原爆の日の平和記念式典にロシアとパレスチナは招待せずイスラエルは招待する広島市の支離滅裂な対応。ロシアもイスラエルも排除する長崎市の平和主義に徹底した方針と比較すれば、広島市の親米右翼思想は明らかだ。
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1945年8月6日と9日、広島・長崎に米軍により原子爆弾を落とされ、合わせて数十万人の人が亡くなられ、その後も被爆者の方々は原爆症に苦しみ、亡くなってこられました。
その原爆の日を前に、大学1年生の時に広島と長崎の被爆者の方々に出会って以来核兵器廃絶と被爆者援護を目標に弁護士になった私としては、とても残念な記事を書かなければなりません。
実は、原爆の日に毎年行われる平和祈念式典で、イスラエルを招待するか否かで、広島市と長崎市で対応が割れているんです。
広島市は、ウクライナを侵略しているロシアとベラルーシに関しては招待しない一方で、ガザ攻撃でのジェノサイドを止めようとしないイスラエルに関しては招待し、パレスチナの代表は招待しないという露骨なダブルスタンダードで対処することに決めました。
他方、長崎市はロシアもイスラエルも式典に招待せず、パレスチナ暫定自治政府の駐日代表部を式典に招待するという、平和の希求として首尾一貫した極めてまっとうな対応をすることを2024年7月31日に発表したのです。
国際司法裁判所に核兵器の違法性について勧告的意見を求めた世界法廷運動についての個人的思い出
ダブスタの広島にも一応理屈はあって、式典に招待する対象を
1 核兵器禁止条約の非署名・非加入国の首脳と
2 政府が国家承認する国の大使
としているのですが、パレスチナは条約を批准しており、かつ、日本から国家承認されていないため、式典に招かないのだというのです。
1については核兵器禁止条約を締結してほしいから非署名・非加入国を選んで招待しているというので、イスラエルを招待するというのですが、そしたら同じく非署名のロシアやベラルーシは招待しないといけないはずです。
核禁条約に背を向ける国の中でも、ウクライナを侵略しているからロシアやベラルーシを招かないのなら、ガザ侵攻でパレスチナ市民を大量に虐殺しているイスラエルも当然招待すべきではありません。
この両者を区別する合理的な理由は全くない。
イスラエル・パレスチナ戦争から見えてくるウクライナ戦争の真実。「たかが領土」ではなくイスラエル政府の強制入植もロシア政府の4州併合も違法。侵略しているロシアに対して即時撤退を要求するのは当たり前だ。
実は、広島市はイスラエルに5月末に招待状を送り、
「現在起きている武力衝突により、多くの人々の命と日常が奪われている」
「極めて遺憾」
「一刻も早く停戦し、対話により問題解決することを願っている」
などとメッセージを書き添えたというのですが、そこまでわかっているなら、核兵器廃絶と平和を祈念する式典としては、ロシアと同じくイスラエルも招待したら駄目です。
なにしろロシアのプーチン大統領はウクライナと欧米諸国に何度も核による威嚇を繰り返し、メトベージェフ前大統領は2023年7月5日に公開した動画で
「世界大戦を含むあらゆる戦争はすぐ終わらせられる。
講和条約を結んだ場合、あるいは1945年の米国による広島と長崎への原爆投下と同じことをした場合だ」
と脅迫していますから、ロシアを招待することはもちろん論外です
「ロシアが核の威嚇射撃を行い、NATOがこれに小型の攻撃で応戦すると、最初の数時間に9000万人以上の死傷者が出る」(プリンストン大学)。核兵器禁止条約の全国家批准しか、人類の生き残る道はない。
親露派陰謀論者が、広島・長崎で行われるのは平和式典だから、広島市はロシアも招いてダブスタを解消すべきだとⅩに投稿していたのには、それはそれで呆れた。
平和式典だからこそ現在進行形の侵略国ロシアは招待できないのだ。長崎市の対処が正しい。
ロシアのメドベージェフ前大統領がウクライナの反転攻勢に「1945年の米国による広島と長崎への原爆投下と同じことをしたら戦争はすぐに終わらせられる」と威嚇したことは国際法違反で絶対に許されない【改】
しかし、広島市がイスラエルを原爆の日の式典に呼ぶのは言語道断で、イスラエルのネタニヤフ政権の閣僚で反アラブの極右政党オツマ・イェフディットに所属するアミハイ・エリヤフ大臣が2023年11月5日に地元ラジオのインタビューで
