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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

祝!日本被団協のノーベル平和賞受賞!!日本が核兵器廃絶を目指して核兵器禁止条約に参加するのを良しとするなら、衆院選では自国維公(地獄逝こう)に投票するのは厳禁。まともな野党4党に投票するしかない。

2024年10月12日 | 被爆者援護と核兵器廃絶

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 2024年10月11日、日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)がノーベル平和賞を受賞されたことにあらためてお祝いを申し上げたいと思います。

 日本被団協に結集された被爆者の方々が凄かったのは、ご自身の家族がご友人が原爆にやられてお亡くなりになった過酷な状況で結集されたこと。

 そして、当時は「ピカドン」にやられたというだけで様々な社会的偏見と差別の目にさらされたのに、被爆者であることを名乗られたこと。

 そして、自分たちのためではなく、二度と世界中のどこの人も同じ目に遭わせてはならないという一心で、原爆症にもさいなまれる中、活動を続けてこられてきたことです。

 これほどノーベル「平和」賞の名にふさわしい方々、団体はほかにないと思います。

 本当にありがとうございました。

 そしておめでとうございます!

この驚き方!(笑)。

今年も受賞可能性があるということで広島市役所で待機されていたんですね!!

【ノーモアヒバクシャ!】日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)にノーベル平和賞授与!「核兵器のない世界の実現に向けた努力」「核兵器の使用がもたらす人道的惨事に対する認識を高めるために尽力してきた」

 

 

 今日も日本被団協がノーベル平和賞を受賞したということでニュースが続いているようで、本当にめでたいことです。

 その中でとても大事なのは、「唯一の被爆国」と称しながら、日本政府が参加してこようとしなかった核兵器禁止条約への参加を求める声が高まっていることです。

 さて、日本被団協のノーベル平和賞受賞に一番困ったのが自民党の石破茂首相。

 10月11日の受賞当日、石破首相は訪問先のラオスで記者会見し、日本原水爆被害者団体協議会が今年のノーベル平和賞に決まったことについて

「長年、核兵器の廃絶に向けて取り組んでこられた団体に授与されることは、極めて意義深いことだ」

とだけ語りました。

 しかし、石破氏の持論である核共有はアメリカ軍の核兵器保有を前提に、その核兵器を日本列島に持ち込ませ、その利用について日本政府の意思も反映していこうというもので、被爆者が願う核兵器廃絶はもちろん、非核三原則にも真っ向から反する代物です。

  石破政権では、いや自民党が政権にいる限り核兵器禁止条約への日本の参加など望むべくもないのですから、今回の選挙で自民党を絶対負けさせないといけないことがますますはっきりしたと言えるでしょう。

日本がアメリカの核兵器の存在を前提にしてアメリカの核の傘の下にいようとする限り、中国やロシアや北朝鮮の核兵器保有も非難できない。
78回目の広島原爆の日。核兵器禁止条約に背を向ける岸田文雄首相に「核のない世界」を言う資格はない。G7広島サミットの「広島ビジョン」も核兵器の存在を前提にする核抑止力論に立っていることを忘れるな。

 

 

 

 笑ってしまったのは日本維新の会。

 日本維新の会は、安倍晋三元首相が米軍との核共有を呼びかけたのに呼応して、松井一郎前代表まで何度も核共有を呼びかけるという日本一タカ派の政党で、今回の衆院選挙の公約維新八策2024にもはっきりと

「緊迫する安全保障環境に鑑み、アジア太平洋地域の平和と安定の基軸となる日米関係を更に強固なものとするため、例えば原子力潜水艦の共有など、米国の核拡大抑止における日本側の意思決定への関与や共同訓練の実施を求める等、日米同盟の一層の深化を図ります。」

