客電が消え、キーボードがメロディを奏でる。
1曲目は「Devil's Tower」
いきなりの新曲!
といっても、この曲自体は1981年作なので楽曲自体は古いのだが、新しく生まれ変わり現在のメンバーで生き生きと弾けるように会場を包む。
「ルークーーーツ!!」
と、黄色い声ではなく、男性の野太い声があちこちで湧き、TOTOが大歓迎されていることが感じられる。
と同時に、自分もこの場にいることが嬉しくて、とても聞こえないような位置にいるにも拘わらず、メンバーの名前を叫ぶ。
お馴染みの「Hold The Line」と続き、大合唱。
ルークは動き回り、その隣にいるボーカルのジョセフの声は、とても伸びている。
このツーショット!!
たまらんですね。
実は、ジョセフ・ウィリアムズになってのTOTOは、高校生当時の自分にとっては「きらびやかすぎて」、少し嗜好から外れてしまい、TOTOから遠ざかったことがあった。
ハードで重たく速い音を求めていた当時の自分だったが、数年経って、再び好きなバンドの一つにTOTOが戻ってきた。
楽曲の良さはもちろん、抜群の技量を持った彼らの安定感含め、もともとが質が高いのだから、自分が年齢を重ねて、改めてその良さに気が付いたというか。
そのジョセフのボーカルを生で聴ける日が来ようとは!!である。
そして「Lovers In The Night」へ続く。
新曲「Alone」では、ジョセフの声がのびやかに会場に響く。
個人的に、新曲では「Spanish Sea」が好きなのだが、今回はデヴィッド・ペイチが不在の来日公演なので、この曲は演奏されなかった。
それでも、そんなことを考える暇もないほど、ぐいぐい引き寄せ、新旧の楽曲がうまく配置されて飽きさせない。
そして、個人的に大好きな「I Will Remember」。
しっとりと、ルークが歌う。
噛み締めるように、音をたどりながら耳を傾ける。
仕事帰りによく聴いていたこの曲が、目の前で、今、生で聴いていることで、胸がいっぱいになる。
一転、ハードなギターのイントロが流れ、曲は「English Eyes」へ。
抜群の安定感で、楽し気に演奏するメンバーと、左右に揺れる観客。
懐かしいナンバーで、大きな一体感の中、会場の空気も揺れる。
続いては、インストナンバーの「Jake To The Bone」。
この曲の時は、会場が固唾をのんで、ルークにくぎ付けである。
きらびやかなライトの中、軽やかに動くルークと、ギターに絡むピアノの音色が、目の前にいる人に有無を言わさない迫力で襲い掛かる。
あちこちから「すごい・・・」「うわ・・・」と言った声が漏れ聞こえる。
ジャンルにとらわれない多角的な楽曲を見せつけることができるのは、彼らだからこそであり、メンバーそれぞれの技量が桁違いだからこそ成り立つのだ。
そして「Rosanna」では、先ほどのナンバーと違い、また会場が合唱と手拍子で盛り上がる。
今回8人での演奏だが、みんながうまく出てきたり引いたりと、重厚過ぎてもたついたり、軽すぎてすかしたところもないのはさすがである。
歌唱部分の盛り上がりと、間奏の見せ場での盛り上がりとのメリハリで、耳が忙しい(笑)
MCでの「FUKUOKA-----!!」に会場も沸き立つ。
何度も福岡の地を訪れている彼らだが、きっときっといつもがこのようにみんなが歓迎しているのが伝わっているのだろう。
だから、来てくれるんだ。
中学生の時にラジオで「TOTO福岡公演」の案内があったことを、今でも覚えているほどだから。
大人になって、40周年を迎えた彼らに会えるなんて、14歳の自分だったらどう思うだろうか。
記3月17日