「東日本大震災復興支援 若冲が来てくれました
プライスコレクション江戸絵画の美と生命」@仙台市博物館
伊藤若冲などプライスコレクション100点ほどを展示する展覧会が開催中。3/1から仙台市博物館、5/18から岩手県立美術館、7/27から福島県立美術館と、被災地となった東北3県を巡回する。ジョー・プライス氏が東日本大震災の惨状に心を痛めて、被災地の子供たちに元気になってもらおうと考えた展覧会。なので高校生以下は無料で観覧できる。残念ながら私はもう高校は卒業してしまったので無料ではない。
というわけで仙台に行ってきた。仙台は人生で2度目、大して行ってない。前回行ったのは1990年で、デジカメの無い時代だったのでコンパクトなフィルムカメラを持って行った。写真アルバムを見直したら、伊達政宗像だけはしっかり撮ってあった。
2006年に東博に来たプライスコレクション。今回のターゲットは子供なので、動物を描いた絵を重点的に展示している。升目描き 《鳥獣花木図屏風》 は目玉品目、あれやこれやの動物だらけで、この展覧会に相応しい絵である。今回はガラスケースの中ではなくて、むき出しかぶりつきで展示されている。今回も若冲の作品は十数点。
同じ升目描きの若冲の印章が付いている 《白象群獣図》 からの類推で、この作品も若冲の作とされているが、ホントはどうなのかわからないらしい。ほぼ同様な静岡県立美術館の 《樹下鳥獣図屏風》 もあって、どちらも若冲なのか、どちらかは他人の模倣なのか。この 《鳥獣花木図屏風》 には周囲が額縁のように描かれているので豪華な感じがする。仏教の思想とのかかわりがあるというので、きっとこの絵は、涅槃図の釈迦の周りに集まる動物たちを、釈迦目線で描いた絵なのだろう。それにしては呑気にあっち向いて水浴びしている馬もいるけど。
長沢芦雪 《白象黒牛図屏風》 も大きな作品。屏風からはみ出す巨大な象の背に乗るカラス、巨大な牛の足元でなぜか笑顔の白い仔犬がおちゃめでかわいい。MIHO MUSEUMから国内賛助出品の伊藤若冲 《象と鯨図屏風》 は展示替えで既に無かった。
森徹山 《松に鶴図屏風》 の鶴の多さには引く。水辺にひしめく大量の鶴、空からはまだまだたくさん飛んできている。でも鶴でよかった、これが全部巨大な虫だったら・・・ それはさておき、この屏風は描きかけの遺作となっている。色付けしている最中に幕府に呼ばれて江戸に行き、なぜかそのまま亡くなったらしい。だから浜辺の鶴の多くは色が付いているが、輪郭だけの怪しげな飛翔物体が白いまま残っている。
この展覧会の図録は一回り小さなB5サイズで730g、旅人フレンドリーな持ち運び易い手頃感についつい買いたくなってしまう。ちなみにアナザーワールドの図録はA4サイズで1600gもあった。大きければ見やすいのは確かなんだけど、買った後それを持って市内観光とか考えると、ぞっとする、背筋が凍る、血の気が失せる、ホントに軽くてよかった。
図録には、子供にも分かりやすく振り仮名が付けてある。さらに全作品に「子供向け作品名」というのが付けられている。たとえば 《軍鶏図》→《のし歩くシャモ》、《料理屋梧桐林店頭図》→《レストラン「ごどうりん」》、《簗図屏風》→《ヤナにかかったアユとカニ》、《仏涅槃図》→《<おしゃかさま>がお亡くなりになりました》 などえとせとらなどえとせとら。
ミュージアムショップには 《鳥獣花木図屏風》 をあしらったグッズがいろいろ。木製のトレイ、ルービックキューブ、Tシャツ、iPhoneケースなどえとせとらなどえとせとら。
博物館を出ると裏道を登って仙台城跡、例のあの伊達政宗公騎馬像の所へ。
ここはぜんぜん変わってない、と思ったら、昭忠碑:金鵄像のとびが震災で落下破損したままになっていた。
