
イギリスのBBCが放映した、長時間労働に耐えられず、突っ伏して寝てしまう、アップルの下請け工場の従業員の姿
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わたしたちみんなが大好きなApple。2014年の年末にこんな記事が掲載されました。日本人のスティーブ・ジョブズ愛がよく表れているお話です。
「和製ジョブズ」大分の石橋さんら選出
2014年12月20日 読売新聞
総務省は19日、「和製スティーブ・ジョブズ氏」を育てようと、細胞の画像分析を利用して薬を選ぶ研究をする石橋誠さん(大分県)ら、独創的なアイデアを持った10人を選んだと発表した。研究費として300万円ずつ支給する。
このほか対象となる研究は、超音波を使って手で触れずに物を動かす装置や、伸び縮みして形を変える建築物など。10人は20~40歳代で、大学や企業の研究者だけでなく、医師や会社員、学生、主婦、フリーターを含む。専門家の助言を受け、来年夏頃まで研究する。
15~73歳の617人、710件の応募から、同省と有識者らが選んだ。米アップル創業者のジョブズ氏(故人)のような人材を育てるため、完成度が高いアイデアはあえて外したという。
総務省は来年度以降も同様の募集を続ける方針だが、税金を使うだけに論議を呼ぶ可能性もある。
ということです。
日本人は牧歌的と言いますか、和製スティーブジョブズもいいでしょうが、それどころではなくて、もう何年も前から指摘されてきた、アップルのサプライヤー(部品の供給会社)の工場の過酷な労働環境が一向に改善していないことが、あらためて浮き彫りになっています。
iPhone 6の製造を行うAppleの下請け工場における過酷な労働条件の実態を、BBCの潜入カメラが捉えました。2010年、Appleの下請けであるFaxconn(フォックスコン 台湾の会社が中国に工場を持っている)の工場で働いていた14人の中国人労働者が自殺したことを受け、労働条件の改善を誓ったAppleですが、約束はきちんと守られていなかったのです。
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中国上海郊外にある、今度はこれも台湾系の会社で、アップルだけでなく電気機器会社に消費者向け部品を提供しているPegatron社の工場内を映した動画では、上海工場で、12時間シフト体制で働く労働者らが居眠りしていました。また、最長16時間シフト体制で働いた潜入リポーターは
「寮に戻ると動きたくなくなる。お腹が空いていたとしても、食べるために立ち上がろうとも思わない。ただ横になって休みたいだけ。ストレスのあまり、夜は寝ることもできない」
と話しています。
また、従業員として雇われ、工場に潜入した別の記者によると、作業員らが頻繁に会社の規定を超える週60時間以上働き、IDカードや社員寮、ミーティングや未成年の労働者に関する規則も守られていなかったそうです。さらに、潜入したリポーターの1人は、何度も休みを申請したにもかかわらず18日の連続勤務を強いられたというのです。
この報道について、AppleはBBCのインタビューには応じず、声明文しか出していません。
その声明文の中で、Appleは、
「長時間労働で働いている労働者が居眠りしている映像については休憩中に労働者が仮眠をとるのは習慣的によくあることだ」
と釈明しています(呆)。
また、Appleは
「われわれは、Appleほど公正で安全な労働条件を確保している企業はほかにないと考えている」
「われわれは、サプライヤーと協力して欠陥に対処しており、継続的で大きな改善が見られる。だが一方で、われわれの取り組みに終わりはないことも承知している」
との認識を表明しました。
さらに、このBBCの報道によると、ほかにも、インドネシアで児童労働が行なわれている違法な採掘による錫(スズ)が、Appleのサプライチェーンに流入している可能性を示す証拠が見つかったそうです。
この問題に対しても、Appleは
「最も簡単な方策は、Appleがインドネシアで採掘された一切のスズの受け入れを一方的に拒否することだ。われわれがそうすることは簡単であろうし、批判を免れることになるだろう。しかし同時に、それは事態の改善に向けてまったく手を打たないことでもあり、怠惰でずるいやり方だ。われわれは、この問題に関与し続けるとともに、現場で変化を促そうと努めることにした」
と言っていますが、まるで釈明になっていません。
違法に採掘されたスズなら、まさに受け入れるのをやめればいいのであって、そうすることが怠惰でずるいなどと誰も言わないでしょう。
