古い。古いわあ。にしても残業代は払え。
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世にブラックな発想の経営者は多いんですねえ。
安倍内閣は2015年4月3日、残業代も払わず24時間働かせることができる「残業代ゼロ」制度(ホワイト・エグゼンプション制度)を導入する労働基準法「改正」案を閣議決定し、国会に提出しました。
もしこのまま労働基準法が改悪されると、何時間働こうが事前に決めた時間分しか賃金が払われない「裁量労働制」も大幅に拡大し、「残業代ゼロ」制度とセットで、長時間労働とただ働きを野放しにする過労死大国日本がますます深化します。
1 まず前半のホワイト・エグゼンプション=「高度プロフェッショナル制度」と名づける「残業代ゼロ」制度は、「1日8時間、週40時間」の規制や残業・休日・深夜の割増賃金の支払いを免除。休憩や休日付与もなくし、24時間働かせることを可能にします。
「働いた時間ではなく、成果で賃金を払う」(安倍首相)といいながら、成果に応じて報酬を支払わなければいけないという義務の規定は一切なく、労働時間規制の撤廃と残業代の支払い免除だけが明記されました。
対象者には「年間休日」などを定めるものの、土日以外は無制限に働かせることが可能で、過労死基準を超える長時間労働にお墨付きを与える内容です。
年収要件は「平均給与の3倍を上回る」として省令で1075万円以上とする方針ですが、経団連は「400万円以上」を求めており、引き下げられるのは必至です。
教祖降臨 日経BP社
三木谷氏の生い立ちから、孫正義、ホリエモンなどとの交流、楽天社長として大成するまでの軌跡を書いた唯一の本。これだけの立志伝中の人物の割に彼のことを書いた本が少なすぎる。
2 後半の裁量労働制は、企画・専門業務に加えて新たに営業や管理業務にも拡大されます。こちらには年収要件はなく、「残業代ゼロ」制度より幅広い労働者が対象者となります。
しかも、出勤・退勤時間を自由に設定できるフレックスタイム制も、労働時間の清算期間を1カ月から3カ月に延長し、長時間労働と残業代なしの労働時間を増やす内容です。
もちろん、こちらにも成果に応じた賃金を支払うべき義務を課する規定はなく、労働者はまさに働き損です。
さて、それでもこの労働基準法「改正」案では、1のホワイト・エグゼンプション制度の方だけは働き過ぎを防ぐため、継続した休息時間の確保や、労働時間に上限を設けることなどを企業に義務づけています (2の裁量労働制拡大にはそんな規定さえないことに注意です)。
ところが、今回の改正案に対して、経団連に対抗して作った「新経済連盟」の代表理事である楽天の三木谷浩史会長兼社長がコメントを出しています。
知識社会での地球時間の働き方を目指して(改正労働基準法案閣議決定に当たってのコメント)
この中で、三木谷氏はベンチャー企業においては「時間という評価軸が馴染まない」とした上で、労働時間管理制度を適用除外することを引き続き検討していくべきと述べています。
『ベンチャー企業の場合、多くの従業員が企画型の業務を行い、ストックオプションをもらっていることも多く将来的リターンも大きいことにも留意が必要です。
また、知識と情報を源泉とした高付加価値型サービスを提供することを中心的な活動とする企業等では、従来の時間という評価軸がなじまないことにも留意が必要です。
このような企業に対しては、健康管理の枠組みを担保しつつ労働時間制度を適用除外することを引き続き検討していくべきと考えます。』
いやはや、労働時間制度の適用除外にするということは、1日8時間労働だとか週40時間労働だとかいう制限を全部取っ払って!そもそも残業だの、休日出勤だのと言う概念をすべてなくす!!ということですから、物凄いですよね。
まさに、1日24時間、年365日働けってことです。凄いよ。産業革命の時のイギリスかよ。いや中世?いや奴隷制?
かなり中世入ってる。いや奴隷の親方?
もう、この奴隷労働法制には突っ込みどころ満載なのですが。
1 ベンチャー企業って何?
