告発文書問題 事実の認定や評価が分かれた主な論点
告発文書問題 事実の認定や評価が分かれた主な論点

 兵庫県議会の調査特別委員会(百条委員会)がまとめた調査報告書は、斎藤元彦知事のパワハラ疑惑について「(告発者の)文書内容はおおむね事実」、贈答品受領疑惑も「一部で事実誤認や臆測も含まれるが、一定の事実が記載」と評価した。何が本当かを巡り、交流サイト(SNS)で臆測やデマを含めた意見が飛び交ってきたが、県職員らへの証人尋問を積み重ねて結論を出した。

■職員が忖度せざるを得ず

 パワハラ疑惑では、机をたたきながら声を荒らげて怒る▽幹部に対し、夜中や休日など時間に関係なくチャットで指示-など7項目を事実と認めた。「出張先で20メートル歩かされて職員らを怒鳴り散らした」との内容については、斎藤知事が理由を聞かないまま「なんでこんな所に車止めを置いたままにしているんや」と怒鳴り、車止めを移動させた後も非常に強く叱責(しっせき)したことを認めた。

 それらの言動で「職員が斎藤知事に忖度(そんたく)せざるを得ず、県民本位の職務遂行がかなわなくなっている面があり、極めて深刻な事態が確認できた」とした。

■「おねだり否定できない」

 贈答品の疑惑を巡ってはカニやカキ、タマネギなど土産の多くを斎藤知事が持ち帰っており、「PRなどがなく個人として消費していたと捉えられても仕方がない行為もあったと言わざるを得ない。こうした行為が『おねだり』との臆測を呼んだことは否定できない」と結論付けた。

 同じく贈答品の可能性が指摘されたロードバイクとスポーツウエアは「無償貸与」だったと認定。ゴルフクラブは県として贈呈を受け、知事室に飾っていたとし、個人の受領は「確認できなかった」とした。

■キックバックは「捜査待ち」

 一方、文書には、2021年の知事選で県職員が斎藤知事側で事前運動をした▽政治資金パーティーの際、副知事や県OBが商工会などに圧力をかけて券を大量購入させた-との内容もあったが「確認できなかった」。阪神・オリックスの優勝パレードを巡る金融機関からのキックバック疑惑は「背任容疑の告発状が県警に受理されており、捜査当局の対応を待ちたい」とした。(高田康夫)