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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

【同調圧力反対】W杯日本代表がドイツに逆転勝ちした「ドーハの歓喜」に水を差し、カタールの人権侵害に抗議する共産党中野区議の「日本代表は勝っちゃうしで残念というほかない」発言の勇気が凄い。

2022年11月25日 | 社会とマスコミ

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 個人的に言うとわたくしの最大の趣味の一つがスポーツ観戦で、野球のWBCとサッカーのワールドカップでは思いっきりナショナリストになりまして、もう、日韓戦なんて血管ブちぎれそうになるくらい日本を応援するんです(笑)。

 そんなわたくしですから、先日のサッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会リーグ戦初戦の日本・ドイツ戦はもちろん最初から最後まで絶叫しながら観戦しまして、侍ジャパンがW杯史上初めて逆転勝ちするという奇跡に深夜の雄たけびを上げて脳溢血を起こしそうになってましたw

 ちなみに、日本のリーグ戦3試合のテレビ放映日程は仕事用のGoogleカレンダーにバッチリ記入して、そこには仕事を入れないようにしていますwww

堂安、浅野、伊東のパツキン軍団が最高に良かった!森保監督、疑っててごめんなさいm(__)m

 

 

 ところが、東京オリンピックは招致運動の時から安倍晋三首相が「アンダーコントロール」つって噓つきまくり。

 コロナ禍で菅政権が強行するわ、商業主義丸出しだわ、電通出身の高橋元専務理事が賄賂もらいまくりだわ、心からスポーツの試合を応援するマインドを持てなくなりました。

 北京の冬季五輪も中国共産党政府の数々の人権蹂躙を思えばその国威発揚に手を貸すのはいかがかと思うし、カタールW杯もカタール市民の人権問題や同性愛者に対する弾圧など大問題が指摘されています。

 もう純粋にスポーツ観戦を楽しめる日々は戻ってこないのかなと悲しいです。

最初から大嘘かまして誘致した東京オリンピック。安倍ちゃん、もうあきらめて返上しよ!!浮いたお金と人材はすべて新型コロナ対策に。

 

東京五輪不正招致疑惑で海外メディアが「電通」の名を出して報道する中、沈黙する日本のマスコミ。

 

【#東京五輪汚職事件】東京地検特捜部が森喜朗元東京オリパラ組織委会長・元首相を参考人として数回任意取り調べ。その疑惑の森氏の胸像建立計画。安倍国葬といい、生身の人間の神格化は最悪の差別の温床。

金にまみれた商業五輪の象徴。東京地検特捜部が東京オリパラ組織委の高橋元理事(電通)を受託収賄罪で逮捕。安倍首相の大嘘演説に始まり、新国立競技場、コロナ拡散、森差別発言とまさに「呪われた五輪」だった

 

 

 

 さて、前述の日本対ドイツ戦の試合開始前、ドイツの出場選手11人が右手で口を覆って集合写真に写りました。

 多様性や差別撤廃を訴える「One Love」と書かれたキャプテンマークの着用を国際サッカー連盟(FIFA)が認めなかったことに対する抗議でした。

 同性愛者などへの差別反対を表現した「One Love」の腕章は、カタールでの人権問題に抗議する狙いで、イングランドやドイツなど7チームの主将が今大会中に着ける予定だったそうです。

 

 

 しかし、FIFAが11月21日になって、腕章を着けて試合に出ればイエローカードを出すなどの「制裁を科す」と通告したため、各チームは着用を断念し、ドイツの選手たちはFIFAに抗議するため、日本戦の前に「口を封じられた」とのジェスチャーで写真撮影に臨んだんですね。

 さらに、選手たちだけではなくドイツサッカー連盟はキックオフ直後にツイッターで、

「私たちは腕章を使って、ドイツ代表が掲げる多様性や互いを尊重するという価値観を示したかった」

とツイートし、口を覆った集合写真も投稿した上で、

「政治的な主張をしたかったわけではない。ただ、人権は何にも譲れないもの。腕章を認めないことは、私たちの声を認めないことと同じだ。私たちは自分たちの立場を貫く」

と訴えました。

 素晴らしいですね!

 

 

 さて、11月23日の日本チームがブラジルに次ぐ優勝回数を誇るドイツに奇跡の勝利をおさめた夜、日本共産党の中野区議会議員である羽鳥だいすけ氏がこの件に関する

「ドイツ代表、試合前の写真撮影で口塞ぐ 腕章禁止に抗議」

という毎日新聞記事を引用して

「日本とドイツのサッカー協会の差を見せつけられちゃうし、日本代表は勝っちゃうしで、残念というほかない。」

と書いたんですよ。

 そしたら、日本中が祝福ムードで盛り上がってるのに水を差すなと、羽鳥議員の名前や「日本嫌い」「中野区議」などがトレンドワードとなって、羽鳥氏のツイッターにも猛烈な反論が寄せられ、今見たらまだ「日本共産党」がトレンドになってます。

 

 

 羽鳥議員はそれでもめげずにさらに

と論陣を張って頑張っていたのですが、今見に行ったらこんな風に謝らされてしまっていました。

 天皇制問題や自衛隊問題で同調圧力に屈し続けてきた日本共産党の上層部から圧力があったのではないかなと思えてしまいます。

 

