車は、枕崎市から南九州市の知覧へ。
道中、名産品の「知覧茶」の茶畑が視界に広がる。
もう見事としか言いようばないほどで、写真は車内から撮影したが、降りてちゃんと撮ればよかった。
地元にはない光景なので、珍しいと言ってしまえばそれまでだが、やっぱりこういった風景は大事にしたいし、美しいと思う自分自身の気持ちもちゃんと持っていたいと思う。
知覧と言えば、知覧特攻平和会館や武家屋敷が有名だが、過去に何度も訪れているので、今回はホタル館冨屋食堂へ。
「特攻の母」と言われた鳥濱 トメさんが経営していた冨屋食堂だが、現在は資料館になっている。
戦争に関する資料館は、絶対に涙するのがわかっているので、自分自身がきついのも了解のもと、ここに来た。
それでも、この時代だからこそ、行かねば、見ておかねばという、虫の知らせではないが、自分の気持ちに従うことにした。
「日本は負けるよ」といった特攻隊員。
彼も出撃し、命を落とした。
息子が、彼らに近い年齢になっている。
私自身も年を重ね、自分と同世代だった彼らが、時の流れとともに子供と同世代になり、私は母親の立場になった。
イタリアのファシズム、ドイツのナチズムは必ず敗北する。
彼はそう言った。
今の時代と照らし合わせ、70年が経ってもなお、同じような轍を踏もうとしているのではないか。
人は過去から学ばない、そんなに愚かな生き物なのか。
朝鮮人だった別の特攻隊員は、アリランを歌った。
遠い祖国から別の地に、そして飛び立っていった。
誰もが戦争を起こすことを避けたいと願っている。
そのために、どうあるべきか、どのように進んでいこうか、それぞれの立場で考えて行動している。
ただ、命をないがしろにする行為は、私は許せない。
それは、自分自身や家族、友人知人、のみならず、ほかの国の人の命もだ。
平和について考える時間は必要だ。
日々、忙しく流されるままだと、自分の生活が脅かされる。
武器を持って命を奪い合うことに「戦う」自分たちではありたくない。
ただ、生活を脅かすものについては「闘う」ことは忘れない。
しっかりと世間を見つめ、ぶれない自分でありたいと思う。