8月15日、終戦記念日、そして敗戦記念日。
命に危険なレベルの猛暑日が続いています。
昨日、クーラーをつけていない部屋の温度を測ってみると
34℃でした!
クーラー無しでは過ごせません💦
又ヤモリが、キッチンの窓にへばりついていました。
昨日の、拙い短編小説の続きです😅
★ ★ ★ ★ ★
コウタのドキドキ ②
昨日不機嫌だった伯母さんは、朝にはもう元のにこやかな伯母さんに戻っていてコウタはほっとした。
伯父さんもいつもの優しいおじさんに戻っていた。
『おはようコウちゃん、よく眠れた?』
『うん・・・、顔洗ってくる』あーよかった。
伯母さんはきのうのこともう忘れたんかな?
伯父さんの事も怒ってないんや。
あの女の人は誰やったんやろ?
ボクには、大人の事情はようわかれへん。
みんな揃ってトーストにジャムを付け、ハムエッグをほおばった。
今日はお母さんが迎えにくる日だった。
食事を済ませた後、コウタは1人でふらりと、伯母さんの家を出て、少し遠くまで探検に出かけた。
コウタは時々ふらっと知らない街を歩くのが好きな少年だった。
好奇心が強いが、用心深くめったなことでは迷子になんかならない。
その日も『ちょっと散歩してくる』と言って出かけたのだった。
5分くらい歩くと小さな橋がある。
橋を渡って左へどんどん進んでいった。
どれくらい歩いただろうか古ぼけた神社が見えてきて、も少し行くと公園が見えてきた。こんな所に公園があったかなぁ・・・
入り口に「ふしぎこうえん」と書いてある。だあれもいなくて、小さなベンチがぽつんと一つ置いてある。
ベンチの脇にブランコが一つ、少し離れたところに砂場があり、誰かが置き忘れていったプラスチックの赤いバケツと黄色いスコップが転がっている。
ブランコに腰掛けゆらゆら揺れてみた。
春の優しい風が心地よい。
立って漕いでみた。風がほほを刺激して気持よい。
黒猫がベンチの脇でコウタを見ている。
漕ぐのをやめて猫の傍に行こうとしたら、すばやく逃げてしまった。
何だかつまんなくなって公園を出ようとした。
いつのまにか周りは大きな木が生い茂っている。
出口が見つからない。
いくら探しても外に通じていない。
心細くてコウタは泣きべそをかきそうだった。
涙がにじんできて、あたりがかすんだ。
服の袖口で涙を拭いていると、目の端っこに何かが映った。いつの間に来たのだろう、ベンチに知らない女の子がちょこんと座ってコウタをじっと見ている。
『あんた、泣いてるのん?』女の子はいきなり聞いた。
『ちがう!泣いてへん!目にごみが入って、こすってただけや!』コウタは強がりを言ってみたが、やはり不安な顔は隠せない。
『あんた、名前なんて言うのん?』
『コウタ』
『ふーん コウちゃんか。ほんで、ここで何してるのん?この辺の子とちゃうよね?』
『うん、親戚の伯母さんのとこに遊びに来てる。』
『そう。なんか、探してんのん?グルグル歩き廻ってたやん』
『うん。帰ろうと思ったんやけど出口が見つからへんねん』コウタは素直に言ってみた。
おかっぱ頭の小さな女の子だけど、なんだか少し頼りになりそうだった。
『そんなん簡単やん。ええ方法教えてあげる』少女はポケットから白い小さな紙切れと赤のクレヨンを出して、『ここに探してるもの書いてみて』と言って渡した。言われるとおりに、紙切れに「でぐち」と書いた。
『そしたら、その紙、あそこの赤いバケツに入れて、むこう向いて大きな声で3回言うてぐるぐる回してみて』
こんなことで出口が見つかるんかな…恥ずかしいけどとにかくやってみよう。
『でぐち!でぐち!でぐち!』
『そしたら、その紙をあそこの木の枝にくくりつけてきて』
コウタは紙を木の枝に結んだ。
『これでええの?』振り向くと少女の姿はどこにも見えない。
なんか、ええ匂いが残っていた。
さっきの黒猫がじっと見ている。猫はコウタを振り返り、ついておいでと言うようにのそのそ歩き出した。その後を追っていくと、いつのまにか公園は消えていて、神社が見えてきた。
神社に向かって歩き出した。
橋が見えてきた。ここまで来ればもう安心。
コウタはホッとして足早に橋を渡り伯母さんの家に着いた。
『ただいまぁ!』
『コウちゃん、どこ行ってたの?』おばさんが尋ねた。
『ちょっとさんぽしててん』。ずいぶん長い間歩いたような気がしたが、時計を見るとまだ10時を少しまわったところで、15分位しか経っていなかった。でもこのことは誰にも言わないでおこう。
迷子になりかかったことも、女の子にあったことも。黒猫のことも。
もしかして、夢でも見てたのかな?
午前中はみんなでトランプして過ごした。
お昼ご飯のおかずは、伯母さんが近くの公設市場で買ってきたコロッケと千切りしたキャベツだった。
ここのコロッケは美味しくて、コウタは2個食べた。
母が迎えに来て、ひそひそと伯母さんと何か話していた。
家に帰ると、母が『コウタ、おっちゃんと一緒にいた女の人、どんな人やったん?』と聞いてきた。
もう済んだと思っていたのに・・・
『きれいな人やった。ほんで、ちょっとええ匂いもしてた』と言うと
『あの女の人な、仕事先の人やったんやて。そやけど、おっちゃん優しいからもてるねん。そやからいつも心配やて。 ウチのおとうちゃんは、真面目やから・・・』
そうやったんや。なんかわからへんけど、ホッとした。
真面目やから・・のあと、おかあちゃん、何が言いたかったんかな?
大人って、複雑やなぁ~。
おしまい
★ ★ ★ ★ ★
拙い小説でした😓
最後まで読んでいただき、ありがとうございました🙇