ベンチャー企業とは、ベンチャービジネスの略であり、新技術や高度な知識を軸に、大企業では実施しにくい創造的・革新的な経営を展開する中小企業を指すとされています。
主にIT産業に使われることが多く、楽天傘下の様々な子会社などはその典型だと思うのですが、もちろんITには限りませんし、なにしろベンチャー企業の定義はあいまいで、奴隷制にされる企業がどれだけ拡大するか全く予測不可能です。
とにかく、三木谷氏が楽天でこれをやりたいのだけはよくわかります。
2 ストック・オプションで将来的にリターンが多いから、残業代・休日出勤代・超過手当は要らない?
ストック・オプションと言うのは、従業員に対する報酬の一部としてその勤務する会社の株式を与えておく制度です。
こうしておくと、もし一生懸命働いてその会社が上場でもしようものなら、従業員の株式の価値は飛躍的に上がるということで、従業員のモチベーションを上げる方法として知られています。また、この制度によって企業買収を防げたり、会社の資産が増えたりします。
つまり、ストック・オプションと言うのは会社の利益にもなる制度で、従業員の残業代などだけ減らすのは不公平なんですね。もちろん、報酬を株式で支給した分、会社はその分の現金は助かっているわけですし。
また、「将来的には」というところがくせ者で、従業員が残業代なしに頑張っても、株の価値が上がるか、まして会社が上場できるかなどは運任せ、というよりほとんどないことなんです。ですから、従業員はまさに働き損になる可能性が100%近いということになります。
つまり、将来リターンがあるから残業代を今我慢しろと言うのは何重もの意味で不合理なんです。
どんな世界標準なんだか。まさか、グリニッジ天文台の世界標準時に合わせて仕事しろと?
3 知識がなんちゃらの高付加価値型の企業体では従来の時間という評価軸がうんちゃらなんちゃら?
三木谷氏は、以上の斜文字の部分の前振りで、
「インターネットというグローバルネットワークにより、ビジネスは国境をまたぐ状況で、地球時間での対応、24時間のグローバルオペレーションが求められています。」
などと横文字言葉を多用しているのですが、要は海外と取引していると時差の関係でいつメールなどの連絡が来るかわからないから、24時間体制で働けということですね。
しかし、そんなん、海外との取引のある会社なら昔からそうでしょ?海外とやり取りするから「時間軸」なしで働けと言いだしたら、物凄くたくさんの会社で24時間休みがなくなるでしょう?
というか、三木谷氏はまさに1日24時間働けと言っているわけで、そんなことしたら、労働者は死に絶えます。
24時間仕事バカ!は1人でやってほしい。
4 健康の枠組みを維持しつつ、労働時間制度の適用を除外する?
いやいやいや、まさに労働時間を制限することが、労働者の健康管理の枠組みの最たるもの。基本中の基本で、労働時間を長時間にしたり、不定期にしたりしたら、それを補う健康維持の方法なんてありえないのです。
そもそも、労働者の労働時間制度は、イギリスで産業革命が起こり、1日15時間も20時間も労働者を働かせていたらどんどん病気になって死んでしまったので、これでは工場側も働き手がいなくなって元も子もない、ということで工場法などが制定されたのがその起源です。
労働時間の制限はそんな数百年前からの国際的な標準であって、これなしに国民の健康を保つことはできません。
そもそも、三木谷氏は、日本の労働者は労働時間が先進国の中でも長すぎて、過労死・過労自殺大国となっていることを全く認識していないのではないでしょうか。
というわけで、新経済連盟なんていう経済団体をでっち上げて、しょっちゅう安倍首相に来てもらったりしていますが、三木谷楽天会長の経営センスは酷いですね。
もうブラックもブラック、真っ黒クロすけです。
