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2022年10月27日に産経新聞が独自スクープとして、
『政府が進める防衛力強化の一環として、米国の長距離巡航ミサイル「トマホーク」の購入を検討している』
と報道し、読売新聞が翌28日に
「米側は売却に前向きな姿勢を示し、交渉は最終局面に入っている」
と後追い記事を出しました。
さらに読売は29日には
『政府は、長射程ミサイルを発射可能な潜水艦の保有に向け、技術的課題を検証する「実験艦」を新造する方向で調整に入った。年末までに改定する防衛計画の大綱に開発方針を盛り込む見通しだ。実戦配備に進めば、米国政府に購入を打診している巡航ミサイル「トマホーク」の搭載も視野に入れる。』
と報道したのに、世間が全く騒がない。
私が恐ろしいのは、岸田政権が安倍晋三元首相も真っ青な軍拡路線をひた走っていること以上に、野党も市民もそのことを受け入れてしまっているかのようであることです。
陸から海から空から水中から、相手に攻める気満々の構想。
岸田首相は自民党から提言を受けた「反撃能力」具備を目指すことについて、今開会されている臨時国会の所信表明演説で
『いわゆる「反撃能力」を含め、国民を守るために何が必要か、あらゆる選択肢を排除せず、現実的な検討を加速します。』
と言い切ってしまいましたが、反撃能力とは先制攻撃能力そのものです。
自民党安全保障調査会が「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」と言い換える提言案。「迎撃のみではわが国を防衛しきれない恐れがある」とする以上、どう言いつくろっても反撃ではなく先制攻撃能力であり憲法違反だ。
精密な攻撃ができるトマホークのような巡航ミサイルは敵に対する攻撃用の兵器で、迎撃用のミサイルではありません。
現に、トマホークはアメリカ軍が1991年の湾岸戦争で実戦で初めて使用し、2003年のイラク戦争や2018年のシリアへの軍事攻撃などでも使用しましたが、全部、先制攻撃で使っていますよね。
湾岸戦争で使用されたトマホークミサイル。
しかも、岸田政権は防衛大綱に、このトマホークのような長距離ミサイルを潜水艦に搭載できるように実験を始めると書き込むというのですが、先制攻撃用の長距離ミサイルを相手にとってどこにいるかわからない潜水艦に搭載するだなんて、これは周辺国にとって重大な脅威になりますから、東アジアでの緊張を高めて戦争につながるものでしかありません。
そもそも、防衛費をGDPの2%するにするというのは軍事同盟であるNATOの基準であって、戦争放棄と武力不保持を明確に定めた憲法9条を持つ日本にとって目標とすべきものではありません。
軍隊を持たないことを憲法で明記している日本が、憲法上軍隊を持つことになっている国々と、どうして同じことをできるんですか。するんですか。
まして、トマホークは相手の基地などを先制攻撃で叩いて、侵略を容易にするための兵器ですよ。
ロシアがウクライナに侵略しているのに対して、その二国の間に割って入って平和外交・調停外交をするというような努力を一切せずに、戦争の悲劇を利用してこれまでできなかった軍拡を進めて、安全保障どころか戦争の危険性を高める岸田政権のやり口は断じて許されません。
NHKも報道。政府が上げた観測気球に誰も反論しないのだから、このまま突き進むに決まっている。
TBS世論調査で日本が専守防衛を「見直すべき」52%、「見直すべきではない」28%。ロシアのウクライナ侵略で浮足立つ一般市民は、ウクライナ戦争から得られる教訓を誤解している。
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政府は、年末に向けて進める国家安全保障戦略など「安保3文書」の改定で反撃能力の保有を検討している。その際、島嶼部へ侵攻してくる敵の艦艇や上陸部隊を遠方から狙える長射程の「スタンド・オフ・ミサイル」の活用を念頭に置いている。
その中心に据えてきたのは、飛距離を現在の百数十キロから1000キロ以上へ延伸する改良が進められている国産の「12式地対艦誘導弾」だ。だが、開発と量産に時間がかかることから、運用開始は前倒しを図っても令和8年度以降となる見込み。必要数が配備されるまでの抑止力や対処手段が課題として残っていた。