「ガザ地区には今戦闘に参加していない人がいない」
「したがってガザ地区に人道的救済を提供するのは(戦争)失敗の口実になる」
と主張し、 また
「戦闘に参加しない人がいないと思うので、核攻撃も一つの選択肢になり得る」
と述べているんです。
今年も平和式典に招かれなかったパレスチナの駐日常駐総代表部のワリード・シアム代表は、パレスチナ自治政府が広島の原爆式典から排除され、イスラエルだけが招待されていることについて
「ガザへの核兵器使用の検討や虐殺・民族浄化行為の継続により、パレスチナ人の絶滅を呼びかけていると非難されている」
と主張したのは誇張でも何でもないのです。
イスラエルのネタニヤフ政権の閣僚がガザへの核兵器の使用も「選択肢の一つ」。ガザへの人道支援物資の搬入に反対してパレスチナ市民は「砂漠にでも行け」。非道の限りを尽くすイスラエル軍はガザから即時撤退せよ。
一方、長崎市は8月9日の平和祈念式典に
「不測の事態のリスク」
を理由にイスラエルを招かない一方、日本に在外公館を構えるすべての国や地域の代表を招待するとして、パレスチナは招くのです。
これは、長崎がイスラエルをあえて招待しないことを理由づける苦肉の工夫と言えます。
とにかく、国際社会から見れば長崎は平和の式典の主催者として極めてまとも。
これに対して、侵略しているロシアを招かず、侵攻しているイスラエルは招き、侵攻されているパレスチナを招かない広島市のやっていることは支離滅裂にしか見えません。
「ジェノサイドをするイスラエルを招待するな、広島」「イスラエルは広島で歓迎されない」というプラカードを掲げて広島市の対応に抗議する市民たち。
イスラエルのネタニヤフ首相がアメリカ上下院で演説。ガザで無差別殺戮を行ない、国際司法裁判所からは攻撃を差し止められ、国際刑事裁判所に逮捕状が請求されているネタニヤフ容疑者に演説させるアメリカは異常だ。
この広島と長崎のあまりにも違う対応について、前述のパレスチナ駐日総代表部のワリード・シアム氏は広島市について
「破壊的な原爆投下を経て平和を象徴する都市」
なのに
「広島は抑圧された人々の側に立つのではなく、抑圧する側を招待することを選んだ」
「失望している」
と言っています。
世界中がダブスタだらけ。
パリ五輪開会。ウクライナを侵略して戦争犯罪を繰り返しているロシアに参加を認めないのはいいが、ガザでジェノサイドをしているイスラエルには参加を認めるIOCとフランスのマクロン大統領はダブスタだ。
また、大阪女学院大教授で国際人権法を専門にされている高橋宗瑠氏が
「平和を愛する国が集まり、ともに平和を願う場に、まさにジェノサイドをしている国を招待するのは言語道断だ。これで平和式典と言えるのだろうか。」
「ウクライナに侵攻するロシアやベラルーシを拒否する一方で、イスラエルを招待するのは二重基準も甚だしい。これでは、米国の軍事同盟のお友達のための式典になってしまう。」
とおっしゃっているのはまさに正鵠を射ていると言えましょう。
どう考えても広島市のダブスタ対応は、大阪万博からロシアを排除してイスラエルにはパビリオン設置を認める岸田政権と同じで、まさにアメリカファーストの価値観に基づく対応だと言えます。
岸田文雄氏が総理大臣で、松井一実氏が広島市長ではロシアもアメリカもイスラエルも含めて、世界中の核保有国に核兵器を廃絶させる夢など実現するわけがありません。
核兵器のない世界へ 勇気ある平和国家の志
凄まじい偽善の書。
広島選出で「核のない世界」を目指すことを売り物にする岸田首相が、首相としての初めての広島平和祈念式典での挨拶で、核兵器禁止条約について触れないだけでなく、一言も「核兵器廃絶」とさえ言わなかった。
G7サミットで広島ビジョンを打ち出した「岸田文雄首相にノーベル平和賞を」というお笑い。核軍縮を言っても核廃絶は言わず、核抑止論を前提にしている広島ビジョンは核廃絶に向かって1ミリも前進していない。
78回目の広島原爆の日。核兵器禁止条約に背を向ける岸田文雄首相に「核のない世界」を言う資格はない。G7広島サミットの「広島ビジョン」も核兵器の存在を前提にする核抑止力論に立っていることを忘れるな。
参考記事 村野瀬玲奈の秘書課広報室さんより
