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明後日2016年4月10日から2日間にわたって広島で、先進国G7の外相会合が開かれます。
そこで出される「広島宣言」に、核兵器の非人道性という言葉が使われないことが判明しました。
核保有国の米英仏を含めて、G7外相らが平和記念公園を訪問し、広島県選出の岸田文雄外相が平和記念資料館(原爆資料館)を案内する予定になっており、日本政府は、宣言をめぐって議論が紛糾することを避ける判断をしたと言っています。
しかし、2015年11月に国連の第一委員会(軍縮)は、核兵器の非人道性を強調し、核廃絶への法的枠組みの強化を求める「人道の誓約」決議案の採決を行い、賛成128で採択したのですが、日本は「唯一の被爆国」と言いながらこの決議に棄権していますからね。
安倍首相は、2015年8月の広島原爆記念日に非核三原則について言及しませんでしたし、ついこの前、核兵器の保有も使用も憲法に違反するとは限らないという答弁書を閣議決定したばかりですし、せっかくの広島宣言に核兵器の非人道性を入れないというのは、安倍政権の核兵器に対する姿勢の表れでしょう。
実際、核兵器の非人道性を言わないで、原爆資料館に行って何を見せて何を語るんですか。
広島、長崎に投下されたような初期型の小型の原爆でも、投下した瞬間に10万人の人の命を奪い、さらに年内に10万人の人の命を奪い、その後、生きる限り原爆症の恐怖と痛みで被爆者を苦しめる核兵器。
命を奪い、家族を奪い、健康を奪い、社会を崩壊させ、医療は役に立たない。
核兵器こそ、国際人道法違反の「無差別殺戮兵器」であり、戦争終結に「不必要な苦痛」を市民にもたらす、究極の非人道兵器です。そのことはあまたの国連総会決議だけでなく、国際司法裁判所も勧告的意見で認めたこと。
もう一度言いますが、「核兵器のない世界」を目指す意志を示すものとして出されるという広島宣言。
核兵器の非人道性を言わないで、何を言うんですか。出す意味があるんですか。
以下、広島・長崎の原爆投下直後の画像です。
被爆の実相をご覧いただくのに、こういうことを言うべきなのかとも思いますが、初めてご覧になる方には衝撃的なものが多数あることをあらかじめ申し上げておきます。
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広島・長崎―原子爆弾の記録 |
子どもたちに世界に!被爆の記録を贈る会 | |
平和のアトリエ |
人間の想像をはるかに越えた広島・長崎の原爆被爆の惨状や、それによってもたらされた人間の悲劇を克明に記録した写真集。1984年刊普及版の新版。
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決定版 広島原爆写真集 |
勉誠出版 |
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決定版 長崎原爆写真集 |
勉誠出版 |
1.『決定版 広島原爆写真集』『決定版 長崎原爆写真集』ともに初公開作品を含み、合計で800点近い写真を収録。
2.配列順は、撮影された年月日順を原則とし、時間の経過とともにその後の推移をたどることができる。
3.写真キャプションは日本語と英語を併記し、多くの人に理解できるようにした。
4.巻末に、広島と長崎をともに撮影した林重男と松本栄一の対談「原爆を撮った男たち」を収めるほか、撮影者・撮影当時の様子を詳述した解説を付す。
1 1945年8月10日爆心地から南1km離れた三菱の工場近くで驚き慄く老婆の姿。
2 長崎8月10日午前10時、原爆によって瀕死の重傷(焼けど)を負った住民達が次々に死亡し始める。
3 広島で酷い火傷を負った市民、彼らは動く事さえ出来ず路上で死を待つしかなかった
6 長崎で放射能被爆した高齢の女性、彼女は被爆の為一週間後に死亡。
7 子供を抱いた被爆しした女性。彼女は外科医の治療を待っている。
8 広島で足に酷い火傷を負った小学生を治療する医師、だがこの少年の足を救えそうに無い。
9 服に引火し酷い火傷を負った少年。左腕は骨まで焼けていた。
10 長崎、頭部に大火傷を負い、頭蓋骨が露出する老婆を治療する医師。
11 長崎、爆心地から南に230メートル地点の惨状
12 広島で撮影された母と子
13 広島で集められた犠牲者の骨、多くの人犠牲者は原爆の熱で死亡し燃やされた。