 

 

 さて、ロシアによるウクライナ侵略を機に日本でもナショナリズムが勃興し、岸田政権の軍拡路線を支持する市民が増えている中、たかがサッカーの問題だと、政治と分けて熱中している場合ではないのかなと危機感を持たざるを得ません。

 私も、ドイツ戦後にドイツチームが口を塞ぐパフォーマンスをしていたことを知り、ドイツチームやドイツサッカー協会の決然たる人権擁護の姿勢と比べて、何の問題意識もなさげな日本選手や日本のサッカー協会に失望しました。

 そのことを端的に表現した議員が袋叩きに逢って結局謝らされてしまう日本社会の同調圧力、ナショナリズムは凄まじすぎて非常に危険です。

 羽鳥議員に関する初期報道を見た時には、私の中にも「わざわざ今言わなくてもええのに」という自己内会話が起こりましたが、今は、こういうことを公然と言える自由を大事にしなければと改めて思います。

 誰もが口を塞がれる世の中にしないために。

 

 

 

あとですね、羽鳥議員は私が3年前のがんで入院した時から夢中になっている大人気アニメ・マンガの「鬼滅の刃」の遊郭編にも、以下のように敢然と抗議していまして、この時も袋叩きに逢ったそうなんです。

『この前、『鬼滅の刃 遊郭編』の感想を話していたときに、話していた相手が「炭治郎は鬼が人を殺すことにはすごく怒るのに、人が人を虐げてる遊郭には何も言わないのが違和感しかない」と言っていたのが、とても興味深い感想だなとその時思いました。それに対しては』

『宇髄さんが炭治郎たちを遊郭に連れて行く時に、「ここは男と女の欲望が交わる場所だ」みたいに言っていたことに現れているように、作者自身に遊郭に対して「女の人にとって酷い場所だったけど、見初められたら解放される場所」程度の認識しかないからなんじゃないか、と思いました』

これも正論ですね。

ワールドカップにしても鬼滅の刃にしても、「それはそれ、これはこれ」で楽しめてしまうわたくしは、自分がそれでいいのか問われるなと感じています。

日本でナショナリズムがここまで高まっている中、野球やサッカーでナショナリズム満開で日本チームを応援するのはもう「贅沢」なのかもしれません。

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「サッカー日本代表が勝っちゃうしで、残念」大炎上の共産党・羽鳥区議、過去には『鬼滅の刃 遊郭編』に噛みついたことも

2022年11月24日 18時15分 NEWSポストセブン

 11月23日、サッカーW杯のグループリーグでは、日本が2対1で優勝候補ドイツに逆転勝利。日本中が熱狂に包まれるなか、ツイッターの投稿をめぐって炎上騒動が起きている。日本共産党の羽鳥だいすけ・中野区議が11月24日、自身のツイッターで、「サッカーワールドカップドイツ代表、試合前の写真撮影で口塞ぐ 腕章禁止に抗議」という毎日新聞の記事紹介ツイートを引用した上で、こうつぶやいた。

〈日本とドイツのサッカー協会の差を見せつけられちゃうし、日本代表は勝っちゃうしで、残念というほかない〉

 毎日新聞の記事は、ドイツの選手たちが多様性などを訴える腕章の着用を禁じたFIFAに抗議し、その行動をドイツ・サッカー連盟が支持する声明を出したというもので、羽鳥氏はその行動に対する共感を示したかったのだろう。だが、日本の勝利に水を差すような発言に、SNSは大炎上。「政治とスポーツは関係ない」「日本のサッカーファンを敵にしたな」といった批判の声が相次いでいる。

 実は羽鳥氏はこれまでにも、人気アニメに噛みついたことでプチ炎上したことがあった。今年3月25日のツイートである。

〈この前、『鬼滅の刃 遊郭編』の感想を話していたときに、話していた相手が「炭治郎は鬼が人を殺すことにはすごく怒るのに、人が人を虐げてる遊郭には何も言わないのが違和感しかない」と言っていたのが、とても興味深い感想だなとその時思いました。それに対しては〉

〈宇髄さんが炭治郎たちを遊郭に連れて行く時に、「ここは男と女の欲望が交わる場所だ」みたいに言っていたことに現れているように、作者自身に遊郭に対して「女の人にとって酷い場所だったけど、見初められたら解放される場所」程度の認識しかないからなんじゃないか、と思いました〉

 このツイートにも「舞台が大正時代の作品へその問題意識を持ち出すのは無理があるのでは?」などのコメントがつき、多くの批判が寄せられる事態となった。エンターテイメントの世界に政治を持ち込むのは考えものだ。

 

 

日本勝利「残念」の中野区議、再度否定的考え「『勝ってよかった』とは思えません」


11/24(木) 22:15配信

デイリースポーツ
 

 日本共産党所属で東京・中野区議会議員の羽鳥だいすけ氏が24日午後6時過ぎに自身のツイッターに新規投稿。午前10時前の投稿に続き、サッカーW杯カタール大会でドイツを下す金星を挙げた日本代表に対して「『日本が勝ってよかった』とはとても思えません。」と否定的にコメントした。