と明記されています。

 ところが、日本被団協へのノーベル平和賞授与の一報を受けたネコババ伸幸代表の談話が

「心からお祝い申し上げる」

「今回の受賞に呼応すべく、我が国政府も『核兵器のない世界』への出口と言える重要な核兵器禁止条約の締結国会議へのオブザーバー参加を検討すべきだ」

 というのですから、自分が何を言っているのかもよくわかっていない反知性と便乗商法ぶりには呆れます。

核兵器禁止条約は核兵器廃絶の出口ではなく入り口。条約ができてもそこから全核兵器をなくすには遠い道のりが待っている。

そんなイロハもわかっていないネコババ代表と維新には嫌気が差す。

【#維新は日本一の悪党】日本維新の会が安倍元首相の「核共有」構想に共鳴して、非核三原則見直しと原発再稼働の議論を岸田政権に正式提案。そんなことより維新は全国最悪の大阪のコロナ死者をなんとかせえ!

【#維新は日本一の悪党】日本維新の会が岸田政権に「核共有」の議論を求める提言。防衛費をGDP2%に倍増することも要求。無能な維新は余計な事は考えずコロナ死者最多の大阪の問題に取り組め。

【#維新は日本一の悪党】日本維新の会の松井一郎代表があの長崎で「核抑止力を持たなければならない」「自民党にタブーなき我が国の防衛を議論させる」。かつては橋下氏が広島で「核廃絶は無理」。

長崎原爆の日に唾を吐きかける吉村洋文日本維新の会副代表。核は廃絶すべきと言いながら「核共有の議論を始めることは必要」。「倍返し」できるよう、アメリカが日本に配備した核兵器を使用することを禁止せず。

 

 

 立憲民主党の野田佳彦代表も

『日本被団協の皆様の、長年にわたる運動の結実ともいえる、「核兵器禁止条約」に、わが国がせめてオブザーバーとして参加しなければ、唯一の戦争被爆国としての核廃絶に向けての本気度が問われます。政府には、次回の締約国会議には必ずオブザーバー参加するように求めます。』

というメッセージを発表しています。

 核兵器禁止条約に完全に背を向けている自公政権よりははるかにマシとはいえ(国民民主党も今回も一言も核兵器禁止条約に触れない)、そもそもなぜ「唯一の被爆国」日本がオブザーバー参加にとどまっていいものなのでしょうか。

 それこそ立憲民主党の平和主義と核兵器廃絶への本気度が問われる話です。

(「唯一の戦争被爆国」という意味は、日本は「戦争における唯一の被爆国」であり、原水爆の実験では南太平洋や旧ソ連諸国など多くの国が被爆しているということ。また広島長崎でも強制連行されてきていた朝鮮人の方々など多くの日本人以外の被爆者が生まれていることを忘れてはならないことを意味する)

G7サミットで広島ビジョンを打ち出した「岸田文雄首相にノーベル平和賞を」というお笑い。核軍縮を言っても核廃絶は言わず、核抑止論を前提にしている広島ビジョンは核廃絶に向かって1ミリも前進していない。

 

 

 これらの大政党に引き換え、本気で核兵器廃絶を目指してきた野党は一味も二味も違います。

 まず日本共産党は、今回の衆院選での公約として

『「核抑止」から抜け出し、核兵器禁止条約に参加する政府を』

という一章を設けています。

 その中で共産党は

日米軍事同盟絶対の自公政権は、核兵器をめぐっても、今年7月に「日米拡大抑止協議」を閣僚級に格上げして開催するなど、米国による「核抑止」を日米一体で強化する姿勢を露骨にしてきました。石破首相は、「核共有」――米国と核のボタンを押すことを共有する姿勢まで示しています。「非核三原則」に違反します。「核抑止」とは、核兵器の使用を前提に相手国を脅迫することです。唯一の戦争被爆国でありながら、核兵器禁止条約に背を向け、逆にアジアでの核軍拡を激化させることなど絶対にあってはなりません。

 核兵器禁止条約は、現在、94か国が署名、73か国が批准し、2回の締約国会議が開催されるなど、国際政治において現実的な役割を発揮しています。日本政府が核兵器禁止条約に加われば、この流れが巨大なうねりとなることは確実です。

