コロナにより、IT関連のプロジェクトもバシバシ中断している。
打ち合わせができない。それなりの規模のITプロジェクトだと、要件定義の打ち合わせもそれなりの人数になる。
会議室の確保もままならない。
先日、もう要件定義も終わろうかというプロジェクトについて、顧客から割と唐突に中断を言い渡された。
こちらに何の相談もなく、やや急な感じがした。
要件定義が終われば、次工程の開発工程に入れる。そうすると委託先への発注もできる。
しかし、その前に中断してしまった。けっこうな規模のプロジェクトである。
委託先も仕事がくる前提である程度の人数を充てていた。
さあ、困った。困ったというのはまた別の事情があり、その委託先の財務状況がコロナの前から若干危ういのである。
そこで要件定義の次工程の契約がもらえなければ、この委託先に発注ができない。繰り返しになるがけっこうな規模で
ある。もしかしたら、その委託先の事業継続が難しくなるかもしれない。
実はこの委託先は昨年度、経営危機に陥った時に自分が所属する部署からの仕事で不採算の案件が続いたことを理由にしていた。
この委託先とは長い付き合いである。貸し借りもそれなりにある間柄である。だから当部署に相談に来ればよかったのに、
それを当社の割と上層部に相談にいってしまった。当部署の担当役員のメンツ丸つぶれである。というよりは多分含むものも
あったのかもしれない。
当部署の担当役員の指示は、「この委託先を守るために、何としても次工程の発注をもらってこい」ということ。
それで部長が交渉の先導に立った。
とにかく次工程の契約をしてほしい、と。
足元を見る顧客。「今上がっている仕様変更をどうするのか」「まだ要件定義が終わっていないが、次工程に進み、
また仕様変更が出たらどうするか」。
結局、契約は進めることができ、無事、委託先にも発注はできる見込み。
そりゃ、契約ありきで顧客の要求飲んだら、契約はできるわ。
この部長が守ったものは何か。まず部下のことは何一つ守っていない。じゃあ委託先を守ったのか、結果としてはそうではない。
守ったのは上の役員の立場である。それにより自分を守ったのだ。自分の解釈はそうでしかない。
まずい酒でも飲むしかない。