【写真】物議の投稿「日本代表は勝っちゃうし」

 羽鳥氏は午前の投稿で「ドイツ代表、試合前の写真撮影で口塞ぐ 腕章禁止に抗議」というネット記事を引用。「日本とドイツのサッカー協会の差を見せつけられちゃうし、日本代表は勝っちゃうしで、残念というほかない。」とつづっていた。

 日本中が祝福ムードで盛り上がる中での逆張りの投稿はネット上で大きな話題に。羽鳥氏の名前や「日本嫌い」「中野区議」などがトレンドワードとなった。羽鳥氏のツイッターにも多くの反論が寄せられていた。

 この状況の中で羽鳥氏は夕方になって再度投稿。自身に寄せられた、共産党に対する否定的な意見、「そんなに日本が嫌いですか?」という問いかけ、日本を出て行けと迫る投稿などのスクリーンショットを、アカウント名などを隠さずに掲載した。

 コメントでは「この意見も前の意見も私個人の意見ですが、日本代表の戦いはすごいと思いますし、ものすごい努力をされたと思います。」とまずは代表チームに敬意を示した。続けて「しかし、『日本代表を応援し、その勝利を喜んでいなければ日本人に非ず。そう考えてないなら黙っていろ』という空気の中で、『日本が勝ってよかった』とはとても思えません。」とコメントし、あくまで代表の勝利には否定的なスタンスを貫いた。

 自身に寄せられた否定的な意見に対抗してのコメント掲載。ただ、午前の投稿では多様性などを訴える腕章の着用を禁じたFIFAに抗議したドイツ代表と、何の姿勢も示さなかった日本代表を比較した上で日本が勝ったことを「残念」としていた。午後の投稿では、多様性やドイツ代表のスタンスについての言及はなく、日本国内の“祝勝ムードの強い圧力”に反論した形となった。

 

 

ドイツが試合前撮影で口塞ぐ FIFAの腕章禁止に抗議 サッカーW杯

試合前の集合写真を撮影する際に、口を塞ぐポーズを取るサッカードイツ代表の選手たち=AP

 サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会1次リーグE組で23日に日本と対戦したドイツの選手たちが試合前の写真撮影で口を塞ぐポーズを取り、多様性などを訴える腕章の着用を禁じた国際サッカー連盟(FIFA)に抗議した。

 腕章は多様性や差別撤廃を訴えるためのもので、「One Love」の文字とともに鮮やかなハートが描かれていた。イングランドやドイツ、オランダなど欧州7チームの主将が着用予定だったが、FIFAは21日に警告など競技上の制裁を選手に科すと発表し、各国が着用を断念していた。

 ドイツ・サッカー連盟は公式ツイッターで選手が口を塞いだ様子の写真を掲載し、「(腕章を)認めないことは私たちの発言を認めないのと同じことだ」と選手を支持する声明を出した。【岩壁峻】

 

 

開催国カタールへ人権問題の抗議相次ぐ 開幕迫るサッカーW杯

ドイツ1部リーグ、ブンデスリーガの試合会場に掲げられた、W杯カタール大会開催に抗議する横断幕=ドイツ・ゲルゼンキルヘンで2022年10月30日、村上正撮影

 20日の開幕を前に、4年に1度の祭典が異様なムードに包まれている。22大会目にして初の中東開催となるサッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会は、スタジアム建設などを巡って劣悪な環境下に置かれた外国人労働者の多くが犠牲になったとして、出場国から抗議が相次いでいる。

 「#BOYCOTT QATAR2022」

 10月末のドイツ1部リーグ、ブンデスリーガ。日本代表主将の吉田麻也選手が所属するシャルケの本拠地スタジアムを訪ねると、こう大きく書かれた横断幕が目に飛び込んできた。

 ブンデスリーガの広報担当者は「このような横断幕は他のスタジアムでも掲げられ、珍しくない。ドイツ国内でこれまでも議論されてきた問題」と話す。<picture>サッカーW杯カタール大会の決勝会場「ルサイル競技場」周辺の建設現場=ルサイルで3月、共同</picture>拡大

サッカーW杯カタール大会の決勝会場「ルサイル競技場」周辺の建設現場=ルサイルで3月、共同

 きっかけは昨年2月の英紙ガーディアンの記事だ。カタール大会のインフラ整備を巡り、インドやパキスタンなどからの出稼ぎ労働者の死者数が、カタール大会の開催が決定した2010年からの10年間で6750人以上と報じたのだ。

抗議のユニホーム

 直後に開かれたW杯欧州予選では、抗議を示すチームが相次いだ。ドイツ代表はアルファベット1文字が白色で大きく書かれた黒地のシャツを着て11人が肩を組んで横に並び、「HUMAN RIGHTS」(人権)と示して抗議した。

 ドイツ代表のキミヒ選手(バイエルン・ミュンヘン)は海外メディアに「W杯をボイコットするには10年遅かった。サッカー選手として僕らにも一定の責任があり、自発的にシャツを着て訴えた」と語った。ドイツ・サッカー協会はW杯のボイコットには反対だが、代表チームの抗議行動は容認。ノルウェー、オランダでも同様に選手たちが訴えた。