――「核抑止」から抜け出し、核兵器禁止条約に参加する政府をつくります。

――唯一の戦争被爆国として核兵器廃絶の先頭にたつことを求めます。

と高らかに宣言しています。

日米首脳会談の共同声明で中国に「異例の核軍縮呼びかけ」のお笑い。5500発保有の米国が350発の中国に文句を言う資格はない。ウクライナ危機で核兵器禁止条約のみが人類の生き残る道であることは明らかだ。

 

 

 ですから、今回の日本被団協のノーベル平和賞に関しても、日本共産党の田村智子委員長は、

「日本被団協のノーベル平和賞受賞を心から喜びたい。

 被爆の実相、核兵器の非人道性を語り続け、核兵器全面禁止を求める国際的な大きなうねりを生み出してきた被爆者のみなさんに心からの敬意を表します。

 核脅威が強まるもとでの受賞は、とりわけ大きな意味があります。

 今こそ、核兵器禁止条約を日本政府も批准し、核兵器廃絶を世界に働きかけるべきです。」

とのコメントを出し、小池晃書記局長も朝日新聞の取材に対して

「日本被団協は核兵器廃絶を訴え続け、それが核兵機禁止条約に実ったことが、国際社会から高く評価されたということだろう」

「核なき世界を目指すという流れが世界の本流だと今回のノーベル平和賞は証明した」

「日本政府はノーベル平和賞を踏まえ、核兵器禁止条約に参加する決断をすべきだ」

と明言しています。

 核兵器廃絶をめざして日本が核兵器禁止条約に参加すべきだと考えるなら、投票先の第一の選択肢は日本共産党と言えます。

「ロシアが核の威嚇射撃を行い、NATOがこれに小型の攻撃で応戦すると、最初の数時間に9000万人以上の死傷者が出る」(プリンストン大学)。核兵器禁止条約の全国家批准しか、人類の生き残る道はない。

 

 

 核兵器廃絶に関して熱いことでは社民党も人後に落ちません。

 衆院選の公約にも

「憲法9条の改悪には絶対反対。平和憲法をくらしに活かす政治を実現します。

 敵基地攻撃能力保有、武器輸出など防衛力大増強に断固反対します。

 核兵器禁止条約に批准・署名し、核なき世界を実現します。」

と核禁条約の批准・署名がキッチリ入っています。

 社民党党首の福島瑞穂議員も

「被団協の皆さんのノーベル平和賞受賞本当にうれしいです。心からお祝いを申し上げます。

 長崎を最後の被爆地と核兵器廃絶のために証言をし、活動をしてこられたことに心から敬意を表します。

 日本が核兵器禁止条約を批准し、核なき世界へ大きく前進するようがんばります。」

とお祝いのメッセージをはっきり述べています。

長崎で被爆された山口仙二さん。また詳しく書きます。

大久保賢一弁護士(日本反核法律家協会会長)がウクライナ危機に乗じる核共有論者や非核三原則見直し論者を弾劾する。「彼らは、人類社会に死をもたらす死神の手先なのだ」。

 

 

 れいわ新選組の今回の衆院選での公約も素晴らしく、

「専守防衛・経済を軸とする徹底した平和外交、核廃絶の先頭に立つ

として

「岸田政権は5年間で43兆円の軍事費倍増計画、武器輸出を国家戦略にするための立法を相次いで強行しました。不必要な軍備増強は周辺地域の軍拡競争を煽ります。憲法9条を持つ日本は、米国一辺倒ではなく、多極化する世界の中で今こそ専守防衛と徹底した平和外交によって周辺諸国との信頼醸成を強化し、北東アジアの平和と安定に貢献していくべきです。無用に危機を呼び込みかねない脅威対抗型の「安保3文書」(敵基地攻撃能力の保有等)については見直し、憲法に則った専守防衛にふさわしい文書に改定します。