15 長崎で撮影された壁に焼きついた影
16 広島、爆心地から2.3km離れた地点でも橋の石のガードレールが倒れている。
17 広島、爆心地から900メートル離れた所で焼けどを負った被爆者の写真
18 広島、爆心地から900メートル離れた所で被爆した21歳の兵隊。被爆後彼には医者も診たことの無い症状が出始める。被爆後彼の顔に赤い斑点が出始め、喉は腫れ、呼吸と食事をするのを困難にした。そして体の皮膚にはヒリヒリする痛みが出始め、彼は9月2日こん睡状態で亡くなった。
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要はやる気がないだけなんですよ。
ポーズで核廃絶を目指すふりだけするのはやめろ。
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核兵器使用の非人道性と原爆投下の違法性
―原爆裁判・下田判決50年にあたって―
今、国際社会では、核兵器使用のもたらす壊滅的な人道的結果についての懸念が共有されている。この懸念に基づき、2013年10月21日、国連総会第1委員会において、125か国が、「核兵器が、ふたたび、いかなる状況下においても、使用されないことが人類の生存そのものの利益である。」、「すべての努力はこれらの大量破壊兵器の脅威を取り除くことに割かれなければならない。」、「核兵器が二度と使用されないことを保障する唯一の方法は、それを全面廃棄することしかありえない。」との共同声明を発表した。この非人道性に着目する核兵器全面廃絶の主張は、すでに存在する国際法に照らせば、核兵器の違法性を強く示唆するものである。
私たち人類は、非人道的な結末をもたらす兵器の使用を違法とする国際法をすでに持ち合わせている。今から50年前の1963年12月7日、東京地方裁判所はいわゆる原爆判決(下田判決)を下した。判決は、米軍による広島・長崎に対する原爆使用は、文民と戦闘員とを区別しない「盲目爆撃と同様な結果を生ずる」として、「無差別爆撃」を禁止する国際法に違反すると判断した。また、判決は、原子爆弾は毒ガス以上の残虐な兵器であり、「不必要な苦痛」を禁じた国際法に違反すると断言した。
そして、この判断枠組みは、「核兵器による威嚇または核兵器の使用は、一般的に国際法に違反する」とした国際司法裁判所の勧告的意見(1996年)にも共通している。これを踏まえて、2011年の赤十字代表者会議は、核兵器のいかなる使用も国際人道法の原則に合致するとみなすことは不可能だと判断した。
だが、核兵器国や核兵器依存国は、あたかも核兵器を禁止する法が存在しないかのように振る舞い、自らの安全保障を核抑止論に委ねている。核兵器の違法化については、遠い将来の目標に据えるだけである。その間、核兵器は依然として人類に対して脅威であり続ける。このような態度は「自国のことのみに専念して他国を無視」し、「人類の生存の利益」を無視するものである。
もとより各国の安全保障はきわめて重要である。だがこれは「正義と秩序を基調とする国際平和」の中でこそ、真に実現されるのであって、これを支えるのは「力の支配」ではなく「法の支配」である。核兵器の使用によることなく、われらの平和と安全、そして生存を保持することこそ、国際法と日本国憲法がともに求めるものである。
核兵器の非人道性を語るとき、ヒロシマ・ナガサキの現実とその法的帰結を忘れてはならない。
核兵器の廃絶をめざす日本法律家協会
核軍縮へ「前進ある内容を」 「広島宣言」で知事期待 /広島
毎日新聞2016年4月6日 地方版
外相会合で発表される「広島宣言」について、湯崎英彦知事は5日、「核軍縮に向けて核兵器国と非核兵器国との間で具体的な前進がある内容になってほしい」と期待を述べた。
岸田文雄外相は既に、核軍縮・不拡散に特化した「広島宣言」を外相会合で発表する考えを明らかにしている。核兵器をめぐっては、昨年米ニューヨークであった核拡散防止条約(NPT)再検討会議で最終文書案が採択できず、保有国と非保有国の対立が鮮明になっていた。
湯崎知事はこの日の定例会見で、「核兵器国と非核兵器国の動きが一致しない状況の中で、G7には両者がいる。(岸田外相は)『再起動』という言葉を使っているが、一歩でも具体的に動いていく内容になることを期待したい」と述べた。