そして、とうとう、AppleのクックCEOが反応しました。クック氏らはイギリスの約5000人の従業員に送ったメールの中で、
「アップルがサプライヤー企業との間で取り交わした労働環境に関する契約を履行しておらず、アップル製品のユーザーに誤解を与えるような主張をしていることに非常に憤慨している」
と述べています。また
「番組全体でアップルがあたかも労働環境を改善していないような報道をしているが、事実は全く違う」
とも述べています。
しかし、私にはあまり説得力のある反論とは思えません。
このようなアップルの人を人とも思わぬブラック体質は、ジョブズ以降に肥大化したものだと信じたいアップルフリークも多いでしょう。しかし、それはどちらでもいいことです。
私が感心するのは、あくまでアップルとは別会社の下請け工場での労働環境が問題にされたり、さらには、使用している原産品が児童労働で得られたものではないか、と問題になり、アップル側も反論するなどの対処に迫られることです。
以前の記事で触れたように、アメリカの政府から是正勧告も出ますし、なにより、Appleユーザーが、アップルを愛するがゆえに、気持ちよく製品を使うために、アップルに物を申すのです。
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かたや、たとえば、日本のユニクロが、中国、あるいは今はベトナムの低賃金で過酷な労働を基盤に成り立っているのではないかということは、一部では指摘されているのですが、だからといって、消費者がユニクロに対して、不買運動を起こすなどということは考えられません。安くて良いものは、「良い」ものなのです。
和製ジョブズを発見しようというような牧歌的なイベントに集うのもいいですが、我々はジョブズを目指すよりも、むしろアップルを育てていくアメリカの消費者の在り方にこそ学ぶべきだと思います。
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最近、日本人の民度が高いと褒め称える風潮が強いようですが、ほんとうはまだまだのような気がします。
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アップル製品工場の「劣悪な労働環境」、BBC潜入調査で発覚
2014年12月19日 15:48 発信地:ロンドン/英国
【12月19日 AFP】英国放送協会(BBC)は18日、米アップル(Apple)製品を製造する中国の工場の労働環境を独自調査した結果、従業員が12時間労働を強いられ、疲労のあまり仕事中に居眠りをするほどの劣悪な条件で働かされていることが分かったと報じた。
BBCの複数のリポーターが、台湾系企業ペガトロン(Pegatron)の従業員として雇われ、工場に潜入した。そこで明らかになったのは、作業員らが頻繁に会社の規定を超える週60時間以上働き、IDカードや社員寮、ミーティングや未成年の労働者に関する規則も守られていない実態だった。潜入したリポーターの1人は、何度も休みを申請したにもかかわらず18日の連続勤務を強いられたという。
BBCは、2010年に台湾系大手電子機器メーカー、富士康集団(フォックスコン、Foxconn)の従業員が相次いで自殺したことを受けアップルが約束した労働環境改善の誓約が「日常的に破られている」と指摘した。
一方、アップル側はBBCの取材に対し、「弊社ほど公平で安全な労働環境の確保に積極的に取り組んでいる会社は他にない」として反論。休憩中に作業員が寝ることはよくあるとした上で、作業中に居眠りをしている人がいるかの調査を行うと表明した。また、100万人を対象にしたアップルの調査によると、ペガトロンの従業員の労働時間は週平均55時間だったという。(c)AFP
BBCの時事問題番組「Panorama」がこのほど、「iPhone 6」の生産ラインに対する潜入取材を敢行し、労働者を保護するというAppleの約束は日常的に破られていると伝えた。具体的には、Pegatronの工場では労働者の勤務時間、IDカード、寮、作業の打ち合わせ、児童労働者に関する基準に違反していることが、覆面記者の取材で明らかになったとしている。
Pegatronは、Appleをはじめとする多数の消費者向け電子機器企業に供給している大手部品メーカーだ。
この番組では、上海郊外にあるPegatronの工場で、疲れ切った労働者らが12時間の勤務中に居眠りをしている姿が映し出されており、Appleのコンピュータ部品を製造する工場で作業したある覆面記者は、再三にわたって休暇を申し出たにも関わらず、18日間連続で勤務しなければならなかった。最も長いシフトが16時間だった別の記者は、「寮に戻るたびに、動きたくなくなった」と話した。
