Sho's-Blog/PoemStory/illust

MessagePoem/LoveStory/youngStory/SFfantasyStory/illust

チューリップス・シスター第12話

2016-08-29 07:40:46 | 小説チューリップス-シスター


チューリップス・シスター第12話 美咲の入院

美咲の2枚の絵画は横たわる人物にのしかかりナイフで刺そうとしている人物の影、その周りには一面に菜の花と赤いチューリップが咲いている絵画と倉庫の中で砂の地面から自然とはいていた赤いチューリップがあり、その中には白い椅子が倒れている人物の姿はない人物の影だけのある絵画である。
2枚の美咲の絵画を捜査資料として制服の警察官は持っていく。
美咲は自然の風景画を描く事無く、事件当時の絵と風景画を書かなくなった花と影の絵の2枚である。

叔父と神父は、なぜ美咲が描いた絵を、燃やそうとしなかったのか。
「どうして私の絵を捨てちゃうの」と、美咲の部屋にいる一緒にいるセラピストに言った。
セラピストは美咲の言葉で神父に合い、美咲の言葉を伝えると、神父と叔父は顔を合わせ神父は冷静で叔父は驚いていた。
それは、美咲は絵が無くなるのを、離れた場所で考えていた事を何故か知ってしまう事を神父が叔父に話したが理解するには時間がかかった。

過去の体験で美咲が修道院の施設に入ってから、しばらくしてから絵を描いていたが、他の児童にその絵を持ち出され、破かれ燃やされた事があり、知らない場所に捨てられた事があった。
次の日には、そこで破く児童の姿、火をつける姿を絵にしていたのだ。
盗む姿、絵を持ち出す姿、そして破き火をつける姿を鮮明に3枚の絵にしていた事があった。
誰が悪戯をしたか鮮明に描かれた児童は、2度と美咲の部屋へ入る事はしなかった。
神父は、絵がなくなれば、美咲の心は傷つくのだろうと思っていた。
他の児童に、悪戯されないよう描いた絵は、ある場所に隠そうとした、その場所が美咲の絵画の壁や天井に彫刻がある保管庫になった。
この保管庫は開かずの間と呼ばれていたが、美咲の為に解放したのである。
真理にはない能力を、美咲は持ちあわせていたのだが、真理の能力は、後に知る事になる。
美咲にとって、今の生活が一番幸せなのだと神父は思っていた。
しかし、美咲の運命という扉が開き突如動き出した。
「フォメオ・ス・タンシス・・・」
神父の心に美咲の心の神は語りかける。
美咲の鼓動の高鳴り囁く声は、神父の心を透し動かされ、ある者へ美咲の声が届けられる。
美咲の運命の赤い糸の繋がりは、神父ではなく、世界を回り能力を発揮される事が出来ていた神父の甥にあった。

神父の心の中の神は、甥の能力と神父の能力は、本当の美咲の能力を知る事と気づく事から始まっていた。
美咲の能力はまだ予兆の能力であり、まだ完璧なものではなかったが、神父の心の神は甥からの伝令を受け止めていた。
神父の頭の中では、薄っすらとしたイメージから鮮明に成りつつイメージが浮かんでいた。
美咲が唯一の信頼関係を保つ事が出来たのは、神父とセラピストとフリーランスの精神科医であり、先入観を持たず美咲と接する事が出来る。
保護者身元保証人の内科医の叔父と看護師の叔母には、まだ美咲の能力の事は伝える事が出来なかった。
叔父夫婦は、真理に対しても育ての親という事で、真理をしっかりとした人間に育て上げる役割があり、美咲の能力を知るのは負担が多すぎるという理由だった。
神父と甥との交信が続く事で、美咲の能力は真理の能力よりも先に予兆の段階を進み歩いている。
神イエスや聖霊と天使は、予兆の段階を踏む、真理と美咲の能力の開化のバランスをはかり、双子の運命を導いていたのだ。

施設の外へ出る事のない美咲がどうして絵を描き続けるのか、1つの疑問があり警察の方では、フリーランスの精神科医ではなく大学病院の専門の精神科医とも相談していた。
そして、警察署では、美咲の絵画の分析がはじまった。
心理学を中心に、美咲の人格、性格、全ての心理分析をはじめ、美咲の姿を見た事もない心理学に関わる大学で勤務する第3者に任せる。
美咲とは関わった事のない他の臨床心理士、心理分析官、精神科医は、美咲の描いた絵を見た時、驚きを隠せなかったようだ。
まるで、その場にいて見て描いたように鮮明に描かれていた。
知的障害を持っていた場合、絵を描く時は切り絵や点描などの絵画技術で鮮明に表す事が稀にあるが、その絵はまるで生きている絵と言えた。
「その場所にいなければ、それだけの絵は描く事は出来ないだろう」と、分析する第3者はおもっていた。
しかし、美咲の絵は離れた場所で、何も見る事なく想像イメージだけでなく、予兆のある能力で描いていたのだ。
この時の美咲自身は当たり前の事で、予兆の能力とは思う事も気づく事もなく、怒り・憎悪・復讐の3つの感情を制御する為の能力だった。
美咲の予兆の能力の開化は進行し小さな火花から小さな雷に変わるが、まだ本当の能力は未知なるものである。