ここからは眺めが良く、仙台市内が見渡せる。その眺望の中に小さく白いアレが見えた。
次の日、アレを見に行った。大観密寺の仙台大観音。高さが100m 展望室が68m 海抜181mの場所に建っている。120mの牛久大仏には届かぬものの、国内第2位を誇る巨大建築仏。1991年に仙台市制100周年を記念して建てられたので100mというわかりやすい単位。牛久大仏と並べてみたい。
この白衣観音の凄さは、山上でもなく広大な草原でもなく、住宅地に隣接して建っていることで、ちょっと離れた所から見ると、家屋や道路との対比でさらに巨大に見えて喜びも倍増。右手にはドラゴンボールというか宝珠が、左手には67トンの知恵の水が入るという水瓶が。何かに気を取られているのか水瓶は下を向いて、知恵の水ダダ漏れこぼし放題←いやそういうことじゃないが。
だんだん
だんだんだんだん
だんだんだんだんだんだん
だんだんだんだんだんだんだんだん
近くなった
正面の龍の口から中に入る。体内1階には作りがきれいな三十三観音や黒っぽい十二神将が並んでいる。
ひとまわりしてエレベーターで展望室まで上ると、周囲の小窓から遠景を見ることができる。天気が良ければ大平洋も見えるようだ。展望室からは延々と下まで螺旋階段が続く。1周50mくらいはありそうな螺旋を下りながら、各階ごとに百八体仏を見て回る形式になっている。途中でリタイヤする場合はエレベーターで降りればよい。延々と続く螺旋階段を見ていると飛び降りたくなる人もいるのかもしれないが、2階の上にちゃんと網が張ってあるので成仏はできない。
建立当時は賑わっていたらしいが、展望室から眼下を見ると、誰も使ってないような広大な駐車場が広がっている。足元には仙台大観音プラザハウスという施設があるが、中には中国工芸品を売っている店がぽつんとあった。そこはかとなく寂しかった。
プライスコレクション江戸絵画の美と生命」@仙台市博物館
伊藤若冲などプライスコレクション100点ほどを展示する展覧会が開催中。3/1から仙台市博物館、5/18から岩手県立美術館、7/27から福島県立美術館と、被災地となった東北3県を巡回する。ジョー・プライス氏が東日本大震災の惨状に心を痛めて、被災地の子供たちに元気になってもらおうと考えた展覧会。なので高校生以下は無料で観覧できる。残念ながら私はもう高校は卒業してしまったので無料ではない。
というわけで仙台に行ってきた。仙台は人生で2度目、大して行ってない。前回行ったのは1990年で、デジカメの無い時代だったのでコンパクトなフィルムカメラを持って行った。写真アルバムを見直したら、伊達政宗像だけはしっかり撮ってあった。
2006年に東博に来たプライスコレクション。今回のターゲットは子供なので、動物を描いた絵を重点的に展示している。升目描き 《鳥獣花木図屏風》 は目玉品目、あれやこれやの動物だらけで、この展覧会に相応しい絵である。今回はガラスケースの中ではなくて、むき出しかぶりつきで展示されている。今回も若冲の作品は十数点。
同じ升目描きの若冲の印章が付いている 《白象群獣図》 からの類推で、この作品も若冲の作とされているが、ホントはどうなのかわからないらしい。ほぼ同様な静岡県立美術館の 《樹下鳥獣図屏風》 もあって、どちらも若冲なのか、どちらかは他人の模倣なのか。この 《鳥獣花木図屏風》 には周囲が額縁のように描かれているので豪華な感じがする。仏教の思想とのかかわりがあるというので、きっとこの絵は、涅槃図の釈迦の周りに集まる動物たちを、釈迦目線で描いた絵なのだろう。それにしては呑気にあっち向いて水浴びしている馬もいるけど。
長沢芦雪 《白象黒牛図屏風》 も大きな作品。屏風からはみ出す巨大な象の背に乗るカラス、巨大な牛の足元でなぜか笑顔の白い仔犬がおちゃめでかわいい。MIHO MUSEUMから国内賛助出品の伊藤若冲 《象と鯨図屏風》 は展示替えで既に無かった。