Appleは同番組の取材を断ったが、番組の出した結論には強く異議を唱えると述べた。
Appleは声明で、「われわれは、Appleほど公正で安全な労働条件を確保している企業はほかにないと考えている」と述べた。
「われわれは、サプライヤーと協力して欠陥に対処しており、継続的で大きな改善が見られる。だが一方で、われわれの取り組みに終わりはないことも承知している」(Appleの声明)
Appleはまた、労働者が休憩時間に仮眠を取ることは普通のことであるとはいえ、勤務中に居眠りをしている証拠があれば調査するとも述べた。
このBBCの報道によると、ほかにも、インドネシアで違法な採掘によるスズがAppleのサプライチェーンに流入している可能性を示す証拠が見つかったという。
Apple側は、状況は複雑だと主張している。
「最も簡単な方策は、Appleがインドネシアで採掘された一切のスズの受け入れを一方的に拒否することだ。われわれがそうすることは簡単であろうし、批判を免れることになるだろう。しかし同時に、それは事態の改善に向けてまったく手を打たないことでもあり、怠惰でずるいやり方だ。われわれは、この問題に関与し続けるとともに、現場で変化を促そうと努めることにした」(Appleの声明)
Appleは、サプライヤーの責務に関する情報を公開しており、従業員のエンパワーメント、労働者の権利と人権、健康と安全、環境、説明責任といったテーマが取り上げられている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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Apple: BBCによるAppleの工場労働者虐待報道に「深い憂慮」
Posted 4 days ago, by Harry Martin
BBCが今週、中国国内にあるAppleの工場で労働者の虐待が行われていることを示すスクープ報道を行ったことに対して、Appleがこのような状況が生じていることに対して「深い憂慮(deeply offended)」のコメントを寄せていたことが19日、BBCによるApple幹部に対するインタビューで明らかとなった。
このスクープ報道は、BBC Oneのドキュメンタリー番組「Panorama」で18日に放送されたもので、番組の中でBBCは、Appleによる世界最高のブランド製品は、中国の世界でもっとも劣悪な労働環境の中で生産されていることを隠し撮りで撮影された実際の労働現場の模様を挟んだ上で紹介することでAppleの雇用政策に大きな問題を提示していた。
こうした番組が放送されたことについてAppleの上級役員のJeff Williamsは、BBCとのインタビューに応じて、「(番組の中で示された状況には)深い憂慮を示さざるを得ない」とした上で「今後は、状況を改善するために努力を図っていく」との見解を示した。
Panoramaでは、また、Appleのインドネシアにあるサプライチェーンでは児童労働が行われている証拠も発見していた。
東アジアのAppleの工場では一時期、自殺者が相次いだことからAppleが雇用環境の改善を図ることを発表していた。しかし、今回のBBCによるスクープ報道により、実態は改善が図られていないことが判ったことになる。
BBCが放送した中国のiPhone 6製造工場のレポート番組に、Appleが反論
2014/12/23
英BBCが中国にあるPegatronのiPhone 6製造工場で撮影した番組において、Appleが過重労働や未成年就労などコンプライアンス違反を行っていると告発して話題になっている。一方のAppleもBBCへの反論と非難の声明を出しており、Appleとそのサプライチェーンを巡るコンプライアンス問題が再燃しつつある。
同件はBBCが放映した「Panorama」という特集コーナーでの告発記事が発端となっている。現在、iPhone 6の生産ラインは従来のFoxconnに加え、iPhone 5cを製造していたPegatronが加わっての複数ライン体制となっているが、このうちPegatronが上海郊外に持つ生産ラインでの現場の様子がBBCの番組の中で紹介され、過酷な労働が常態化していると報じられている。
例えば同生産ラインでは12時間シフトの中で作業員が席でそのまま寝付いていたり、Mac向けの部品生産ラインでは連続18日勤務で1日の休日申請が却下されていたり、あるいは最長シフトが18時間勤務だったりと、ストレスで不眠症状を訴えたりする従業員もいるという。BBCによれば、同番組においてAppleへのインタビューを申し出たが同社に断られており、代わりに「Apple以上に安全で公正な労働環境を保証している企業はない」とのコメントを紹介している。