沖縄県の住民の意思を尊重し、辺野古新基地建設は中止する。南西諸島のミサイル基地化は行わない
民主的な相互互恵の関係をASEAN諸国と結び、経済連携を深める
北東アジア非核地帯条約の創設を目指し、地域の安全保障対話を促進する
日米間の友好関係は維持しつつ、アメリカ追従の外交政策を見直す
核兵器禁止条約の署名・批准を進める

となっています。

【祝】核兵器禁止条約の発効確定!批准国が50国に達する!!その批准国に圧迫を加えるトランプ米大統領と、絶対批准しないという菅総理と、オブザーバー参加しようと誤魔化しにかかる山口公明党代表(呆)。

 

 

 また、うちの

沖縄1区でオール沖縄の赤嶺候補に対抗馬を出したれいわ新選組が「衆院選比例東京ブロック1位にウクライナ戦争で事実上プーチンのロシアを応援する伊勢崎賢治を立ててきた(呆)」kojitakenの日記さんより

でこっぴどく批判した、沖縄1区への候補を擁立も、山本太郎代表が正式に声明を出して取り下げました。

 この声明では立憲民主党が信用できないということが主に述べられていますが、うちの記事に引用した小池晃共産党書記局長の説明と山本代表の説明では食い違う部分もいくつもあるようで、そのどちらが正しいかは部外者にはわかりません。

 しかし、とにかく山本太郎代表が決断して

「一度立ち止まり、引き返す勇気が必要であると判断しました。」

というのは良いことでしょう。

 あとは、ロシアが核兵器を使う可能性があるからウクライナは降参すべきだと言っているも同然の伊勢崎賢治氏を比例東京ブロックの候補者から降ろすことが、

「核廃絶の先頭に立つ」

と宣言したれいわ新選組には求められるところです

ロシア専門家の廣瀬陽子慶大教授が「核が抑止力でなくロシアの自由度を高めている。核抑止論者にとっては衝撃的」。岸田首相はNATO首脳会議でなく、核兵器禁止条約の第1回締結国会議に出席すべきだ。

 

参考記事 村野瀬玲奈の秘書課広報室さんより

不正行為まみれの政党は呼び、人権重視の少数政党は党首討論会に呼ばない記者クラブは民主主義の否定。 #社民党を記者クラブ主催の党首討論会に呼んでください #社民党を排除しないで #マスメディアへの不満

記者クラブは言論の事前検閲をやめてください #社民党を記者クラブ主催の党首討論会に呼んでください #社民党を排除しないで #国民の知る権利 #社民党 #福島みずほ #マスメディアへの不満

 

編集後記

政党要件を具備している社民党が、本日の日本記者クラブ主催の衆院選討論会には参加できないことが確定したようです。

今回新たに国会議員5人以上もしくは国政選挙での得票率2%以上という基準を設けて、みんつく党と参政党とともに伝統ある社民党も排除されてしまいました。

社民党以外のその2党を討論会に出したくなかったであろうことは理解できますが、だからと言ってこれまでは政党要件を具備していれば参加を認めていたのに、いきなり社民党も含めて参加を認めないというのはおかしいでしょう。

日本の記者クラブ制度の独善性・排他性が顕著に出た事案と言え、村野瀬さんに続いて遅ればせながらうちも断固抗議します。

日本記者クラブはもう一度社民党も含めた公開討論会を開催すべきです。

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 11日夕、ノーベル平和賞に日本原水爆被害者団体協議会(被団協)が選ばれた。核兵器廃絶に向けた長年の取り組みが評価された。被団協は折しもこの日の昼、国会で集会を開き、核なき世界が実現しない現状に危機感を表していた。日本では今月、「核共有」を持論とする石破茂氏が首相に就任した。今回の平和賞を踏まえてもなお、核抑止力への依存を強める考えだろうか。(太田理英子、山田祐一郎)

