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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

全品目の関税で後退。しかも、コメで負け自動車で負けたTPPは関税面以外ではさらに負けていて、メリットよりデメリットが大きすぎる。

2016年11月02日 | TPP参加反対

 

 TPPに関しては山本農林水産省がおかしな発言を連発して審議がずれ込んでいますが、自民党と民進党で衆院の採決に合意したことには間違いありません。

 民進党は結党以来のひどい決定をしたものです。

 何度も書いているように、私はTPPの真の危険は、関税問題ではなく非関税障壁にあると思っています。

 たとえば、国民皆保険制度が、アメリカの保険会社にとって医療保険を売り込むうえでの非関税障壁として変質・解体されてしまったり危険性があります。

TPP参加でアメリカの医療保険会社が我が国の医療に乱入し、国民皆保険制度と日本人の健康が崩壊する

 

 また、日本の解雇規制など労働者保護法制が、これまたアメリカの人材派遣会社などが日本で活動するうえでの障壁とされてしまい、骨抜きにされるという問題です。

 もちろん、食品や医薬品などの安全規制や表示が、非関税障壁とされる可能性があります。

マスコミが伝えないTPPの問題点。貿易障壁だとして、安全基準も健康保険も主権も奪われるかもしれない。

 

 さらに、日本の裁判権という主権の一部が侵害され、政策がゆがめられる恐れもあります。

TPPの「毒まんじゅう」ISDS毒素条項で日本の脱原発を潰す方法

 

 

 そもそも、自民党は2012年12月の安倍政権が成立した総選挙ではTPPに絶対反対と公約しました。

 ところが、選挙で勝つといきなりTPP交渉には参加すると言いだしましたが、それでも関税問題では歯止めをかけると約束していたのですが、その関税さえ歯止めがかからない状況では、非関税障壁についてはどれだけ譲歩しているかわかりません。

よくもこれだけ盛大に嘘をついたものだ。

 

 

 さて、TPPで関税が撤廃され、輸入品の値段が下がることは消費者としての我々にとっては基本的にはありがたいメリットです(安全面は置くとして)。

 外食産業なども恩恵を受けますから、飲食をやっている私の友達なんかもそういう点は歓迎しています(輸入食品の安全面は問題!)

 しかし、これは同時に日本の農林水産業が破壊的なダメージを受けるということを意味しています。

 狭い国土でどうしても費用が掛かりがちな日本の農産物は、いくら付加価値があると言っても、価格競争ではアメリカやオーストラリアなどの産品にかないません。

 だからこそ国内産業を守るために、各国がそれぞれ輸入品に関税をかけて、一方では税収を得るだけでなく、真の目的としては自国産業を保護しているのです。

 

 それに、たとえば、農林水産業がダメになれば、肥料やエサを作っている企業、食料品を加工する企業や運搬する企業なども共倒れになることを忘れてはなりません。

 日本の国内総生産に占める第一次産業の比率が低いと言っても、ここがコケたら、次々と連鎖反応で日本の産業が大打撃を受けるのです。

日米がTPP交渉で合意する コメさえ守れない安倍政権は日本の食糧安保と健康と安全と労働者の生活を破壊する

 

 また、安倍政権はホルムズ海峡に機雷が埋められたら石油が輸入できなくなるので集団的自衛権を行使して自衛隊を派兵するのだ、などと説明しましたが、日本は食料の自給率がカロリーベースで40%を割っています。

 つまり、日本は6割以上の食糧を海外からの輸出に依存しています。

 島国である日本が中国などと戦闘状態になったら、周辺の海と空も危険な状態になり、食糧の輸入は非常に困難になります。そうしたときの場合を考えるのが食糧安保という考え方です。

 アメリカの戦争を応援する話ばかりしていますが、まず、自分たちが食べるものを確保しないでいて、日本の防衛などナンセンスだということを知るべきです。

アメリカの干ばつで穀物相場急騰 忍び寄る食糧危機の足音 TPP参加は日本の食糧安全保障を脅かす

世界の土壌の4分の1が劣化で食糧危機(国連) 日本の食糧安全保障を危険にさらすTPP参加は許されない

世界の人口が70億人を突破 食糧安全保障の1点だけでもTPP参加はやめるべきだ

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日本のカロリーベースの穀物自給率も食料自給率もEU平均の数分の1にすぎない。戦争を繰り返してきたヨーロッパ諸国はそこまで考えている。それをさらに減らしてどうする!


