続いて、今回の新譜「Infinite」から「The Surprising」。
かなり重厚でずしんと響く楽曲だが、今の彼らには疾走ナンバーよりもこういった若干プログレッシヴなナンバーが似合う。
「Infinite」のジャケットデザインから、砕氷船に乗った彼らのアニメーションが印象的なPVだが、これが意味深というかなんというか、「1968-20?!」と船体に記載され、デビューアルバムからのジャケットデザインや楽曲からの各々のモチーフがそこかしこにちりばめられている。
見つけてはニヤリとし、ああ、このとき、この人いないや・・・とか思いを馳せたり、船体が揺れてろうそくの「炎」が消えた時や、青い扉の向こうの「占い師」を見た時のイアン・ギラン、ずっと在籍している唯一のオリジナルメンバーであるイアン・ペイスの心境はどうなんだろう?とか、さまざまに考えてしまう。
重厚に壮大に楽曲は進み、昇華していくかのようなドン・エイリ―のキーボード。
ただ、残念ながら、新しい楽曲は今一つ反応が薄い。
というか、ノリノリの楽曲ではないので、立ちすくんでその場の空気を纏って身をゆだねているのか、ただ引き込まれているだけなのか。
そうであると信じたい。
同じく、こちら「Birds of Prey」も新作から。
紆余曲折ありながら、一つの線をたどっていくと、今の音につながる。
アートロックからオーケストラとの共演からハードロックに、時にファンキーになり、再び集結したり、ビザを破いたメンバーがいたから来日公演には急遽代理を入れたり(苦笑)、迷走したり・・・。
全てを経てから、今があるんだよ。
「Time for Bedlam」も、こちらも重厚で響く。
今だからこそなしえた音だと思う。
過去に有名楽曲と比較しても、決して、見劣り、いや聴き劣りすることはない、今の彼ら。
そして、キーボードソロ!
ドン・エイリ―、一番の見どころである。
クラシックナンバーやらJ-POPやら、見事に一つの楽曲としてまとめる。
ぐんぐん引き込まれて、観客も固唾をのんで見守って見つめている。
ジョン・ロードの後任として彼がこのバンドに入るべくして今までのキャリアがあったのだろうかと思わせるほどに見事だった。
DEEP PURPLEの「色」を大切に、それでいて自分自身の色も出し切っている。
素晴らしかった。
キーボードソロからそのまま流れるように聞こえてきたフレーズはお馴染みの「Perfect Strangers」。
84年の再結成時から、この楽曲はライブでもずっと演奏されている。
再結成後の彼らの楽曲で、一番好きかもしれない。
たしか、95年のRAINBOWでのライブも、この曲を演奏していたっけ。
個人的な好みなのか、ただ自分が年を重ねたからこのように感じるのか、本当に彼らは重厚なキーボードとギターを擁した楽曲が似合う。
70年代前半、勢いがある当時の楽曲ももちろんだが、このような楽曲があるからこそのDEEP PURPLEだろう。
「完璧な他人」の彼らだが、もう50年にもなる。
今は去っていたり、すでに鬼籍に入ったメンバーも含め「完璧な他人」の彼らは、紫の糸で結ばれているような気がするのだ。
そして、一気に「Space Truckin'」へ。
こちらは「Machine Head 」からの曲なので、もちろん盛り上がる!
サビの部分は、決して若くない(人の事言えない)観客がl拳を挙げて「カモン!カモン!」と叫ぶ。
そうでなくちゃね。
時折、イアン・ギランが辛そうではあるが、そんなのはある程度織り込み済みである。
「Live in Japan」の再現じゃないのだから。
その5へ続く。