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侮辱罪に懲役刑を科せるようにすることを盛りこんだ政府提出の刑法改正案が、衆院法務委員会で審議されています。
その提案理由は、SNSを使って人をおとしめる行為が後を絶たず、対策が急務であるという事です。
しかし、表現の自由は民主政の実現にとって最重要の基本的人権です。
ですから、言論に対しては言論により対抗するのが民主主義社会での原則ですし、たとえ法的手段を取るにしても、まずは民事手続きによって、確実・迅速に被害の救済を図るのが妥当です。
現に近年の法改正で、発信者を特定して賠償を求めることは以前より容易にはなっています。
ただ費用も手間もかかるのは事実ですから、法改正をするなら刑法ではなく、まずネット上の誹謗中傷についての民事手続きについて改正し、匿名でも人を傷つける言動をすれば民事上の制裁を受けるという実例を重ねて抑止効果を狙うべきでしょう。
侮辱罪で懲役刑も科することができるように刑法を厳罰化する「改正」案を岸田政権が閣議決定。市民が権力を批判する健全な表現の自由は抑圧され、権力側の人間だけが言いたい放題になる危険。自公政権に騙されるな。
むしろ、侮辱罪の厳罰化で問題なのは、侮辱と正当な批判との線引きがあいまいなゆえに、その厳罰化は表現行為全般を萎縮させる恐れが大きいことにあります。
事実、日本共産党の本村伸子議員が2022年4月27日の衆院法務委員会で、刑法改定案に盛り込まれた侮辱罪の厳罰化について、北海道警によるヤジ排除事件をあげ、政治的言動への不当な弾圧につながる危険性を指摘しました。
本村氏は、2019年に札幌市内での安倍晋三首相の街頭演説で「安倍やめろ」などと声をあげた市民2人を北海道警が排除した対応は適切だったかと質問しました。
これについては、北海道警の行為は違法かつ重過失があるという事で、札幌地裁で原告らによる国家賠償請求が認められたばかりです。
ところが、二之湯智国家公安委員長は
「北海道警の措置は正しかった」
と答弁しているのです。
これでは、警察の恣意的な判断による不当な逮捕があり得ないとはとても言いえません。
安倍晋三首相の演説にヤジを飛ばし、北海道警察に排除された市民たちからの国家賠償請求が認められる!日本はロシアと違って表現の自由がある。権力者とその支持者の言論だけ保護する警察のやり方は許されない。
岸田政権の提出している侮辱罪厳罰化法案は、現行の侮辱罪が法定刑が科料までであるのを、
「1年以下の懲役・禁錮、30万円以下の罰金」
も選択できるようにしようというものです。
この厳罰化により侮辱罪に懲役刑が科されるようになれば、刑事訴訟法の定めにより法定刑が「拘留または科料」の場合は住所不定か出頭の求めに応じない時などに限られる逮捕が、広く可能になり逮捕して身柄拘束をしたうえでの取り調べが容易になります。
事は法定刑の上限が上がるだけではなく、政権批判を封じ込めるための不当逮捕が行なわれる危険性が増すことにつながっているのです。
そしてこれまで何度も指摘しているように、侮辱罪と同じく名誉権を保護法益とする名誉毀損罪では表現の自由との調和を図るために、表現行為に公益を図る目的があり、内容が真実ならば名誉毀損罪が成立しないという明文規定があります。
しかも、公務員や議員に対する表現行為は公益目的があって公共性があると扱われ、表現内容が真実であれば名誉毀損が成立しないと規定されています。
このように名誉毀損罪では明記されている、政治家や公務員に関する批判的な言論に対する保護規定が、侮辱罪には全くbなく、政治的な表現行為を萎縮させ、表現の自由を侵害することは明白です。
国連の委員会も、表現行為に自由を拘束する刑を科すことを許すべきではないとしています。
岸田政権提出の侮辱罪に懲役刑などを加える厳罰化法案と、立憲民主党提出の加害目的誹謗等罪を新設する法案が審議入り。名誉毀損罪に比べて言論の自由に対する配慮が全くない政府の侮辱罪厳罰化は超危険だ。
立憲民主党の対案は、侮辱罪はそのままにして、「人格に対する加害の目的で誹謗(ひぼう)・中傷した者」を罰する規定を新設するものです。
例えば「人間やめろ」といった言葉は相手に深刻なダメージを与えますが、侮辱罪に当たるとは限らないので、こちらの法案の方がネット空間の言説や被害者の思いを踏まえているといえるのです。
しかも、立憲の法案には現行の名誉毀損罪の正当な表現行為を保護する明文規定が準用されています。