 

 2013年に衆参両院は、コメや乳製品をはじめとする農産品5項目などの関税を維持するよう決議しています。農産品の5項目とはコメ、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖などの「甘味資源作物」で、政府はこれまで関税を撤廃したことがないのです。

 ところが、たとえば、現在38・5%の牛肉の関税は16年間で段階的に9%まで引き下げ、その後問題なければゼロにします。豚肉は1キロ482円の関税を10年かけ段階的に50円まで下げます。1キロ524円以上の高価格帯の肉は4・3%の関税を10年で撤廃します。

 関税が残ると言っても微々たるものですし、一部は衆参両院の議決に完全に違反していますね。ちなみに、鶏肉の関税も撤廃されます。

 さらに、自民党が日本の農業にとって最も守るべきとしてきたコメについては、既存のWTO枠77万トンに加え、新たにアメリカから5万トン(13年目以降は7万トン)、オーストラリアから0.6万トン(13年目以降は0.84万トン)を関税ゼロで輸入することになりました。

 国内ではコメの一人当たりの消費量が1962年のピークから半減し、今では年57キロになってしまいました。その結果、日本ではコメの在庫が増え、米価は下落し、田んぼが荒れています。

 すでに日本の食糧安全保障は危機にさらされているのに、さらなる致命的な打撃を与えるのがTPPなのです。

 

 

 

 TPPの最大のメリットの一つは、日本の輸出大企業が恩恵を受けるはずだということです。

 ところが、たとえば日本経済の牽引車とされる自動車産業についていうと、今回のTPPの大筋合意で、アメリカの輸入自動車にかけられている2・5%の関税を25年かけてゼロにするということになっているのです。

 1年に0・1%平均!

 そもそも、トヨタなど自動車会社はもう日本の企業と言うより多国籍企業ですし、現地生産にシフトを移していますから日本国内で生産した自動車がアメリカに輸出される量がそれほど増えるわけではありません。

 ですから、日本国内での雇用増大などのメリットは微々たるものです。

 TPP、リスクとデメリットがメリットを上回りすぎているのではありませんか?

それさえアメリカの自動車業界や労働組合が反対していて、逆に軽自動車をなくせと言われているのですから、アメリカは本当にタフネゴシエーター(強硬な交渉者)です。



TPPの問題点を指摘し出したらきりがないと思うのですが、民進党は徹底抗戦できないのですね。

消費税増税見送り法案に反対することとともに、民進党の存在意義が問われる=存在意義はないということになるのではないでしょうか。

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8 コメント

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Unknown (愛国者)
2016-11-02 18:09:32
それでも自民党と民進党の支持率が政党の中では
高いのですから国民の無知っぷりは手に負えませんね
返信する
民進党の腰抜けめ!! (バードストライク)
2016-11-02 18:48:21
なんで、徹底抗戦せんのや?

一説によると、「野田 🐖 はじめ、蓮舫、前原、細野、長妻、枝野、安住が白紙領収書を利用していたことが分かった」から、というのだけど。
この連中を守るために自民と争わないことにした、と。(そういう因果関係、あり?)

本当なら、許せん!!

ぶぁぁぁぁぁぁか \\\٩(๑`^´๑)۶////
返信する
こういう投稿、あるぞ (バードストライク)
2016-11-02 19:26:08
ネット上で見つけた。

> たかし美容師@littletokyo より:
2016年11月2日 6:48 PM
ロスに住んでるけど盲腸700万なんてザラだよ。救急室使ったりするとさらに請求書の値段がアップする。俺の周りの日本人は病気や虫歯になると日本に治療しに帰国する。飛行機代の方が安いからね。日本人てまぢお花畑だね。//

分かったか、愚民ども!
なんで報道せんのや、腐れマスゴミめ!
これから、地獄を見る 👁 んだぞ!!