外相会合では、原爆を投下した米国のケリー国務長官が初めて平和記念公園(中区)を訪れることが決まり、5月の伊勢志摩サミットに合わせたオバマ大統領の訪問も検討されている。湯崎知事は、2010年以降、平和記念式典に米国の駐日大使らの参列が続いていることに触れ、「突然変わることを期待するのではなく、国の為政者レベルで被爆の実相が浸透していくのを長い目で見守るべきだ」と指摘。「広島に来てよかったと思ってもらえるようお迎えし、着実な一歩を積み上げていくことが、結局は核兵器廃絶への近道だ」と持論を述べた。【石川裕士】
「核廃絶」決議を採択 米配慮、日本は棄権
毎日新聞2015年11月4日 東京朝刊
【ニューヨーク草野和彦】国連総会(加盟193カ国)の第1委員会(軍縮)は2日、核兵器の非人道性を強調し、核廃絶への法的枠組みの強化を求める「人道の誓約」決議案の採決を行い、賛成128で採択した。主な核保有国のほか、非核保有国の中でもドイツやオランダなど北大西洋条約機構(NATO)加盟国の大半が反対。唯一の被爆国で米国の「核の傘」に守られている日本は棄権した。
米露関係の緊張に伴って核軍縮が停滞する中、非核保有国グループは核兵器の非人道性をアピールすることで、その使用に法的な歯止めをかける「人道的アプローチ」を推進し、ここ数年で世界的な潮流になりつつある。ただ、非核保有国グループも一枚岩ではなく、日本など「核の傘」に守られている国々と、人道問題を重視する国々との間で分断が生じている。
「人道の誓約」決議は、「核兵器の禁止と廃棄に向けて(現行法との)法的なギャップを埋めるための効果的な措置を特定し、追求する」との内容。2014年に開かれた核兵器の非人道性に関する国際会議終了後、オーストリアが発表した「誓約」の内容をほぼ踏襲した。この誓約は、今春の核拡散防止条約(NPT)再検討会議で107カ国の支持を集めた。だが、会議は決裂。非核保有国の間で高まった不満が今回の決議採択につながった。
一方、核保有国は警戒を強めている。英国代表は、「核軍縮は、我々が直面する国際安全保障と切り離せない」と主張し、段階的措置が現実的だと強調した。佐野利男軍縮大使は、「核保有国と非核保有国が協働して進めるという日本の立場と整合が取れなかった。決議案に反対しているわけではない」と棄権の理由を報道陣に説明した。
オーストリアのクメント軍縮大使は毎日新聞に対し、「非核保有国の多数は、人道的アプローチに基づく核軍縮の進展を望んでいる。段階的な軍縮が奏功していないのは明らかだ」と述べ、「核の傘」に頼る国々に歩み寄りを呼びかけた。
決議は来月に本会議で採択された後、正式な総会決議となる。法的拘束力はないが、国際社会の意思を示すものとなる。
被爆地訪問も採択
【ニューヨーク草野和彦】2日の国連総会第1委員会では、核兵器全廃を目指す日本提出の決議案も156カ国の賛成多数で採択された。採択は22年連続だが、今回の決議には「今年が広島、長崎への原爆投下から70年の節目である」として、各国の指導者や若者らに被爆地訪問を促す内容が初めて盛り込まれた。核保有国と非核保有国の「橋渡し役」を自任する日本だが、米国など核保有国の賛同は得られなかった。
昨年の決議案に賛成した米英仏は今回棄権した。「核兵器のない世界」を掲げるオバマ米政権が2009年に誕生して以来、米国が日本の決議案に賛成しなかったのは初めて。反対は中露・北朝鮮の3カ国のみ。
決議は「核兵器の使用に伴う壊滅的な人道的結末への深い懸念が、核兵器のない世界に向けた全ての国の努力を下支えする」との内容。米英仏は核兵器の非人道性を巡る国際的な議論の高まりに反発しており、日本の決議案にも警戒感を示したとみられる。
一方、中国の傅聡軍縮大使は採決前、反対理由として、広島と長崎の悲劇が「歴史をゆがめる道具として利用されるのを見たくない」と主張。「日本の侵略で中国だけで3500万人が犠牲になった。大半は日本軍の国際法に反する化学・生物兵器の大規模使用の犠牲者だ」と述べ、加害者としての日本の立場を強調した。
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“オバマ大統領が広島に来るかも”
メディアを通じ“ポーズ”によって私たちのイメージが作られ、“私たちが認識する現実”が作られていきます。
こうした“ポーズ”とは裏腹に
「広島宣言」には核兵器の非人道性という言葉が使われない
だとか
「憲法9条は一切の核兵器の保有および使用をおよそ禁止しているわけではない」とする閣議決定がなされたりだとか