これもない岸田政権の侮辱罪厳罰化法案は、ネット上の人格権の保護にはさほど役立たず、むしろ市民の政治的表現の抑圧を狙った言論弾圧法と言えます。
絶対に今国会で廃案にしないといけません。
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「侮辱罪」はやはり“権力批判封じ”に利用される! 国会で「“総理は嘘つき”は侮辱罪にあたるか」という質問に政府が驚きの答弁
三原じゅん子Twitterより
ネット上の誹謗中傷対策として侮辱罪を厳罰化し、懲役刑を科すことを可能とする刑法改正案が、ついに4月21日に衆院本会議で審議入りした。
本サイトでも既報でお伝えしたように、侮辱罪の刑罰強化の動きが活発化したのは『テラスハウス TOKYO 2019-2020』(フジテレビ)に出演していた女子プロレスラー・木村花さんの死を受けてのことで、今回の厳罰化について政府は「ネット上の誹謗中傷を抑止するため」と説明。ネット上でも賛同の声があがっている。
だが、この法改正はネット上の誹謗中傷対策になるとは言い難いシロモノだ。たとえば、侮辱罪における侮辱とは「公然と他人に対して軽蔑を表示すること」で、公然性が要件となっている。つまり、ネットやSNS上、あるいは街頭演説などは「公然」と認められても、ダイレクトメッセージやメール、LINEなどでおこなわれるいじめや誹謗中傷は処罰対象にはならないと見られているのだ。また、今回の厳罰化が誹謗中傷の抑止力になるという科学的根拠はない。日弁連はプロバイダ責任制限法の改正による発信者情報開示要件の緩和や損害賠償額の適正化など「民事上の救済手段の一層の充実を図るべき」と訴えているが、政府はそういった救済策にこそ注力すべきだろう。
しかも、国会での審議によって明らかになってきたのは、政府・与党政治家への正当な批判を「侮辱」として解釈し、気に食わない言論や表現への弾圧に利用しようという政府の魂胆だ。
本サイトでは既報で、侮辱罪の厳罰化を進めてきた自民党の真の目的がネット上の悪質な侮辱行為にかこつけた「権力批判の封じ込め」にあると指摘。その一例として、木村花さんの死を受けて安倍政権下の2020年6月に侮辱罪の厳罰化などを求める提言案を政府に提出した自民党内プロジェクトチームの座長である三原じゅん子・参院議員が「政治家であれ著名人であれ、批判でなく口汚い言葉での人格否定や人権侵害は許されるものでは無い」とツイートしたことを紹介。最初から木村さんの死を利用し、表現の自由を潰し、政治家への言論を規制する気が満々だったのだと伝えた。
そして実際、27日におこなわれた衆院法務委員会では、政府が驚きの答弁をおこなったのだ。
「総理は嘘つき」は侮辱罪に該当するか?という質問に法務省刑事局長は…
27日の衆院法務委員会で、質疑に立った無所属(立憲民主党・無所属会派)の米山隆一・衆院議員は、こんな質問をおこなった。
「たとえば、私が『総理は嘘つきで顔を見るのも嫌だ。早く辞めたらいいのに』と言った場合、これは“嘘つき”という侮辱的表現を含むものだと思いますが、この発言は侮辱罪に該当しますか? また、これを私ではなく私の妻がコラムで書いた場合には該当しますか? また、新潟県魚沼市で精肉店を営んでいる私の母が、買いに来たお客さんにこの言葉を言った場合には侮辱罪に該当しますか? それぞれ法的根拠をもとに答えてください」
ご存知のとおり、安倍晋三・元首相に対しては「嘘つき総理」「安倍辞めろ」という批判が街頭演説の場やSNS上で繰り広げられてきた。そしてこれはどこからどう見ても、正当な論評だ。当たり前だろう。「桜を見る会」前夜祭問題だけでもじつに少なくとも118回も虚偽答弁をおこなってきた総理大臣に「嘘つき総理」と批判することが、「侮辱」であるはずがない。
いや、「嘘つき」などという事実を指摘する言辞のみならず、「公人中の公人」である総理大臣は、ときに「口汚い言葉」になるような苛烈な批判も受け入れるべきものだ。プーチン政権への批判を圧殺するために言論統制を強めているロシア政府を見れば一目瞭然であるように、いかに辛辣で品位を欠く表現であろうが、為政者に対して自由に批判できることこそが民主主義国家としての絶対条件、最後の砦だからだ。
当然、「総理は嘘つきで顔を見るのも嫌だ。早く辞めたらいいのに」という言葉が侮辱罪にあたるかどうかという問いに対し、政府は明確に「侮辱ではない」と否定するだろう。そう思っていたのだが、ところが答弁に立った法務省の川原隆司刑事局長はこう答弁したのだ。
