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高橋冨士信 fj鷹@gmail.com

途上国を理解することの難しさ:特に研究者・技術者・教員

2016年03月15日 | 東京コロナ禍ー太平洋島嶼国
途上国で開かれた国際学会などに参加した日本の研究者・技術者達は、
ローカルコミッティが準備したツァーなどに参加することで途上国の一面を理解できたと勘違いする。

途上国側はリゾート施設や国際会議の開催などのツーリズムが貴重な外貨の稼ぎであるために、
先進国からの参加者に最大限のサービスを行う。そのレベルの一般庶民との落差は日本などとは
桁違いである。

途上国でも首都などの大都市とその近郊のリゾートホテルでは先進国に近いサービスを
受けられることが多い。

安全のためと称して主催者側もホテルとの宿泊レートの大幅値引きの交渉を行って、
参加者をそこへ誘導する。

日本でも「いわゆる田舎」に行けば交通も不便であり、同様ではないかと思われるかもしれないが、

日本の最低賃金の地域差は大都会と田舎でも最大30%程度であり、
少なくとも電気や通信・放送、公衆トイレ・ホテルの水洗トイレはよほどのところを選択しなければ、
狭いくらいをガマンすれば利用が可能である。

宿の食事については地方・田舎のほうがその土地の豪勢なものが割安で食べれられることが多い。

これは日本の1980~90年代の「1億総中流時代」における蓄積の遺産によるところが大きいと思われる。

しかし途上国では全く事情が異なると言って良い。大都会のある途上国では大都会と田舎の落差が
著しく、リゾートしかない途上国では、リゾートとその他の地域の落差が非常に大きい。

一般に、途上国に長期滞在する人にしか、電気も有線電話もない地域をわざわざ見せないと言って良い。

外国人向けホテルの周囲で美味しい立派なマンゴーが1個100円で買えれば日本人は安くてうまい、
この国はいいところだと勘違いをする。

そこから10km以上離れた道路沿いでは、子どもたちが小遣い稼ぎでマンゴーの季節(約3ヶ月間)になると
10個くらい入れた袋を売っている。10個で100円位でとりたての新鮮なマンゴーが味わえる。

短期滞在の日本人が、薄汚く破れた下着の子供達が売っているマンゴーを買うことは少ない。
長期滞在して事情が理解できてくると、車を寄せて、そうした子どもたちから買っている。

途上国では最低賃金などはないところが多いので正確にはいえないが、時給50円相当で
4-5人の子供が車の洗車を1時間かけて人海戦術でやってくれるので、

都会と非都会では人件費に10倍以上の差があると見たほうがよいだろう。

1980年代のバブルの前までは日本人は果敢にこうした途上国の小さな島や田舎まで商品を持って行き、
日本企業の看板をいたるところに立てていた。

しかしバブル崩壊後は、日本企業はすぐに儲かる地域しか出向かなくなり、
商品や看板を置かなくなったということは、途上国では、しばしば聞く言葉である。

古くなった日本企業の看板を塗り替えたのがサムソンやLGなどの韓国企業であり、
引き続いては中華食品を扱う中国店舗であった。

南太平洋の小さな島でも人が住む村があれば、韓国企業と中国企業の看板を見ることが多い。

日本人はバブル崩壊後、日本列島へ戻ってしまったという声をよく聞いた。

そういう実態も短期の滞在者は耳にすることはあっても、自分の目で見ることはほとんど無くなっている。
日本人の途上国の実情を見る視線は急速に細く・偏りの強いものとなってきたと言えよう。


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