こんな人が日本経済のリーダーだなんて、日本の将来も真っ暗暗闇です。
楽天流 講談社刊の最新自画自賛本。
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ユニクロ、iPhone、セブンイレブン、楽天カード。ワタミ以外全部使ってるんだけどどうしたらいいんだよ。
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2015年4月3日
一般社団法人新経済連盟
代表理事 三木谷 浩史
本日、改正労働基準法案が閣議決定されたことを受けて、以下のとおりコメントいたします。
1.今回、昨今の経済構造の変化や労働環境の変化を踏まえて、労働時間等の規定が適用除外となる「特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設」が導入されたことは、多様で柔軟な働き方を認めていくうえで一歩前進したと理解します。
2.一方で、経済構造は、知識集約型にシフトし、時間ではなく成果が求められるようにますますなってきています。
また、インターネットというグローバルネットワークにより、ビジネスは国境をまたぐ状況で、地球時間での対応、24時間のグローバルオペレーションが求められています。
この結果、時間や場所の制約を受けない柔軟なワークスタイルや成果に基づく業績評価などがますます進み、現行の硬直した労働法制になじまない職種、仕事、働き方は拡大していきます。
したがって、上記1.の制度の創設だけでは対応しきれない部分があります。
3.ベンチャー企業の場合、多くの従業員が企画型の業務を行い、ストックオプションをもらっていることも多く将来的リターンも大きいことにも留意が必要です。
また、知識と情報を源泉とした高付加価値型サービスを提供することを中心的な活動とする企業等では、従来の時間という評価軸がなじまないことにも留意が必要です。
このような企業に対しては、健康管理の枠組みを担保しつつ労働時間制度を適用除外することを引き続き検討していくべきと考えます。
また、昨今の時代変化に合わせて、新たな企業やベンチャー企業などを代表する委員の追加など労働政策審議会の委員構成の見直しを図っていくべきと考えます。
(参考) 新経済連盟では、「知識社会型新たな就労環境実現PT」を設置し、上記の問題意識のもとに議論を行っており、直近では下記の提案をしています。
・2014年8月29日
国家戦略特区のヒアリングの際に、上記3.を提案
・2015年2月12日
規制改革会議公開ディスカッションで、多様な働き方を実現する上で課題となっている事例(スタートアップ、クリエイティブワーク、グローバル対応、テレワーク)を提示
以 上
今野晴貴 | NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。
2015年3月3日 13時36分
政府主催の産業競争力会議の1月29日の本会議における、三木谷浩史氏(楽天株式会社代表取締役会長兼社長)の発言が話題になっている。発言内容は以下の通りだ。
(三木谷議員)
雇用に関してだが、ベンチャーはぜひこの対象から外してほしいと思う。私もそうなのだが、ベンチャー企業というのは夢を見て24時間働くというのが基本だと思っているので、そういう会社に残業云々と言われても正直言って困る。我々も会社に泊まり込んで仕事をやっていた。ベンチャーはこの対象から外して、そのかわりがぽっと公開したらもうかるというものではないかなと思う。
簡単に言うと、「ベンチャー企業は、労働時間規制の対象から外した方がいい」ということだ。また、三木谷氏の本業であるIT企業が念頭に置かれていることが推察される。
三木谷氏は社員の「命」に責任をとれるのか?