トマホークは米軍が各地で既に運用している上、英国による購入実績もあり、性能の信頼性が高い。海上自衛隊イージス護衛艦の迎撃ミサイル「SM3」を発射する垂直発射装置(VLS)を改修すれば、トマホークも運用が可能となる。
トマホーク購入をめぐっては、平成25年末に改定された防衛計画の大綱で、敵基地攻撃能力を含む「弾道ミサイル発射手段等に対する対応能力」の検討が盛り込まれたことを受け、日本側が非公式に打診した。しかし当時は、米側から「売却しない」との方針が伝えられた。
ただ、海外産の装備をめぐっては、昨年度にスタンド・オフ・ミサイルとして導入を進めてきたノルウェー産「JSM」の納期が遅れ、予算執行できない問題も浮上し、課題を残した。政府内には「米国の出方を含めて状況をよく分析する必要がある」(防衛省幹部)との慎重意見もある。政府は年末に向け調整を進め、最終判断する方針だ。
■トマホーク 米国が1970年代から開発を始めた長射程巡航ミサイル。ジェットエンジンで低空を飛来するため迎撃が困難。射程は用途によって異なるが、通常弾頭型で1300キロ以上とされる。基本は艦艇発射だが、潜水艦発射や地上発射の改良型もある。核弾頭搭載型は2010年に退役が決定された。名称は、棍棒の先に石塊や斧を付けた北米原住民の武器に由来する。
日本政府が、米国製の巡航ミサイル「トマホーク」の購入を米政府に打診していることがわかった。米側は売却に前向きな姿勢を示し、交渉は最終局面に入っている。日本政府は、保有を目指す「反撃能力」の手段として、国産ミサイルの改良計画を進めているが、早期に配備できるトマホークが抑止力強化に不可欠だと判断した。
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複数の政府関係者が明らかにした。トマホークは米国の主力精密誘導型の巡航ミサイルで、射程は1250キロ・メートル超だ。全地球測位システム(GPS)衛星の位置情報などを使ってピンポイントで目標を破壊する。1991年の湾岸戦争で実戦投入されて以降、数々の実戦で用いられ、高性能ぶりを発揮している。
日本政府は、年末までに改定する国家安全保障戦略で、自衛目的で敵のミサイル発射基地などを破壊する反撃能力の保有を明記する方向で調整している。トマホークを反撃能力を担う装備とする考えだ。海上自衛隊のイージス艦の迎撃ミサイル用の垂直発射装置を改修し、搭載することを想定している。発射位置によっては、朝鮮半島などが射程圏内に入る。
政府は反撃能力の手段として、陸上自衛隊の「12式地対艦誘導弾」を射程1000キロ・メートルに改良し、活用する計画を進めている。ただ、量産化を経た実戦配備は2026年度とされている。政府内では、まず国外からミサイルを導入して反撃能力を速やかに確保した後、国産ミサイルも含めた装備を整える方向で調整が進められていた。
8月に就任した浜田防衛相がトマホークの導入を決断し、米側との交渉を本格的に進めた。日米関係筋によると、同盟国との協力などで抑止力を高める「統合抑止」を重視する米国防総省はおおむね了承し、米政府内での最終調整が行われている段階だという。
トマホークは1発1億~2億円が相場とされる。日本政府は、米政府を通じて装備品を購入する「対外有償軍事援助(FMS)」を通じた導入を行うことを検討している。
米国が誇る精密誘導兵器「トマホーク」の自衛隊への導入が実現すれば、反撃能力の実効性は格段に向上する。日米同盟深化を示すものとなり得る。
日本は2013年の防衛計画の大綱の改定に際しても反撃能力の保有を検討し、米側にトマホーク購入を水面下で打診したことがある。しかし、当時のオバマ政権は中国や韓国の反発を懸念し、難色を示した。米国はトマホークについて、売却先を英国などに厳しく限定している。機密情報の保全を含め、日本への不信感もあったとされる。
米側が売却に前向きな姿勢に転じたのは、安全保障関連法や特定秘密保護法などの制定を通じ、日本への米国の信頼度が高まった証左といえる。バイデン政権は、日本の打撃力向上にも期待を寄せる。
