメンタリーは、見えない世界があることを主張したり、多くの人の覚醒を促す目的で撮られたわけではない。
ジョナスの悩みを赤裸々に描き、ジョナスがこれを解決し、自分が体験していることが実際には何であるのか、その意味を探る道程の記録である。
まず、ジョナスは自分が統合失調症などの妄想や幻聴を伴う精神的な病に罹っていないかどうか、複数の精神科医のもとを訪れ、診断をしてもらう。脳を精密に検査するため、何度かMRIの検査も受ける。
しかし、どの検査でも脳には全く問題はなく、精神科医の診断でも全く正常だった。
それでも納得しないジョナスは、今度は心理学者や脳科学者のもとを訪れ、説明を求めた。しかし、医師と同じく、科学者も納得できる合理的な説明はできなかった。科学者も頭を抱えるばかりであった。
一方、ジョナス自身も変化してきた。最初はそうした「神霊の世界」の存在を妄想と決めつけ、払いのけようとしていたが、次第に落ち着き、「神霊の世界」を自分の日常の一部として取り入れることにした。
ドキュメンタリーは「神霊の世界」を受け入れ、まだ戸惑いながらも、日常を淡々と生きていくジョナスと彼の恋人の姿を描いて終わっている。
多くの人が超常現象を体験し始めている
数年前、『コースト・ツー・コーストAM』で『覚醒する(Wake Up)』が紹介された。その際、ジョナスと監督のスティーブが出演し、映画について詳しく語った。
番組では、ゲストインタビューの後、ゲストが聴視者の電話に答えるコーナーが2時間ほどある。すると驚いたことに、自分も同じ体験をしているという聴視者からの電話が殺到した。
それぞれが自分の体験を語ったが、内容は共通していて、それはまさに「DMT」の分泌がもたらす世界の体験と同じであった。
これまで能力に恵まれたほんの少数の人のものでしかなかった超常体験が、突然と多くの人々に手が届く体験領域となって出現したかのような状態だったのだ。
司会者のジョージ・ノーレイも、「このような体験の報告は近年急増している」としている。
もちろん、こうした体験の頻度の統計的な調査などというものは存在しない。だから、彼らの報告が「新しい体験領域の出現」であると言えるのかは分からない。
しかし、もし、こうした体験が本当に増えているのなら、松果体の変化による「DMT」の分泌によって、「新しい体験領域の出現」が起きいるのかもしれない。
***
以上である。
読者の皆さんはどうだろうか? 超常現象や神秘体験をしていないだろうか?
※この記事は、DMTの摂取を推奨するものではありません。
高島康司
たかしまやすし/コンサルタント、世界情勢アナリスト。北海道札幌市生まれ。子ども時代を日米両国で過ごす。早稲田大学卒業。在学中、アメリカ・シカゴ近郊のノックス大学に公費留学。帰国後、教育産業のコンサルティング、異文化コミュニケーションの企業研修などのかたわら、語学書、ビジネス書などを多数著す。世界情勢や経済に関する情勢分析には定評があり、『未来を見る!『ヤスの備忘録』連動メルマガ』で日本では報道されない情報を発信。毎年多くのセミナーや講演に出演し、経営・情報・教育コンサルタントとしても活躍している。
主な著作は、『2020年アメリカは分裂する! 』『望みなき時代の幸福論』(以上ヴォイス)、『日本人が「英語ペラペラ」を本当に実現できる本』(講談社)、『なぜ予測をはるかに超えて進むのか』(ヒカルランド)、『論理的会話トレーニング』(アスカビジネス)、他多数。
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