◆「受賞が政府を変える一つの力になれば」

 「大変驚いている。被爆者の思いがようやく認められてうれしい」。被団協の工藤雅子事務室長(62)は11日夜、東京都港区の事務所で喜び、こう続けた。「被爆者への国家補償と核廃絶を求めてきたが、政府は背を向けてきた。受賞が政府を変える一つの力になれば」
 この日昼、被団協は東京・永田町の参院議員会館で集会を開いていた。
会場であいさつする被団協の田中重光代表委員=11日、東京・永田町の参院議員会館で(池田まみ撮影)

会場であいさつする被団協の田中重光代表委員=11日、東京・永田町の参院議員会館で(池田まみ撮影)

 「来年で被爆から80年。核兵器をなくすこと、国家補償を求める運動をしてきたが、残念ながら今も達成されていない」。7人の現職・前国会議員を前に、長崎で被爆した田中重光代表委員(84)は訴えた。

◆受賞発表の日に集会、自民は欠席

 被団協は集会で、各政党と厚生労働省に全ての原爆被害者への国家補償の法制化、核兵器禁止条約の署名・批准などを求める要請書を出した。
 政党への要請時、立憲民主、維新、公明、共産、国民民主、れいわ、社民の7党から各1人が出席した。だが、自民は「出席できる議員がいない」として欠席し、広島選出の寺田稔前衆院議員がメッセージを寄せるにとどまった。
各政党への要請書を手渡す被団協の関係者ら=11日、東京・永田町の参院議員会館で(池田まみ撮影)

各政党への要請書を手渡す被団協の関係者ら=11日、東京・永田町の参院議員会館で(池田まみ撮影)

 政党の出席者は「核兵器のない世界をめざし全力で取り組む」「核禁条約締約国会議へのオブザーバー参加が必要」などと前向きに発言。だが愛知県原水爆被災者の会の金本弘理事長(79)は「先生方の話を聞くと、きっと要求を実現してくれるといつも思う。でもその後『なんだ、こんなもんか』と思わされる」と不信感をあらわにした。

◆石破氏は「核共有」に前向き

 国連での核禁条約採択から7年。94の国・地域が署名し、73の国・地域が批准したが、被爆国の日本は消極的だ。金本氏は「この7年で何万人の被爆者が亡くなったか。悔しさが込み上げた」と漏らした。
 核廃絶を求めて闘う被爆者たちの思いに逆行するように、核を巡る持論を展開してきたのが石破氏だ。
 9月の自民党総裁選の討論会で、石破氏は米国の核兵器を日本で運用する「核共有」に前向きな姿勢を示し「非核三原則に触れるものではない」と強調した。同月下旬に米シンクタンクのホームページに掲載された寄稿では、アジア版の北大西洋条約機構(NATO)を創設し、「核の共有や持ち込み」を具体的に検討すべきだと主張した。

◆石破氏の主張など「もってのほか」

 先の田中氏は集会で、「こちら特報部」の取材に「79年たっても被爆への補償が十分なされず、戦後処理は終わっていないのに、核共有なんてもってのほか」と語気を強めた。集団的自衛権の行使を認めた安倍晋三政権、敵基地攻撃能力の保有を決めた岸田文雄政権に続く石破政権。「新しい戦前が始まっている」と危機感を募らせていた。
 被団協の代表者会議は10日、原爆投下から80年となる来年に向け「再び被爆者をつくらないために、日本と世界のみなさんと訴え歩み続ける」とのアピール文を採択している。その中で日本政府が責任を果たしていないとも追及した。
 田中熙巳(てるみ)代表委員(92)は「政府は核兵器でもたらされた無残な被害を全く理解していない。核廃絶の論戦の先頭に立たなければいけないはずだ」と力を込めた。

◆「被爆地出身」の岸田氏、やがてトーンダウン

 石破氏は1日の首相就任会見で、平和を守るための抑止力の強化を訴える一方、核共有について具体的な説明はしなかった。主張をやや抑制したようだが、核廃絶には一切触れず、3年前の岸田氏の首相就任会見とは差異がみられた。
岸田文雄首相(2021年撮影)

岸田文雄首相(2021年撮影)