森徹山 《松に鶴図屏風》 の鶴の多さには引く。水辺にひしめく大量の鶴、空からはまだまだたくさん飛んできている。でも鶴でよかった、これが全部巨大な虫だったら・・・ それはさておき、この屏風は描きかけの遺作となっている。色付けしている最中に幕府に呼ばれて江戸に行き、なぜかそのまま亡くなったらしい。だから浜辺の鶴の多くは色が付いているが、輪郭だけの怪しげな飛翔物体が白いまま残っている。
この展覧会の図録は一回り小さなB5サイズで730g、旅人フレンドリーな持ち運び易い手頃感についつい買いたくなってしまう。ちなみにアナザーワールドの図録はA4サイズで1600gもあった。大きければ見やすいのは確かなんだけど、買った後それを持って市内観光とか考えると、ぞっとする、背筋が凍る、血の気が失せる、ホントに軽くてよかった。
図録には、子供にも分かりやすく振り仮名が付けてある。さらに全作品に「子供向け作品名」というのが付けられている。たとえば 《軍鶏図》→《のし歩くシャモ》、《料理屋梧桐林店頭図》→《レストラン「ごどうりん」》、《簗図屏風》→《ヤナにかかったアユとカニ》、《仏涅槃図》→《<おしゃかさま>がお亡くなりになりました》 などえとせとらなどえとせとら。
ミュージアムショップには 《鳥獣花木図屏風》 をあしらったグッズがいろいろ。木製のトレイ、ルービックキューブ、Tシャツ、iPhoneケースなどえとせとらなどえとせとら。
博物館を出ると裏道を登って仙台城跡、例のあの伊達政宗公騎馬像の所へ。
ここはぜんぜん変わってない、と思ったら、昭忠碑:金鵄像のとびが震災で落下破損したままになっていた。
ここからは眺めが良く、仙台市内が見渡せる。その眺望の中に小さく白いアレが見えた。
次の日、アレを見に行った。大観密寺の仙台大観音。高さが100m 展望室が68m 海抜181mの場所に建っている。120mの牛久大仏には届かぬものの、国内第2位を誇る巨大建築仏。1991年に仙台市制100周年を記念して建てられたので100mというわかりやすい単位。牛久大仏と並べてみたい。
この白衣観音の凄さは、山上でもなく広大な草原でもなく、住宅地に隣接して建っていることで、ちょっと離れた所から見ると、家屋や道路との対比でさらに巨大に見えて喜びも倍増。右手にはドラゴンボールというか宝珠が、左手には67トンの知恵の水が入るという水瓶が。何かに気を取られているのか水瓶は下を向いて、知恵の水ダダ漏れこぼし放題←いやそういうことじゃないが。
だんだん
だんだんだんだん
だんだんだんだんだんだん
だんだんだんだんだんだんだんだん
近くなった
正面の龍の口から中に入る。体内1階には作りがきれいな三十三観音や黒っぽい十二神将が並んでいる。
ひとまわりしてエレベーターで展望室まで上ると、周囲の小窓から遠景を見ることができる。天気が良ければ大平洋も見えるようだ。展望室からは延々と下まで螺旋階段が続く。1周50mくらいはありそうな螺旋を下りながら、各階ごとに百八体仏を見て回る形式になっている。途中でリタイヤする場合はエレベーターで降りればよい。延々と続く螺旋階段を見ていると飛び降りたくなる人もいるのかもしれないが、2階の上にちゃんと網が張ってあるので成仏はできない。
建立当時は賑わっていたらしいが、展望室から眼下を見ると、誰も使ってないような広大な駐車場が広がっている。足元には仙台大観音プラザハウスという施設があるが、中には中国工芸品を売っている店がぽつんとあった。そこはかとなく寂しかった。
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