(おお、認証7070!)
返信する
どうせ4日に手打ちだろ (c" ತ,_ತ) (バードストライク)
2016-11-02 19:53:04
> NHKニュース ‏@nhk_news
年金改革法案 民進党など抗議の中で審議入り #nhk_news http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161102/k10010753751000.html

> 東京新聞政治部 ‏@tokyoseijibu
TPP衆院採決先送り 
 衆院通過の日程がほぼ固まった後、またあの大臣の発言でTPP審議が止まっています。しかし前回も今回も、「失言」の域を超えていますね。野党は辞任を求めています
www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016110201000962.html …

> ROLLING60s ‏@gatemouth8
しかし、今日の昼のワイドショーは、韓国の政局一色、それも事細かに。そんなことやってる場合か。足下のTPPや山本農水相のことをきちんと伝えろ!


以上、ツイッターから三題噺でした(白目)。
返信する
今後は・・・? (バードストライク)
2016-11-03 08:56:55
> 13 時間13 時間前
キャオ@大阪トホホ団亡者戯 ‏@tohohodan

TPP協定承認議案
自民党はあさって特別委で採決し、本会議の採決は見送る方針を伝えたが、民進党は山本農相の辞任が必要と拒否。
夕方、衆議院TPP特別委員会は理事会を開き、自民党の塩谷委員長が
職権であさって採決することを決めた。


> TOKYO DEMOCRACY CREWのツイートより

これまでの安倍政権のパターンでは、失言ごときで閣僚は辞任しません。安倍首相の「お友達」ならなおさらです。そして強行採決もやると決めたらやる。しかし山本大臣は辞任寸前まで追い込まれ、公明党や派閥の領袖である石破氏まで同調し、TPPの採決も延びて先行きは不透明に。

この状況自体が、安倍官邸の支配権力の弱体化を示す指標になっています。野党共闘が民進党に対決姿勢を迫り、それと、パワーバランスが変化した政権内の政治が呼応している。

支持基盤の利益を代表する政治が旧来の自民党政治で、公明党の政治もそのバリエーションです。全てに君臨してそれに反することを勝手にやりまくる安倍官邸支配のもとでは、あらゆるストレスがマグマのように溜まっていくことになります。//

この見立てが正しいことを祈る。
昨夜のニュース番組では、山本 " 脳衰 " 大臣への批判が多かったそうだ。
ドミノ辞任につながるか?
トカゲのシッポ切りで終わるか?
それすらもないのか?
さて。


みなさん、TPPへの投稿が少ないですね。
署名活動のつもりで、ひと言でもいいから、TPPや安倍自民に反対する意思を示しませんか?
返信する
私達は毒味役? (リベラ・メ(本物の))
2016-11-03 23:44:25
TPPは“猛毒”だけど、その“効き目”を試す為の“毒味役”をさせられている…。私達を“実験台にして”次に進もうとしている…。
返信する
壮大な実験中と思うしかない (一国民)
2016-11-04 17:38:18
衆議院の特別委員会にて、TPP関連法案強行採決がされた。しかし、今国会で安倍の馬鹿野郎は、LDPは結党以来、
強行採決を考えた事など無いと平然と言ってのけていた。今回は連立与党だけで無く、おおさか維新も賛成したから
強行採決では無いと言い逃れするのだろうが、これでまた一般国民は安倍及びLDPよって舐められ馬鹿にされた。

もはや、一般国民がどれだけLDPにより舐められ馬鹿にされれば、怒りを露わにしてLDPを野党に転落させるのか、
の壮大な実験中と思うしか無い。

戦後初の自民党下野の政権交代は1993年。次の自民党下野の政権交代は2009年。現在、2016年で前回の自民党
下野からは7年経過している。自民党下野まであと9年掛かる?いやいや、そこまで待てない!
返信する
現実はやっぱり残酷 (一国民)
2016-11-04 23:11:12
今週内のTPP関連法案の衆議院通過は無くなったが、連立与党、とりわけLDPの事だから、この臨時国会会期中に
可決成立させるのは間違い無い。参議院で強行採決を使わなくても、会期延長をして衆議院の優越権を駆使してま
でも絶対に成立させる。

でも、これはこの夏の参議院選挙の結果が判明した時点で既に分かっていた事だ。事実として、頭では認識していたし、
覚悟は出来ていた(正確には諦めていた)つもりだった。でも、こうして現実を突きつけられると、昨年の安保法制
と同じく、残酷で諦め切れない、やるせなさが残る。

一貫して自民党政治を嫌って来た当方には本当に受け入れ難い。
返信する

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