臨床心理士と分析官は、科学的にその絵をみていた。2枚の絵は、科学的にみても、心理分析は不可能であった。美咲の事情聴取をとろうにも、警察官では困難となった。いったん、成長した美咲を大学病院へ移すという事になる。
神父は、以前、病院治療を試みたが拒否反応を示した過去があった事を警察官に話していた。しかし、突然、美咲は微笑を浮かべ顔をあげて、神父の瞳を見たのだ。美咲は、言葉はなく、手を伸ばし、膝をつく神父の肩に手をかけた。いよいよ、美咲の予兆の能力が段階を経て少しずつ動きはじめた時だったのかもしれない。神父が見た美咲の瞳は、一瞬だけであったが輝いたように感じた。

警察の方で美咲を受け入れてくれた大学病院の手配をし、警察官と共に病院へ行く事となる。
措置入院を進められ本来は頑なに拒否する美咲、しかしこの時の 素直に美咲は自らの思いで入院していた。
美咲の思いは、神父とセラピスト、フリーランスの精神科医は気付いていたが、先入観を持つ人物達は誰も気付く事はなかった。
それは予兆の能力を試す為だった。
病院への入院、美咲は素直で規則正しい生活を送るが、美咲が何をしようとしているのか、病院では勤務する職員は誰も知らず気付く事はなかった。
入院を進められ素直に美咲は自らの思いで入院し、それは予兆の能力を試す為だった。

その大学病院は、後に、真理が勤める事になる病院であった。
大学病院へ着くと、医師と看護婦が、美咲を待っていた。
そして、ゆっくりと病室へ向かう美咲は、自分の入る病室を知っていたのか、医師と看護師の先頭を歩っていく。
通常は隔離室だが隔離室ではなく、美咲の為だけに用意された個室だったが鍵付きの部屋である。

美咲は、病院へ入ると自ら歩き始め、医師と看護婦は、ただ黙って美咲についていった。
「先生、なぜ病室を知ってるのですか?」
「いや、わからない、とにかく今は、刺激を与えないようにする事だ」
「先生は、彼女の事を知っているんですか?」
「彼女の小さい頃に会った事がある、彼女の眼を出来るだけ見ないようにしたほうがいい」
美咲が3歳の時に、この精神科医は、彼女を診ていたが、診断をする事が出来なかった。
「まず、彼女の行動をしっかり診ておく事が大切だ、以前とは違う気がするが、念のためにね」
美咲に、薬物療法と精神療法を試みるが、過去の状況から美咲は心で受け入れる事はなかった。
美咲には、カメラを取り付けられた部屋が用意されていた。
カメラを取り付け、まず美咲の行動を知る事からはじまった。

入院から3年間、精神症状は進行せず、精神治療という治療は出来ず、見守る事と常に美咲の様子の記録をとるだけであった。
美咲の能力は年事に開化に近づいていく段階を歩いているのは、精神症状ではなく見えないものである事は、病院のスタッフ達は知る事はない。
美咲は入院してから、いっさい言葉はなく目立った行動をする事はなかった、スケッチブックとクレヨンを置いていたが、入院当時の美咲は絵を描く事がなかった。
時には、病院の屋上で、気分転換を看護師と共にするくらいである。
美咲が入院した大学病院は教会から30キロ離れた場所であり、美咲にとっての聖域ではなかった。
美咲の聖域は、教会を中心に半径5キロ圏内であり、聖域から離れる事で、病院内である不思議な出来事が続く事があった。
それは、神父の甥からの伝令が美咲にもあった為、甥の伝令が美咲の能力を導いていた。
神父の甥は、この時は世界中を回り、甥自身で能力を高める段階であった為、神父の脳を借りて美咲を導いていた。
しかし、美咲の能力は、怒り、憎悪、復讐の3つで生きている為、病院の中で美咲の能力が、どんな反応をするかわからなかった。
病院に入院している美咲の心にあるものとは、小さな火花と大きな暴風雨のようなものだった。

ニュースの天気予報を見ても当らない、美咲が入院してからだった。
時折、天候が晴れでも曇りや雨の日が続いたりしたが、それが美咲の心の囁きだとは病院のスタッフは知る事も気づく事もない。
美咲が絵を描くようになってから、病院では暴風雨とカミナリで停電が起きていた。
非常用発電機と非常灯で何とか外来診療や入院診療をやり過ごしてきた。
聖域内では美咲の能力を遅らせ制御するようになっていたが、聖域外になると美咲の予兆の能力が働いてしまう。
美咲は天候を操りながら、部屋の中で絵を描き過ごしていた。

神父とセラピストは面会に行くが、常に早朝起床時に教会の中で神イエスと聖母マリアに美咲への思い願い祈りを捧げていた。
フリーランスの精神科医は、病院内で美咲の診療ではなく、美咲を見守り部屋の中で少し離れた場所で椅子に座り、病院の精神科医には理解できない事、感じるものを記録に残していた。


編集ライターブログランキング
応援宜しくお願い致します
にほんブログ村
こちらも^out_point^ポチと


最新の画像もっと見る

コメントを投稿