三木谷氏が「ベンチャーには必要ない」という労働時間規制とは、そもそも何のためにあるのだろうか。それは、従業員の健康と健全な業務の進行を守るためだ。
長時間労働は100年以上前から国民の健康を損ない、平均寿命すら下げることが知られている。とりわけ炭坑や製造業では、長時間労働の疲労は死亡事故にもつながる。機械を誤って破損させれば、企業の被害も甚大になってしまう。
これは非肉体労働系の事務職やIT労働でも事情が同じだ。統計的なデータからは、睡眠時間が短いと脳や心臓の疾患を引き起こしやすいことがわかっており、今では「月80時間」という「過労死ライン」、つまりこれ以上の残業を継続すると過労死のリスクが極めて高くなるラインも厚生労働省によって定められている。また、長時間労働が続けば、ITの設計ミスなども発生しやすくなるだろう(新生銀行など、相次ぐITトラブルも過重労働と無関係ではないだろう)。
24時間働き続けたとしても、死なない人もいるかもしれない。しかし確実に「過労死」や深刻な健康被害をこうむるリスクは高くなるし、1日や2日寝ないで働けるという人もそれが継続されると確実に心身を病むのである。
労働時間規制を取り払うことを求める発言をした三木谷氏であるが、彼は数多くのベンチャー企業の社員の「命」と「健康」、健全な業務遂行に責任をとれるのだろうか? もし死亡事故が多発し、日本のITビジネスに対する信用が損なわれたら、彼個人には責任を取ることができるはずもない。
労働者と経営者の立場は違う
とはいえ、経営者であれば業種を問わず現時点でも労働時間規制の対象からは外されている。彼ら経営者は雇われて働く「労働者」ではないため、労働時間や休日に関する規制が適用されないからである。いわば、経営者の労働は「自己責任」だ。
会社を大きくしたベンチャーの社長や役員は、巨万の富を築くこともできる。つまり、彼らは「自分のために働いている」わけだ。確かに経営者がそれぞれの夢や目標をもつのは自由であり、そのために様々なリスクを受け入れた上で、それでも身を粉にして働くことを選択することは「自己責任」かもしれない。
だが、会社にただ雇われているだけの一般の社員はこれとはまったく対照的だ。彼らが社長たちの「夢」に付き合わされる義務はない。彼らは「自分の所有する会社」でもなんでもない会社のために、自分の健康を害するリスクを背負う必要などないのである。
もし、労働時間に縛られないほど働かせたいのであれば、それだけの「対価」を支払わなければならない。
「一般社員を社長と同じ扱いにしろ」
実際に、経営者でなく雇われている労働者の中でも、自社の株を何割も持っていたり、経営者と実質的に同じ立場にある人もいる。これらの人は会社が成長することで、直接莫大な利益を得ることができる。
実は、彼らは、すでに労働時間規制の対象外となっている。「会社と立場を同じくする」ために、労働法の規制の必要性は薄いと判断されているのである。だから、ベンチャー経営者やその同志たちの労働時間を規制する法律は今のところ存在しない。
つまり、三木谷氏の「ベンチャー労働者の規制をなくせ」という発言の意図とは、会社が成長することで直接的には何の利害も得られない「一般労働者」も24時間、経営者に付き合わされることを自由にしろ、ということなのである。いわば、「定額¥働かせ放題」を合法化せよ、ということだ。
IT産業の搾取構造
では、「ITベンチャー」の労働者というのはどのようなものなのか。
「ベンチャー」と言われると、実際に起業したり新しいシステムを考案したりするクリエイティブに活動している人を想起する人が多いかもしれない。実際そのような人も確かにいる。
しかし一方、重層的な下請け構造の中で、ひたすら上からの指示のもとプログラムを打ち込んだりする単純労働に従事する人も多い。彼らはあまりにも劣悪な労働条件、そしてそれを生み出す下請けの構造から「IT土方」と呼ばれることもある。
そしてその作業の単純さのため、この業界ではたんに「働いた人×労働時間」によって商品の単価が決まってくる。つまり、安く・長く働かせるほど、「経営者の利益」になる仕組みなのである。
今回の労働時間規制の緩和やその中から出てきた三木谷氏の発言は、こうした労働者を「定額働かせ放題」にして、無限に搾取しようという意図ではないだろうか。
また忘れてはならないのが、そうした労働時間規制の改革が行われる前、つまり今の時点でもITベンチャーの中では、裁量労働制を導入されたり労働管理監督者と扱われたりして、長時間労働を強いられ、過労死や過労自死、鬱病に追い込まれる労働者がごまんといることだ。