「松井一實市長の広島市がプーチン国(ロシア)を平和記念式典に招待していないことを考えたら、イスラエルを平和記念式典に招待することはとてつもないダブルスタンダード(二重基準)です。松井一實市長がどう言い訳や理由付けをしようとも、イスラエルを平和記念式典に招待するというだけで、平和記念式典の意義は穢されると多くの人が感じることでしょう。
原子爆弾で破壊され虐殺された町が、現在パレスチナを破壊しパレスチナ人を虐殺しているイスラエルを平和記念式典に招待する、これ以上の矛盾があるでしょうか。」
広島市は平和都市を名乗る道義的資格を失いつつあると思いました。 @HiroshimaCityPR
「今こそ停戦を」一派からはウクライナ戦争「徹底抗戦派」と揶揄されるシバレイさんのブログから
これが広島市が平和式典に招待する国のやっていることです。
— ジャーナリスト志葉玲 (@reishiva) July 31, 2024
「女性は敵、赤ん坊は敵、妊婦は敵」イスラエル側の”真意”とバイデンの偽善https://t.co/CMEGdKKQYv#ガザ
広島市の傲慢、イスラエル招待のダブルスタンダードで平和式典を汚す―長崎市と明暗
ウクライナ危機から問う日本と世界の平和 戦場ジャーナリストの提言
広島市の今回の矛盾した対応は、村野瀬代表の
『教育勅語に民主主義的な発想があると信じる人に教育勅語徹底批判を理解してもらうのは、天文学がなかった時代の人々に「地球は太陽の周りをまわっている」と理解してもらうような作業です。』
という記事で取り上げられている、広島市の松井一實市長が自分が講師を務める市の新規採用職員研修で、「教育勅語」について
「民主主義的な発想の言葉が並んでいる」
などとして研修教材に使うような右翼思想を持っていることと大いに関係があると考えます。
民主主義を教えたいなら、天皇の赤子として戦争で死ね、と教える教育勅語をわざわざ教材に使う必要性なんてあり得ないです。
こういう安倍媚べ、いやアベコベをアベコベとも感じない信条の持ち主だから、侵略国ロシアは原爆式典に呼ばないけどイスラエルは呼ぶ、そしてパレスチナは呼ばないという矛盾も平気の平左なんですよ。
つまり、親米右翼だからこれらのことをやってしまえるのだと思います。
被爆都市広島は松井市長を次の選挙で落とすべきです。
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8月6日の広島原爆の日に行われることしの平和記念式典に広島市がイスラエルを招待していることについて、駐日パレスチナ代表部は「被害者が招待されず、加害者が招待されている」として広島市の対応を非難しました。
被爆から79年となる原爆の日の平和記念式典をめぐっては、広島市がロシアとベラルーシをおととしと去年に続いて今回も招待しない一方で、ガザ地区での戦闘を続けるイスラエルには即時停戦を求めるメッセージを記載したうえで招待し、イスラエルの駐日大使が参加する予定です。
広島市は、国家ではないとしてパレスチナ自治政府を招待しておらず、これについて、駐日パレスチナ代表部は旧ツイッターのXで「破壊の被害者として知られ、平和を訴える広島市がパレスチナを招待しないのは衝撃的です。この決定はダブルスタンダードです」とするコメントを投稿しました。
NHKの取材に対し、駐日パレスチナ代表部のワリード・シアム代表は、「被害者が招待されず、加害者が招待されている」などとして広島市の対応を非難しました。
広島市は、「2006年以降、紛争地域かどうかにかかわらず、日本に大使館がある国は招待しているが、パレスチナは政府が国家として承認していない以上招待の対象外になる」としています。
イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ地区への侵攻がやまず、国際社会からの非難が強まっている。そうした中、広島市が8月6日の平和記念式典にイスラエルを招待することに波紋が広がっている。高橋宗瑠・大阪女学院大教授(国際人権法)に聞いた。【鵜塚健】
「人権の危機起きている」
――ガザ地区の情勢についての受け止め方を。
状況は悪化するばかりだ。これまでイスラエルは、大規模攻撃の際にいろいろ理由をつけてきたが、最近はそうした釈明もしなくなった感がある。多くの民間人が犠牲になり、明らかに国際法を守っていないのに、開き直っている印象だ。イスラエルは食糧や水、薬のガザ地区への搬入も極めて制限しており、現地ではポリオなどの病気もまん延している。