攻撃する矛の役割は米国に委ね、日本は盾に徹する。そんな戦後の安全保障政策は、日本周辺の安保環境の悪化で限界を迎えている。平和を守るための抑止力は、攻撃すれば、反撃されると相手に警戒させてこそ機能する。トマホークの導入により、日本は米国に極度に依存した「軽武装路線」を転換する決意を内外に示すことになる。岸田首相は丁寧に必要性を説明することが求められる。(政治部 海谷道隆)
防衛力の抜本的な強化に向けて、政府がアメリカの巡航ミサイル「トマホーク」を購入できないか検討に入ったことが分かりました。
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ただ、このミサイルの運用が始まるのは2026年度以降の見通しとなっていることから、政府は十分に配備されるまでの抑止力や対処手段としてアメリカの巡航ミサイル「トマホーク」を購入できないか検討に入りました。
一方、政府はいわゆる「台湾有事」を念頭に人員や物資を大規模に輸送する能力を増強する必要があるとして、自衛隊の輸送能力を補う目的で確保している民間フェリーの体制を現在の2隻から6隻程度に増やすことも検討しています。
「トマホーク」とは
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アメリカ軍が1991年の湾岸戦争で実戦で初めて使用し、2003年のイラク戦争や4年前のシリアへの軍事攻撃などでも使用しました。
艦艇や潜水艦のほか、地上からも発射でき、レーダーで探知されないよう低い高度を維持しながら音速に近い速度で飛び、GPSなどの誘導によってピンポイントで目標を攻撃することができるとされています。
現在はアメリカ軍とイギリス軍が保有していて、オーストラリアも去年、トマホークを取得してイージス艦に搭載する予定を明らかにしています。
“反撃能力”をめぐる議論
政府はこれまで「敵基地攻撃能力」の保有について、ミサイルなどによる攻撃を防ぐのにほかに手段がないと認められる時にかぎり、可能だとする考え方を示してきました。
法理論上、憲法が認める自衛の範囲に含まれ、専守防衛の考えからは逸脱しないという見解で、昭和31年には、当時の鳩山総理大臣が「座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨だとは考えられない」と述べています。
ただ、日米安全保障体制のもとでは一貫してアメリカが「矛」、日本が「盾」の役割を担い、日本として、相手の基地の攻撃を目的とした装備を持つことは考えていないと繰り返し説明してきました。
転機となったのがおととしで、迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備断念をきっかけに、抑止力を向上させるためとして、自民党が相手領域内でも弾道ミサイルなどを阻止する能力の保有を含め、早急に検討して結論を出すよう政府に求めました。
ことし4月には自民党の安全保障調査会が「敵基地攻撃能力」について「反撃能力」に名称を変更したうえで保有し、対象範囲は基地に限定せず、指揮統制機能なども含めることを盛り込んだ政府への提言をまとめました。
岸田総理大臣は今月24日の衆議院予算委員会で「わが国自身の抑止力や対処力を強化していくことが重要だという認識に立ち、いわゆる『反撃能力』を含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的な検討を加速し、年末までに結論を出したい」と述べています。
元海将「国民に理解を得るような説明が必要」
そのうえで、射程を大幅に伸ばした陸上自衛隊の「12式地対艦誘導弾」の改良型の導入が、2026年度以降の見通しとなっていることに触れ「近々の安全保障環境を考えたときに、トマホークを先に導入して、ある意味2段構えで長射程の攻撃能力に空白域を作らないという考えで進めているのではないか」と指摘しています。
一方、いわゆる「反撃能力」の保有も念頭に、長射程のミサイルを持つことについては「憲法問題も含めて、安全保障・国防というのは国民の意見が集約されているわけではない。安全保障の問題に理解が深まっていることをよいことに走るのではなく、国民に対してアプローチをして理解を得るような説明が必要だ」と指摘しています。