裁量労働制とは、仕事上の裁量権が高い労働者に対し、一定時間はたらいたことと「みなす」制度である。これが適用されると、会社は正確な残業代を支払わなくてよくなるのだが、本当は裁量がない社員に違法に適用していることが珍しくはない。また、管理監督者とは、先ほどの「会社と立場を同じくする者」のことを指すが、これを一般の社員にまで違法に適用し、残業代を支払っていないケースも多々ある。
私の労働相談窓口には、ITベンチャー企業からの労働相談が多数寄せられている。二つの事例を挙げよう。
1000人以上規模のIT企業で働く女性からの相談事例。5年間勤めていたが、プロジェクトが重なり納期が迫った時期に、残業が急激に多くなった。月に200時間以上の残業を迫られ、手が震える、仕事効率落ちるなどの症状が現れた。プロジェクトのリーダーに仕事を減らしてほしいと頼んだが、拒否された。次第に起き上がれなくなった。労働条件は「専門型裁量労働制」だが、実態は上司から仕事の指示を受けて仕事をしていた。
600人規模のIT企業に勤める男性からの相談事例。事務処理のためのシステムの構築を行っている。残業時間は平均して月60~70時間程度。繁忙期では100時間を超えることもあった。実際には労働時間に関する裁量権などないにもかかわらず、「裁量労働制」が導入されており、残業手当は一切無く、毎月定額の裁量労働手当が支払われるのみである。上司は、退職金と定期昇給の原資を確保するために、毎年新規の顧客獲得が必須だと言っている(長時間労働で稼げ、ということだろう)。裁量労働制ではない他部署では、もっと短時間で帰宅でき、不公平感を感じている。
一つ目は、「定額働かせ放題」の結果、心身を壊すまで酷使されてしまった事例だ。一度健康を損なってしまうと次に働くまでに膨大な費用がかかってしまう。これは国全体にとっての損失だ。二例目は、残業代を支払わないため、「長く働かせた方が得だ」と会社が考えていると思われるケースである。
ITベンチャーが成功することは素晴らしいことだが、一般の社員を使い潰して行われる成長は、日本社会全体の成長や生産性を犠牲にした、身勝手なやり方である。日本全体の生産性の観点からも、「ベンチャーなら規制を外してもいい」ということには、到底ならないのだ。
ブラックな労務管理は違法であり、対処できる
今や「君の仕事には裁量がある」、「企業家精神を持て」などの言葉で若者を煽り、長時間労働に追いやったり、労働時間管理を全くしないことを正当化するのは典型的な「ブラック企業」の手口だ。一般の社員に対し、「お前は経営者だ」とうそをついて煽り立てるのだ。このような企業はまさに戦略的に若者を煽って使い潰すことによって利益を出している。
今回の三木谷氏の発言も、この広がりつつある「ブラック企業」の戦略に通ずるものがある。
だが、決して忘れてほしくはないのは、上に挙げた事例を含め、大半の裁量労働制や管理監督者の適用は、今はまだ「違法」だということだ。ブラック企業に嫌気がさせば、社外の専門家に頼ることで、多額の残業代を求め、転職の原資にすることができる。
「残業代ゼロ」の先取りをされているIT企業の皆様には、ぜひ労働相談窓口を訪れてほしい。
NPO法人POSSE(無料相談窓口)
ブラック企業被害対策弁護団(全国300人以上の弁護士が対応)
今野晴貴
NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。
NPO法人POSSE代表。年間1000件以上の若年労働相談に関わる。雑誌『POSSE』を発行し、政策提言を行っている。一橋大学社会学研究科博士課程在籍。2013年には「ブラック企業」で流行語大賞トップ10、著作『ブラック企業』は大佛次郎論壇賞(朝日新聞社)を受賞。著書に『ブラック企業ビジネス』(朝日新書)、『生活保護』(ちくま新書)など多数。1983年生まれ。仙台市出身。
嶋崎量 | 弁護士(ブラック企業対策プロジェクト事務局長)
2015年4月7日 0時3分
ブラック企業被害対策弁護団「ブラック法案によろしく」
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繰り返される誤報
労働時間でなく成果で…労基法改正案を閣議決定
出典:
2015年04月03日 11時07分 The Yomiuri Shimbun
“成果で報酬”新労働制度を閣議決定
このような誤報に対しては、このYahoo!ニュースでも、数多くの記事で警告が発せられてきました。
法案に即した解説はこちらの佐々木亮弁護士の記事をご覧下さい。直ぐに納得していただけます。
また、私も以前こんな記事で、成果主義賃金と無関係であることを書きました。
そもそも、この制度は成果主義賃金とは無関係です!
