叔父夫婦の一人息子は「大島春樹」といいます。一人息子を失った叔父さんの姿を見つめる直也は今どういう気持ちを持っているのか叔父や叔母の気持ちを考えるようになります。春樹は中学に入ると仲間と一緒に暴走族へ入り一年半後バイク事故でこの世を去っていました。直也は自分の中学のときの特攻隊長の宇治木大地ことを思い出し春樹の姿と重ね合わせています。大地と春樹の共通点は仲間と思えるものには命をかけ守り抜くというものであった。命をかけるということは覚悟というものがあったのです。この時の直也には覚悟というものはありません。ただ過去から逃れたいだけの直也でした。叔父夫婦や2人の覚悟と強さは、これからの直也の生き方を変え導いていくことになります。叔父夫婦は直也の成長した姿を見て春樹を思い出すこともありましたが直也と春樹を重ね合わせていました。最初はどう接してたら良いか不安がありましたが、春樹に与えることができなかったことを直也に与えようとします。あまりにも直也は春樹の雰囲気に似ていることに気づいたとき不安であったものがなくなりました。叔父は保護士であり夕方になると何人かの直也と同年代くらいの子達と話を交わし更生させていました。直也が叔父のもとで生活をすることで、これまでの保護士としての役割を他の保護士に任せることにします。叔父や叔母は直也の両親から聞いていた中学時代の直也の行動や体験を考えると失ったものが多く、これまでの生徒たちとは接し方を変える必要があり直也の通うことになる尊王寺学園との連携も必要であったのです。叔父は直也の悲しみや苦しみが別な感情に変えてしまっていることを気づいていたのです。2階に上がった直也のあとを叔父はラーメンを作るのを中断し叔母さんに店を任せ直也のあとをついてきます。
「直也こっちの部屋だよ。ここが今後のお前が生活する部屋だ」
「ここって春樹の部屋?」
叔父がドアを開けた部屋は春樹の部屋あえて春樹の部屋にしたのです。
「直也ーお前は春樹と似たものどうしや命をかける生きかたはするな。お前は中学の時に死を考えたろ、たった一つの命だ命だけは賭けたらいかんぞ。春樹の道とお前の道は違う二度と同じ思いはしたくないからな」
春樹は、この世に存在はしていないが春樹の部屋には春樹の全てがある叔父は直也なら「命をかけること」それがわかるだろうと思っていたのです。この街での春樹の全てを時間をかけ見つめ直し良く考え理解し歩く道を自分で見つけられるように。叔父の「命はけるな」の言葉で直也には気づくこともありますが疑問もあります。直也は、その疑問をこの街で通う学校で問うていかなければならないのです。直也は今まで以上に強くなるために必要だった。春樹の心を感じれば今後これから過ぎ去る時間が直也は心の更生ができると叔父は考えていたのです。部屋の中には直也と2人で撮った写真や特攻服を着た春樹の写真が壁には特攻服が飾られています。ベッドや机、机の上には、樹が使っていたペン立てに鉛筆やボールペン木製のベッドにすわるとギシギシと音をたて春樹が彫ったのか傷もあります。叔父夫婦は春樹の最後の日のままに残し叔母は毎日綺麗にしていたのです。春樹の部屋の中を見た直也は春樹がまだ生きてるように感じています。
「どうする直也、この部屋を使うか?使ってくれるか?」
叔父は直也に春樹の部屋を使ってもらいたいといいます。
「どうしてなんだ春樹の部屋を使えって、どういうことなんだ?」
直也は、しばらく考えますが春樹の部屋を使うことにしたのです。春樹の部屋には疑問があり、そして、その答えがあるような気がして。叔父は直也の顔を見ず1度だけ肩を軽く叩き店に戻り仕事に戻っていきます。
「今日からここで暮らしていくんだ春樹と共にな」
春樹の写真を見ながら春樹のアルバムを見ながら溢れる涙をこらえながら思い出します。1年に何回も会うことはなかったのですが春樹の人間性や素直さ強さを感じていたのです。小学時代や中学時代の直也に仲間が集まるのは春樹の影響があったのかもしれません。春樹と会う直也は人をひきつける春樹のようになりたいと思うことが多かったのです。直也は部屋を少し整理をして少し大きめなドリームキャッチャーを作り春樹の特攻服に縫いつけます。
