【12月19日 AFP】英国放送協会(BBC)は18日、米アップル(Apple)製品を製造する中国の工場の労働環境を独自調査した結果、従業員が12時間労働を強いられ、疲労のあまり仕事中に居眠りをするほどの劣悪な条件で働かされていることが分かったと報じた。

 BBCの複数のリポーターが、台湾系企業ペガトロン(Pegatron)の従業員として雇われ、工場に潜入した。そこで明らかになったのは、作業員らが頻繁に会社の規定を超える週60時間以上働き、IDカードや社員寮、ミーティングや未成年の労働者に関する規則も守られていない実態だった。潜入したリポーターの1人は、何度も休みを申請したにもかかわらず18日の連続勤務を強いられたという。

 BBCは、2010年に台湾系大手電子機器メーカー、富士康集団(フォックスコン、Foxconn)の従業員が相次いで自殺したことを受けアップルが約束した労働環境改善の誓約が「日常的に破られている」と指摘した。

 一方、アップル側はBBCの取材に対し、「弊社ほど公平で安全な労働環境の確保に積極的に取り組んでいる会社は他にない」として反論。休憩中に作業員が寝ることはよくあるとした上で、作業中に居眠りをしている人がいるかの調査を行うと表明した。また、100万人を対象にしたアップルの調査によると、ペガトロンの従業員の労働時間は週平均55時間だったという。(c)AFP

 

 

Adrian Kingsley-Hughes (Special to ZDNet.com) 翻訳校正: 編集部 2014/12/19 13:14
 

 BBCの時事問題番組「Panorama」がこのほど、「iPhone 6」の生産ラインに対する潜入取材を敢行し、労働者を保護するというAppleの約束は日常的に破られていると伝えた。具体的には、Pegatronの工場では労働者の勤務時間、IDカード、寮、作業の打ち合わせ、児童労働者に関する基準に違反していることが、覆面記者の取材で明らかになったとしている。

 Pegatronは、Appleをはじめとする多数の消費者向け電子機器企業に供給している大手部品メーカーだ。

 この番組では、上海郊外にあるPegatronの工場で、疲れ切った労働者らが12時間の勤務中に居眠りをしている姿が映し出されており、Appleのコンピュータ部品を製造する工場で作業したある覆面記者は、再三にわたって休暇を申し出たにも関わらず、18日間連続で勤務しなければならなかった。最も長いシフトが16時間だった別の記者は、「寮に戻るたびに、動きたくなくなった」と話した。

 Appleは同番組の取材を断ったが、番組の出した結論には強く異議を唱えると述べた。

 Appleは声明で、「われわれは、Appleほど公正で安全な労働条件を確保している企業はほかにないと考えている」と述べた。

 「われわれは、サプライヤーと協力して欠陥に対処しており、継続的で大きな改善が見られる。だが一方で、われわれの取り組みに終わりはないことも承知している」(Appleの声明)

 Appleはまた、労働者が休憩時間に仮眠を取ることは普通のことであるとはいえ、勤務中に居眠りをしている証拠があれば調査するとも述べた。

 このBBCの報道によると、ほかにも、インドネシアで違法な採掘によるスズがAppleのサプライチェーンに流入している可能性を示す証拠が見つかったという。

 Apple側は、状況は複雑だと主張している。

 「最も簡単な方策は、Appleがインドネシアで採掘された一切のスズの受け入れを一方的に拒否することだ。われわれがそうすることは簡単であろうし、批判を免れることになるだろう。しかし同時に、それは事態の改善に向けてまったく手を打たないことでもあり、怠惰でずるいやり方だ。われわれは、この問題に関与し続けるとともに、現場で変化を促そうと努めることにした」(Appleの声明)

 Appleは、サプライヤーの責務に関する情報を公開しており、従業員のエンパワーメント労働者の権利と人権健康と安全環境説明責任といったテーマが取り上げられている。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。