重要なことなので繰り返し書きますが
この制度は成果主義賃金とは無関係です!
しかし、誤報は止まりません!!
この「残業代ゼロ法」(「定額¥使い放題法」)を、「時間では無く成果に応じて賃金を支払う制度」と誤報が繰り返され、政府のデマ報道をそのまま報じています。
この問題について、深く知る(「深知り」)以前に、間違った知識を視聴者に植え付ける誤報は止めて欲しいものです。
しかも、誤報と分かっていながらの誤報ですから、罪深いことこの上ないです。
NHK NEWS WEB さんは、私自身も出演させていただいた事がある思い入れのある番組ですから、残念でなりません。
この記事では、なぜこの「成果に応じて賃金を支払う制度」という誤報が罪深いのか、何を狙って政府がこの様な明らかなデマを繰り返し垂れ流しているのか、その理由を説明します。
罪深いのは何故か?
端的に言えば、
と騙されて、制度に反対する世論を潰す(少なくとも反対する世論の盛り上がりを防ぐ)意味があるからです。
例えば、こういった誤解。
成果を出せば早く帰れるという誤解
→ 間違いです。
そもそも、この制度は成果主義賃金とは無関係で、残業代をゼロにするだけです。
ですから、成果を出したら、短時間で帰れるわけではありません(ここ、重要です)。
また、使用者は、成果を出した労働者に対してはさらに業務を増やす命令を出すこともできます(労働者は基本的に拒否できません)。
普通の企業では、成果を出せば出すほど仕事が増える。これが常識です(残念ですが)。
結果としては、成果を出すと、かえって仕事が増え、帰宅時間も早くならない可能性が高いのです。
つぎは、その発展バージョン。
成果さえ出せば早く帰れるから、育児・介護などと両立ができる
→ 無理です。早く帰れません。
大事なので繰り返しますが、成果を出しても、早く帰れません。
長時間労働が蔓延する日本の社会では、長時間働けなかった家庭責任を負わされた女性労働者や病気を抱えた労働者が、事実上離職を強いられるケースは数多あります。
そんな経験がある方は、この報道をみて、自分もキャリアアップの可能性が増えると考える、これが政府のデマ拡散の理由でしょう。
この法律ができても、長時間労働が今より蔓延して、長時間労働できない労働者は、より排除されていくでしょう。
皆さん、冷静に考えてみてください。
残業代不払いを合法化しようとしてこんな制度を導入しようとする企業が早く帰らせるなんて、甘い見込みだなぁと思いませんか?
ちなみに、今の労働法でも、成果を挙げたら短時間で帰れる制度は導入できます。
だから、本当に政府のデマどおりの制度を作りたいなら、法律を変えなくても、今すぐ企業が導入できるのです。
→そんなことは法案に書いていません。
自由な出退勤を認める制度ではありませんし、そもそも成果を出しても早くは帰れません(使用者は、さらに仕事を追加で命じられる)。
成果で評価されれば、公平に賃金を支払ってもらえる
→この制度が導入されたことで、公平な賃金が実現するわけではありません。
例えば、正社員と同じ仕事をしていても、非正規という理由で賃金が安い労働者
また、先輩社員より成果を挙げていても、後輩という理由で少ない賃金しか支払われない方
成果を挙げても、男性より賃金が低い女性労働者
そんな方が、成果を出せばきちんと公平に賃金を払ってもらえるのでは無いかと、この制度を期待しているのでしょう。
残念ですが、この制度で公平な賃金支払が実現することはありません。
正社員と非正規労働者との賃金格差、女性労働者と男性労働者との賃金格差、崩壊しつつある年功賃金制度(昔のように年齢を重ねても給料が上がらない)の矛盾。
こういった、多くの労働者の不満を解消するかのように誤解させようと、意図的に拡散されているのが、「成果に応じて賃金を支払う制度」というデマです。
政府のデマを確信犯的に報じるメディアの責任
重要なのは、報道機関のほとんどは、「時間では無く成果に応じて賃金を支払う制度」という政府の説明がデマであることを理解した上でこのような報道を続けていることです。
いわば、確信犯です。
例えば、私の所属する日本労働弁護団とブラック企業対策プロジェクトでは、厚生労働省担当の記者の皆さんと懇談会を行い、「時間では無く成果に応じて賃金を支払う制度」という政府の説明がデマであることは、みっちりとお伝えしました。
主要メディアの記者の皆さんは、参加されていました。
ですが、デマは、一向にとまりません。
メディアの良心はどこにいったのか?