 2021年10月の就任会見で岸田氏は「被爆地広島出身の総理大臣として、核兵器のない世界に向けて全力を尽くす」と宣言。核兵器保有国が核禁条約に参加していない状況に触れ、「唯一の被爆国として米国をはじめとする核兵器国を、この核兵器のない世界の出口に向けて引っ張っていく」と意気込みを語った。
 ところが、岸田氏はその後トーンダウンし、関係者の期待は一度しぼんだ。昨年5月の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)で取りまとめた共同文書「広島ビジョン」は、米国の「核の傘」の下で核抑止を肯定する内容だった。日本は核禁条約に不参加のまま。被爆者団体は条約の締約国会議に、せめてオブザーバーとして参加するよう求めているが実現していない。

◆受賞に「この道しかない」

 「広島出身として『核なき世界』を掲げたはいいが、何もできなかった」と冷ややかに振り返るのは、被団協の代表理事で、東京の被爆者団体「東友会」の代表理事も務める家島昌志氏(82)。3歳の時、広島で爆心地から約2.5キロの場所で被爆した。
平和記念公園で記念撮影に納まる岸田文雄首相(中央)と先進7カ国(G7)の首脳ら=2023年5月、広島市中区で(代表撮影)

平和記念公園で記念撮影に納まる岸田文雄首相(中央)と先進7カ国(G7)の首脳ら=2023年5月、広島市中区で(代表撮影)

 11日夕のノーベル平和賞受賞の報に「予測していなかった。長年、期待はしていたが、もうその時代は過ぎたと思っていた」と戸惑いつつ、再び原爆被害に目が向けられたことに希望を抱く。「被爆者が望んでいるのは、核抑止でも核共有でもなく核兵器廃絶。この道しかないということが認められた。ありがたいことですよ」

◆7年前はICANにノーベル平和賞

 史上初めて核兵器を非合法化する核禁条約が国連で採択されたのは2017年7月。その年の10月にノーベル平和賞に選ばれたのが、条約の実現に主導的な役割を果たした「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)だった。
 ICAN国際運営委員で、NGO「ピースボート」共同代表の川崎哲氏は被団協の受賞の報に「今こそ世界は、被爆者の声に耳を傾けなければならない」とコメントした。
核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員の川崎哲さん=2024年4月撮影

核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員の川崎哲さん=2024年4月撮影

 川崎氏は「こちら特報部」の取材に「いま、条約に署名・参加するのは世界の約半数に上る。一方、核保有国は核兵器の役割を高めており、ロシアやイスラエルの場合は実際の戦争での使用も懸念される」と現状を説明する。

◆核共有は「非核三原則に抵触」

 そして、かねて核共有を主張していた石破氏について「政権が落ち着くまで(核共有論を)封印するのだろう。だが時間をかけてかじを切る可能性がある。核共有は、非核三原則に抵触し、核拡散防止条約(NPT)にも違反する可能性が高い。軽はずみな議論は日本の国際的信頼をも傷つける」とくぎを刺す。
 被団協の受賞を受け、川崎氏は「日本は唯一の戦争被爆国であり、核兵器廃絶に向けて世界を主導する役割を担わなければならない」と呼びかけた。

◆石破内閣の基本方針は「守ること」というが…

 長崎大の鈴木達治郎教授(核軍縮)は、石破氏が就任会見で内閣の基本方針を「『守る』ということ」とアピールしたことに触れ、「核兵器の共有はかえってリスクを高めることになり、国民を『守る』ことにはならない」と指摘する。
 ICANの受賞から7年たち、被団協が平和賞を受賞した。鈴木氏はこう訴える。「被爆者が核兵器の非人道的影響について世界に訴え続けてきたことでその後80年間、核兵器が使われなかった。いま核兵器を使おうとしている国がある中、世界が必要としているのは核兵器廃絶だった」

◆デスクメモ

 2009年、オバマ米大統領(当時)がノーベル平和賞を受賞した。核兵器のない世界実現への姿勢が評価されたが、就任して1年未満。実績より核廃絶への期待を込めた授与だった。それから15年、期待はどれだけ現実化したか。私たちは時の経過を重く受け止めなければならない。(北)