安倍政権下で行われる現実の政治の愚劣さ。
“イメージによって私たちが認識する現実”
と
安倍内閣の政策により実際に作りだされようとしている現実
との乖離にめまいがします。
現在、原爆ドームの近くには高層ビルが建設中。原爆ドームが少しずつ存在感を失っていくようで悲しくなります。
この愚劣な政権をとめなければ。
こんな殺戮国家アメリカの手下でいることに、どんなメリットがあるというのでしょうか。当然、国としてではなく、首相や官僚の個人的メリット、私腹を肥やすためですね。
核持つ事は不可能では無いと言う事で怖くて他国は日本を刺激出来ない。
実際には核持たないのに核持つ事は不可能では無いと言う脅しで他国を牽制する訳です。
嘘言ってませんからね。
核を持つ事は不可能では無い=核持ちますじゃないですからね
その脅しをする為には核の残虐性は広島宣言から外さねばならない。
でも本気で核持とうとしてないから広島宣言はするんじゃないですかね。
いや左派とか右派とか関係無く日本の政治家が本気で核持とうとするとは思えないんですよね
本当に貼っていただいた写真みたいな凄惨で残虐な物なんですから
まあ、人道的な兵器も人道的な戦争もあるはずは無いのですが、それでも人類は戦争や兵器を持つことを避けがたい現実として受け入れて、その中で極力「非人道性」を排除しようと努力してコンセンサスのようなものを積み重ねて来た(甚だ脆いものですが)と言えます。
例えば捕虜を虐待してはいけないとか非戦闘員の殺傷は禁止だとかのコンセンサスは度々破られているとは言え、破れば非難の対象となるわけで、その意味で何らかの歯止めが期待されると思います。
核兵器廃絶運動の偉大なる意義は実際の核兵器使用にストップをかけ続けて、核兵器を「使えない兵器」に封じ込めて来たことにあると思うのです。
ここに理想が現実を作り出して来たという実例があり、更に「核兵器不使用」という事実上のコンセンサスをより強固なものとしていくためには「核兵器の非人道性」というコンセンサスもより強固なものにされるべきだと思うわけで、日本国が先頭に立って行動してこそ説得力は強まるでしょう。
米英仏が「核兵器非人道性」に抵抗するのは、戦略として通常戦力による劣勢に陥った場合に核兵器使用をちらつかせることで威嚇しようという思惑があるのかと思います。
過去にも米国は朝鮮戦争やベトナム戦争で核兵器使用をちらつかせことがあり、核兵器使用を最後のカードとして取っておこうという積もりなのでしょう。
日本も米国の思惑に追随していると言うところですが、そもそも核実験さえ殆ど不可能でありまた仮に核武装に成功したとしても軍事的にも政治的にも何のメリットも無いことは明白である中で「核兵器不使用」のコンセンサスが強固に形成された国際環境こそが日本にとっては有利なことは間違い無いと思うのです。
その意味においても日本は強力に「核兵器の非人道性」を世界に訴えるべきです。
なお中国の核軍縮大使の発言は、広島と長崎の悲劇を矮小化しようというトンでもないことで、歴史を政治的思惑に利用しようという許し難い妄言ですね。
…なんてやだ(;_;)
たとえが不適当かもしれないけど、核兵器というのはいわばインドネシアの大津波とか東日本大震災クラスの被害を人工的に起こすためのもの。だからこそなくさなくちゃいけないし、広島・長崎を通じて日本人はそれをこそ訴えなければいけないのだろうに。安倍の発想こそ、核兵器並みに非人道的だ!
日本は加害者なのに被害者面しようとしていると難癖をつけた結果、非人道性を盛り込むことが出来なかったのです。
また、彼らは保有国首脳の広島長崎訪問も同様の理由で反対しています。
居直り宣言というやっちゃ。
隷米派は、”原爆を2発も落としたような奴らとも仲良くできる。これは我々日本民族の才能”などと”酔っ払って”口走るって恥じない。そんな大多数の奴らには何度”核災害”があろうと現実も直視せずどうでも良いのだろう。
奴らがヒロシマと言うとき、そこに呉・岩国を含めた今に至るまでの軍事都市としての姿への反省などは無い。「ヒロシマ実験場は、こんなに発展してます。ナガサキナイトメア実験場もこんなに発展しています。見ていてください、フクシマ実験場もそうさせてみせます。我々がこんな事で萎縮して原発を諦めるようなアヤマチハクリカエシマセヌカラ!」と。G7など、フクシマ第一内でやりたきゃやれ。それが嫌なら、大気圏外でやってこい。もちろん、片道キップや。あったりまえやんけ、帰ってこんでええからな。