 国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」などは、労働実態をつかもうと調査し、若くて健康な労働者が突然死に至ったケースが少なくなかったと報告する。6~8月の気温は40度を超えるカタールで、猛暑の中で長時間の重労働を強いられていたとし、国際サッカー連盟(FIFA)に対し、基金を設立して補償すべきだと訴える。

 一方、カタール大会の組織委員会は14年以降に業務中の事故で3人、業務以外で35人が亡くなったと説明。「労働者の健康と安全に関して常に透明性を保ってきた」と報道内容を否定するが、過少申告との見方が根強くある。<picture>欧州ネーションズリーグのクロアチア戦で、暗い色のユニホームでプレーするデンマーク代表の選手たち=ザグレブで9月、ゲッティ共同</picture>拡大

欧州ネーションズリーグのクロアチア戦で、暗い色のユニホームでプレーするデンマーク代表の選手たち=ザグレブで9月、ゲッティ共同

 抗議は各地に広がる。

 デンマーク代表のウエアを製作する同国のスポーツメーカー「ヒュンメル」は、胸部分のメーカーのロゴとデンマーク・サッカー協会のエンブレムを、ユニホームの色と同系色にして目立たなくした。写真共有アプリのインスタグラムに「何千人もの人々の命を奪った大会の最中に、私たちの存在を目立たせたくはない」と記し、普段使う赤と白に加え、「喪」を意味する黒色ユニホームも製作した。

 フランスではパリなどの複数都市が、公共の場に大型スクリーンを設置した観戦イベントを、抗議のために行わないことを決めた。

「妥協できる範囲超えかねない」

 オーストラリア代表の選手16人は10月末、SNS(ネット交流サービス)でカタールの労働環境や性的少数者の権利に関する人権問題を懸念し、カタール政府に改善を求める動画を公開した。

 LGBTQなど性的少数者の権利に対しても関心が高まる。イスラム教国のカタールでは法律で同性愛が禁じられ、最高刑は死刑となっている。

 イングランドやドイツ、オランダなどの代表の主将は、多様性や差別撤廃を訴えるため、W杯では「One Love」と書かれ、鮮やかな色のハートが描かれた腕章をつける予定だ。ドイツ代表主将のノイアー選手(バイエルン・ミュンヘン)は「どこの出身であろうと、どんな姿をしていようと、誰を愛していようと、サッカーはすべての人のためにあり、我々のスポーツは世界中で差別や排除に直面している人々のために立ち上がるべきだ」と海外メディアにコメントしている。

 イスラム圏での大会期間中にこうした抗議が相次げば、混乱も予想される。国際政治学と中東地域研究が専門の立命館アジア太平洋大の吉川卓郎教授は「解決できる人権問題もあるだろうが、その中でもLGBTQについては難しい。(ムスリムの人々が)妥協できる範囲を超えかねず、想像以上に批判が集まっていると受け止めているのでは」と動向を注視している。<picture>開会式で入場行進する難民選手団の選手たち=国立競技場で2021年7月23日午後8時39分、大西岳彦撮影</picture>拡大

開会式で入場行進する難民選手団の選手たち=国立競技場で2021年7月23日午後8時39分、大西岳彦撮影

新たな価値模索するスポーツ界

 スポーツ界は長年、差別撲滅に取り組んできたが、イスラム圏で開かれるサッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会で性的少数者らの権利が守られるのかなど、一朝一夕に進まない現状がある。一方で近年は競技団体やチーム、選手が社会的な意義を発信する動きが活発化し、ある種の生き残り策になっている。

 象徴的なのが国際オリンピック委員会(IOC)だ。五輪人気に陰りが見える中、国連との連携を深めるなどし、積極的に社会の変革と五輪を結びつけようとしている。

 2014年には五輪憲章を改定し、差別を禁じる項目に「性的指向」の文言を追加した。16年リオデジャネイロ五輪では欧州の難民危機を受けて難民選手団を結成し、IOCのバッハ会長は「難民の希望の象徴となる」と語った。21年の東京五輪では、海洋プラスチックごみが国際問題化する中、国連の提唱する「持続可能な開発目標(SDGs)」を推進した。

 社会の矛盾や差別に目を向ける、「物言うアスリート」も注目を集める。

 テニス女子の大坂なおみ選手は優勝した20年全米オープンで人種差別に抗議するため、試合ごとに別の黒人犠牲者の名前入りマスクを着けた。<picture>【英国-チリ】試合前、人種差別に抗議して片膝をつく英国の選手たち=札幌ドームで2021年7月21日午後4時29分、宮武祐希撮影</picture>拡大

【英国-チリ】試合前、人種差別に抗議して片膝をつく英国の選手たち=札幌ドームで2021年7月21日午後4時29分、宮武祐希撮影

 東京五輪でも人種差別に抗議を示す場面があった。サッカー女子の英国―チリ戦では、選手たちが試合前に片膝をついた。世界的に広がった「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大事だ、BLM)」運動に共感を示す行為で、女子日本代表「なでしこジャパン」も同調した。