「具体的な事例をお示しになって犯罪の成否をお尋ねになっているところでございまして、犯罪の成否は収集された証拠に基づき個別に判断される事柄でございますので、この場で、法務当局あるいは法務省として、その犯罪の成否についてお答えをすることは差し控えたい」
なんと、明らかに正当な論評でしかない「総理は嘘つき。早く辞めたらいいのに」という言葉に対し、「侮辱にあたるかどうかは答えられない」などと明言を避けたのだ。つまり、「総理は嘘つき」という言葉が「侮辱」として判断され、場合によっては懲役刑が科される可能性がある、というのである。
「北海道警察のヤジ排除は適切だったか?」と問われた国家公安委員長の信じ難い答弁
だが、驚きの答弁はこれだけではなかった。この日、自民党の二之湯智・国家公安委員長は、「閣僚または国会議員を侮辱した者は逮捕される可能性はあるか」という質問に対し、当初は「ありません!」と断言していたにもかかわらず、法律上の根拠について詰められていくうちに「(不当な弾圧として逮捕することは)あってはならないということ」と後退。最終的には「侮辱罪を犯した者が多少の可能性があって逮捕される可能性はまだ残っている」などと言い出し、逮捕の可能性を否定しなかったのだ。
いや、そればかりか、2019年に札幌市で街頭演説中の当時の安倍晋三首相に「安倍辞めろ」などとヤジを飛ばした市民が北海道警の警察官に排除された問題について、日本共産党の本村伸子・衆院議員が「北海道警の対応は適切だったのか」と問うと、二之湯国家公安委員長はこう明言したのだ。
「北海道警察の処置は正しかったと思っている」
北海道警によるヤジ排除問題については、今年3月に北海道地裁は道警が表現の自由を侵害したとしてその違法性を認め、道に対して計88万円の支払いを命じる判決を出している。道が高裁に控訴したとはいえ、しかもよりにもよって侮辱罪の厳罰化が為政者に対する正当な論評に対する弾圧になり得るのではないかと審議している最中に、国家公安委員長が「ヤジ排除は正しかった」とお墨付きを与えるとは──。これはようするに、ヤジを飛ばした市民に対して侮辱罪が適用されかねないことを如実に示しているだろう。
政府は「法令または正当な業務による行為は罰しない」とする刑法35条をもって正当な意見・論評は侮辱罪の処罰対象にならないと説明しているが、しかし、正当かどうかを判断するのは権力側の捜査当局だ。そして、法務省の刑事局長が「総理は嘘つき」という言葉が侮辱にあたる可能性を示唆し、二之湯国家公安委員長がヤジ排除を「正しかった」と言い切ったように、時の権力の恣意的な判断によって政治家への正当な論評・批判が弾圧される危険が高まっているのだ。
ネット上の誹謗中傷対策としての効果が疑問視される一方、言論弾圧につながる危険だけが膨れ上がってゆく、今回の法改正案。このようなロシア化を狙う危険法案を通すわけにはいかないだろう。
(編集部)
国会で審議入りした刑法改正案。「侮辱罪」の法定刑について、従来の「1日以上30日未満の拘留または1000円以上1万円未満の科料」を「1年以下の懲役か禁錮または30万円以下の罰金」とし、公訴時効についても「1年」から「3年」に延ばす“厳罰化”が盛り込まれている。
契機となったのは、女子プロレスラー・木村花さんの問題だ。木村さんが亡くなる前、SNSには多数の誹謗中傷の書き込みがあった一方、投稿者の特定には時間がかかり、実際に書類送検されたのは2人に過ぎず、9000円の科料だった。こうした状況に対しては“軽すぎる”と批判の声が相次いでおり、母・響子さんも「その抑止力で被害者も加害者も減らしていくことができると思っている」と厳罰化を訴えてきた。
一方、龍谷大学教授で弁護士の石塚伸一氏(刑事法学)は「重罰化・厳重化は諸刃の剣だ」と指摘する。
「害悪を加える目的、ということは立証するのが難しく、検察も立件にまで持っていかないだろう。また、初犯であれば間違いなく執行猶予がつくことになる。そのことで、かえって運用そのものの信頼が失われてしまうのではないだろうか。やはりきちんと処罰されるということが重要だ。また、誹謗中傷が犯罪として重いのかどうかをきちんと議論していない、1年くらいならいいだろうという妥協案に思える。
刑罰の効果については、対象や科学的なエビデンスを考えなければならない。法定刑を引き上げました、新たな法律を国会で作りました、それが報道されました、そのことによって一般の人々が“ああそうなのか”となる。そしてきちんと捜査が行われて捕まり、裁判で判決が出て作用することになる。あるいは“あおり運転”の場合、ドライブレコーダーが普及したことで証拠収集がしやすくなったという側面もある。