「春樹、これで、ゆっくり眠ってくれよな」
直也は春樹の写真を見ながら写真に言葉をかけ直也は新たな生活を送ることになります。数日後、直也は叔母さんと母に連れられ高校の入学式に向かいます。入学式の間、直也と母との間では何も話をすることはありませんでした。入学式が終わると母は叔父と叔母としばらく話をし電車に乗り自宅へ戻っていきました。
「直也、あんたには自由に生きてってもらいたいから自分のことは自分で決めて叔父さんや叔母さんに面倒かけないでね」
下り電車に乗る母を見送り叔母も上り電車に乗って自宅へ帰ります。直也は1人駅に残り駅の椅子に座っていたとき目の前に立つ高校生の姿をみたのです。
「よっ、直也だろ久しぶりだなぁ。元気してたか?」
声をかけてきたのは転勤族の父親がいる加藤真一でした。
「お前、何で、ここにいるんだよ福島に行ったんじゃないのか?」
直也は真一との再会に驚きを隠せなかったが真一は冷静で少し大人びていました。真一は入学式の時に直也の姿を見つけていたが声をかけることはしませんでした。直也はもう自分のことを忘れてしまっているのではないかと考えると、どうしても声をかけられなかったのです。たった1人でベンチに座る直也は昔と変わっていないように感じた真一は駅のホームで声をかけてきたのでした。
「まだ、波乗りしてるのか?」
真一は直也に話しかけてきます。真一は直也に、もうサーフィンは卒業し5つ上りの駅の周辺に家があることを直也に教えます。真一の父親の転勤族はなくなり建売りの家を持ったというのです。直也と真一の話しは尽きることはなく辺りは暗くなり駅の電気がついていました。真一は周囲の高校の情報を直也に話します。どうやら真一が言うには3つの高校は敵対していて喧嘩の争いが尽きないらしいのです。直也は中学よりも、たちが悪そうだなと思いました、真一が話すことよりも気になることがありました。真一のカバンにドリームキャッチャーがつけられています。
「真一、それどうして、カバンに付けてるの?それって」
「久美子ちゃんが送ってくれたんだ、お守りってな、いつかお前を守ってくれるようにって手紙に書いてあった。でもまさかお前と高校が一緒になるとは思ってもみなかったよ」
これは偶然だったのでしょうか?久美子が真一との再会をはたさせてくれたように思う直也です。直也は少し動揺しながら大地や真一そして他にも久美子はドリームキャッチャーを送っていたことを知ったのです。中学の時に先輩たちに囲まれた時は大地に助けられたことを思い出します。久美子は生きてるのか?偶然にしてはこんなに偶然が続くのだろうかと考える直也です。
「真一、お前、もしかして、あの踏み切りに行ったのか?」
直也は遮断機のない踏み切りにチェーンが付けられた時そのチェーンに多くのドリームキャッチャーが付けられていたことを思い出します。
「あぁ何度も行けないから十個ばかし作って行ったら、チェーンが付けられてたから、そこに全部しばってきたよ」
直也は真一がドリームキャッチャーを付けたことを知り真一は離れていても久美子のことを気にかけてくれていたことを知ることになります。
「なぁ、直也、まさか忘れようとしてるのか?自分の過去から逃げてるとか」
「どうして?」
「うん、なんとなくそう思ったから忘れようとすると余計に思い出すんだよ、俺、転校ばっかだったけど忘れようと何度も繰り返したけど忘れることより考えないようにするにはどうすべきかってね」
真一は直也の考えていることが分かってるようなことを話しますが直也は聞くだけでした。
「偶然なのかな?俺が直也にまた会えたのは。なんか胸騒ぎがするよ中学よりもっと、この街は荒れてるからな。しっかり過去と向き合うのは時間がかかると思うよ。これ転校しながら思ったことなんだ」
「何で連絡してくれなかったん?真一、約束したよな」
「ごめんな直也、俺もお前と同じだと思うんよ直也も連絡してくれなかったしよ」
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