 今年2月の北京冬季五輪をめぐっては、新疆ウイグル自治区での少数民族に対する中国の抑圧など人権に関する懸念が高まり、米プロバスケットボールNBAの選手が「北京五輪にノーを」などと書かれたシューズを履いてプレーし話題となった。

 宇都宮大の中村祐司教授(スポーツ行政学)は「多様性を尊重する動きがスポーツ界で広がることは、世界で分断が進む中、転換するチャンスとなるだろう。選手が自らの考えをあらゆる形で示すことを競技団体は受け入れ、大会終了後には互いに議論を深める場を設けるべきだ」と話している。【村上正、丹下友紀子】

 

 

Germany line up before the game against Japan in their World Cup opener

画像提供,GETTY IMAGES

 
画像説明,

日本との試合前に口を手で覆ってチーム写真を撮影したドイツ代表選手たち

 

サッカー・ワールドカップ(W杯)カタール大会で、ドイツ代表選手らが23日、日本との試合前の写真撮影で、口を手でふさいだ。ハンジ・フリック監督は、「FIFA(国際サッカー連盟)が沈黙を強いているとのメッセージを伝えるため」だったと説明した。

今大会では、ドイツなど欧州7チームが、社会の多様性と包括性を促進するため、「OneLove」と書かれた腕章をキャプテンマークとして着用する予定だった。

この日のドイツ選手の行動は、こうした経緯を受けたもの。ドイツに対する懲戒処分は予定されていない。

日本戦でドイツのマヌエル・ノイアー主将は、FIFAが用意した差別撤廃を訴える腕章を着けた。試合は1-2で日本に敗れた

ドイツのフリック監督は試合後、「私たちが発したいと思っていたサインであり、メッセージだった。FIFAが私たちを黙らせているというメッセージを伝えたかった」と述べた。

FWカイ・ハヴェルツ選手も、「正しい行動だった」と振り返った。

「もちろん、こうして声明を出すのは私たちにとって大事なことだ(中略)私たちは試合で何ができるのかを示したと思う」

「どこであろうと私たちが応援すると示すのは正しい行動だと思うが、FIFAがそれを難しくする」German interior minister Nancy Faeser wore the OneLove armband while sitting next to Fifa president Gianni Infantino at Germany v Japan

画像提供,REX FEATURES

 
画像説明,

ドイツのナンシー・フェーザー内相(右)は、ドイツ対日本の試合を「OneLove」の腕章を着用して観戦した。左はFIFAのジャンニ・インファンティーノ会長

ドイツサッカー連盟(DFB)は、「政治的な声明を出そうというものではなかった」とツイート。

「人権は譲れないものだ。当然のことだが、まだそうなっていない。だから、このメッセージが私たちにとっては大事なのだ」と続けた。

「渦中の腕章を否定することは、私たちの発言を否定するのと同じだ。私たちは自らの立場を貫く」

DFBはまた、「私たちは自分たちで選んだキャプテンマークを使うことで、ドイツ代表チームが掲げる価値観の多様性と相互尊重を支持したいと思った」と表明した。

その上で、「他の国々と一緒になって発信したいと思っていた」と述べた。

FIFA警告の合法性を問題視

DFBでは、腕章を着用した選手に制裁を科すというFIFAの警告が合法かどうか、調べを進めているという。

DFBのメディアディレクターのシュテフェン・シモン氏は、「FIFAは多様性と人権を象徴する腕章の使用を禁止した」と指摘。

「FIFAはこの問題を、スポーツ制裁という強力な脅しと結びつけたが、制裁の具体的な内容は示していない」とした。

シモン氏は独メディア「ビルト」に、DFBとしてスポーツ仲裁裁判所(CAS)に連絡したと説明。ノイアー主将が27日のスペイン戦で、「OneLove」腕章をつけられることを望んでいると述べた。

一方、デンマークサッカー協会のヤコブ・イェンセン最高経営責任者(CEO)は、「OneLove」腕章の着用を予定していた7チームが、今後の法的対応に関して協調していると述べた。

しかし同CEOは、この問題をCASに持ち込むのは「不可能」だと主張。CASに行く前に、FIFA内で申し立てをする必要があると説明した。

こうしたなか、ドイツのスーパーマーケットチェーンのレヴェは、DFBとの広告契約を停止した。FIFAと距離を置くのが狙いとされる。

主将により異なる見解

「OneLove」のキャンペーンは、多様性と包括性を促進し、差別に反対するメッセージを打ち出すものとして、サッカーの2020年欧州選手権(ユーロ2020)開幕を前にオランダで始まった。

そのオランダの代表チームのMFダフィ・クラーセン選手は、ドイツの抗議行動を称賛。「ドイツは自分たちの意見を表明するため、独自の方法を見つけた」と述べた。

一方、スイス代表のグラニト・ジャカ主将は、24日のカメルーン戦では同様の抗議行動はしないと説明。「私たちはルールを受け入れるだけだ」、「今はサッカーに集中しなければならない」と話した。