そして社会において刑事処罰できる量というのは捜査能力と裁判の処理能力とで決まってくる。そもそも侮辱罪というのは告訴によって訴える親告罪だし、あまりにもたくさんの人が告訴してきたら、警察は対応できないだろう。結果、最初は効果が上がったように見えても、やがて緩やかな放物線を描くようなグラフになってしまう可能性がある」。
元警察官僚の弁護士で、現在はNPO法人「Think Kids子ども虐待・性犯罪をなくす会」代表理事の後藤啓二氏は「刑罰というものは、その行為の悪質性や被害の重大性を法的に適切に評価したものではなくてはならない。その意味では、懲役1年に引き上げるというのは“厳罰化”というよりも“適正化”に過ぎず、むしろ低いのではないかという見方もあるだろう」と話す。
「侮辱罪の法定刑も、ネットで人の心をズタズタにしてしまったり、自殺に追い込んだりする悪質な行為であることを前提に考えなければならない。例えば遺失物横領罪、つまり落とし物をネコババした場合は1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料だ。それよりも軽いというのは、どう考えてもおかしいのではないか。
ただし、どういう行為を何年にするのか、という基準作りはものすごく時間がかかる。その観点では、今回の政府案は妥当ではないかとも思う。もちろん、石塚先生がおっしゃるように、きちんと運用がなされないとダメだというのはおっしゃる通りで、私の警察時代にもストーカー規制法の制定や飲酒運転の罰則引き上げなどがあったが、やはり効果があるのは警察の運用があるからだ。法改正があれば、警察も少なくとも2、3年は力を入れる。侮辱罪についても、政府として啓発活動を行うだろうし、効果は出ると確信はしている」。(『ABEMA Prime』より)
2022年5月1日(日) しんぶん赤旗
言論活動の萎縮招く
本村氏 侮辱罪厳罰化で追及
衆院法務委
日本共産党の本村伸子議員は27日の衆院法務委員会で、刑法改定案に盛り込まれた侮辱罪の厳罰化について、北海道警によるやじ排除事件をあげ、政治的言動への不当な弾圧につながる危険性を指摘しました。
本村氏は、2019年に札幌市内での安倍晋三首相(当時)の街頭演説で「安倍やめろ」などと声をあげた市民2人を北海道警が排除した対応は適切だったかと質問。二之湯智国家公安委員長は「北海道警の措置は正しかった」などと述べました。
本村氏は、排除された2人が起こした訴訟で札幌地裁は表現の自由を侵害したとして北海道に損害賠償を命じたと指摘。官僚や国会議員に侮辱的言動をしたら、侮辱罪で逮捕するかという質問に、二之湯氏が「あってはならない。不当な弾圧はない」と述べたことをあげ、「北海道警の動きを不当な弾圧ではないと言われたら、実際には政治的な弾圧につながる危惧を抱く」と追及しました。
二之湯氏は「現場の警察が法律に基づいて必要な判断で措置した」などと繰り返すだけ。本村氏は、政治家を批判した人の現行犯逮捕や、同行者も犯罪をけしかけた教唆犯とされる危険を指摘し、「仮に不起訴となっても現行犯逮捕のインパクトは自由な表現への脅威となり、言論活動の萎縮を招くのは明らかだ」と批判しました。
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侮辱罪厳罰化 改正案を可決
インターネット上の誹謗中傷対策として、侮辱罪を厳罰化する規定を盛り込んだ刑法などの改正案は19日の衆院本介護で自民、公明、日本維新の会、国民民主各党のなどの賛成多数で可決された。立憲民主、共産、れいわ新選組の各党は反対した。
採決に先立つ討論で、立民の階猛議員は、どのような言動が侮辱罪に当たるのか不明確だと批判した。
「細田(衆院)議長は欲張りだとか、細田議長は女性をもてあそんでいると言い放った場合、侮辱罪で処罰されるのか。捜査司法機関の胸三寸だ」
と述べた。
19日発売の週刊文春は細田氏の女性記者へのセクハラ発言について、自民は立民に抗議した。自民幹部は、
「議事に関係ない個人攻撃は不適切だ」としており、今後、衆院議員運営委員会が対応を協議する。
という記事はありました。
次に、こんな動画を見つけました。
「細田議長が女性を〇〇でいた」階猛 討論(2022/05/19)
https://www.youtube.com/watch?v=54wBGyGlEt0
階猛議員の討論場面の抜粋です。
この現実にこの報道、いろいろと思い浮かんでいるところです。