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日本最高のフォトジャーナルDAYS JAPANの2010年12月号で上関原発ができたら失われる田ノ浦の美しさを見て、息を呑み、悲しい思いで一杯になりました。
基地と原発はどこにできるのも反対。とはいえ、普天間基地の移設予定地辺野古に行き、写真だけでも田ノ浦を見たら、人間の業の深さに絶句します。。。この自然を人間の都合で永久に破壊しようというのか・・・
奇跡の海、瀬戸内で最も美しい海、希少動物の宝庫、生物多様性の海・・・
たとえば、日本鳥学会は上関原発予定地に生息する国指定の天然記念物で絶滅危惧種であるカンムリウミスズメとカラスバトの保護についての要望書を公表しています。
2008年12月には、スナメリやカンムリウミスズメ、希少貝類のナガシマツボなど生物6種を原告に加えたいわゆる自然の権利訴訟が起こされ、山口県知事を相手に埋め立て取消を求める裁判が行われています(ま、日本の裁判所ですから当然生物6種については「原告適格なし」と判断されましたが、埋め立ての取り消しを求めた裁判そのものは継続中です)
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2011年3月14日、福島原発事故の発生を受け、二井関成山口県知事は臨時の記者会見で、「(福島の事故に対する)これからの国の対応を十分に見極めて、極めて慎重に対応を進めてもらいたい」と語り、中国電力に対して事実上の埋立工事の中止を要請、中国電力はこれに対して3月15日に造成工事の中断を発表してました。
この、我が国首相に比べてまことに迅速な、元祖停止要請知事(埋め立て免許も早かったが 苦笑)が今度は埋め立て免許失効を検討してくれるというのです!
(はい、司法試験受験生は行政法の「免許・許可・認可・承認」をおさらい)
1年半も待つのまどろっこしい、埋め立て免許を取り消せばいいではないかと思われるかも知れませんが、そんなことをすれば中国電力に取消正当事由はあるのかと逆に訴訟を起こす余地を与えますから、この方がいいのです。むしろ、我々が中国電力を押し込んで、原発建設計画を撤回させましょう。
(はい、受験生は・・・)
下の地図を見たら、中国四国、九州、関西地方の方々絶句じゃないですか?!こんな、ど真ん中に原発作るなんて・・・
でも我々は反対運動どころか建設予定も知らなかった。。。
ま、過去のことはいいとしましょう。未来を見つめましょう。
あんな大震災、原発事故がないと物事が動かないのか、とそれはそれで悲しくもなりますが、しかし、奇跡の海が守られる可能性が大きくなってきたのは実にめでたいです!
祝島島民の会blog
上関原発、埋め立て免許失効検討 山口県知事が表明
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中国電力の上関原発建設予定地=17日、山口県上関町で共同通信社ヘリから
中国電力(広島市)が山口県上関町で計画している上関原発について、同県の二井関成知事は19日、記者団に、予定地の公有水面埋め立て免許を失効させることも含めて検討していることを明らかにした。
福島第1原発事故を受けて政府がエネルギー政策の見直しを進めることを踏まえ「状況を見ながら県として方向性を出す。できれば6月議会で出したい」などと述べた。
上関原発予定地全体約33万平方メートルの敷地造成のうち約14万平方メートルは海面を埋め立てる。 県によると、埋め立て工事は2012年10月までに完成しなければ現在の免許が失効する。
『祝(ほうり)の島』2010年/105分/HDV上映
監督:纐纈あや/プロデューサー:本橋成一/撮影:大久保千津奈/編集:四宮鉄男
音響効果:菊池信之/製作:大槻貴宏/ナレーション:斉藤とも子
1000年前、沖で難破した船を助けたことから
農耕がもたらされ、 子孫が栄え、
現在に至るまでいのちをつないできた小さな島がある。
山口県上関町祝島。
瀬戸内海に浮かぶこの島は、台風が直撃することも多く、
岩だらけの土地には確保できる真水も限られ、
人が暮らしやすい環境とは決していえない。
その中で人々は、海からもたらされる豊穣な恵みに支えられ、
岩山を開墾し、暮らしを営んできた。そして互いに助け合い、
分かちあう共同体としての結びつきが育まれた。
人間の営みが自然の循環の一部であることが、祝島でははっきりと見える。
「海は私たちのいのち」と島の人は言う。
1982年、島の対岸4kmに原子力発電所の建設計画が持ち上がった。
「海と山さえあれば生きていける。だからわしらの代で海は売れん」
という祝島の人々は、
以来28年間反対を続けている。
効率と利益を追い求める社会が生み出した原発。
大きな時間の流れと共にある島の生活。
原発予定地と祝島の集落は、海を挟んで向かい合っている。
1000年先の未来が今の暮らしの続きにあると思うとき、
私たちは何を選ぶのか。
いのちをつなぐ暮らし。
祝島にはそのヒントがたくさん詰まっている。
★映画へのコメント
自然の法則に身を委ねる尊厳溢れる営み。
季節の折、自然光、自然音、生活音のみを伴奏にする「音の映画」でもある。
28年間、十億円の漁業補償金の受取を拒否しながら
「命の海」を守り続けている祝島島民が、
我々一人ひとりの代わりに最前線で命を張ってくれている!
中川敬(ソウル・フラワー・ユニオン(モノノケ・サミット))
我々はテクノロジーに振り回されている。
もっと便利になりますよ、
と耳元で囁く声にうかうかと乗っている。
目を覚ますためにはこの映画を見るのがいい。
おっとりとした日々の記録の中に
とても大事なことが隠されているのに気づいた時、
あなたは慄然とするだろう。
老人たちの顔に過去ではなく未来を読み取るだろう。
池澤夏樹(作家)
●纐纈あや(はなぶさ・あや)監督のプロフィール
自由学園卒業。写真家・映画監督である本橋成一の下で、映画製作、宣伝、
配給に携わる。映画『ナミイと唄えば』(2006年公開)のプロデューサー
を経て、本作品が初監督。
●小坂勝弥(こさか・かつや)さんのプロフィール[トーク]
1968年生まれ。京阪神地域の団体・個人が集い放射性廃棄物問題について情報
交換を行っている「核のごみキャンペーン関西」の事務局を担当。学生時代か
ら関わる「京都・水俣病を告発する会」の活動を通じて公害・人権問題に関心
を持ち現在に至る。「長島の自然を守る会・京都支部」としての活動も行う。