イングランド代表のGKジョーダン・ピックフォード選手は、チームとしてはハリー・ケイン主将に「OneLove」腕章を着けてほしいと思っていたと明かした。しかし、「決定はチームや選手がどうこうできるものでなくなった」と述べた。

カタールでは、同性同士の関係や、同性同士の関係を促進することは犯罪とされている。

こうしたなか、元イングランド代表のアンドロス・タウンゼント氏は、カタールで見られるLGBTQ+(性的マイノリティー)の権利に対する姿勢への抗議について、「少し落ち着かない気分だ」と表明した。同国の姿勢はイスラム教のシャリア法に基づくものだとし、外国人が他国に来てその国の信仰を尊重しない行動を取ることに違和感を示した。

「OneLove」腕章をめぐっては今年9月、欧州サッカー連盟(UEFA)のネーションズリーグとW杯カタール大会で、欧州10チームの主将が着用する予定だと発表された。10チームは、イングランド、ウェールズ、ベルギー、デンマーク、フランス、ドイツ、ノルウェー、スウェーデン、スイス、オランダ。

そのうち、ノルウェーとスウェーデンはW杯カタール大会に出場していない。また、フランスのウーゴ・ロリス主将は、カタールに「敬意を表したい」として、「OneLove」腕章は着けないと表明した。

アラブ諸国は否定的

ドーハで取材しているBBCのシャイマ・ハリル記者によると、今回のドイツの行動に対して、アラブ諸国はほぼすべてが否定的に反応しているという。

また、アラビア語のハッシュタグ「ドイツ-日本」がトレンドになり、多くの人はドイツ代表選手らのジェスチャーを「侮辱的」「挑発的」などと批判しているという。FIFAに対して、選手にもっと圧力をかけるよう求める声も出ているという。

そうしたことをふまえてハリル記者は、今回のW杯をめぐっては、特にLGBTをめぐる論争において、2つの並行世界が併存しているように感じられるとし、その緊張感が今大会の底流になり続けていると伝えた。

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8 コメント

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Unknown (秋風亭遊穂)
2022-11-27 00:24:03
 マスコミのお祭り騒ぎ報道によって、多くの国民がにわか応援に走るのはどこの国でもあるだろう。ただ、純真にスポーツに熱狂する人が全て、「日本代表を応援し、その勝利を喜んでいなければ日本人に非ず。」と思っているわけではない。全くの偏見だ。羽鳥議員が批判されるのは、チームの勝利に対する「残念」という言葉である。仮に「ドイツが勝って残念」と言ったらドイツ人はもちろん、日本のサポーターからも批判があるだろう。
 この件で思い出したのが、ずっと昔、プロ野球の応援席から飛んだ汚い三振コールだ。相手チームのバッターに対し「三振、三振」と連呼する応援団がいたようだが、スポーツ観戦のレベルの低さは酷いものだった。ラジオの実況でリスナーから「絶対止めて欲しい」と抗議されたことが紹介された。羽鳥議員の「残念」はこの三振コールと同類のもの。これは同調圧力の問題ではなく、羽鳥議員のスポーツ・サポーターに対する見方の問題だ。羽鳥議員の言動は日本共産党に対する誤解を生じさせる。謝罪は当然のこと。
返信する
Unknown (ewkefc)
2022-11-26 01:59:21
『【同調圧力反対】W杯日本代表がドイツに逆転勝ちした「ドーハの歓喜」に水を差し、カタールの人権侵害に抗議する共産党中野区議の「日本代表は勝っちゃうしで残念というほかない」発言の勇気が凄い。』に対する意見
https://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/ae8ec4ce0ae3244172a4b78b5d2b4297

>そのことを端的に表現した議員が袋叩きに逢って結局謝らされてしまう日本社会の同調圧力、ナショナリズムは凄まじすぎて非常に危険です。

自分がサポートしているJリーグチームの選手や出身者が日本代表のメンバーなら日本代表チームを応援しますが、そうでなければ試合に興味がない人は意外に多いし、中には負けてしまえと思っている人もいます。
森保監督に対して不満を持っている人は多分にいます。
監督解任論の背景には、そういう人たちの存在もあったと思われます。
森保体制に不満を持っている人たちの中にはチームの負けを予想し、実際そうなってほしいと思っている人もいるでしょう。
日本人なら日本代表チームの勝利を喜ぶのは当然という認識は誤りです。
しかし、勝って喜んでいる人の前で負けてほしかったと、相手が不快になることは言い難い。
でも、それが言えてしまうのがSNSなのです。
返信する
同調圧力に抗する (ゴメンテイター)
2022-11-25 23:58:33
先を越されてしまいました。
もたもたしていた私が悪いのですが。