この報道は、偏った報道だというだけではありません。
明らかに誤った報道を、誤っていると知りながら、続けていることがはるかに問題なのです。
そして、その結果として、デマを信じて世論形成がなされていくことも、十分にメディア関係者は分かっているはずです。
心あるメディアの皆さん。速やかに、訂正報道!!をお願いします。
皆さんに出来ることは?
こんな署名活動をやっています。
簡単なネット署名で、3分で署名できます。
ぜひ、署名と拡散にご協力ください
嶋崎量
弁護士(ブラック企業対策プロジェクト事務局長)
1975年生まれ。神奈川総合法律事務所所属、日本労働弁護団常任幹事、ブラック企業被害対策弁護団副事務局長、反貧困ネットワーク神奈川幹事など。民事・刑事・家事事件に加えて、働く人の権利を守るために活動してきた。近時は、弁護士の立場からブラック企業被害対策やワークルール教育法推進、貧困問題対策などの活動を行っている。共著に「ブラック企業のない社会へ」(岩波ブックレット)、「ドキュメント ブラック企業」(ちくま文庫)、「企業の募集要項、見ていますか?-こんな記載には要注意!-」(ブラック企業対策プロジェクト)、「働く人のためのブラック企業被害対策Q&A」(LABO)など。
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自分もそう思います。
「気合いと根性こそ成功の絶対条件」という三木谷氏個人の信念を社会に押し付けないで欲しいですね。
そもそも今日、成功よりかはささやかな安定した暮らしを望んでもなかなか叶うことが難しい時代。
個人の信条としては三木谷氏のような考えもアリだが、社会状況が求めているものはそんなことじゃないと思います。
三木谷氏は24時間仕事ができるような環境にたまたまあるのかも知れないが、大多数の人間には家族との団欒や近所付き合いや親の世話や友人との付き合いといったプライベートな時間や地域での活動といった公的活動に要する時間が絶対いるわけです。
仕事ばっかりしてるなんて他の誰かを犠牲しているに過ぎないこと、他の誰かの犠牲の上にしか成り立たないことだと思います。
「黒人の命は大切だ」(Black Lives Matter)運動が起きている米国では黒人が白人警官にあっさり射殺されている今、日本では弁護士連中がブラックにあらゆる悪を含意してのこの言葉使い、知的退廃の極みでしょう。まあ以下の自民党のトンデモ議員の梶山静六の人種差別発言と貴方の発言を比べてみてください。いかほどの違いでしょうか?
★1990年、自民党の梶山静六法務大臣。資格外就労の外国人女性の摘発をめぐって、
「たとえば、悪貨は良貨を駆逐するというが、アメリカにクロ(黒人)がはいって、シロ(白人)が追いだされているような混在地になっている」
と発言
そうトンデモ和製英語「ブラック」の使用者は梶山静六並なのです。ちなみに米国黒人の最も好ましい呼称はブラックのようです。「ブラック・イズ・ビューティフル(黒は美しい)」運動を経験していますから。そうブラックはそれ以前は差別語として機能していました。