楽の志 ~らくのこころ~

湘南で木の家づくりをしている「楽居」の親方三浦がキャッチしたできごと、思い、喜び、悩みなどを、力を込めて投げかけます。

和室式台

2012-01-12 20:54:49 | おうち
鎌倉岩瀬T邸です

このおうちは、ふんだんにいわゆる高級木材が使われています。
例えば、枠材は栂(ツガ)の無節
    床板はアメリカンブラックチェリー シベリアンウォルナット 栗 桧
    すべて、ほぼ節の無いものです。

2階の和室のみ、お施主より「お任せ」というご支持を頂き
うん、うん・・・考えました。
お金を出し高級な木材を使えば簡単なのですが
今回は手間を存分に掛けることにしました。



少し小上りになる、和室手前の式台です。
木の種類は、杉で一般的には式台にはあまり使わない材料ですが(柔らかいため)
あえて杉を使います。しかしこの杉は、芯持ち割れあり、節有りです・・・。

けして、和室に使える材料ではありません。


が、今回はあえてこの材料を選びました。
なぜなら、和室以外すべて高級木材を使っているため
和室には手間と感性をぶつけたかったからです。



見て下さい杉ですが、この表情です。

見事な杢です。 

節があり、割れがあり銘木になりきれなかった材料です。
ですが、ここに手間を掛けるのです。

割れは、一般的には埋め木等で隠すのですが
今回は手間を掛け浮づくり仕上げにしました。
夏目をおとすことにより、冬目が浮き立ち柔らかい杉も
少し硬く 表現することができるのです。



もうひとつのメリットとして、割れのある材料ですので
その割れが目立たなくなります。



こればかりは、塗装屋さんに任せるわけにはいきません。
自ら、染色ワックス掛けです。



この杉は、樹齢おおよそ100年ほどですが
写真左側の杢の部分だけで、樹齢が40年ほどあります。
おそらく、立ち木のときに 木の上の部分だけ枝がものすごく集中して
生えていたのだと思われます。(自然環境の中で生まれた偶然の産物です)
何万本に1本の割合でしょうか・・・。

私は、世間一般的に駄木として扱われてしまうものには
美しさがあると思います。
そんな駄木の美しさを引き出すのも大工の仕事だと思います。


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