言いたいことが言えない。
勿論、他者を傷つけないことが原則ですが。
多数の意見と違うとき、言いたいことが言えない。
言えば、大バッシングを食らう。

今の日本の恐ろしさ。
いえ、戦前戦中と同じ今の日本。

ワクチン接種に疑問を持てば、「反ワクチン派」のレッテルを張られて総攻撃。
周辺諸国との友好を唱えれば、「半日」のレッテル貼りを受ける。

言論の自由は、人権の大きな項目のはずなのに、こんな日本が国際社会に「人権」を声高に叫ぶ異様さ。

憲法を否定する人たち、つまり国民主権を否定する人たちはどうして「反民主主義」のレッテルを貼られないのでしょう。
それは、レッテル貼りをしているのが「反民主主義」の人たちだからですね。
返信する
羽鳥だいすけさんは立派 (当て身投げ)
2022-11-25 23:27:07
実は私も羽鳥区議と同じ気持ちでした。この報道に接した時、『おっ、仲間がいてよかった』と思いましたもの。同調圧力なんてク○くらえですね。
過去にはアニメ・鬼滅の刃にも否定的なツイートをしていたそうで、私も確認しましたが、
*『炭治郎は鬼が人を殺すことにはすごく怒るのに、人が人を虐げてる遊郭には何も言わないのが違和感しかない』とか
*『(遊郭について)「ここは男と女の欲望が交わる場所だ」と言っていたことに現れているように、作者自身、遊郭に対して「女の人にとって酷い場所だったけど、見初められたら解放される場所」程度の認識しかないんじゃないか、と思いました』
なんて明確な感想を述べているのですから。こういうものを毛嫌いしている私などと違い、鬼滅にしてもW杯にしても羽鳥さんは普段からしっかりとご覧になったうえで声を上げているのがわかります。

私の方はと言うと、そもそもサッカーに詳しくなくこういう時だけ見るただの“にわか”です。この秋に始まったスポーツくじの「WINNER」をW杯の大会期間中だけやることにしたのですが、当初は今の日本代表の実力も考慮して、1 vs 0 で日本の勝利か引き分けに賭けるつもりでした。
ところが、日本サッカー会長協会のタジマの奴が『今サッカー以外のことでいろいろ話題にすることは好ましくない。ほかのチームもそうであってほしい』などと優等生ぶったコメントを出したことに腹が立ち、締切間際に「ドイツが4点以上で勝つ」に賭けてやりましたよ(笑)
言うまでもなく結果はハズレですが、1口しか買ってませんし、後悔するほどでもありませんからね。

そんなことよりも、今のサッカー日本代表には「勝利する資格」など無いと、私は思います。昨夏の東京汚輪ピックにおける吉田麻也やら久保建英らの、コロナ禍での強硬開催など歯牙にも掛けないような態度ときたら、思い出すだけでムカムカしてきます。
そんな偏狭な“サムライアスリート”と違い、今大会では欧州の代表チームだけでなく、カタールと同じイスラム諸国のイラン代表選手やサポーターたちも反差別や人権問題へ抗議するアクションをとっておられるんですよ。
イランでは9月、髪の毛を覆うヒジャブを“不適切”に着用していたとして、22歳の女性マサ・アミニさんが道徳警察に逮捕され、その後死亡する出来事がありました。
この事件をきっかけに国内各地で激しい反政府デモが続いており、人権擁護団体の調べによると、イランでは現時点で400人以上の抗議参加者が死亡し、1万7000人近くが逮捕されています。
彼らはかねてよりこの行動に連帯の意思を示しており、9月の二度の国際試合でも国章を隠したり、W杯初戦のイングランド戦では代表選手が試合前に国歌斉唱を拒否し、再度連帯を示しました。
また、サポーターもイングランド戦の前半、反政府デモの顔にもなっている元サッカー選手アリ・カリミさんの名前を叫びながらコールを送ったとも報じられています。

日本代表については、もう勝たなくていいです。渋谷とか道頓堀でバカ騒ぎされるのも迷惑ですしね。次戦のコスタリカには勝てそうですが、そのコスタリカに大勝したスペインにはボコボコにやられた方がいいでしょう!
運良く決勝トーナメントに進出できてもE組の2位通過で、初戦で当たるのはF組1位のチーム。おそらくはベルギーでしょう。奇しくもロシア大会と同じ顔合わせになりますね。
ベルギーは「ONE LOVE」アクションに参加のチームで、セカンドユニフォームは白地にレインボーカラーを多くあしらった、これまでにないデザインを採用するほど熱心に取り組んでいます。
そこで惨敗して、「日本はサッカーでも人間性でも負けた」と欧米メディアから叩かれればよいのです。
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丁寧なお答えありがとうございます (suterakuso)
2022-11-25 22:11:37
>それが力不足なのでご遺族である赤木雅子さん個人にのみ負担をかけているのが現状で、責任は我々にもあります。

そうですね。我々にあります。だから、自分にできることをしなければならないと思います。
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当然のご質問なのですが。。。 (raymiyatake)
2022-11-25 21:59:18
国に対する請求が国の認諾というおきて破りの方法で強制終了されてしまったとき、佐川氏に対する裁判単独だと敗訴することは、法律家は覚悟していました。

なぜなら、国家賠償法は1条1項で
国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
と定めていて、公務員個人への請求はできない、としか読みようがないからなんですね。
最高裁判例が悪いというより、法律がそうなってしまっているんです。

国家賠償法は戦前の国家無答責を180度ひっくり返して、国家公務員が違法有責な行為をした時に国民から国への損害賠償請求を認める画期的な法律でした。
資力のある国に損害賠償させたほうが被害を受けた国民は救済を受けやすいから、これ自体は良い規定です。