 

 

 核なき世界をあきらめない、と声を上げ続けてきた人々の願いが実った。
 日本原水爆被害者団体協議会(被団協)のノーベル平和賞受賞が11日、決まった。長年、活動に関わってきた被爆者は喜びをあふれさせ、核兵器廃絶をあらためて誓った。

◆親族5人を亡くし…「どんなに喜ぶことか」

 被団協の事務局長を計20年務め、現在も代表委員として活動を続ける田中熙巳(てるみ)さん(92)は11日夜、埼玉県新座市の自宅で授与決定の知らせを聞いた。ひっきりなしに電話が鳴る中、受賞について「うれしいです。私だけじゃなく被爆者全員が喜んでいると思う。特に、亡くなった方々はどんなに喜ぶことかと思います」と語った。
ノーベル平和賞の受賞が決まり、感想を話す日本被団協の田中熙巳さん=11日夜、埼玉県新座市で(平野皓士朗撮影)

ノーベル平和賞の受賞が決まり、感想を話す日本被団協の田中熙巳さん=11日夜、埼玉県新座市で(平野皓士朗撮影)

 被団協は長年、核兵器廃絶に向けた運動を続けてきた。田中さんもその実績は平和賞に値すると思い続けてきたが、2017年に核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)が受賞し、「もう被団協としてはもらうことはないかな」と思っていたという。「だから(受賞は)思いも寄らなかった」というが、「実は昨日か一昨日かの夜、被団協がノーベル平和賞をもらう夢をみたんだよね。思いが通じたかな」と笑った。
 田中さんは13歳の時、長崎市の爆心地から3.2キロの自宅で被爆。親族5人を亡くした。親類の家に向かうと、父方のおばといとこは「真っ黒な炭」に変わり果てていた。

◆壮絶な被害、伝え続けた

 戦後しばらくは連合国軍総司令部(GHQ)の情報統制もあり、原爆の被害は日本でもあまり知られていなかった。1954年の米国によるビキニ水爆実験で日本のマグロ漁船が被ばく。国内の原水爆禁止運動の盛り上がりとともに、原爆の被害が注目されるようになり、1956年に被団協が誕生した。
1978年、国連の軍縮特別総会で被爆者らとニューヨークの街をパレード(田中熙巳さん提供)

1978年、国連の軍縮特別総会で被爆者らとニューヨークの街をパレード(田中熙巳さん提供)

 被爆者への医療補償などに加え、被団協の活動の中心となったのは、被害を世界に伝えるために当事者である被爆者が証言することだ。1976年に田中さんが被団協のメンバーとして初めて国連を訪問した時は死者数ですら過小評価されており、「冗談じゃない」と悔しい思いをしたという。「きのこ雲の下の壮絶な被害が全く伝わっていない」と痛感し、国連で直接訴える活動を始めた。
 田中さんが中心となって、2000年代からは写真パネルを使った「原爆展」を国連本部内で開催。被爆者が国際会議で証言し、各国代表が総立ちになって拍手が起きたこともあった。
 田中さんは今年もピースボートに乗って若者たちに被爆体験を語った。「被爆者が声を上げたことでようやく、具体的に『非人道性』とはどういうことなのかが伝わり始めた。世界から核兵器をなくすために、核兵器禁止条約を世界に広げないと。条約に署名も批准もしていない日本が変わらないといけない」と訴える。(出田阿生)

  ◇

◆でも「国家補償も核廃絶も、実現していない」

 東京・芝大門のビル9階にある被団協事務所には11日夕、カメラやボイスレコーダーを手にした多くの報道陣が詰めかけた。所狭しと資料が積まれた室内で、事務室長の工藤雅子さん(62)は「1956年に結成して以来、一貫して原爆被害への国家補償と核兵器の廃絶を掲げて運動してきたことが世界に認められた」と喜んだ。
ノーベル平和賞の受賞が決まり、電話の応対に追われる日本被団協の工藤雅子さん(左)=11日、東京都港区で(坂本亜由理撮影)