実際にAppleによれば、Pegatronだけで100万人以上の労働者の勤務時間調査を行っており、その平均値は週あたり55時間だったという。過去、2010年ごろに同社は深センのFoxconn工場で自殺が相次いだことを受けてサプライチェーンのコンプライアンスを大幅に強化し、定期レポートを報告するようになっている。
だが、今回のBBCのレポートでは前述のような過重労働だけでなく、従業員の住環境も満足のゆくものではないとの報告も行っており、サプライチェーンの拡大とともにコンプライアンス遵守が必ずしも行われていない可能性があるようだ。このほかBBCのPanoramaでは、"錫"の産出で知られるインドネシアのバンカ島(Bangka)において、違法鉱山での児童労働が行われ、ここで得られた"スズ"がAppleのサプライチェーンの中で利用されていることを報告している。
英Telegraphでは、同件についてAppleの事業担当SVPであるJeff Williams氏が英国で働く5000人のスタッフに宛てたメールにおいて、同氏ならびにCEOのTim Cook氏がBBCの報道に深く失望しているとのコメントを寄せたうえで、その内容に反論しているとメールの全文を紹介している。Telegraphの説明によれば、Williams氏はまだまだ改善の余地はあるものの、サプライチェーンにおける今年2014年の就業上限である1週間あたり60時間という労働時間に対して、コンプライアンスの達成度は93%だったとしており、必ずしもBBCの状況報告が全体を表したものではないとの意見を述べているようだ。
またBBCが後半で報告したインドネシアでの違法鉱山で採取されたスズがサプライチェーンに入ってきている件について、Williams氏はそうした事実があることを認め、現状で中間業者が多数いるなかでそうした違法スズが混入することは避けにくく、問題解決に取り組んでいるとしている。解決方法としてはサプライチェーンにインドネシア産のスズを使わないことを厳守させることが近道だとしながらも、Appleではあえて違法鉱山の問題に直接取り組んでいくべきだとし、根本からの解決を目指していく方針を示した。
ここ数年は比較的落ち着いていた印象のあるサプライチェーンのコンプライアンス問題であり、Tim Cook氏自身もこうした問題への取り組みに積極的な人物だといわれるが、一方でAppleの事業拡大とともにサプライチェーンが拡大していくなか、監視対象は非常に膨大なものとなり、問題の根本解決は難しい部分も大きいだろう。今後の同社の動きに注目だ。

イギリスのBBC放送が、iPhone6を製造するPegatronの工場に潜入取材を行い、アップルが取り決めている労働環境などの条件を満たしていないとする特集番組を放映したことをお伝えしました。
この報道でアップルのCEO(最高経営責任者)Tim Cook氏が、イギリスのアップルの従業員に送付したメールの中で、BBCが番組内で証拠もない主張をしていることに対し、「非常に憤慨している」とイギリスのThe Telegraphが伝えています。
イギリスのアップル従業員に送付したメール
イギリスで勤務する約5,000人のアップル従業員に送付されたメールで、アップルのオペレーション部門のシニアヴァイスプレジテントのJeff Williams氏とCEOのTim Cook氏は、「アップルがサプライヤー企業との間で取り交わした労働環境に関する契約を履行しておらず、アップル製品のユーザーに誤解を与えるような主張をしていることに非常に憤慨している」と述べています。また「番組全体でアップルがあたかも労働環境を改善していないような報道をしているが、事実は全く違う」とも述べています。
アップルサプライヤーの責任
アップルは過去8年間に、毎年サプライヤーが守るべき責任とサプライチェーン企業を監査した進捗報告書を「Supplier Responsibility Progress Report」として公開しており、直近の報告書では、週間60時間とする労働時間は95%守られているとされています。
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今回放映された番組はYouTubeで閲覧が可能ですが、内容を見る限りでは確かにアップルに対してかなり批判的で、一方的な報道になっていると感じられます。Cook氏が「非常に憤慨している」のも納得がいくと思いますが、皆さんはどのように感じるでしょうか?
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