政府は、長射程ミサイルを発射可能な潜水艦の保有に向け、技術的課題を検証する「実験艦」を新造する方向で調整に入った。年末までに改定する防衛計画の大綱に開発方針を盛り込む見通しだ。実戦配備に進めば、米国政府に購入を打診している巡航ミサイル「トマホーク」の搭載も視野に入れる。
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複数の政府関係者が明らかにした。政府は、自衛目的でミサイル発射拠点などを破壊する反撃能力の保有を目指している。その手段となる地上目標を攻撃可能な長射程ミサイルは、陸上自衛隊の「12式地対艦誘導弾」の改良型やトマホークを主力に据える方向だ。
発射機材は、車両や水上艦、航空機を念頭に置いてきたが、配備地などを探知されかねない。相手に反撃を警戒させ、抑止力を高めるには、より秘匿性の高い潜水艦を選択肢に加える必要があると判断した。
実験艦は2024年度にも設計に着手し、数年かけて建造する計画だ。ミサイル発射方式は、胴体からの垂直発射と、魚雷と同様の水平方向への発射の両案を検討する。実験艦の試験を踏まえ、10年以内に実用艦の導入を最終判断する。
海上自衛隊の潜水艦の装備は現在、魚雷と射程の短い対艦ミサイルが中心だ。最新の「たいげい」型は対地・対艦兼用ミサイルを搭載しているが、射程は250キロ・メートル程度にとどまる。トマホークは潜水艦からの発射も可能で、射程は1250キロ・メートル超だ。
対地の長射程ミサイルを発射可能な潜水艦は、米英仏中露などが保有する。韓国も弾道ミサイルを発射できる潜水艦を配備している。
やっと見つけた社説
〈社説〉トマホーク購入 説明も議論もなき独走
数々の疑念が湧く。
政府が米国製の長距離巡航ミサイル「トマホーク」の購入を検討していることが明らかになった。相手国のミサイル拠点を破壊する敵基地攻撃能力としての配備を視野に入れている。
国家安全保障戦略の改定を公言する岸田文雄首相は、攻撃能力を含む「あらゆる選択肢を排除せず現実的に検討する」としか国民に説明していない。既成事実化ばかりが先を行く。
米国で開発されたトマホークの最大射程は2500キロに及ぶ。ジェットエンジンで低空を飛ぶため捕捉されにくく、重要施設への精密攻撃に用いられている。米政府は売却先を、英国など一部の同盟国に限ってきた。
日本政府は、国産の「12式地対艦誘導弾」の射程を千キロほどに延ばす改良に着手しており、攻撃能力に転用する構えでいる。運用は2026年度となる見込みで、それまでの間の「抑止力」としてトマホーク購入を打診した。米政府の判断待ちという。
攻撃能力の導入を首相に求めた自民党は「専守防衛の範囲だ」と主張する。相手国が攻撃に着手したとの判断を誤れば、国際法が禁じる先制攻撃になる。
そもそも専守防衛は、日本が攻撃された時、必要最小限の実力行使で敵勢力を排除する「対処」を指す。相手の司令部まで標的に入れようという能力は、純然たる攻撃兵器にほかならない。
国家安保戦略の改定について首相は「国民の理解」とか「幅広い議論」を口にしてきた。もはや信を置けない。
現に、防衛力を巡る与党間協議や政府有識者会議の討議は始まった段階なのに、岸田政権は既に攻撃能力を導入する考えを米国に伝えている。首相自身、防衛費の大幅な増額を約束した。
ほかにも、防衛装備移転三原則の緩和、自衛隊による平時からの空港や港湾の活用促進、有事の迅速輸送に向けた民間船舶の利用増大といった「検討」が当然のように進められている。
改定に合わせ、専守防衛の原則はおろか、あらゆる制約を取り払おうと言わんばかりだ。
中国抑止を急ぐ米国はどこまで日本に役務の拡大を迫っているのか。追従して「盾」から「矛」へ防衛政策を転換すれば、周辺国との軍拡競争は過熱し、有事の恐れはかえって高まる。
もっと議論の幅を広げたい。有事を未然に防ぐ方途の観点を、このまま置き去りにできない。
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