ノーベル平和賞の受賞が決まり、電話の応対に追われる日本被団協の工藤雅子さん(左)=11日、東京都港区で(坂本亜由理撮影)

 ノーベル平和賞の受賞は、帰り支度をしていた時にかかってきたテレビ局からの取材の電話で知ったという。「驚いたし、うれしく思う。これまでの運動で先頭に立ってきた被爆者らを思い出した」
 あの戦争から79年、被爆者たちは皆、病を抱え、高齢化している。「今、生きて語れる被爆者は乳幼児の時に被爆したなど、あの日の様子を語れない人が多い」と歴史を伝え続けることの困難さに直面する。それでも、あらゆる国際会議で発言を繰り返してきた。
 「被爆者たちは自分の身に起きたことを、誰にも味わわせたくないという思いで運動してきた」とし、「被爆者が残した手記がいっぱいある。過去に手記を残した被爆者の声を読み取ってほしい」と語った。
 日本では50年ぶりとなるノーベル平和賞に喜びつつも、「被爆者たちが願ってきた政府による国家補償も核兵器廃絶も実現していない。このことを知ってもらい、多くの人に自分たちの問題として捉えてもらいたい。重い扉を開くために、もう一歩進んでほしい」と訴えた。(西川正志、太田理英子)
  ◇

◆祖母が被爆 「長年の活動、日の目を見た」

 祖母が長崎で被爆し核廃絶を目指す若者の団体「KNOW NUKES TOKYO(ノー・ニュークス・トーキョー)」で代表を務める中村涼香(すずか)さん(24)は「今年はガザの関係だと思っており、まさか被団協と思わなかった」と驚いた様子。「被爆者の言葉にフォーカスが当たり、長年続けてきた活動の重みが日の目を見て、国際的に広まる機会になることはうれしい」と話した。
 ロシアのウクライナ侵攻やイスラエルとイスラム組織ハマスとの衝突など世界各地で紛争が続く中、「社会的弱者への暴力にこれだけ強く『ノー』を突き付けられるものはない」と世界で平和を考える輪が広がることに期待を寄せた。
 中村さんらはこの夏、東京・渋谷のスクランブル交差点でスマートフォンのカメラをかざすと、実物大に近いきのこ雲が映し出されるアプリを使った作品を制作。渋谷を訪れる若い世代に核の恐怖をイメージしてもらうことを試みた。(山口登史)

 

 

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Unknown (暗黒大将軍)
2024-10-13 15:04:42
肥田舜太郎氏の軍医時代を漫画にした『原爆と戦った軍医の話』の作者、<さすらいのカナブン>さんは広島在住の40代のサラリーマンで、絵が趣味だっただけで2011年に漫画政策ソフトを手に入れるまでこの世界とは無縁だったそうです

初めは祖母の体験談を漫画にしていたところ、肥田氏を知り生前の彼に了承してもらって作品にしたと

40代の若い人にそれだけの創作意欲をもたらす故人も凄いですが、身近に漫画という発信力のあるソフトがあったのも奏功したと思いますね
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NHKの良心「ETV特集」 (津木野宇佐儀)
2024-10-14 00:39:36
記事冒頭の画像の右半分の写真
以前、教育テレビで取り上げられていました。

ETV特集「“焼き場に立つ少年”をさがして」
https://www.nhk.jp/p/etv21c/ts/M2ZWLQ6RQP/episode/te/LXMXYZGK14/

この取材がきっかけで、戦争長崎の孤児収容施設「向陽寮」の、渡米経験のある寮長・餅田千代さんや、寮出身者の方々に取材した

ETV特集「ひまわりの子どもたち〜長崎・戦争孤児の記憶〜」
https://www.nhk.jp/p/etv21c/ts/M2ZWLQ6RQP/episode/te/21J88VRG3P/

という番組があります。
現在配信されているかどうかはわかりませんが、どちらも力作です。
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