犠牲者数は少なくとも3万9480人(8月1日現在)とされるが、病気やインフラ破壊などで間接的な死者が増え、英医学誌「ランセット」は約18万6000人に上ると推計している。これはガザの人口の8%にあたる。
ガザでは多くの市民が犠牲になっていると伝えられるが、誰が爆撃をしているのか、主語を明確にすべきだ。私はイスラエルの殺りくによって人権の危機が起きていると考える。
国際司法裁判所(ICJ)は、イスラエルの行為はジェノサイド(大量虐殺)に当たる可能性が高いと指摘し、アパルトヘイト(人種隔離)体制にあると指摘した。国際刑事裁判所(ICC)がネタニヤフ首相らの逮捕状を請求したが、イスラエルはこれらを全く無視している。長い間、国際社会がイスラエルを放置してきたツケだ。ネタニヤフ首相が7月に米議会で演説し、拍手喝采を受けた光景は見るに堪えないものだった。
「間違ったイメージにつながる」
――広島市はイスラエルを招待する。
平和を愛する国が集まり、ともに平和を願う場に、まさにジェノサイドをしている国を招待するのは言語道断だ。これで平和式典と言えるのだろうか。<picture></picture>
ウクライナに侵攻するロシアやベラルーシを拒否する一方で、イスラエルを招待するのは二重基準も甚だしい。これでは、米国の軍事同盟のお友達のための式典になってしまう。長崎市はイスラエルを招待しなかったのと対称的だ。
広島市は自治体の一つで、公的な機関だ。イスラエルを受け入れるという広島市の行動は日本政府のものではないかもしれないが、国外からはそう見られないだろう。
パレスチナを含めた中東地域でも、広島は最初の被爆地としてよく知られ、日本は平和を愛する国というイメージがある。ただ、いつまでもこうしたブランドにすがることはできないだろう。今回の広島市のような判断は、間違ったイメージにつながる可能性がある。
――国際法違反がなぜ許されるのか。
中国の南シナ海への進出などでは、すぐに国際法違反だと非難が上がるが、イスラエルも明らかな国際法違反をしている。かつてアパルトヘイトが批判された南アフリカは、五輪にも呼ばれなかった。イスラエルに対してもそうした厳しい視点で見るべきだ。
パレスチナ問題に関し、国連では、米国や欧州諸国が強くイスラエルをかばい続けており、そうした力に抵抗する力もない。人権理事会や総会ではイスラエルを非難する多くの決議が出ているが、実際にイスラエルに対して内容を実行させる力がない。
私は国連人権高等弁務官事務所でパレスチナ担当を務めた。イスラム組織ハマスは、公正な選挙で選ばれた団体だが、欧米諸国はテロ団体と指定して敵視している。国連に対しても、同様の姿勢を求めてくるため、私たちがガザに行ってもハマス関係者と政治的なレベルでの接触ができない。<picture></picture>
「米国の友人」だから許すのか
――国連が機能しない中で、日本が果たせる役割とは。
日本は今も経済大国であり、外交的にも影響力は小さくない。もっとパレスチナが解放されるように動いてほしい。特に日本はICCへの最大の分担金拠出国(2023年)でもある。イスラエルにしっかり国際法を守らせる、という日本の姿勢を明確にすべきだ。
日本は第2次安倍晋三政権のころから、イスラエルとの経済的な関係を進めようとしているが、国際法を守るようになるまで停止した方がいい。中国やロシア、北朝鮮に対してだけではなく、イスラエルに対しても国際法を順守するよう求めるべきだ。米国の友人だから許す、というのでは一貫性がない。
たかはし・そうる
1968年生まれ、英エセックス法科大学院修了。国際人権団体アムネスティ・インターナショナル難民担当、国連人権高等弁務官事務所パレスチナ副代表などを歴任し、2019年より現職。
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プーチンの舎弟のメドベージェフも核兵器が戦争を止められるなどと妄言を吐いていますが、アメリカしか原爆を持っていなかった時代と違います。
原爆で犠牲になった方々、戦争や紛争で亡くなった方々は、浮かばれないことでしょう。もし、そこで命を絶えさせられなければ、その方たちの幸せ、人生が奪われなかったわけですから。
悲惨な戦争について、語り部がいなくなりつつありますが、私は子ども達に、差別や偏見を持たず、地球に住んでいる人々は協力し合って、平和や幸福の追求、自然と地球を守っていかなければならないと教えていきます。