もちろん上級審に進むことはできますが、見通しは非常に難しいです。

そして、同条2項は
前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。
と定めていますが、地方自治体に対する住民監査・住民訴訟のような制度が国に対してはないので、国が佐川氏に対する求償権を行使しなくても、国に裁判する制度がないんですよ。

情報公開請求については可能だと思いますが、もうされていたような気がします。

本来司法制度というのは人権擁護最後の砦。
民主政の過程でこそ人権を保障するのが最初の筋なので、国会で財務省に対して情報公開を求めるとか、国会内に国政調査権を行使する特別委員会を設けるとか、それに応じない政権は選挙で放逐するとか、そういうことをしないといけないんだろうと思います。
それが力不足なのでご遺族である赤木雅子さん個人にのみ負担をかけているのが現状で、責任は我々にもあります。

なお、納税者基本権訴訟というような、国が違法行為をしたら納税者なら誰でも消費税を払っているレシートなどだけで原告適格を得られる訴訟類型を設けるべきだという議論がずっとされています。
このような制度を探究する必要もあると思います。

以下、江川紹子さんの朝日新聞記事へのコメントですが、多くの市民が同じ思いだと思いますが、なかなか現状でズバッと良い手がないのが現状です。



江川紹子
(ジャーナリスト・神奈川大学特任教授)
2022年11月25日15時55分 投稿
【視点】 佐川氏の証人尋問を認めなかった段階で結論は予想できたが、国民の1人としては得心がいかない。
 国家公務員が業務で行ったことによる損害は国が賠償するというルールは分かるにしても、公文書を改ざんするという、決してあってはならない行為を、「業務」のように扱ってしまっていいのだろうか。
 佐川氏は、国会に証人喚問された際、刑事訴追を受けるおそれがあるとして、改ざんの経緯に関する証言を拒んだ。その刑事事件は、不起訴処分で終わっている。結局、国民に対しても、赤木俊夫さんの妻にも、彼は説明責任を果たさず、そのうえ改ざんは業務の中で行われたものだから賠償責任もない、というのだ。 
 国が早々に原告の主張を「認諾」し、賠償金を払って被告の座から離脱したことも、今なお納得がいかない。1億円余りに上るこの金の原資は税金である。私たちが納めた税金が、真相の隠蔽に使われたのではないか。
 大阪地検特捜部の主任検事が証拠改ざんをした郵便不正事件で冤罪に巻き込まれた村木厚子さんが、ことの真相を知ろうと国家賠償訴訟を起こした時も、国は同様の手口を使った。
 国の不正を裁判で明らかにしようとするなら、多額の手数料を負担して、100億円とか500億円といった常識外の金額を請求し、認諾を防ぐことを考えなければならないのかもしれない。
 なんとも情けないことではないか。
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質問させてください (suterakuso)
2022-11-25 19:58:08
記事と関係がなくてすみません。

赤木俊夫さん、雅子さんの訴訟のことです。

この訴訟で請求が棄却されることは判例を口実として予想されたことでしたが、あらためて怒りが湧いてきます。

質問したいことは、

①この棄却とは、一審での請求が棄却されたということで、二審、三審と進むことはできるのですか?

②佐川が公務員としての職務を著しく逸脱した行為を行ったことにより赤木さんに損害を与えたのだから、佐川に損害を請求できるという攻め方はできないのですか?

③国を相手どって、国家賠償の一部を佐川に負担させることを国に求める訴訟はできないのですか?

④佐川の行為が公務員の職務として行われたという判決が改めて出されたというのなら、その「職務」が行われた経緯についての情報公開等を改めて求める訴訟をすることはできないのですか?

⑤その他、赤木俊夫さん、雅子さんの私たちの正義のための懸命の戦いが、なにか報われる訴訟等の方法はないのでしょうか?

ブログ主さまのこれまでの行動から、自らこの件について記事を書かれることは分かっていることですが、聞きたくてしかたがないことなので、その記事も待たずに質問させてください。質問させていただけるだけで十分ですので、答えていただけなくてもそれに対する恨み言等を言うつもりはありません。

失礼しました。
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ドイツと羽鳥議員を応援する。 (狸子)
2022-11-25 11:59:34
私は五輪に限らず国際的なスポーツ大会はナショナリズムとコマーシャリズムの野合と考えています。また、個人的にスポーツやスポーツ観戦に何の興味もなく、もっとはっきりいえば大嫌いです。
 しかし今回のアピールの件を知って、ぜひドイツに勝ってもらいたかったと残念でなりません。彼らの人権に対する意識が、勝利とあいまってもっともっと大きく報道されただろうから。

 なので、「日本を応援しない」「勝ってもらいたいと思わない」ことを公然と発言できる自由、それも「今それを言わなくてもいいのに」と思う人(それがどんな理由であっても。政治的に、他の国を応援、スポーツ自体嫌い、こんなナショナリズム的空気に反対、等々)がいるような状況下でも遠慮なくそれを言える自由はとても大事で、と言っても現代の日本にはそれがないので、あってほしい。せめて共産党にはあるべきではないかと思ったがそれも無理なのだった。
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